メニュー

便秘の原因と解消法・薬について【何日から?腹痛・吐き気・市販薬】

[2026.09.01]

便秘になると本当につらいですよね。

何日も便が出ずにお腹が張る方もいれば、毎日トイレに行っているのに硬くて出しにくい、強くいきまないと出ない、出ても残便感があるという方もいます。実は後者も立派な便秘です。

便秘は食事や運動で改善することもありますが、薬の選び方が合っていなかったり、大腸がん・甲状腺機能低下症・糖尿病・薬の副作用などが隠れていたりすることもあります。今回は「便通異常症診療ガイドライン2023」を中心に、便秘の原因、解消法、便秘薬、市販薬の注意点までわかりやすく解説していきます。

便秘に効く食べ物や飲み物を詳しく知りたい方は、便秘におすすめの食べ物や飲み物は?便秘に効く即効性の高いものをご紹介しますもあわせてご参照ください。

便秘とは?何日から便秘になる?

2023年のガイドラインでは、便秘は「本来排泄すべき便が大腸内にとどまって硬い便や排便回数の減少を起こす状態」と「便を快適に出せず、強いいきみ・残便感・出口の詰まり感などを起こす状態」の一方、または両方と定義されています。

ですので、便秘は単純に『何日出なければ便秘』と決まるものではありません。2~3日に1回でも苦痛なく出ていれば問題にならないことがありますし、毎日出ていても強くいきむ、便が硬い、残便感が続くなら便秘の可能性があるんです。

慢性便秘症の目安となる診断基準では、次の6項目のうち2項目以上を満たすかを確認します。

慢性便秘症の診断で確認する項目 具体的な目安
硬い便 排便の4分の1を超える頻度で、コロコロした便・硬い便(ブリストル便形状スケール1~2)になる
排便回数の減少 自然な排便が週3回未満である
強いいきみ 排便の4分の1を超える頻度で、強くいきむ必要がある
残便感 排便の4分の1を超える頻度で、便が残っている感じがする
出口の詰まり感 排便の4分の1を超える頻度で、肛門付近が詰まっている、出しにくいと感じる
排便の介助 排便の4分の1を超える頻度で、指で便を出す、会陰部を押すなどの介助が必要になる

「慢性」かどうかは、6か月以上前から症状が始まり、直近3か月間に基準を満たしたら「慢性」となります。ただし実際の診療では、期間だけで受診を先延ばしにはせず、症状のつらさや背景を含めて判断して投薬治療をすすめています。

なお、2025年の国民生活基礎調査で「便秘」を自覚していた方は人口千人あたり32.7人、つまり約3.27%でした。

65歳以上では人口千人あたり64.4人、約6.44%です。一方、診断基準を用いた慢性便秘症の有病率は約10~15%と推定されています。つまり、あなたも自覚していないだけで、「慢性便秘症」である可能性があるので注意が必要です。

(参照:Evidence-Based Clinical Guidelines for Chronic Constipation 2023)(参照:2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況

便秘の原因と種類は?

便秘は1つの病気ではなく、原因と症状の両面から整理します。2023年のガイドラインでは、症状を「便が来ない排便回数減少型」と「便は来ているのに出せない排便困難型」に分けて考えることが大切になりました。両方を併せ持つ方も少なくありません。

分け方 種類 主な特徴
症状による分類 排便回数減少型 自然な排便が週3回未満、硬い便・コロコロ便が多い。大腸の通過が遅い場合と正常な場合がある
症状による分類 排便困難型 強いいきみ、残便感、出口の詰まり感、指での介助などが中心。骨盤底筋がうまく緩まない排便障害を含む
原因による分類 一次性便秘症 機能性便秘、便秘型過敏性腸症候群(IBS-C)、腸や肛門の運動機能の異常など
原因による分類 二次性便秘症 大腸の病気、全身の病気、薬の副作用などによって起こる

以前は「弛緩性便秘・痙攣性便秘・直腸性便秘」という3分類がよく使われていました。しかし、この呼び方だけでは実際の病態を正確に表せないことがあり、現在は上記の分類をもとに治療を選ぶのが基本です。

腹痛と便秘をくり返し、排便によって腹痛が変化する場合には、便秘型過敏性腸症候群(IBS-C)も考えます。便を柔らかくするだけでなく、腹痛も含めた治療が必要になることがあります。

(参照:Evidence-Based Clinical Guidelines for Chronic Constipation 2023

病気や薬が原因になる二次性便秘症

二次性便秘症の原因には、大腸がんなどで腸が狭くなる器質性の病気、糖尿病・甲状腺機能低下症・高カルシウム血症・パーキンソン病・全身性強皮症などの全身疾患があります。

薬では、医療用オピオイド、抗コリン薬、向精神薬、抗パーキンソン病薬、一部のカルシウム拮抗薬や利尿薬、アルミニウムを含む制酸薬、吸着薬・イオン交換樹脂、一部の抗がん薬などが便秘の原因になります。

便秘になったからといって、処方薬を自己判断で中止するのは危険です。薬を始めた時期と便秘が始まった時期を確認し、処方した医師や薬剤師に相談しましょう。

(参照:Evidence-Based Clinical Guidelines for Chronic Constipation 2023

便秘で腹痛や吐き気がある時は?すぐ受診すべき症状

便秘で軽い張りや不快感が出ることはあります。しかし、強い腹痛や吐き気・嘔吐を伴う便秘を、いつもの便秘として自宅で様子を見るのは危険です。

受診の緊急度 症状の目安
すぐに医療機関へ 強い、または持続する腹痛、何度も吐く、急にお腹が大きく張る、便だけでなくガスも出ない、ぐったりする
できるだけ早く受診 急な便通の変化、血便、6か月で3kg以上の意図しない体重減少、発熱、腹部のしこり、便に血が付く、50歳以上で初めて便秘になった、大腸の病気の本人歴・家族歴がある

強い腹痛、嘔吐、腹部膨満、ガスが出ないという組み合わせは、腸閉塞や偽性腸閉塞でもみられますね。また、ガイドラインでは急な便通変化、血便、6か月で3kg以上の体重減少、発熱などを、腫瘍や炎症性疾患を疑う警告症状としています。

これらがある場合には、下剤や食物繊維を追加して様子を見るのではなく、診察や血液検査、腹部画像検査、大腸内視鏡などが必要かを医療機関で判断してもらいましょう。

(参照:Evidence-Based Clinical Guidelines for Chronic Constipation 2023)(参照:Symptoms & Causes of Constipation - NIDDK

薬に頼らない便秘解消法は?

まず、急いで受診すべき症状がないことを確認したうえで、食事・排便習慣・運動を整えます。大切なのは、何でも一度に増やすことではなく、自分の便秘のタイプと生活に合う方法を1つずつ試すことです。

① 食物繊維は少しずつ増やす

「便秘には食物繊維」というのは基本的には正しいのですが、急に大量に増やすとガスや腹部膨満が強くなることがあります。

2022年のメタ解析では、16件の無作為化比較試験、計1,251人を検討し、食物繊維で改善した人は66%、対照群は41%でした。特にサイリウムなどの水溶性食物繊維、1日10gを超える補充、4週間以上の継続で効果が出やすい一方、ガスは増えやすいという結果でした。

日本人の食事摂取基準2025年版では、成人の目標量は男性1日20g以上、女性1日18g以上です。穀類、豆類、野菜、きのこ、海藻、果物などから、数日から数週間かけて少しずつ増やすとよいでしょう。出口が詰まる感じが強い方や、お腹が強く張る方では食物繊維だけで改善しないこともあります。

(参照:The Effect of Fiber Supplementation on Chronic Constipation in Adults: An Updated Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials)(参照:厚生労働省 e-ヘルスネット「食物繊維の必要性と健康」

② 水分は「不足を補う」のが基本

水分不足や脱水があれば便は硬くなりやすいため、十分に補うことが大切です。しかし、便秘の方全員が水をたくさん飲めば改善するわけではありません。2023年のガイドラインでも、水分を追加するだけで慢性便秘が改善するという効果は証明されていないと整理されています。

汗を多くかく、尿量が少ない、口が渇くなど水分不足が考えられる時は、こまめに補給してください。一方、心不全や腎臓病などで水分制限を指示されている方は、自己判断で増やさず主治医に確認しましょう。

(参照:Evidence-Based Clinical Guidelines for Chronic Constipation 2023

③ 朝食後の排便リズムを利用する

起床後や食後は、大腸の大きな動きが起こりやすい時間です。特に朝食後に便意がある方は我慢せず、落ち着いてトイレに座る習慣を作りましょう。

便意がないのに長時間いきみ続ける必要はありません。足台などで膝を腰より少し高くし、前かがみで息を吐きながら腹圧をかけると、出口が開きやすくなる方もいます。便意を繰り返し我慢しないことも大切ですね。

(参照:Evidence-Based Clinical Guidelines for Chronic Constipation 2023

④ ウォーキングなどの運動を続ける

運動は便秘解消に役立つ可能性があります。9件の無作為化比較試験、計680人をまとめたメタ解析では、運動による便秘症状の改善は対照群の1.97倍でした。特にウォーキングなどの有酸素運動で効果が示されていますね。

いきなり激しい運動を始める必要はありません。体調に問題がなければ、まずは20~30分程度の歩行を無理のない範囲で継続するのが現実的です。長く座りっぱなしの時間を減らすことから始めてもよいでしょう。

(参照:Exercise therapy in patients with constipation: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials

⑤ 自分に合う発酵食品やプロバイオティクスを試す

一部の乳酸菌・ビフィズス菌などは、排便回数や腹部症状を改善する可能性があります。2024年のメタ解析では、プロバイオティクスを含む食品・製品によって、排便回数が対照群より平均で週0.93回増えました

ただし、効果は菌株や製品によって異なり、「ヨーグルトなら何でも同じ」ではありません。1つの食品や製品を2~4週間ほど試し、かえって張る、下痢になる、変化がない場合は別の方法を検討しましょう。

ヨーグルトの効果については、ヨーグルトの効果について解説【ダイエット・花粉症・効果的な方法と時間】を参照してください。

(参照:Efficacy in bowel movement and change of gut microbiota on adult functional constipation patients treated with probiotics-containing products: a systematic review and meta-analysis

⑥ 腹部マッサージ・ストレッチ・ツボは補助として使う

腹部マッサージには一定の研究があります。2025年のメタ解析では、対照群と比べて排便回数が週1.59回増え、腸の通過時間が平均21.5時間短くなりました。ただし研究間のばらつきが大きいため、薬や原因検索の代わりではなく補助療法と考えましょう。

痛くない程度の力で、おへその周囲を大腸の流れに沿って右下から上、上腹部を右から左、左側を下へとゆっくりさする方法があります。強い腹痛、嘔吐、急な腹部膨満がある時はマッサージをせず受診してください。

便秘解消ストレッチやツボも検索されますが、一般の慢性便秘に対する質の高い研究はまだ限られます。気分転換や運動の一部として行うのは構いませんが、効かなければ我慢して続ける必要はありません。

(参照:Effectiveness of abdominal massage on chronic constipation in adults: A systematic review and meta-analysis

⑦ 睡眠とストレスも便秘対策に大切

腸と脳は自律神経やホルモンを介して影響し合っています。特に腹痛を伴う便秘型過敏性腸症候群では、ストレスや睡眠不足によって症状が変動することがあります。

規則的な睡眠を確保し、食事時間やトイレの時間も大きく乱さないようにしましょう。症状への不安が強い場合には、薬だけでなく認知行動療法やリラクゼーションが役立つケースもあります。

ほか、便秘におすすめの食品や飲み物は、便秘におすすめの食べ物や飲み物は?便秘に効く即効性の高いものをご紹介しますで詳しく解説していますのであわせてご参照ください。

(参照:Exploratory Comparative Effectiveness Trial of Green Kiwifruit, Psyllium, or Prunes in US Patients With Chronic Constipation)(参照:Evidence-Based Clinical Guidelines for Chronic Constipation 2023

便秘薬にはどんな種類がある?

2023年のガイドラインでは、生活習慣と食事を整えても十分に改善しない排便回数減少型の便秘に対し、まず浸透圧性下剤を検討し、不十分なら上皮機能変容薬や胆汁酸トランスポーター阻害薬を考える流れになっています。刺激性下剤は、原則として頓用または短期間にとどめます。

便秘薬の種類 主な成分・処方薬の例 特徴と注意点
浸透圧性下剤 酸化マグネシウム、ポリエチレングリコール(PEG)、ラクツロースなど 腸内に水分を保ち便を柔らかくする。内服薬の第一候補。酸化マグネシウムは高齢者・腎機能低下で高マグネシウム血症に注意。適宜採血などでモニタリングが必要。
上皮機能変容薬 ルビプロストン、リナクロチド 腸液分泌を増やして便を出しやすくする。下痢や吐き気などに注意。腹痛を伴うIBS-Cで選択されることもある
胆汁酸トランスポーター阻害薬 エロビキシバット 大腸へ届く胆汁酸を増やし、水分分泌と腸の動きを促す。腹痛・下痢などに注意
刺激性下剤 センナ・センノシド、ビサコジル、ピコスルファートなど 比較的速く効くが、腹痛や下痢を起こすことがある。毎日漫然と使わず、救済薬・短期使用が基本
坐薬・浣腸 炭酸ガス坐薬、グリセリン浣腸など 便が直腸まで来ている時に有効。連用を避け、出血や強い痛みがある時は自己判断で使わない

酸化マグネシウムの小規模な国内試験では、4週間後に全体症状が改善した人は70.6%、プラセボ群は25.0%でした。一方で腎機能が低下した方や高齢者では、血中マグネシウムが上がることがあるため、長期使用では定期的な血液検査が必要です。

新しい処方薬にも具体的な効果が示されています。4週間以上の試験をまとめた解析では、完全自発排便を指標とした反応率は、ルビプロストンがプラセボの1.70倍、リナクロチドが2.91倍でした。エロビキシバットの国内第3相試験では、最初の自発排便までの中央値が5.2時間で、プラセボの25.5時間より短縮しました。

ただし、効き目が強いほど自分に合うとは限りません。便の硬さ、腹痛の有無、腎機能、年齢、妊娠の可能性、併用薬などを見て、かかりつけ医と一緒に選びましょう。

(参照:Evidence-Based Clinical Guidelines for Chronic Constipation 2023

(参照:A Randomized Double-blind Placebo-controlled Trial on the Effect of Magnesium Oxide in Patients With Chronic Constipation

市販の便秘薬はどれがいい?ランキングで選んでよい?

市販薬には、酸化マグネシウムなどの浸透圧性下剤、センナ・ビサコジルなどの刺激性下剤、坐薬・浣腸などがあります。しかし、誰にでも1位となる便秘薬はありません。排便回数減少型なのか、出口で出せない排便困難型なのかで、合う治療が違うからです。

比較的安全に長く使いやすい薬を探すなら、まず薬剤師に便の硬さ、排便回数、腎臓病の有無、服用中の薬を伝えて相談してください。刺激性下剤は早く効きやすい一方、ガイドラインでは必要最小限の頓用・短期間が勧められています。

市販薬がないと毎回出ない、1~2週間使っても改善しない、量や回数が増えている、残便感や出口の詰まり感が強い場合には、市販薬を次々に変えるより医療機関で原因を確認する方が近道です。

(参照:Evidence-Based Clinical Guidelines for Chronic Constipation 2023

便秘に漢方薬は効く?

便秘に使われる漢方薬には、大黄甘草湯、麻子仁丸、潤腸湯、調胃承気湯などがあります。体力、便の硬さ、腹部膨満、冷えなどを見ながら選択します

無作為化比較試験などの質の高い研究はまだ十分ではありませんが、漢方薬も処方する身としては、かなり高い効果を感じますね。

ただし、大黄を含む漢方薬は刺激性下剤に近い作用を持ち、甘草を含む製剤では偽アルドステロン症や低カリウム血症などにも注意が必要です。「漢方だから長く飲んでも安全」とは限りません。

便秘の漢方薬については、便秘に対する漢方薬の使い分けや副作用について【麻子仁丸・防風通聖散・大黄甘草湯を参照してください。

(参照:Evidence-Based Clinical Guidelines for Chronic Constipation 2023

便秘は何科を受診する?病院に行く目安は?

便秘は、まず内科または消化器内科で相談できます。肛門の詰まり感、直腸脱、痔、指での排便介助などが中心であれば、肛門科・大腸肛門外科が適することもあります。

受診の目安は日数だけではありません。便秘で日常生活に支障がある、市販薬を繰り返し必要とする、これまでと便通が明らかに変わった場合には相談してください。何日出ていないかにかかわらず、強い腹痛、嘔吐、ガスも出ない、血便、発熱、体重減少があれば早めの受診が必要です。

病院では問診と腹部診察に加え、必要に応じて直腸診、血液検査、便潜血検査、腹部X線・超音波・CT、大腸内視鏡などを行うことがおおいですね。糖尿病、甲状腺機能低下症、高カルシウム血症、貧血などを調べることで、便秘の背景にある病気が見つかることもあるので、場合により採血を行います。

ぜひ、自分がどんな便秘なのか、どんな病気が心配なのか、遠慮なくお話してください。お悩みに合わせて当院でも対応させていただきます。

(参照:Evidence-Based Clinical Guidelines for Chronic Constipation 2023

まとめ~便秘は「回数」だけでなく「出しやすさ」も大切です~

便秘は「数日出ない状態」だけではありません。毎日排便があっても、硬い便、強いいきみ、残便感、出口の詰まり感が続けば治療の対象になります。

まず食物繊維、排便習慣、運動などを無理なく整え、それでも改善しなければ便秘のタイプに合った薬を選びます。刺激性下剤を漫然と増やすのではなく、浸透圧性下剤を基本に、必要に応じて新しい処方薬や出口の治療を組み合わせるのが現在の考え方です。

便秘の背景には大腸の病気、全身疾患、薬の副作用が隠れることもあります。「自分に合う便秘解消法がわからない」「市販薬を使っても治らない」という方は、我慢せず当院までご相談ください。生活習慣や服用中の薬を確認しながら、その方に合った治療を一緒に考えていきます。

(参照:Evidence-Based Clinical Guidelines for Chronic Constipation 2023

この記事を書いた人

一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらをご参照ください。

あわせてこちらもオススメです

HOME

ブログカレンダー

2026年9月
« 8月    
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  
▲ ページのトップに戻る

Close

HOME