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【2026年】インフルエンザワクチンの効果と期間について【高用量ワクチン・フルミスト・妊婦】

[2026.09.18]

今年は早い流行入りを果たした「インフルエンザ」。インフルエンザの流行時期が近づくと、毎年多くの方が接種しますよね。

インフルエンザワクチンの接種は、たしかに感染症の予防や重症化のリスク低下に有効です。特に小児や高齢者、基礎疾患をお持ちの方には接種した方が望ましいとされていますね。

しかし、ワクチンの効果や持続期間、最適な接種間隔について十分に理解している人は意外と少ないかもしれません。また、最近は、鼻に噴霧する「フルミスト」や、高齢者の免疫反応を高める「高用量ワクチン」など、ワクチンの種類も増えてきました。海外では、mRNAを使ったインフルエンザワクチンの承認も進んでいます。

今回、インフルエンザワクチンの効果や持続期間、そして最適な接種間隔について、最新の研究や厚生労働省の報告を基に解説します。

インフルエンザワクチンの効果は?

当然ですが、インフルエンザワクチンは、接種すれば絶対にかからなくなるものではありません。インフルエンザを発症して受診するリスクや、入院が必要になるリスクを下げるための予防策と考えると分かりやすいでしょう。では今年のインフルエンザワクチンの効果はどれくらいなのでしょうか。

2026年3月に米国CDCが公表した、2025/26シーズンの約14万2,000人を対象とする中間解析では、次のような効果が報告されています。

対象 インフルエンザによる外来受診を減らす効果 インフルエンザによる入院を減らす効果
小児・思春期 38~41% 41%
18歳以上の成人 22~34% 30%
65歳以上の成人 30~41% 31%

※複数の調査網の推定値をまとめたものです。小児は主に生後6か月~17歳が対象で、65歳以上は成人の内訳です。

これは米国の特定シーズンの結果であり、日本の今シーズンにそのまま当てはまる数字ではありません。流行するウイルスとワクチンに含まれるウイルスの性質がどの程度合っているかによっても、効果は変わります。

ワクチンの数字を見るときには、何を比較しているかが大切です。

例えば、ワクチンを受けなかった場合に100人中10人が発症する状況で、接種した場合に100人中5人の発症になれば、発症リスクは半分になっています。このような場合を、有効率50%と表します。あくまで仕組みを説明するための例で、実際の発症率ではありません。

また、「抗体が一定の水準まで増えた人の割合」と「実際に発症を防げた割合」は別の指標です。抗体の検査結果だけから、「このワクチンは何%の人の発症を防ぐ」とは言えません。

接種後にインフルエンザにかかった方がいることだけで、ワクチン全体に効果がないとは判断できないのですね。ぜひ、「今までワクチン打たなくてもインフルエンザにかかったことないから大丈夫」と過信しないでいただきたいと思います。

(参照:CDC:Key Facts About Seasonal Flu Vaccine)(参照:Interim Estimates of 2025–26 Seasonal Influenza Vaccine Effectiveness — United States, September 2025–February 2026)

 

インフルエンザワクチンの持続期間は?

では、インフルエンザワクチンはどれくらいの間、効果を発揮するのでしょう。持続期間についてまとめると次のようになります。

  • 接種してから最初の最大14日間は十分効果が発揮できない可能性がある。
  • その後5~6か月は十分有効性が保たれる(54~67%)
  • ただし、1か月くらいをピークにワクチンの効果は徐々に減少していく(7%から11%)
  • 2回接種の場合は初回接種から2~3カ月くらいがピークになり、77~78%にまで達する

となります。もう少し詳しく説明していきます。

① ワクチンの効果が立ち上がるまで

イギリスNHS、アメリカCDCでも「インフルエンザワクチンを受けてから最大14日の間は、有効性が発揮する前にインフルエンザにかかる可能性がある」としています。

これはインフルエンザワクチンにより誘導される免疫システムが完全に構築するのに時間がかかるためです。そのため、インフルエンザの流行期よりも少し前に接種した方が望ましいでしょう。

(参照:CDC「What is a flu vaccine?」)
(参照:NHS「Flu vaccine」)

② ワクチンはそれなりに持続するが、ゆっくりと減少する

そして、一般的に「ワクチンの有効性はワクチン接種後少なくとも5~6か月は持続する」と考えられています。

65歳以上の方を対象にした、2014年に行われた分析からは「0~180日の間に54%~67%の有効性が認められたものの、181日目から365日目までの有効性ははっきりしない」と報告されました。

しかし5~6か月の間、一律に効果があるわけではありません。

アメリカ「Influenza Vaccine Effectiveness Netwark」からの報告によると、「インフルエンザワクチン接種後、インフルエンザAに対しては1か月に約7%、インフルエンザBに対しては1か月に6-11%ずつ減少する」としているのです。

なので、インフルエンザワクチンの効果のピークが1か月後くらいですので、その後一律に効果があるわけではないことに注意が必要です。

③ 2回接種の場合は、効果が上昇する可能性も

ただし、2回目接種の場合は状況が変わってきます。添付文書上では、「インフルエンザHAワクチンを3週間隔で2回接種した場合、接種1ヶ月後に被接種者の77%が有効予防水準に達する」と記載されているので、1回接種の場合よりも高い効果が期待できますね。

ちなみに小児の場合は2回接種が基本となります。

しかし、同時に「接種後5カ月では50.8%と減少する」と書いてありますので、やはり接種後5~6カ月くらいが持続時間と考えてよさそうです。

これらの特性を踏まえたうえで、最適な接種間隔を考える必要がありますね。

(参照:Clin Infect Dis. 2017 Mar 1;64(5):544-550. doi: 10.1093/cid/ciw816. Epub 2016 Dec 29.)
(参照:CDC「Prevention and Control of Seasonal Influenza with Vaccines-United States,2022-2023 Influenza Season」)
(参照:厚生労働省「インフルエンザHAワクチン 添付文書」)

高力価・高用量インフルエンザワクチンとは?

高齢者の免疫反応を高めるため、抗原量を4倍にしたワクチン

「高力価ワクチン」と呼ばれることもありますが、ここで取り上げるのは、抗原量を増やした「高用量インフルエンザワクチン」です。

年齢を重ねると、ワクチンを接種しても十分な免疫反応が得られにくくなります。そこで、免疫が目印として認識するHA抗原を、1株あたり通常の15μgから60μgへ、4倍に増やしたワクチンが開発されました。

日本で承認された製品名は「エフルエルダ」です。mRNAワクチンではなく、通常の注射ワクチンと同じく不活化ワクチンに分類されます。

ただし、抗原量が4倍であっても、予防効果が4倍になったり、効果が4倍長く続いたりするという意味ではありません。

(参照:日本感染症学会:高齢者に対する高用量不活化インフルエンザワクチンの使用について)

通常のワクチンと比べて、どれくらい効果が高い?

米国とカナダの65歳以上、3万1,989人を対象としたランダム化比較試験では、検査で確認されたインフルエンザの発症は、高用量群で1.4%、標準用量群で1.9%でした。

この結果から、高用量ワクチンは標準用量ワクチンと比べて、発症リスクを相対的に24.2%減らしたと報告されています。95%信頼区間は9.7~36.5%でした。

これは「未接種の人と比べて24.2%予防した」という意味ではありません。すでに通常のワクチンを受けた人と比べて、さらにリスクが下がったという結果です。なので、高齢者などの重症化リスクが高い人を中心に、高用量ワクチンの接種がすすめられてきています。

(参照:Efficacy of High-Dose versus Standard-Dose Influenza Vaccine in Older Adults)

最新の大規模研究では、入院を減らす効果も検討されている

2025年に発表されたデンマークのDANFLU-2試験では、65歳以上の延べ33万2,438人を高用量群と標準用量群に割り付け、入院などを比較しました。

主要評価項目の「インフルエンザまたは肺炎による入院」は、高用量群0.68%、標準用量群0.73%で、統計学的に明確な差はありませんでした。

一方、副次評価項目の「インフルエンザによる入院」に限ると、0.06%対0.11%で、高用量群の相対的な減少率は43.6%でした。

高用量ワクチンには追加の予防効果が期待されますが、あらゆる肺炎や入院、死亡を大幅に減らすとまで言い切れるわけではありません。どの病気や結果を評価した数字なのかを分けて理解することが大切ですね。

今年は間に合いませんでしたが、来年度からは高用量インフルエンザワクチンが主流になるかもしれませんね。

(参照:High-Dose Influenza Vaccine Effectiveness against Hospitalization in Older Adults)

鼻に噴霧する「フルミスト」はどんなワクチン?

フルミストは、弱毒化したインフルエンザウイルスを鼻の中に噴霧するワクチンです。日本では2024年から接種が始まり、対象は2歳以上19歳未満、1シーズンに1回です。左右の鼻に0.1mLずつ、合計0.2mLを噴霧します。

注射の痛みがないため、注射が苦手なお子さんでは選択肢になります。ただし、「鼻から入れる方が必ずよく効く」「1年間ずっと十分な効果が続く」とは言い切れません。有効性は流行するウイルスやシーズンによって変わります。

フルミストを選ぶときの注意点

フルミストは生ワクチンなので、妊娠中の方、明らかな免疫不全のある方、免疫抑制治療中の方などには接種できません。重い喘息や現在の喘鳴がある場合にも、慎重な判断が必要です。

鼻水・鼻づまりは比較的よくみられ、国内試験では59.2%と報告されています。また、ワクチンに使われたウイルスが一時的に鼻から排出されるため、接種後1~2週間は重度の免疫不全の方との密接な接触を可能な限り避ける必要がありますね。

抗インフルエンザ薬はワクチンの働きを弱める可能性があります。最近インフルエンザの薬を使った場合や、アスピリンなどを内服している場合も、接種前に伝えてください。年齢だけでなく、持病・内服薬・同居する方の状況まで含めて選ぶワクチンです。

※当院ではフルミストは今年度は行っておりません。ご了承ください。

(参照:日本小児科学会:経鼻弱毒生インフルエンザワクチンの使用に関する考え方)(参照:日本小児科学会:経鼻弱毒生インフルエンザワクチンの使用に関する考え方)

インフルエンザワクチンにmRNAワクチンはある?

米国では2026年8月に承認

では、インフルエンザワクチンのmRNAワクチンはあるのか。mRNAワクチンは、ウイルスの目印となるタンパク質を作るための情報を体の細胞へ届け、免疫反応を誘導する仕組みです。

2026年8月5日、米国FDAは、モデルナの季節性インフルエンザワクチン「MFLUSIVA(mRNA-1010)」を50歳以上に承認しました。したがって、世界全体の状況を「まだ開発中」とだけ説明するのは正確ではなくなっています。

ただし、50~64歳は通常承認、65歳以上は免疫反応のデータなどに基づく迅速承認であり、高齢者では承認後の試験で臨床的な利益を確認していく位置づけです。

米国での承認が、日本での接種開始を意味するわけではありません。2026年9月15日時点で、日本での承認・一般診療での接種開始は確認されていません。

(参照:FDA:MFLUSIVA)

(参照:FDA:Package Insert and Information for Patients — MFLUSIVA)

従来のワクチンより発症を減らした試験結果

50歳以上の約4万人を対象とした第3相試験では、検査で確認されたインフルエンザ様疾患の発生は、mRNAワクチン群で2.0%、標準用量ワクチン群で2.8%でした。

標準用量ワクチンに対する相対的な有効率は26.6%、95%信頼区間は16.7~35.4%でした。これも、通常のワクチンと比較した追加の効果を示す数字です。

一方、注射部位の痛み、倦怠感、頭痛などは標準用量ワクチンより多くみられました。新しい技術であることだけで選ぶのではなく、発症予防効果と副反応の両方を評価していく必要があります。

また、この26.6%という発症予防の上乗せ効果は、標準用量ワクチンとの比較です。高用量ワクチンよりも発症を26.6%減らすと示した結果ではありません。

(参照:Efficacy and Safety of an mRNA Seasonal Influenza Vaccine in Adults)

新型コロナとの混合ワクチンも海外で承認

欧州では2026年4月、50歳以上を対象とした、インフルエンザと新型コロナの両方に対応するmRNA混合ワクチン「mCombriax」も承認されました。

1本で両方に備える製品ですが、日本で別々のインフルエンザワクチンと新型コロナワクチンを同じ日に接種する「同時接種」とは異なります。国内への導入時期について、現時点で断定することはできません。

(参照:欧州委員会:Commission authorises first combined COVID-19 and influenza vaccine for people 50 years and older)

インフルエンザワクチンの最適な接種期間は?

では、インフルエンザワクチンの最適な接種期間はどれくらいでしょう?今回は非常に難しい問題ですね。もう9月時点でインフルエンザは流行してきています。そして早めに流行すると、冬にA型インフルエンザの他のタイプやB型インフルエンザなど二峰性に感染のピークがあることも珍しくありません。

通常「大事なイベントの1~2か月くらい前がよいのでは?」と考えられそうですが、あまりに接種を遅くすると次のような弊害が出てくる可能性があります。

  • インフルエンザワクチンを受けようと先延ばしにしてしまったら、インフルエンザにかかってしまった。
  • 病院にいったら、インフルエンザワクチンの接種が定員数に達していて締め切られていた。
  • インフルエンザワクチンを受けようと思ったら、別の感染症にかかってさらに先延ばしになり、結局受けることができなかった。

などです。在庫などの関係で、インフルエンザワクチンがなくなってしまうのは11月の下旬や12月であることが多く、1月まで接種を続けているところは稀でしょう。

このようにして考えると、大切なイベントの1か月前くらいに予定を決めておきながらも、「今から」か遅くとも11月くらいの間に打っておいた方が無難だと思います。

医療機関によって「何月まで接種を続けているのか」は異なりますので、前もってかかりつけの先生や医療機関に問い合わせするのもよいでしょう。

また、下記に該当するようなリスクが高い人は、インフルエンザ罹患へのリスクが高いのでなるべく早く接種するようにしましょう。

(参照:2026/27シーズンの季節性インフルエンザワクチン及び新型コロナワクチンの供給等について)

インフルエンザワクチン接種が特にオススメされてる方は?妊娠中のワクチン接種は?

上記は「一般的な人」を対象としたもので、接種を多少前後させてもよいと思いますが、リスクが高い人はことなります。

確かにアメリカCDC・イギリスNIH・日本厚生労働省でも「生後6か月以上のすべての方が、毎年のインフルエンザの予防接種を受けることを推奨」としており、全員が対象となります。

特に、日本感染症学会の報告では、下記の因子を有する方はインフルエンザに罹患した場合の合併症のリスクが高いことが知られており、特に早めの接種がオススメです。

  • 6か月以上5歳未満の方
  • 65歳以上の方(50歳以上とするものもあり)
  • 慢性呼吸器疾患を持っている方(気管支喘息やCOPDなど)
  • 心臓・血管系疾患を持っている方(高血圧だけの方を除く)
  • 糖尿病・肝臓・腎臓などの疾患を持っている方
  • 神経筋疾患を持っている方
  • 免疫抑制状態の方
  • 妊娠している方
  • 長期療養施設の入所者
  • 著しい肥満を持っている方
  • アスピリンの長期投与を受けている方
  • がん疾患の方

妊娠中の季節性インフルエンザワクチン接種により、母体および新生児のインフルエンザ感染を減らすことが可能です。妊娠中のワクチン接種の安全性も確立されておりますので、妊娠中もインフルエンザワクチン接種をなるべく受けるようにしましょう。

ただし、フルミストは妊娠中に接種することはできませんのでご注意ください。

インフルエンザワクチンの副反応は?

通常の注射ワクチンでは、接種した場所の赤み・腫れ・痛みが10~20%、発熱・頭痛・だるさなどの全身症状が5~10%程度にみられ、通常は2~3日でおさまります。これらは一般的な目安で、フルミストや高用量・mRNAワクチンにそのまま当てはめる数字ではありません。

注射の不活化ワクチンには感染性がないため、ワクチンそのものによってインフルエンザを発症することはありません。接種後に高熱が出た場合は、副反応だけでなく、接種前後に感染した可能性も考えます。

まれにアナフィラキシーなどの重い反応が起こることがあります。息苦しさ、全身のじんましん、意識が遠のく感じなどがあれば、直ちに医療機関へ連絡し、緊急時には119番してください。

(参照:厚生労働省:令和6年度インフルエンザQ&A)

インフルエンザワクチンと他のワクチンの接種間隔は?

インフルエンザワクチンに関して、2022年9月から規定が変わっており、新型コロナワクチン接種と同時に受けられることになりました。

他のワクチンについてもインフルエンザワクチンは不活化ワクチンなので、他のワクチンと間隔をあけて接種する必要はありません。(生ワクチンどうしの接種のみ27日以上間隔をあけて接種ということになっています)

ただし、インフルエンザワクチン2回接種の場合は「1回目と2回目は4週間以上あけての接種が望ましい」とされていますので、ご注意ください。(逆に非常に1回目と2回目の間隔をあけすぎると効果が安定しないので、1カ月を目安に再接種してください)

(参照:インフルエンザワクチンの添付文書)
(参照:日本感染症学会「2021-2022年シーズンにおけるインフルエンザワクチン接種に関する考え方)

【この記事を書いた人】 
一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。

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