子供の新型コロナワクチンについて【効果・副反応】

新型コロナワクチン接種も進み、新型コロナで重症になる方は少なくなってきています。その中で、子供(5歳~11歳)へのコロナワクチン接種も始まってきました。当院にも

  • 「子供にもワクチン接種が必要でしょうか」
  • 「子供は重症化しないと聞いたけど、実際どうなんですか」
  • 「自分がワクチンの副反応が辛かったから子供に打たせるのは心配」

などワクチン接種に関してお悩みの相談が数多く寄せられています。

今回、そのような子供(5~11歳)への新型コロナワクチンに対するお悩みにお答えすべく、海外の状況など踏まえてお伝えしていきます。

子供(5歳~11歳)の新型コロナワクチンとは?

よく誤解されるのですが、子供の新型コロナワクチンは大人用とは異なります。2022年3月時点で承認されているのは「ファイザー製」のみで、有効成分の量が12歳以上の1/3(10μg)となります。

これは5歳~11歳を対象とした臨床試験で用量の検討が行われた結果、10μgでも十分な中和抗体価の上昇と90.7%の発症予防効果が確認されたためです。(後述します)

有効成分が1/3に対して、投与量は0.2ml(大人は0.3ml)なので、濃度も薄くなっているのが特徴の1つ。このように小児と大人ではワクチンの種類が違うことがわかるでしょう。

もちろん有効成分そのものは同じなので、予想される副反応は、ファイザー製ワクチンの副反応に近いものになります(後述します)

接種回数は大人と一緒で、3週間の間隔で2回接種します。

子供(5歳~11歳)のコロナワクチンの有効性は?

NEJM誌による45歳~11歳でのワクチンの有効性に関する解析結果

薬剤の有効性や安全性を確認するための「第2相試験」「第3相試験」では、今回の新型コロナワクチンを受けた方1517人の子供たちと、プラセボ(偽薬)を受けた751人の子供たちが参加しました。(主にアメリカ)

そのデータによると、ワクチンによる発症予防率は90.7%(95%信頼区間: 67.4-98.3%)でした。本試験では、重症の新型コロナ感染症にかかった方はおりません。

新型コロナに対する中和抗体もプラセボと比較して5~11歳で118.2倍と上昇しており、16~25歳(111.4倍)と比較しても同等に上昇していることが確認されています。

また発生率をみた論文CDCのデータから、オミクロン株に関してもワクチンの有効性を示唆されています。CDCのデータではオミクロン株へのワクチンの有効性は

  • 5歳~11歳:発症予防効果51%・重症化予防効果74%(2回接種後14~67日間)
  • 12歳~15歳:発症予防効果45%・重症化予防効果92%(2回接種後14~149日間)

となっています。12歳以上と比較しても、5~11歳までのワクチン接種の効果はそれなりに保てているといえるでしょう。

子供の新型コロナワクチンの安全性は?

ワクチンをお子さんに打とうとされているので最も心配なのが、やはり副反応ですよね。局所反応と全身性の副反応に分かれます。局所反応の割合としては以下の通りです。

第2相試験・第3相試験で発表された局所反応の割合:論文から著者日本語に改訂。緑が軽度、青が中等度)
  • 発赤:1回目15%・2回目19%
  • 腫れ:1回目10%・2回目15%
  • 局所の痛み:1回目74%・2回目71%

とプラセボと比較しても高率に認めています。一般的には1~2日程度まで続くとされていますね。重度に至る例はありませんでした。

第2相試験・第3相試験で発表された全身反応の割合:論文から著者日本語に改訂。緑が軽度、青が中等度)

全身の副反応としては「倦怠感」「頭痛」「筋肉痛」が主になります。それぞれの割合は以下の通りです。

  • 発熱(38度以上):1回目3%・2回目7%
  • だるさ: 1回目34%・2回目39%
  • 頭痛: 1回目22%・2回目28%
  • 寒気: 1回目5%・2回目10%
  • 筋肉痛:1回目9%・2回目12%
  • 関節痛:1回目3%・2回目5%

などです。ただし、プラセボ(偽薬)でも生じていることからワクチン接種で特に強くなったと言えるのは「倦怠感(2回目)」「頭痛(2回目)」「発熱・寒気(2回目)」「筋肉痛」と考えられます。

またアメリカCDCでは2021年11月から12月に新型コロナワクチン接種された5~11歳の子供42,504例の有害事象をモニタリングしたデータを公表しています。(年齢中央値8歳)

そのうち4,249例の有害事象の報告を受け取っており、その内4149例(97.6%)は重大でないイベントした。残りの100例が重大なイベントとして登録されました。重大なイベントで一般的な登録されたものは発熱(29例)・嘔吐(21例)・トロポニンの増加(15例)でした。(トロポニンは心筋炎のマーカーです)そのうち、11例で心筋炎を発症したとしていますが、全員が軽快されたとのことです。

一方、同CDCの別レポートでは子供の副反応発症率は、成人例よりも低かったとしています。

これらのデータどうとらえるかは人それぞれですし、短期間での観察データです。しかし、いずれにせよ「子供の新型コロナワクチンが特別副反応が強くでるわけではない」とはいえそうですね。

子供に新型コロナワクチンを接種させた方がよいのか?

結論からいうと「家庭環境や考え方によって接種のへ対応は大きく変わる」と思います。厚生労働省でも2022年3月時点で、子供の新型コロナワクチンを努力義務とはしていません。その背景として

  • 小児におけるオミクロン株の感染状況が確定的ではないこと
  • オミクロン株における発症予防効果・重症予防効果に関するエビデンスが十分でないこと

としています。(詳細はこちら)小児科学会でも「健康な子どもへのワクチン接種には、メリット(発症予防等)とデメリット(副反応等)を本人と養育者が十分理解し、接種前・中・後にきめ細やかな対応が必要」としていますね。(日本小児科学会での考え方はこちら

このようなことから、ワクチン接種に対して賛否両論起こるのもよくわかりますし、全例子供も接種しなければならないとは思いません。例えば次のような方が新型コロナワクチン接種が特に推奨されるのではないでしょうか。

  • 基礎疾患のある子どもの方(かかりつけの医師と事前に相談しましょう)
  • 基礎疾患のある方や高齢者と同居されている子どもの方
  • 高リスクに新型コロナ感染を来たしやすい環境にある子どもの方(医療従事者の子どもなど)
  • 新型コロナ感染にかからせたくないと考える家庭の方

ただ一番大切なのは、接種するにせよ接種しないにせよ「きちんと理解・納得して、どちらにするか決めること」ですよね。たしかに(きわめてまれですが)ワクチン接種により重大なイベントにつながった例もあります。

みなさんが「自分にとっての正しい結論」に導けるよう、情報を適宜アップデートしていく予定です。

また、子供のオミクロン株の特徴についても【オミクロン株】子供の新型コロナ感染症の特徴について【症状・後遺症・ワクチン】で解説しておりますので、あわせて参照していただけたらと思います。

ひまわり医院での子供の新型コロナワクチン接種は?

現在、ひまわり医院では成人の新型コロナワクチン(1回目~3回目)の接種を行っており「大人用と混同して接種しないようにする」観点から、小児の新型コロナワクチン接種を行う予定はありません

そのかわり同グループのスミレ小児科でのワクチン接種を3月下旬より行ってます。ぜひ子供の新型コロナワクチンの接種を希望される方は、スミレ小児科まで予約をお願いいたします。

スミレ小児科の新型コロナワクチン予約ページはこちら

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【この記事を書いた人】 
一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。

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