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口角炎の原因や薬・治し方について【市販薬・ビタミン・何科?】

[2026.08.30]

「口の端が切れて、口を開けるたびに痛い」「何度治っても、また同じところが切れる」そんな症状で悩んでいませんか?

これは「口角炎(こうかくえん)」かもしれません。口角炎は単なる乾燥だけでなく、唾液による刺激、カンジダなどの真菌、黄色ブドウ球菌などの細菌、義歯、湿疹、鉄やビタミンなどの栄養不足が複雑に関係して起こります。

実際、口角炎40人を調べた研究では、82.5%から黄色ブドウ球菌・カンジダ・連鎖球菌のいずれかが検出されているんですね。つまり「ビタミン不足だから」と決めつけるのではなく、原因を見極めることが大切です。

今回は、口角炎の原因から薬、市販薬、ビタミンとの関係、早く治すためのポイント、何科を受診すればよいかまで、医学論文をもとにわかりやすく解説していきます。



口角炎とは?どんな症状が出る?

口角炎とは、口の左右の端である「口角」に起こる炎症です。赤み、ただれ、皮むけ、亀裂、かさぶたなどがみられ、口を大きく開けた時に「ピキッ」と裂けて痛んだり、出血したりすることもあります。

口角は実はデリケートな場所です。顔面の扁平上皮と口腔粘膜の「つなぎ目」として機能していて、口の開口部の機械的に活動する「ちょうつがい」として働いています。そのため、もともと口角は様々な刺激にさらされやすく、物理的な刺激や炎症に対して、弱いんですね。

唾液に長時間さらされると皮膚がふやけ、皮膚のバリア機能が壊れます。そこにカンジダや細菌が増えることで、炎症が長引くのです。

実際、南中国の成人36人・計68病変を調べた研究では、65%が軽症、35%が中等症で、感染性の微生物は54%の病変から検出されています。なので、口角炎を見た場合、何らかの感染症を考えながら診療していますね。

もちろん左右両方に出ることが多いものの、片側だけに起こることもあります。

(参照:Clinical, microbiological and ultrastructural features of angular cheilitis lesions in Southern Chinese

口角炎の原因は?食べ過ぎや胃腸が悪いせい?

では、口角炎の原因はなんでしょうか。一言でいうと、「もともとの皮膚のバリが弱くなってきたところに感染が重なったから」といえます。

「口角炎は胃腸が悪いとできる」「食べ過ぎのサイン」と聞いたことがあるかもしれません。しかし、口角炎そのものを食べ過ぎや胃腸の疲れだけで説明する医学的根拠は十分ではありません。

むしろ重要なのは、口角に唾液がたまることと、感染・皮膚炎・栄養状態などが重なることです。特に、唇をなめる癖、口呼吸、よだれ、乾燥、合わない義歯、加齢による口角の深いしわなどがあると、唾液が口角に残りやすくなります。

感染も重要です。口角炎40人の臨床研究では、82.5%から何らかの病原微生物が検出され、黄色ブドウ球菌75.5%、カンジダ48.4%、連鎖球菌13.5%でした。別の64人の研究でも、黄色ブドウ球菌は40人(62.5%)、Candida albicansは45人(70.3%)から培養されています。

ただし、カンジダは健康な人の口の中にも存在する常在菌です。「カンジダが検出された=それだけが原因」とは限らない点には注意が必要です。あくまで普段口角炎を繰り返す生活習慣が潜んでいないかチェックすることが大切ですね。

(参照:Angular cheilitis: A clinical and microbial study

口角炎とビタミン不足・鉄不足の関係は?

口角炎というと「ビタミンB2不足」を思い浮かべる方も多いでしょう。確かに、ビタミンB2・B6・B12・葉酸、鉄、亜鉛などの不足は口角炎の原因になりえます。しかし、すべての口角炎がビタミン不足で起こるわけではありません。

スリランカの口角炎患者49人を調べた研究では、18人、つまり約37%でヘモグロビン低値がみられ、そのうち8人には低色素性小球性貧血がありました。一方で、この研究でも病原微生物は59%から検出されており、口角炎が「感染」「局所環境」「栄養状態」など複数の要因で起こることがよくわかります。

そのため、食生活が極端に偏っている、貧血を指摘されている、舌も赤く痛い、疲れやすい、口角炎を何度も繰り返す、といった場合には、血算、鉄・フェリチン、ビタミンB群、亜鉛などを確認することがあります。

厚生労働省の資料でも、ビタミンB2・B6製剤は「欠乏または代謝障害が関与すると推定される場合」の口角炎に用いられる位置づけです。したがって、原因が感染や唾液刺激なのにビタミン剤だけを飲み続けても、十分な改善が得られないことがあります。

(参照:Angular cheilitis in a group of Sri Lankan adults: a clinical and microbiologic study

口角炎の薬と治し方は?ステロイドは使える?

口角炎の治療で一番大切なのは、「原因に合わせて治療を変えること」です。

唾液や乾燥による刺激が中心なら、まずワセリンなどの保護剤で口角を覆い、唾液が直接皮膚に触れ続けないようにします。唇をなめる癖がある場合は、それを減らすだけでも再発予防につながります。

カンジダが疑われる場合には抗真菌薬、黄色ブドウ球菌などの細菌感染が疑われる場合には抗菌薬を使用します。海外の診療ガイドでは、抗真菌薬は一般に10~14日程度、抗ブドウ球菌薬は7日前後が治療期間の目安とされています。

ではステロイドはどうでしょうか。炎症が強い場合には弱いステロイド外用薬を抗真菌薬・抗菌薬と組み合わせることがありますが、感染が原因なのにステロイドだけを自己判断で塗るのはおすすめできません。炎症だけが一時的に引いても、原因となる感染を悪化させる可能性があるためです。

治療研究では、Candida albicansや黄色ブドウ球菌が検出された50人に、菌に応じてナイスタチンやフシジン酸を使用したところ、42日後には96%で感染所見が消失しました。とはいえ、自己判断で治療した結果、かぶれがおきてしまって診断がおくれてしまい、結局治療が大幅に遠回りになることもよく経験します。

「いつもの対処法」が医師とよく共有できていればよいのですが、自己判断でいろんな治療をすることは本当にオススメできないのでやめましょう。

(参照:Treatment of angular cheilitis. The significance of microbial analysis, antimicrobial treatment, and interfering factors

口角炎の市販薬は?早く治すにはどうする?

軽い口角炎であれば、まず口角を清潔にし、ワセリンなどで皮膚を保護して経過を見る方法があります。特に「乾燥して切れた」「唇をなめる癖がある」といったケースでは、皮膚を唾液や摩擦から守ることが重要です。

一方、「市販薬なら何でもよい」というわけではありません。口角炎はカンジダ、細菌、湿疹などで治療が異なるためです。とくに水虫用の抗真菌薬を自己判断で口角に使ったり、強いステロイドを漫然と塗ったりすることは本当にやめてください。逆に悪化することがほとんどです。

治療が原因に合っていれば、通常は数日で改善がみえ始め、2週間程度で治ることが多いとされています。逆に2週間ほど適切にケアしても改善しない場合は、感染の種類や接触皮膚炎、栄養不足、糖尿病など別の背景を考える必要があります。

「早く治す=強い薬を塗る」ではありません。口角をなめない、食後にやさしく汚れを落とす、ワセリンなどで保護する、原因に合った薬を使う。この4つが基本です。

口角炎が治らない・繰り返す時に考えることは?

何度も口角炎を繰り返す場合は、薬を変えるだけでなく「なぜ口角炎が起こり続けているのか」を探すことが大切です。

例えば、合わない義歯や噛み合わせによって口角に深い溝ができている、口腔内カンジダが残っている、鼻の中に黄色ブドウ球菌が定着している、糖尿病などで感染しやすくなっている、鉄・ビタミンB群・亜鉛などが不足している、化粧品や歯磨き粉による接触皮膚炎がある、といったケースです。

特に「片側だけに長期間続く」「硬いしこりがある」「出血や潰瘍が治らない」「どんどん広がる」といった場合は、単純な口角炎以外の病気も鑑別する必要があります。

口角炎はありふれた病気ですが、治らない口角炎を「いつものこと」と放置し続けるのはおすすめしません。

(参照:Angular Cheilitis - StatPearls

口角炎はうつる?カンジダなら感染する?

口角炎そのものは、基本的には「うつる病気」ではありません。口角炎は、唾液による皮膚のふやけや刺激を土台として、もともと口や皮膚に存在する微生物が増えて起こることが多いためです。

例えばCandida albicansは健康な人の口腔内にも40~60%程度存在するとされます。したがって、口角炎の人と食事をした、会話をした、というだけで口角炎がそのまま感染するわけではありません。

ただし、ヘルペスや伝染性膿痂疹など「口角炎に似た別の感染症」の場合は話が変わります。水ぶくれが集まっている、黄色いかさぶたが急に広がる、といった場合は自己判断せず受診してください。

(参照:Angular Cheilitis - StatPearls

口角炎は何科に受診すべき?

口角の赤み、ひび割れ、湿疹、カンジダや細菌感染などが疑われる場合は、まず皮膚科が受診しやすいでしょう。口の中にも白い苔のようなものが広がっている、義歯が合わない、歯や噛み合わせが原因と思われる場合には、歯科・歯科口腔外科も選択肢になります。

また、何度も繰り返す場合には、貧血、鉄欠乏、糖尿病、栄養状態など全身の評価が必要になることもあり、その場合は内科での血液検査も役立ちます。

ひまわり医院では内科・皮膚科の両面から診察できます。「皮膚だけの問題なのか、体の中にも原因があるのかわからない」という場合もご相談ください。

(参照:How Do I Manage a Patient with Angular Cheilitis?

まとめ

やる気がでない内科疾患についてのまとめ

口角炎は「口の端が切れただけ」と思われがちですが、実際には唾液による刺激、カンジダや細菌、湿疹、義歯、鉄やビタミンなどの不足が複雑に関係する病気です。

特に覚えておきたいのは、口角炎=ビタミン不足ではないということ。研究では病原微生物が50~80%程度の症例・病変から検出されており、原因に合った治療を選ぶことが重要です。

まずは口角をなめないようにして保護し、それでも治らない場合や何度も繰り返す場合は皮膚科を受診しましょう。必要に応じてカンジダや細菌の検査、貧血・鉄・ビタミン・亜鉛、血糖などを確認してみるといいですね。

(参照:Angular cheilitis: A clinical and microbial study

【この記事を書いた人】

一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。

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