尿管結石(尿路結石)の原因や症状・予防法について解説

突然の腰や下腹部痛で苦しむ「尿管結石」。夜中に突然やってきて七転八倒しながら救急外来に駆け込むケースもしばしばあります。

一度かかると二度とかかりたくないのが尿管結石の痛みです。できれば普段の生活を見直して予防していきたいですよね。今回は尿管結石の原因や症状・予防方法などについて解説していきます。

尿管結石(尿路結石)とは

尿管結石とは、腎臓から尿道までの通り道に結石ができる疾患のこと。中年以降の男性や閉経後の女性に多く見られ、一生のうちに尿路結石になる確率は日本人で約10%といわれており、ありふれた疾患といえます。

結石ができる場所によに上部尿路結石(腎結石・尿管結石)と下部尿路結石(膀胱結石・尿道結石)に分けられますが、95%は上部尿路結石になります

結石ができると、尿がうまく排出されなくなり、後述する「非常に辛い腰の痛み」につながっていきます。

2018年の日本の疫学調査では、一生のうちに尿管結石になる確率は男性で7人に1人、女性で15人に1人。また尿管結石に一度かかると再発率も5年で45%、10年で60%と非常に多くなるのが特徴の疾患。好発年齢は男性で40歳代、女性で50歳代になります。

(参照:Sakamoto S, et al : Chronological changes in the epidemiological characteristics of upper urinary tract urolithiasis in Japan. Int J Urol 25 : 373, 2018.

尿管結石(尿路結石)の原因は?

ではなぜ尿管結石はできるのでしょう。簡単にいうと

  • 遺伝的に結石ができやすい
  • 腎臓や尿道に通過障害や変形が多い(特に術後)
  • 高尿酸尿症や高カルシウム尿症などの代謝異常や基礎疾患がある
  • 生活習慣の変化で結石ができやすい状態になっている(特に生活習慣病)
  • 尿管結石になりやすい環境である
  • 尿管結石を作りやすい薬剤を飲んでいる

などがあげられます。それぞれ順番にみていきましょう。

① 遺伝的に尿管結石ができやすい

例えば、人種別に言うと「白人、ヒスパニック系、黒人、アジア系の順に多い」とされていますので、人種間や遺伝的に「尿管結石」ができやすい要因があるとされています。

② 腎臓や尿道に通過障害がある

どんな方でも一時的に微細な結石ができることがありますが、尿の流れが正常な場合、尿と一緒に排泄され問題になることはありません。しかし、腎臓や尿道に通過障害があると尿の流れが遅くなり、尿管結石ができやすいとされています。

また、形態に問題がなくても寝たきりになっている場合や尿路感染症が続いている場合も尿流停滞や尿の性状を変化させ、尿管結石はできやすくなります。

③ もともと代謝異常がある

尿管結石の代表的な成分は「シュウ酸カルシウム結石」「リン酸カルシウム結石」「尿酸結石」およびその混在型に分かれます。

80%以上が上記2つのカルシウム結石。尿中のカルシウム濃度が高くなり、尿が酸性に近付いたりすることで、カルシウム結石が発生しやすくなります。

もともと高カルシウム尿症、高シュウ酸尿症、高尿酸尿症、低クエン酸尿症、低マグネシウム尿症を持っている方などは、尿管結石を作りやすくなります。

④ 【重要】生活習慣が乱れている

上記にあげた以上に最も大切なのが「生活習慣の乱れ」です。特に

  • 動物性たんぱく質の摂取の増加
  • 塩分接種の増加
  • 果糖の摂取の増加

などによる尿管結石の増加が指摘してきされています。特に重要なのは「肥満」であり、肥満は結石形成の大きな原因の1つ。肥満による結石リスクの増加は女性の方が顕著であり、そのため女性での尿管結石の方が増えてきています。

そのため、尿管結石はメタボリックシンドロームの1疾患とガイドラインでは位置づけされています。

⑤ 尿管結石になりやすい環境にいる

尿管結石になりやすさは環境も大きな要因の1つです。

  • 気温の高い結石の発生が多い
  • 高温環境にさらされると2~3か月後に結石になりやすい
  • 性別や年齢によらず7月~9月に多く、10月に減少しやすい

ことが分かっており、地球温暖化の影響で尿管結石はできやすくなっているといわれています。また後述しますが、水分摂取ができないことも尿管結石を促進させやすい原因の1つです。

⑥ 尿管結石になりやすい薬を飲んでいる

まれに内服している薬の影響で尿管結石になりやすくなっている方がいます。例えば、「活性型ビタミンD」「尿酸排出促進薬(プロベネシドなど)」「アセタゾラミド(緑内障治療薬)」などです。

これらの薬を飲んでいても、適切に採血などして管理されていれば問題ありませんが、飲んでいて尿管結石になった場合は要注意といえますね。

(参照:尿路結石症診療ガイドラインCQ06
(参照:Sakamoto S, et al : Chronological changes in the epidemiological characteristics of upper urinary tract urolithiasis in Japan. Int J Urol 25 : 373, 2018.

尿管結石(尿路結石)の症状は?

尿管結石の症状は主に「腰の痛み」「血尿や吐き気」です。

痛みは結石の大きさや形状によって異なりますが、典型的には「わき腹に我慢できいないほどの激痛」が「波のように押し寄せてくる」のが特徴です。背中を抑えながら来院され、体を色々な方向に動かすことが多く見受けられます。

しかし、症状は非常に多彩で下腹部の違和感や残尿感・睾丸にひびく痛みとして感じることもあり、一概にはいえません。

痛みとともに血尿がでることや、痛みのあまり吐き気や嘔吐といった症状が出てくることもあります。

夜間や早朝におきることが多く通常は3~4時間は持続します。さらに結石により閉塞された尿が感染をきたすと「腎盂腎炎」になります。腎盂腎炎になると、廃部痛とともに38度~39度の高熱が生じます。この場合や速やかな抗生剤治療が必要です。

一方、腎結石や膀胱結石はほとんど無症状のことも多いですが、腎臓の石が尿管に落ちたときに激痛がでてくるので注意が必要になります。

尿管結石(尿路結石)の診断は?

腹部超音波検査 腎臓5 水腎症より転載)

症状と身体所見と一緒に尿検査と腹部超音波検査を行います。

尿検査では結石が尿路を傷つけるとでてくる「血尿」を見ることで、尿管結石の有無を判断します。しかし、尿検査で血尿が出てこないケースもあるので注意が必要です。

尿管結石や腎結石を判断する上で簡便で精度の高い検査は「超音波検査」です。尿管結石ができると、結石が尿の通り道をふさいでしまうので、「水腎症」といってそれより上の尿管を広げパンパンに膨らむサインを認めます。

また確定診断として単純CTをとることもあります。(尿路結石症診療ガイドラインCQ7参照

尿管結石の疼痛で苦しむ方のほとんど全員がこのサインを認めるので、非常に有力な検査方法です。(超音波検査については超音波検査でわかること【費用・原理・メリットやデメリット】も参照してください。)

また腎結石も超音波検査で容易にわかり、腎臓に結石が「acoustic shadow」と呼ばれる影を作りながら白く描出されます。

尿管結石(尿路結石)の治療は?

基本は「疼痛を抑えながらいかに早く結石を膀胱に流す」かがカギとなります。

ほとんどの場合は鎮痛作用の強い薬を使い、飲水を積極的に行いながら、自然と結石が流れるのを待つと数日でよくなります。また海外ではカルシウム拮抗薬やα1遮断薬は、尿管拡張作用により排石促進薬として用いられています。(詳細はこちら

逆に10 mm 以上の尿管結石は自然排石の可能性は低く、積極的な結石除去がすすめられています。また状発現後1 か月以内に自然排石を認めない場合にも積極的な治療を行ってほうがよいとされています。(尿路結石症診療ガイドラインCQ9参照

積極的な治療方法として代表的なのが、「体外衝撃波結石破砕術(ESWL)」と「経尿道的尿路結石除去術(TUL)」です。ESWLは専用機器で発生させた衝撃波を体外から結石に当てて破砕します。一方、TULは麻酔をかけた痛みを伴わない状態で尿道から「尿管鏡」という細い内視鏡を挿入、結石をモニターでみながら取ります。ほとんどの結石はESWLで治療可能です。(当院ではいずれも行っていないので、積極的な治療を希望される方は、連携している泌尿器科施設に紹介します

尿管結石(尿路結石)の予防法は?

尿路結石は前述の通り再発しやすい疾患であり、一度かかると半分程度の方が再発します。そのため、再発予防がとても大切です。

では、どんなことを気を付けていけばよいのでしょうか。6つご紹介いたします。

① 積極的に水を飲みましょう

1 日の尿量が2,000 mL 以上となるように水分を取ると尿管結石を予防することが数多くの臨床研究で示されています。オシッコの流速で結石ができにくくし、カルシウムの濃度を尿量でさげるためです。

そのため食事以外に1 日2,000 mL 以上の飲水を積極的にとるようにしましょう。

高温の環境にいる方は特に脱水にならないようにした方がよいですね。

② シュウ酸を多くとらないようにしましょう

尿中に排泄される「シュウ酸」は尿路結石症をできやすくします。その70%は食事由来なので、シュウ酸を多く含む食品を摂るときに工夫することが大切です。

シュウ酸を多く含む食品は、

  • ほうれん草・スイバ: 100gあたりシュウ酸800mg含有
  • キャベツ・ブロッコリー・カリフラワー・レタス: 100gあたりシュウ酸300mg含有
  • サツマイモ: 100gあたりシュウ酸250mg含有
  • ナス: 100gあたりシュウ酸200mg含有

の他、タケノコ・バナナなどがあげられます。シュウ酸は水に溶けるので、これらの食事をとるときはゆでるなど水を使った食事方法にするようにしましょう。それ以上に大切なのが、お茶や紅茶やコーヒーの摂取。

東欧からの報告でシュウ酸カルシウム結石の患者の食事由来のシュウ酸について、その80〜85%は紅茶やコーヒーとされており、尿路結石を繰り返す方は注意が必要です。(詳細はこちら

③ 尿酸を下げるようにしましょう

また、高尿酸血症の方はプリン体の過剰摂取で尿酸結石になることもあります。尿路結石を繰り返す場合は、尿酸値を下げる薬を使った方がよい場合もあるので、かかりつけの先生に相談しましょう。

詳しくは尿酸って何ですか?高尿酸血症や痛風について解説【診断・食事・生活の注意点】も参照してください。

④ カルシウムは一定量とるようにしましょう

よくある間違いとしては「カルシウムが尿にでてくるならカルシウムを制限すればよい」と考えてしまうこと。臨床研究からはカルシウム結石の再発予防には,カルシウム摂取を制限するより、一定量のカルシウムを摂ったほうがよいとされています。(詳細はこちら)これは、カルシウムが結石の原因となるシュウ酸を排泄する役割があるためです。

カルシウムの多い食事は骨を強くするには?骨粗しょう症(骨粗鬆症)について【原因・治療・食べもの】に記載がありますので、参考にしてみてください。

⑤ クエン酸をとるようにしましょう

クエン酸はシュウ酸とカルシウムが尿中で結合するのをおさえてくれます。具体的には上記の生活習慣でも結石ができて、高カルシウム尿、高尿酸尿、高シュウ酸尿、低クエン酸尿とのとき、クエン酸製剤が処方されることがあります。

クエン酸を多く含む食品としてみかん・夏みかん・レモン・グレープフルーツの柑橘系をはじめ、酢・梅干し・じゃがいも・いちご・トマトなどがあげられます。

⑥ 生活習慣病にならないようにしましょう

特に日本の食生活の欧米化によって尿管結石はできやすくなりました。特に最も関連が深いのは「肥満」です。

特に女性の場合は、BMIが同じでも体脂肪が多く、体脂肪の増加により腎結石の発生頻度が多くなることが言われています。そのため、女性の方で尿管結石ができてしまった場合は、一層、肥満や糖尿病などの生活習慣予防が必要です。

普段からの生活を見直して、尿管結石の再発予防に努めましょう!

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【この記事を書いた人】
一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。

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