季節の変わり目の体調不良、慢性的な疲労感、ストレスによる自律神経の乱れ、あるいはなかなか治らない風邪…。現代人には様々な体の悩みがあります。そんな悩みを抱える方々の中で、選択肢の一つとして「ニンニク注射」を耳にしたことがあるかもしれません。
即効性が期待できるとも言われるニンニク注射ですが、一体どのような仕組みで体に作用するのでしょうか?
今回、ニンニク注射にはどんな栄養成分が含まれているのかをはじめ、具体的な効果や持続時間、そして特に気になるストレスや疲労感への効果についてみていきます。
Table of Contents
ニンニク注射の成分は?

ニンニク注射とは「ビタミンB1を含む製剤を静脈内に注射する方法」のこと。ニンニクの成分すべてを注射しているわけではありません。
なぜビタミンB1の注射のことをニンニク注射と呼ぶのかというと、注射した時にニンニクのような匂いがするから。注射の主成分である「フルスルチアミン」はビタミンB1の構造を改良した誘導体ですが、その分子中にニンニクの主成分である「アリシン」を結合した構造をしています。
アリシンはニンニクのにおいの元であるとともに、ビタミンB1の働きを助けて活力を取り戻す作用があるといわれています。そのため、ニンニク注射でもアリシンが内包されているため、匂いもあるし、ニンニクの作用に近いものが期待できるとされているのですね。
実際、ビタミンB1は生体のエネルギー代謝になくてはならない補酵素であり、取り込んだ糖質をエネルギー(ATP)に変換する過程で重要な役割を果たします。
糖質を食べても、実はそのまま人間のエネルギーにはなりません。多くの酵素の力を経て初めてエネルギーとして活用されます。さまざまな代謝反応の中で、律速段階になりやすいのがビタミンB1です。そのため、ビタミンB1が不足すると糖代謝が滞り、疲労物質である乳酸が筋肉中に蓄積しやすくなることが知られています。
もちろん食べ物からビタミンB1をとるのが一番ですが、食生活が乱れていたり、はげしい肉体運動をしていたり、糖質とのバランスが取れていなかったりすると、ついついビタミンB1が不足しがちになります。
そこでニンニク注射の出番です。ニンニク注射でビタミンB1を直接静脈に投与すると、経口摂取に比べて短時間で確実に必要量を体内に届けることができ、すみやかにエネルギー産生回路を回して、疲労物質を除去するというわけですね。
では、次にニンニク注射の効果について、さまざまな論文から見ていきましょう。
ニンニク注射の効果①:慢性的な疲労感の改善

まずはビタミンB1の補給で最も研究されているのが、慢性疲労に関する研究です。
例えば、常に腸が炎症して疲労感を覚えやすい炎症性腸疾患をもつ患者さん40人を対象としたランダム化比較試験では、4週間の高容量ビタミンB1投与群の55〜75%で疲労スコアの有意な改善(≧3ポイント低下)がみられ、プラセボ群(25〜35%)より効果的でした。
つまり、ビタミンB1を投与することで、慢性疲労の自覚症状が30%~40%ほど取れやすくなったということですね。
さらに、パーキンソン病という神経疾患を患う患者さんは、筋肉が硬直しやすく疲労感を覚えやすいことが言われていますが、パーキンソン患者さん10名に対して、ビタミンB1の筋肉注射を週2回(100mg)行ったところ、運動のパフォーマンスが向上しただけでなく、パーキンソンに伴う全体的な症状の改善につながったとされています。
同論文では、高容量のチアミンを投与することで、筋肉だけでなく、神経細胞のエネルギー代謝を改善して、本来持っているドーパミンなどを合成・放出しやすくなったのではないかと考えられています。
このように、小規模な臨床試験が中心ではありますが、ニンニク注射をはじめとしたビタミンB1の補給が疲労感軽減につながっていると考えられています。
(参照:Randomised clinical trial: high-dose oral thiamine versus placebo for chronic fatigue in patients with quiescent inflammatory bowel disease)
(参照:An open-label pilot study with high-dose thiamine in Parkinson’s disease)
ニンニク注射の効果②:ストレス改善

ニンニク注射の効果は肉体的な疲労感や運動パフォーマンスの向上だけではありません。いわゆる「ストレスがたまった状態」にも有効性があるのではないかとされています。
実際、2019年に発表された、ビタミンB1をサプリメントとして補給した場合の効果を18件の論文、2015人の参加者からまとめた論文によると、18件の論文のうち11件で、全体的な気分または気分の一側面について、ビタミンBがプラセボよりも全体的なうつ・不安・ストレスに良い効果があると報告しています。
特に、ストレスを測定した 10 件の研究のうち 6 件の研究でサプリメントをとっている方が優れていると発表し、10件全体をまとめても、ビタミンB1のサプリメントをとっている方がストレス症状を軽減しやすいことが言われています(n=918、標準化差(SMD)=0.23)
もちろんニンニク注射は経口よりも吸収率がよい静脈注射ですから、ビタミンB1を速やかに補充する手段としては即効性がありますから、同様にストレス症状を軽減すると考えてもよいでしょう。
ニンニク注射の効果の持続時間と頻度は?

ニンニク注射はどれくらい持続するのでしょうか。
単回注射の効果の持続時間を見た論文はありませんが、薬物動態からある程度推測することができます。
ニンニク注射を打った後は血中ビタミンB1濃度が通常のチアミン製剤よりも高く持続し、組織内にも良好に移行して一部は貯蔵されます。そして投与後、体内で活性型に変換されたビタミンB1が各組織で代謝に関わることで、数時間から数日にわたり効果を発揮するでしょう。
しかしビタミンB1は水溶性ビタミンといって、ずっと体内に残り続けるビタミンではありません。不要な分は速やかに尿中に排泄され、時間経過とともに体内濃度は元の状態に戻ります。
経口のビタミンB1の場合は、最大血中濃度に達する時間(Tmax)が投与してから1.5時間くらい、そして血中濃度が半分になる(T1/2)のが、14.7時間くらいです。
したがって、ニンニク注射の持続時間としては、数日程度と考えられますね。
実際、前述のビタミンB1の筋肉注射の研究でも週2回で投与していました。したがって、ニンニク注射を継続的に受けられるなら、(毎日でも安全性として問題ありませんが)週2回くらいを目安にうつとよいでしょう。
(参照:医療用医薬品 : フルスルチアミン)
ニンニク注射の風邪や自律神経に対する効果は?

よく「ニンニク注射は風邪や自律神経にも効果があるの?」と聞かれることがありますが、風邪や自律神経に対する効果は証明されているのでしょうか?
少なくとも過去20年間の医学論文を調べた結果、明確に「ニンニク注射は風邪や自律神経に対して効果がある」といった論文は見つけられませんでした。
例えば、重篤な感染症である「敗血性ショック」などで、著しく体の免疫能が落ち込み、乳酸が蓄積しやすい状況の場合は、ビタミンB1の補給により死亡率が低下したという論文があります。その意味では免疫系にも働きやすいとはいえますね。
しかし、風邪くらいの軽い感染症をビタミンB1で予防できるといったエビデンスは(少なくとも私が調べた限りでは)ありません。
一方、ニンニク自体には風邪予防などの作用も期待できます。繰り返しますが、どんなサプリメントや注射も普段の生活習慣の改善や食べ物に勝るものではないのです。(ニンニクの効果についてはニンニクの効果と栄養・デメリットについて解説【メンタル・風邪・食べ方】を参照してください)
もちろん「忙しくてなかなか栄養も補給できない」「食事が偏りがちでなかなかビタミンB1を摂取できない」という方もいるでしょう。そういう時は、ニンニク注射などを活用して上手にストレス社会を乗り切っていただきたいと思います。
(参照:Thiamine (vitamin B1) in septic shock: a targeted therapy)
ニンニク注射の費用は?
ニンニク注射の費用は
ニンニク注射 | 1,000円(税抜き) |
で行っております。注射までも待ち時間もほとんどなくご案内できます。
ぜひ普段の生活でストレスや疲労感がたまりやすい方は適宜ご利用ください。(下記ボタンからご予約ください)
【この記事を書いた人】
一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。
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