帯状疱疹ワクチン「生ワクチン・シングリックス」について【効果・費用・副反応・禁忌】

こんにちは、一之江駅前ひまわり医院の伊藤大介です。

  • 帯状疱疹の後遺症で苦しんでいる方を見た
  • 自分は絶対に帯状疱疹にかかりたくない

という方はいませんか?帯状疱疹でお悩みの方は帯状疱疹ワクチンがオススメです。今回は、帯状疱疹ワクチンの種類や副反応・費用などについて解説していきます。

帯状疱疹については帯状疱疹はうつる?帯状疱疹の原因や前兆・治療についてを参照してください。

帯状疱疹ワクチンとは?

帯状疱疹ワクチンとは、文字通り「帯状疱疹の発症予防・重症化予防をするために、帯状疱疹ウイルスの毒性をなくし、あらかじめ投与するワクチン」のことです。

帯状疱疹は80歳のうち1/3の方が発症するとされる、帯状疱疹ウイルスによる皮膚疾患のこと。治療が難渋すると、「帯状疱疹後神経痛」を発症されるのが特徴の1つです。後遺症として残った場合、治療として半年~1年以上かかることもあります。

そこで、発症や重症化を予防するために開発されたのが「帯状疱疹ワクチン」。あらかじめ水痘・帯状疱疹ウイルスを弱毒化・無毒化させたウイルスを注入することで免疫が素早く働くように促し、帯状疱疹の発症予防・重症化予防が期待できます。

実際には帯状疱疹ワクチンには、2016年に認可された「弱毒生水痘ワクチン」と2020年に認可された「シングリックス®」の2種類があります。

弱毒水痘生ワクチンとは、弱毒化された生きたウイルスが含まれている生ワクチンで、小児に使用する水痘ワクチンと同じものです。一方、シングリックス®は帯状疱疹を予防するために独自に開発されたワクチンで、サブユニットワクチンという種類のものです。ウイルス表面タンパクの一部を抗原とした組換えワクチンで、生ワクチンではありません。

注意していただきたいのが帯状疱疹ワクチンの対象年齢は50歳以上であるということ。これは、いずれも帯状疱疹ワクチンの効果を検証した論文が50歳以上のものであることや、帯状疱疹になりやすいのが50歳以上であるというのが主な理由です。

では、帯状疱疹ワクチンの違いは先に結論を述べると、各ワクチンの特徴は以下の通りです。

弱毒生水痘ワクチンとシングリックスとの比較表。ワクチンの種類: 弱毒生水痘ワクチンは「生ワクチン」・シングリックス®は「不活化ワクチン」接種回数: 弱毒生水痘ワクチンは「1回接種」・シングリックス®は「2回接種」発症予防効果: 弱毒生水痘ワクチンは「60歳以上で51.3%」・シングリックス®は「50歳以上で97.2%」神経痛予防効果: 弱毒生水痘ワクチンは「66.5%」・シングリックス®は「88.8%」長期予防効果: 弱毒生水痘ワクチンは「8年~10年で効果が消失」・シングリックス®は「8年後でも84.0%持続」副反応: 弱毒生水痘ワクチンは「局所反応・発熱・水痘様発疹など」・シングリックス®は「局所反応・筋肉痛(40%)・疲労(39.0%)・頭痛(33.3%)」費用: 弱毒生水痘ワクチンは「8000円」・シングリックス®は「22000円×2回=44000円」
(さまざまな論文からまとめた帯状疱疹ワクチンの特徴(著者作成))
  • ワクチンの種類: 弱毒生水痘ワクチンは「生ワクチン」・シングリックス®は「不活化ワクチン」
  • 接種回数: 弱毒生水痘ワクチンは「1回接種」・シングリックス®は「2回接種」

  • 副反応: 弱毒生水痘ワクチンは「局所反応・発熱・水痘様発疹など」・シングリックス®は「局所反応・筋肉痛(40%)・疲労(39.0%)・頭痛(33.3%)」
  • 費用: 弱毒生水痘ワクチンは「8000円」・シングリックス®は「22000円×2回=44000円」

それでは順番に見ていきましょう。

帯状疱疹ワクチンの効果は?

7477人の長期間観察試験によるシングリックス®の長期予防効果を示した論文。8年後でも84.1%の発症予防効果が期待できる。
7477人の長期間観察試験によるシングリックス®の長期予防効果を示した論文)

弱毒水痘生ワクチンとシングリックスの効果を比較すると「シングリックスの方が発症予防や神経痛予防効果にも優れ、長期に保たれる」といえます。具体的には以下の通りです。

弱毒水痘生ワクチンシングリックス®
発症予防効果60歳以上で51.3%(3年間)50歳以上で97.2%(3年間)
神経痛予防効果66.5%(3年間)88.8%(3年間)
長期発症予防効果8年から10年で効果が消失8年後でも84.0%持続

上記の表からわかる通り、帯状疱疹の効果はビケン製の弱毒水痘生ワクチンでは5年から8年程度、シングリックス®は8~9年以上持続すると報告されています。そのため、長期にわたって免疫力を持続させたいという場合はシングリックス®の方がオススメです。

(参考文献)

帯状疱疹ワクチンの費用は?

帯状疱疹ワクチンの費用は原価の関係上、どのクリニックも大体同じで、「弱毒水痘生ワクチンの方が1回接種で済み、多くの場合合計すると、シングリックスの1/5以下の費用で済む」といえます。例えば当院での価格は以下の通りです。

帯状疱疹ワクチンの種類帯状疱疹ワクチンの費用(税込)
弱毒水痘生ワクチン8,000円(1回接種)
シングリックス®44,000円
(1回22,000円:2回接種が必要 )

また一部帯状疱疹ワクチンの助成が受けられる地区・自治体があります。例えば「名古屋市」「文京区」「刈谷市」「千葉県いすみ市」「埼玉県鴻巣市」「富山県上市町」などです。(順不同)企業でも帯状疱疹について助成されているところがありますね。(例:東京電力HP

特にシングリックス®の場合は高額になるので、お住まいの自治体や会社に確認してみるとよいでしょう。

帯状疱疹ワクチンの副反応は?

帯状疱疹ワクチンの副反応も弱毒水痘生ワクチンとシングリックスで異なりますが、一般的に「シングリックス®の方が副反応がでる可能性が高い」といえます。具体的には以下の通りです。

① 弱毒水痘生ワクチンの副反応

1-5%未満1%未満頻度不明
注射部位赤みや腫れ硬結等の注射部位反応
過敏症発熱・発疹蕁麻疹、紅斑、そう痒
皮膚発疹水疱性発疹丘疹、帯状疱疹
その他発熱小脳運動失調(きわめて稀)

特に水痘ワクチンで注意すべき副反応としては接種後1-3週間後の発熱や、2-3%に全身性の水痘様発疹がみられることがあるという点ですね。副反応がでた方は、早めに接種された医療機関に受診をお願いいたします。

(参照:弱毒水痘ワクチンの添付文書

② シングリックス®の副反応

10%以上1~10%未満1%未満
注射部位疼痛・発み・腫れかゆみ・熱感注射部位反応・発疹など
消化器吐き気・下痢・腹痛
精神神経系頭痛めまい・不眠症・眠気
筋・骨格系筋肉痛感染通・背部痛
首の痛みなど
感染症インフルエンザ
鼻咽頭炎・ヘルペスなど
その他疲労・発熱倦怠感・痛み無力症・食欲不振など
(参照:シングリックス®の添付文書

シングリックス®の臨床試験を行った論文によると、 シングリックス®接種後7日間に起こった主な副反応としては注射部位の痛み78%、赤み38%、腫れ26%という結果になっています。全身性の副反応では筋肉痛40%、疲労39%、頭痛33%、悪寒24%、発熱18%、胃腸症状13%です。これは体の中で強い免疫をつくろうとするためといわれており、3-7日以内に多くの副反応は弱くなっていきます。7日を超えて副反応が強い場合、ぜひ医師に相談してください。

(参考文献)

  • Lal H. et al.: N Engl J Med. 372(22), 2087-2096, 2015
  • Cunningham AL. et al.: N Engl J Med. 375(11), 1019-1032, 2016

帯状疱疹ワクチンの禁忌(打ってはいけない方)は?

例えば次のような方は帯状疱疹ワクチンの禁忌(打ってはいけない方)にあたります。

弱毒水痘生ワクチンの場合の禁忌は以下の通りです。

  • 化学療法やステロイドなど免疫を抑える治療をしている
  • 免疫力が落ちている方(HIV感染)
  • 妊娠していることが明らかな
  • 水痘ワクチンによる強いアレルギー症状(アナフィラキシーなど)を起こしたことがある方
  • カナマイシン、エリスロマイシンの抗生剤にアレルギー反応を起こした方(ワクチンにこれらの抗生剤の成分が入っています)
  • 明らかな発熱や急性疾患にかかっている方
  • 上記の他、予防接種を行うことが不適当な状態の方

なおワクチン接種後2か月間は妊娠を避けてください。また、シングリックス®の禁忌は次のようになります。

  • 明らかな発熱(通常37.5℃以上)がある方
  • 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな方
  • 本剤の成分によってアナフィラキシーを呈したことがあることが明らかな方
  • 上記に掲げる者のほか、予防接種を行うことが不適当な状態にある方

帯状疱疹ワクチンの接種をうける前に確認しておくとよいでしょう。ちなみに、以下の方は「慎重に」投与する必要がある方になります。(絶対に接種してはいけないというわけではありません。(弱毒水痘生ワクチン・シングリックス®ともに)

  • 心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患等の基礎疾患がある方
  • 予防接種で接種後2日以内に発熱のみられた者及び全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある方
  • 本剤の成分に対して、アレルギーを呈するおそれのある方
  • 過去に痙攣したことがある方
  • 過去に免疫不全の診断がなされている者及び近親者に先天性免疫不全症の者がいる方
  • 血小板減少症や凝固障害を有する者、抗凝固療法を施行している方

帯状疱疹ワクチンの接種スケジュールは?

シングリックスの投与回数。標準は2か月開けて行う。2か月を超えた場合でも6か月以内に2回目の接種を行う

帯状疱疹ワクチンは、弱毒水痘生ワクチンでは1回接種、シングリックス®では2か月開けて2回接種となります。接種間隔が2か月を超えた場合であっても、6か月までに2回目の接種をしていただけましたら問題ありません。他のワクチンとの接種間隔に関しては、以下の通りです。

① 弱毒生水痘ワクチンの場合

  • 不活化ワクチン(インフルエンザワクチン・肺炎球菌ワクチンなど):接種間隔の制限はありません
  • 新型コロナワクチン: 新型コロナワクチンとそれ以外のワクチンは、同時に接種できません。 新型コロナワクチンとその他のワクチンは、お互い片方のワクチンを受けてから2週間後に接種できます。(厚生労働省HP
  • 他の生ワクチン(BCG、MR[麻疹・風疹ワクチンなど]):27日あけて接種をお願いいたします。(参照:厚生労働省 ワクチンの接種間隔について

② 「シングリックス®」の場合

  • 不活化ワクチン(インフルエンザワクチン・肺炎球菌ワクチンなど): 接種間隔に制限はありません。
  • 新型コロナワクチン: 新型コロナワクチンとそれ以外のワクチンは、同時に接種できません。 新型コロナワクチンとその他のワクチンは、お互い片方のワクチンを受けてから2週間後に接種できます。(厚生労働省HP
  • 生ワクチン(BCG、MR[麻疹・風疹ワクチンなど]): 接種間隔に制限はありません。

帯状疱疹ワクチンについてのまとめ

いかがでしたか?帯状疱疹ワクチンの種類や効果・副反応・接種スケジュールに至るまで幅広く解説していきました。どちらかお悩みの方は、以下を参考にしていただくとよいでしょう。

  • 高い予防効果を期待する場合➡ シングリックス®
  • 長い間予防効果を持続させたい場合➡ シングリックス®
  • 副反応を抑えたい場合➡ 弱毒生水痘ワクチン
  • 接種回数を1回で抑えたい場合➡ 弱毒生水痘ワクチン
  • 妊娠中や免疫を抑える治療などされている方➡ シングリックス®
  • 値段を抑えて予防したい場合➡ 弱毒生水痘ワクチン

まだどちらが良いかお悩みの方はぜひ当院にもご相談いただけますと幸いです。

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【この記事を書いた人】 
一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。

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