最近、カフェやスーパーでもよく見かけるようになったルイボスティー。最近話題ですよね。実は、私もよく昔から飲んでいますが、あの独特の赤色と、ほんのり甘い香りに癒やされている方も多いのではないでしょうか。
でも、ルイボスティーがただの「ノンカフェインで体に優しそうなお茶」というだけでなく、実は驚くほど多くの健康効果があることは、あまり知られていないかもしれません。
今回は、このルイボスティーの健康効果と、飲みすぎはあるのか、妊婦にも安全なのかを交えながら解説していきます。
ルイボスティーとは?

ルイボス(学名:アスパラサス・リネアリス)は、世界中で南アフリカ共和国のセダーバーグ山脈周辺という、非常に限られた地域にのみ自生するマメ科の低木です。伝統的に現地では「ブッシュティー(茂みのお茶)」として親しまれ、その癒やしの力は古くから知られてきました。
ルイボスが他の一般的なお茶と決定的に違うのは、その独特なポリフェノール組成にあります。特に注目すべきは、以下の成分です。
- アスパラチン(Aspalathin):これは現在、自然界ではルイボスの中にしか同定されていない非常に希少なジヒドロカルコン配糖体です。強力な抗酸化能を持ち、糖代謝や脂質代謝の調節において中心的な役割を果たします。
- ノトファギン(Nothofagin): アスパラチンと構造的に類似した主要な活性成分で、やはり強力な抗酸化・抗炎症作用をサポートします 。
- 豊富なフラボノイド:ルイボスには37種類以上の天然抗酸化物質が含まれています。オリエンチンやイソオリエンチンなどのフラボン類、ケルセチンやルチンといったフラボノール類が多層的に含まれており、これらが相乗的に作用することで体内の酸化ストレスを軽減してくれます。
このように、ルイボスティーでは抗酸化作用で知られるポリフェノールが多種多様に含まれているんです。
また、ルイボスは未発酵の「グリーンルイボス」と、伝統的な発酵プロセスを経た「レッドルイボス」の2種類に分けられます 。グリーンルイボスはアスパラチンなどの成分がより高濃度(乾燥重量の約4%から10%)で残っているのが特徴です。
ルイボスティーの主な効果は?

それでは、ルイボスティーを飲むことで具体的にどのような健康効果が期待できるのか、医学的なデータに基づいて見ていきましょう。(結構いろいろあるんです)
① 心血管疾患リスクが下がり、コレステロールも改善する
ルイボスティーの最も顕著な効果の一つが、血液中の脂質代謝を劇的に改善することです。
心血管疾患のリスクが高い成人40名を対象とした研究では、1日6杯(計1,200ml)のルイボスティーを6週間継続して摂取した結果、以下のような結果となっています。
- 悪玉コレステロール(LDL-C):約15.2%低下(4.6 mmol/Lから3.9 mmol/L)
- 中性脂肪(トリグリセリド):約29.4%低下(1.7 mmol/Lから1.2 mmol/L)
- 善玉コレステロール(HDL-C):約33.3%増加(0.9 mmol/Lから1.2 mmol/L)
処方薬でも善玉コレステロールが高くなるのは珍しいので、かなり高い効果なのではないでしょうか。また、インスリン代謝も改善し、糖尿病に対する効果も期待されています。
(参照:Effects of rooibos (Aspalathus linearis) on oxidative stress and biochemical parameters in adults at risk for cardiovascular disease)
(参照:The Effect of Rooibos Tea (Aspalathus linearis) Consumption on Human Health Outcomes: A Systematic Literature Review)
② 強力な抗酸化作用と抗炎症作用
ルイボスを摂取すると、これだけ抗酸化作用がある物質があるので当然ですが、生体内の酸化ストレス指標が改善します。
前述の6週間の介入試験では、脂質が酸化してサビつく指標である「TBARSレベル」が50%以上低下し(1.9 µmol/Lから0.9 µmol/L)、体内の防御機能を担う還元型グルタチオン(GSH)濃度が1.3倍以上に増加しました。
また、炎症を引き起こす物質(IL-1β、IL-6、TNF-αなど)の発生を抑える効果も多くの研究で報告されており、慢性的な炎症が関わる様々な疾患の予防に役立つといわれています。
こうしてみると、単にコレステロールや血糖値を抑えるだけではない、「体の内側から健康を守る」可能性も示唆されますね。
➂ 骨密度の維持し、骨粗鬆症の予防
年齢を重ねるにつれて、特に閉経後の女性や高齢の方にとって「骨の健康」は避けては通れない大切なテーマですよね。実は、ルイボスティーには骨を強く保ち、骨粗鬆症(骨がもろくなる病気)を予防するための非常に興味深いメカニズムがあることがわかってきました。
私たちの骨は、常に「新しく作る細胞(骨芽細胞)」と「古い骨を壊す細胞(破骨細胞)」がバランスを取りながら生まれ変わっています。ルイボスはこの両方に働きかける、珍しい「ダブルの守り」を持っているのです。
- 骨を作る力を引き出す:2019年の研究によれば、ルイボスに含まれるアスパラチン、オリエンチン、ルテオリンといった成分は、骨芽細胞が働きやすくなることが言われています。具体的には、骨形成の重要な指標であるアルカリフォスファターゼ(ALP)活性の上昇が確認されており、骨を作る働きを直接的にサポートしてくれると考えられています。
- 骨が壊されるのを防ぐ:一方で、ルイボス特有のアスパラチンは、骨を壊す「破骨細胞」の過剰な働きを抑えてくれます。破骨細胞を作る命令を出す「RANKLシグナル」というものを阻害することで、骨密度が減っていくスピードを緩やかにしてくれるのです。
- カルシウムと鉄分をしっかりキープ: 一般的なコーヒーや紅茶に含まれるカフェインには利尿作用があり、骨の材料であるカルシウムを体外へ逃がしやすくしてしまいます。完全にノンカフェインなルイボスなら、その心配が全くありません。
このように、意外にもルイボスティーは骨にもよい作用があったんですね。
④ アレルギー疾患にも効果的
実は、面白いことにルイボスティーは花粉症などのアレルギー疾患にも効果的です。
アレルギー反応が起きる際、私たちの体の中では、肥満細胞という細胞から、かゆみや鼻水の原因となるヒスタミンという物質が放出されます。これを脱顆粒(だつかりゅう)と呼びますが、ルイボス抽出物には、この脱顆粒を抑えてヒスタミンの放出を低減させる効果が認められているんです。
他にも細胞レベルですが、アレルギー反応の指標の一つである「CD63」というタンパク質を抑えたり、免疫細胞の「Th1細胞」と「Th2細胞」のバランスを整えたりなどの効果が言われています。
もちろん、薬のように飲んですぐに症状を止めるという即効性ではありませんが、副作用の心配が少ない天然の飲み物として考えてみてもよいでしょう。
他、花粉症に効果的な食べ物は花粉症におすすめな食べ物と悪化する食べ物を紹介【スギ花粉】を参考にしてください。
(参照:Rooibos herbal tea reduces allergic basophil activation in adult atopic patients)
ルイボスティーは妊婦にも安全?

妊娠中の方は、飲み物一つ選ぶのにも非常に慎重になりますよね。その点、ルイボスティーは妊娠・授乳期における安全な水分補給源として世界的に推奨されています。
むしろ、妊婦さんこそ飲んでほしい飲み物の1つと思いますね。その理由は以下の3つです。
① 完全ノンカフェイン
妊娠中の過剰なカフェイン摂取は、胎盤を通過して胎児にストレスを与える可能性がありますが、ルイボスは天然の状態でカフェインを全く含まないため、安心して飲むことができます 。
② 鉄分の吸収を妨げない
妊娠期には鉄分が必要不可欠ですが、実は、紅茶や緑茶に含まれる高いタンニンは鉄の吸収を阻害してしまいます。
しかし、ルイボスのタンニン含有量は5%未満と極めて低く、鉄吸収への影響は無視できるレベルです。 実際行った臨床研究でも、水の鉄吸収率が9.34%であるのに対し、ルイボスティーは7.25%と大きな差はありませんが、普通の紅茶では1.70%まで低下してしまうことが確認されています。
そのため普段から貧血気味な方も、ルイボスティーはオススメですね。
③ メンタルケア効果
ルイボスのフラボノイドには、ストレスホルモンであるコルチゾールの合成を抑える働きも示唆されており、妊娠中の不眠や不安を和らげるリラクゼーション効果も期待されています。
このように、妊娠中に有用な効果が多く認められているのがルイボスティーの特徴なので、ぜひ妊娠中は普段のお茶を切り替えてみてください。
ルイボスティーに飲みすぎはある?

ノンカフェインだと、ついつい「何リットルものんでもいい」と思ってしまいがちですよね。確かに高い安全性で知られるルイボスティーですが、実は極端な過剰摂取には注意が必要です。
例えば過去の症例報告では、52歳の男性で、ルイボスとブチュ(ハーブの一種)を混合したティーを毎日摂取していたところ、黄疸と倦怠感を呈して緊急入院した例があります。。検査の結果、ALT 2,589 IU/L、AST 1,438 IU/L、総ビリルビン 12.1 mg/dLという重度の急性肝炎および肝不全の兆候を示していました。肝生検の結果、薬物誘発性肝損傷(DILI)と診断されたが、飲用中止により肝機能は正常化したということです。
また、42歳の女性の例では、多量のルイボスティーを常用していたところ、肝酵素の上昇が認められた。摂取を中止した1週間後には数値が正常化しています。
これらの報告は極めて稀ですが、論文では1日2リットルを超えるような極端な摂取や、肝疾患の既往がある場合には注意が必要であると結論づけていますね。
さらに、特定の薬剤との相互作用にも注意が必要です。
1日2リットル以上のルイボスティーを摂取していた急性骨髄性白血病患者において、免疫抑制剤タクロリムスの血中濃度が低下し、移植片対宿主病(GVHD)の悪化を招いた事例があります。これはルイボスの成分がサイクロスポリンやタクロリムスの輸送体または代謝経路を阻害したためと考えられています。
また、ルイボス抽出物には弱いエストロゲン活性が認められるため、乳がんなどのホルモン感受性疾患の患者は、大量摂取前に専門医に相談すべきかもしれません。
このように考えると、一般的な健康維持であれば、1日2杯から4杯程度(400〜800ml)が、安全かつ妥当な範囲といえますね。
(参照:Tea not Tincture: Hepatotoxicity Associated with Rooibos Herbal Tea)
ルイボスティーはカフェインが入っている?

結論から言うと、ルイボスティーは植物学的にカフェインを合成する経路を持っていないため、完全にノンカフェイン(0 mg)です。
他のお茶やコーヒーなどと比較してみましょう(240mlあたり)。
- ルイボスティー:0 mg
- コーヒー:約95 mg(抽出方法で大きく変動)
- 紅茶:40〜70 mg
- 緑茶(煎茶):20〜45 mg
- ウーロン茶:30~50 mg
こうしてみると、「お茶」にもかなりカフェインが入っていることがわかりますね。
中枢神経への刺激や血圧上昇、睡眠障害といったカフェイン特有の副作用がないため、寝る前や小さなお子様、心疾患のある方にとっても非常に安全な飲み物だといえるでしょう。
私自身はよく昼は緑茶、夜はルイボスティーにしています。
まとめ
ルイボスティーは、単なる美味しいお茶というだけでなく、心血管疾患の予防、血糖値の管理、骨の健康維持など、多彩な医学的メリットを秘めた「機能性飲料」といえます。
ちなみに効率的に成分を摂取するためのコツとして、3分程度の短い抽出よりも、10分以上じっくり煮出したり高温で抽出したりすることで、ポリフェノール量と抗酸化作用が高まることがわかっています 。
まずは、毎日の水分補給の何杯かをルイボスティーに置き換えることから始めてみてはいかがでしょう。1日200mlから1,200ml程度の範囲内で上手に生活習慣に取り入れてみてくださいね。
【この記事を書いた人】
一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。
















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