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咳や痰はコロナから?いつまでも治らない咳の対処法について解説

[2025.03.02]
  • 痰(たん)が絡んでなかなか出しづらい。
  • 急に声がれするようになった。
  • 咳の症状が急に出てきた。

という方はいませんか?コロナの流行時期に咳が痰が出てくると、「もしかしてコロナにかかった?」と考える方もいるでしょうね。

5類になっても新型コロナ自体のウイルスの性質は変わりませんから、流行時期になると一気に咳や痰の症状が増えてくるので、「咳や痰の症状があるからコロナかも」と思うのは無理もありません。しかし、、コロナ以外にも痰や咳には早めに対処しなければならない疾患もたくさんあるのです。

今回は、そのような咳や痰の症状について、いつまでも長引く咳や痰の原因や対処法・新型コロナ感染症の可能性がどれくらいあるかを含めてお話していきます。

最後にコロナ後遺症の症状について、咳も含めてお伝えしていますので、ぜひ合わせてご覧ください。

咳と痰が出る原因は?

人間は呼吸をするときは、「のどや鼻➡気管➡気管支➡肺胞」とつながって、肺胞で血液中のガス交換を行います。その中で異物が入ってきた時に外に追い出そうとする反応が「咳と痰」です。

気道に異物が入ると、まず気道にある咳受容体を刺激して、その信号が脳にある咳中枢に伝えられて咳がでます。さらに、異物を効率よく絡めとるために異物を包んで外へ追い出す「痰」がでてきます。痰には気道を加湿・加温することで気道の環境を整える作用もありますね。

このように基本的には異物があると、咳と痰が出てきます。問題なのは「何が異物」として反応しているかです。異物の種類によって以下の通りに分かれます

このように、さまざまな原因から咳や痰は出てくるのです。

新型コロナ感染症による咳や痰の特徴は?

では、新型コロナで咳や痰が出る頻度はどれくらいあるのでしょうか。

当院で見た新型コロナ陽性の方直近150例を解析した結果によると、咳や痰の症状で来られた方が66%いました。のどの痛みや発熱、鼻水に続き、比較的多い症状といえますね。(当院のコロナの症状の内訳については新型コロナの症状について【最新版・期間や経過も紹介】を参照してください)

当院での経験例から述べると、コロナの咳の特徴として、以下のことが言えると思います。

① 咳だけが症状であることは非常にまれ

多くの場合、コロナでの咳はのどの痛みや発熱、鼻水などの他の症状が加わっていることが多いですね。実際、当院での症例の場合、平均して約3.3つの症状が伴っていました。したがって、「咳だけが出てくる」というのは、コロナの典型例ではあまりないように感じます。

② しばしば息切れや呼吸困難を伴う

やはりもともと肺炎症状が中心のウイルスだけあって、外来の方でも咳と同時に「息切れ」や「呼吸が苦しい」症状を訴える方がしばしばいます。実際、当院の症例によると、14.8%の方は「息苦しさ」を訴えています。

他のウイルスで6人に1人が息苦しさを訴えるということはなかなかないので、コロナの特徴の1つといえるでしょう。

➂ あとから咳が出てきて長引くことも

グラフは当院で最初に来た時点での症状をまとめたものなので、咳や痰の割合が他の上気道症状よりも低くなっていますが、咳や痰があとから出てくることもしばしば経験します。

それこそ自宅待機期間終了後から咳症状が中心になって夜も眠れなくなったという例もよく経験しますね。しばしばコロナ後の咳も長引き、遠方から当院にコロナ後の咳症状で来院される方もいます。中には6か月以上も咳症状で苦しみ、当院に来られる方もいますね。

ちなみに「咳や痰の症状=新型コロナ」と考えるのは早計です。他の感染症やウイルス性疾患だけでなく、喘息やアトピー咳嗽、心因性咳嗽、逆流性食道炎、副鼻腔気管支症候群など、考えなければならない疾患はたくさんあるのです。

特に、2〜3週間続くような慢性的な痰がらみや咳・息苦しさは、新型コロナ感染症以外の可能性がほうが高く、「咳や痰のからみ=新型コロナ感染症」とは決めつけて診療することはありませんので、ご安心ください。

(参照:新型コロナウイルス感染症 診療の手引き)
(参照:SantéPubliqueFrance「Coronavirus : circulation des variants du SARS-CoV-2」)

コロナの咳や痰はいつまで長引く可能性がある?

コロナの咳で問題になるのは「いつまでも長引く可能性」があること。では、どれくらいの人が長引くコロナの咳を経験するのでしょうか。

「東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議資料」によると、全体として25.8%の方がコロナ後遺症を疑う症状を残しており、うち35.1%の方が後遺症として咳症状が残ると回答しています。そのため、全体として9%くらいの方はコロナ後に咳や痰の症状が残ると推定されますね。

2023年に報告された日本の他施設共同研究によると、発生時、3か月、6カ月、12カ月時点での咳や痰が残っている割合は次のようになっています。

  • 発生時:咳は52.3%、痰は32.8%
  • 3か月時点:咳は8.8%、痰は7.2%
  • 6カ月時点:咳は5.8%、痰は5.9%
  • 12カ月時点:咳は4.4%、痰は5.0%

このように見てみると、3か月時点で咳や痰が出る割合は大きく低下しているものの、6カ月、12カ月時点ではなかなか下がりにくいことがわかりますね。

詳しいコロナ後遺症での咳の特徴や原因などについては【医師が解説】新型コロナ後遺症による咳や息切れについて【後遺症外来】も参照してください。

またコロナ後遺症についての治療も行っておりますので、気になる方はご相談いただけましたら幸いです。

いつまでも治らないコロナ後の咳の対処法は?

では、長引く可能性のある新型コロナの咳や痰。どのように対処すればよいのでしょう。まずはご家庭では、特に以下のポイントを意識するようにしましょう。

① 咳や痰がでる原因をなるべくなくす

前述の通り、痰は異物を外に出すために作られます。つまり、気管支の炎症を作るような異物を作らせないようにすることが大前提です。

花粉やハウスダストなどの微粒子は気道を刺激して咳や痰を作る原因になります。帰宅時には花粉を払い落して空気清浄機を使用してみてください。

タバコは気道にとって有害物質の種類も豊富であり、気道の局所免疫を起こしてしまいます。咳が出ている間は禁煙していただいた方が望ましいでしょう。

② 加湿をしっかりする

ホコリやチリといった気道を刺激しやすい異物ですが、ここで大切なのは「加湿」です、加湿をしっかりすることで異物が空気中を飛散する量を抑えることができますし、気道を潤し気道粘膜の保護にもつながります。

もちろんジメジメした夏に加湿を行うと寝つきが悪かったりするのでケースバイケースですが、普段から気道を潤すような行動を心がけましょう。

③ 痰は積極的に出す

痰は異物を外に出すために出る、むしろなくてはならないものです。しかし、痰が外に出ないとそれが蓄積して、無気肺や細菌巣の原因になります。そのため、痰を積極的に出すことが大切です。特に以下の点に注意してみましょう。

  • 寝る姿勢を変える: あおむけ寝で寝ていると、背中の痰がたまりやすくなります。一番理想なのは時々うつぶせ寝にすることですが、苦しければ横向き寝にするなど寝る姿勢を変えてみましょう。
  • ハフィングする:ハフィングとは、のど元に上がってきた痰を外へ出すための重要な方法の1つ。 「ハッ!ハッ!」と勢いよく息を吐く方法です。(声は出さなくて大丈夫です)息を吐く時に、自分で胸を押して補助してあげると、より強く息を吐く事ができます
  • アクティブサイクル呼吸法(ACBT):痰の排出として有効な呼吸法の1つが、「アクティブサイクル呼吸法」と呼ばれる呼吸法の1つ。呼吸のコントロールをした後、胸郭を広げ、強制的に息を吐くことを繰り返すことで、痰を徐々に外にだします。具体的には、以下を痰がでるまで行います。(のどに負担がないよう行ってください)
    1. 安静呼吸:4~5回
    2. 深呼吸:2~3回
    3. ハフィング:4~5回
    4. 咳:2~3回

環境再生保全機構でも排痰ケアに関する動画があるので、参考にしていただくとよいでしょう。

④ 排痰器具を使用したり呼吸補助をする

痰の排泄は非常にコロナの呼吸器症状を長引かせない意味でも重要です。

しかし、排痰の訓練を行っても、なかなか自分で出せない高齢の方もいるでしょう。そのような場合は、排痰器具の使用をしたり呼吸補助(介助)するのも有効です。

呼吸介助(スクイージング)を行う際には、痰の溜まっている胸部に手をあてて、呼吸に合わせて絞り出すように圧迫し、肺から痰を出しやすいように補助しましょう。高齢者の場合は骨ももろいことも多いので、徐々に力を加えるとよいですね。(素人の方は最初は一気に力を加えず、基礎疾患のある方は担当医師に一度スクイージングをしてよいか確認をお願いします)

⑤ 普段からマスクをつける

原因によりますが、細菌やウイルスによる痰の場合、感染拡大防止の上でもマスクは大切です。さらに、外出する時にも加湿効果があります。寒い時は、十分温かい服装でマスクをつけるようにしましょう。

感染対策に対するマスクの効果については、【新型コロナ】感染対策でのマスクの効果とデメリットについて解説を参照してください。

⑥ 咳がつらい時は市販薬や医療機関の受診を

咳は「異物反応を追い出す自然な反応」ではありますが、咳があまりに多いと夜眠れなかったり、日常生活を送るのにつらいことでしょう。あまりに過度な咳は咳止めで止めても構いません。

ただし、痰のからむ咳の中には抗生剤が必要だったり、特殊な吸入器が必要だったり様々なケースがあります。なるべく日常生活に支障がでるくらいの咳は早めに医療機関に受診するようにしましょう。

新型コロナで使われる咳止めについては、新型コロナに対する市販薬について【発熱や咳などの症状別】をご参照ください。

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【この記事を書いた人】 
一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。

【動画】コロナ後遺症の「リアル」をデータと実例で解説

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