血圧を下げる食べ物や飲み物について【ランキング一覧・トマト・玉ねぎ】

「最近、血圧が高めかも…」「健康診断で注意された…」そんな悩み、みなさんにも心当たりがあるりますよね?高血圧は「サイレントキラー」とも呼ばれ、自覚症状がないまま静かに進行する、とても怖い状態です。

どうしても「高血圧=降圧薬」に目がいきそうですし、実際、薬が必要なケースもあるのですが、生活習慣」の見直しもとても大切です。特に普段の食事は血圧に大きく作用します。

「でも、何を食べたらいいの?」と思いますよね。そこで今回は、最新の医学研究に基づいた「血圧を下げる食べ物」を、効果の高さでランキング形式にご紹介します。臨床試験で示された具体的な数値も交えて、分かりやすく解説していきますね。

【結論】血圧を下げる食べ物・食事法ランキング一覧

まずは結論から。様々な食事法や食品がありますが、科学的な研究で示された効果の大きさや証拠の確かさから、優先順位をつけてみました。

【Tier 1】最も強力!まず取り組むべき食事の基本

  • DASH食(高血圧を防ぐための食事法):複数の研究を統合した分析で、上の血圧が約7.6mmHg低下することが示されています。
  • カリウムをたくさん摂る(野菜・果物など):研究では、適切な摂取で上の血圧が約8.0mmHg低下するという報告があります。

【Tier 2】非常に効果的!Tier1と合わせて実践したい

  • 減塩食:取り組み方によりますが、上の血圧が約4.8mmHg〜8.8mmHg低下することが期待できます。
  • トマト(特にトマト抽出物や無塩ジュース):I度高血圧の人を対象とした臨床試験で、上の血圧が約10.0mmHg低下したという驚きの結果があります。

【Tier 3】効果あり!日々の食事に加えたい名脇役たち

  • 玉ねぎ(ケルセチン):高用量のケルセチン摂取により、上の血圧が約7mmHg低下したという研究があります。
  • ナス(アセチルコリン):家庭血圧において、4週間の摂取で上の血圧が約5.8mmHg低下したとの報告があります。
  • 地中海食:高齢者を対象とした研究で、上の血圧が約5.5mmHg低下しました。
  • 納豆(ナットウキナーゼ):高血圧の人が8週間摂取したところ、上の血圧が約5.55mmHg低下しました。
  • 青魚(オメガ3脂肪酸):薬を飲んでいない高血圧の人で、上の血圧が約4.51mmHg低下したとのデータがあります。

このランキングのポイントは、特定の「スーパーフード」を一つ食べるよりも、まず食事全体のバランス(Tier 1)を見直すことが最も効果的だということです。その上で、Tier 2やTier 3の食品を積極的に取り入れていくのが、科学的に最も賢いアプローチと言えますね。

では、それぞれ詳しく見ていきましょう。

血圧を下げる食べ物 その1:DASH食

DASH食(ダッシュ食)とは、高血圧を止めるための食事法(Dietary Approaches to Stop Hypertension)の略で、医学的に効果が証明されている「血圧を下げるための食事の黄金ルール」のようなものです。

内容はとてもシンプルで、

  • 果物、野菜、全粒穀物(玄米など)をたっぷり食べる
  • 低脂肪の乳製品、魚、鶏肉、豆類、ナッツを適量食べる
  • 赤身の肉や加工肉、お菓子や甘い飲み物を控える
  • 塩分を控える

というもの。加工を最小限に抑えた新鮮な食品の摂取が重視されるのもポイントですね 。DASH食は、自然とカリウムやマグネシウム、食物繊維が豊富な食事になり、血圧に良い影響を与える栄養素をまとめて摂れる、非常に効率的な食事方法となります。

実際、DASH食の血圧に対する論文も多く報告されています。

例えば、2015年に行われた合計23,858人の参加者を含む24件の試験が含まれた論文では、DASH食が最も大きな効果を示し、収縮期血圧(SBP)を平均7.62 mmHg、拡張期血圧(DBP)を平均4.22 mmHg低下させたと報告されています。

本試験では減塩食や高カリウム食、低カロリー食などとも比較していますが、DASH食が最も強力に血圧を下げる効果があるとしていますね。

また、DASH食は他にもよい影響があることがわかっていて、2021年に発表された54の臨床試験をまとめた論文によると、体重が1.59kg低下、収縮期血圧が平均-3.94 mmHg低下、拡張期血圧が平均2.44 mmHg低下、LDLコレステロールも平均-3.53 mg/dl低下させることがわかっています。

このように、高血圧の方でまず考えたいのが「DASH食」ですね。DASH食として、「鮭のレモンのハーブ焼き」「鶏むね肉と豆の無塩トマト煮込み」のレシピを載せますので、参考にしてくださいね。

DASH食のレシピその1:鮭のレモンハーブ焼き

材料(2人分)

  • 生鮭の切り身:2切れ
  • お好みの野菜:合わせて200g〜300g程度
    • (例)パプリカ(赤・黄):各1/4個
    • ブロッコリー:1/4株
    • 玉ねぎ:1/4個
    • ミニトマト:4〜6個
  • オリーブオイル:大さじ2
  • レモン汁:大さじ1(または、くし切りレモン2切れ)
  • お好みの乾燥ハーブ:小さじ1〜2
    • (例)ディル、乾燥パセリ、ローズマリー、オレガノなど。ミックスハーブでもOKです。
  • 黒こしょう:少々

※ポイント:このレシピでは塩は使いません。 もし物足りなさを感じる場合は、ほんの少しだけ(指でひとつまみ程度)にしましょう。

作り方

  1. 野菜の下準備 パプリカと玉ねぎは薄切りに、ブロッコリーは小房に分けます。ミニトマトはヘタを取っておきます。
  2. 鮭の準備 鮭の切り身はキッチンペーパーで水気を軽く拭き取ります。
  3. 味付け ボウルに1の野菜と2の鮭を入れ、オリーブオイル、レモン汁、乾燥ハーブ、黒こしょうを加えて全体に優しく絡めます。
  4. 焼く
    • オーブン・トースターの場合:天板にクッキングシートを敷き、味付けした鮭と野菜を並べます。200℃に予熱したオーブンで15分〜20分、鮭に火が通るまで焼きます。
    • フライパンの場合:フライパンにオリーブオイル(分量外、少量)をひき、鮭と野菜を並べます。蓋をして中火で5分ほど蒸し焼きにし、鮭を裏返してさらに5〜7分、火が通るまで焼きます。
  5. 完成! お皿に盛り付け、お好みでさらに黒こしょうや生のハーブを散らしたら出来上がりです。

もっとDASH食らしくするアレンジのヒント

  • 付け合わせに玄米ごはん全粒粉パンを添えれば、完璧なDASH食の献立になります。
  • 鮭の代わりに、サバタラ鶏むね肉でも美味しく作れますよ。
  • サイドメニューとして、無脂肪のヨーグルトにフルーツを加えたデザートを添えるのもおすすめです。

DASH食のレシピその2:鶏むね肉と豆の無塩トマト煮込み

材料(2〜3人分)

  • 鶏むね肉:1枚(約250g〜300g)
  • 玉ねぎ:1/2個
  • にんじん:1/2本
  • パプリカ(赤):1/2個
  • 食塩無添加のカットトマト缶:1缶(400g)
  • 水煮の豆(ひよこ豆、キドニービーンズなど):100g程度
  • にんにく(みじん切り):1かけ分
  • オリーブオイル:大さじ1
  • 水:100ml
  • 乾燥オレガノ(またはバジル):小さじ1
  • ローリエ:1枚(あれば)
  • 黒こしょう:少々

※ポイント:味の決め手は「食塩無添加」のトマト缶です! これを使うだけで、大幅な減塩になります。

作り方

  1. 下準備 鶏むね肉は余分な脂肪を取り除き、2〜3cm角に切ります。玉ねぎ、にんじん、パプリカは1cm角に切ります。
  2. 野菜を炒める 鍋にオリーブオイルとにんにくを入れて弱火にかけ、香りが出てきたら玉ねぎとにんじんを加えて、玉ねぎが透き通るまで5分ほどじっくり炒めます。
  3. 鶏肉を炒める 鍋に鶏むね肉を加え、中火にして肉の表面が白っぽくなるまで炒めます。
  4. 煮込む パプリカ、トマト缶、水煮の豆、そして、水、ハーブ、ローリエを全て鍋に加えます。ひと煮立ちしたら蓋を少しずらして乗せ、弱火で15分ほど煮込みます。
  5. 仕上げ 鶏肉に火が通り、全体にとろみがついたら、ローリエを取り出します。最後に黒こしょうで味を調えたら完成です。

もっとDASH食らしく!アレンジのヒント

  • きのこ類(しめじ、マッシュルームなど)や、ズッキーニ、ナスなどを加えると、さらに野菜の量が増えて栄養価もアップします。
  • 仕上げに無脂肪のプレーンヨーグルトを少しだけかけると、酸味がマイルドになり、コクも加わります。チーズの代わりにぜひ試してみてください。
  • キヌア玄米にかけて食べると、それだけで栄養バランスの取れた一食になります。

血圧を下げる食べ物 その2:高カリウム食

「減塩」はよく聞きますが、実はそれと同じくらい、いやそれ以上に「カリウムを増やす」ことが重要なんです。カリウムには、体の中の余分なナトリウム(塩分)を体の外に出してくれる働きがあります。

2011年にアメリカから発表された論文によると、カリウムの摂取量を1日あたり4.7gまで増やすと、収縮期血が平均で約11.5 mmHg、拡張期血圧が平均5.5 mmHgも低下すると期待されています。さらに将来の心血管疾患の発症率が低下することが予測され、脳卒中では8~15%、心筋梗塞では6~11%の減少が見込まれるというのですから、驚きです。

また、食事性カリウム摂取量が1日あたり0.6g増加するごとに収縮期血圧で1.0 mmHg低下し、拡張期血圧で0.52 mmHg低下するとされています。

DASH食は食事パターンをすべて変えなければいけませんが、高カリウムならいつもの食事にプラス1品加えればよいので、手軽なのも魅力です。

例えば、カリウムが豊富に含まれている食べ物としては、以下があげられますね。

カリウムが多い野菜類 🥦

  • 生の野菜
    • パセリ(葉): 1,000mg
    • ブロッコリー(花序・焼き): 820mg
    • ほうれん草(葉): 690mg
    • 枝豆(冷凍): 650mg
    • にんじん(根・皮): 630mg
  • 乾燥野菜
    • 干しずいき: 10,000mg
    • 切干しだいこん: 3,500mg
    • ドライトマト: 3,200mg
    • 干しわらび: 3,200mg

カリウムが多い果物類 🍌

  • 生の果物
    • アボカド: 590mg
    • バナナ: 360mg
    • メロン(緑肉種): 350mg
    • キウイフルーツ(緑肉種): 300mg
  • ドライフルーツ
    • きはだ(実): 2,100mg
    • くこ(実): 1,400mg
    • あんず: 1,300mg
    • バナナ: 1,300mg
    • ドライマンゴー: 1,100mg

カリウムが多い藻類(海藻など)

  • 刻み昆布: 8,200mg
  • 乾燥わかめ(板わかめ): 7,400mg
  • ほしひじき(鉄釜・乾燥): 6,400mg
  • あまのり(味付けのり): 2,700mg
  • 塩昆布: 1,800mg

カリウムが多い豆類 🫘

  • いり大豆(黒大豆): 2,100mg
  • きな粉(青大豆・脱皮大豆): 2,100mg
  • 挽きわり納豆: 700mg
  • あずき(ゆで): 430mg
  • いんげんまめ(ゆで): 410mg

カリウムが多い動物性食材 🐟

  • かたくちいわし(田づくり): 1,600mg
  • まだら(干しだら): 1,600mg
  • するめ: 1,100mg
  • かつお節: 940mg
  • ビーフジャーキー: 760mg
  • 豚ヒレ(赤肉・焼き): 690mg

カリウムは、野菜、果物、豆類、いも類に豊富に含まれています。まずはいつもの食事に、野菜サラダやフルーツをもう一品加えることから始めてみませんか?レシピも以下に1品提示しますので参考にしてみてくださいね。
(参照:Effects of oral potassium on blood pressure. Meta-analysis of randomized controlled clinical trials

高カリウムのレシピ:アボカドとほうれん草のわさび醤油和え

材料(2人分)

  • アボカド:1個
  • ほうれん草:1/4束(約50g) ※冷凍ほうれん草でもOK
  • 減塩しょうゆ:小さじ2
  • みりん:小さじ1
  • わさび(チューブ):1〜2cm お好みで
  • 焼きのり:適量
  • かつお節:ひとつまみ(お好みで)

作り方

  1. ほうれん草を準備する ほうれん草はよく洗い、耐熱皿に乗せてラップをし、電子レンジ(600W)で1分〜1分半ほど加熱します。冷水にとって冷まし、水気をぎゅっと絞ってから、3cmほどの長さに切ります。 (冷凍ほうれん草を使う場合は、表示通りに解凍して水気を絞るだけでOKです)
  2. アボカドを切る アボカドは縦半分に切って種を取り、皮をむいて1.5cm角に切ります。
  3. 和える ボウルにしょうゆ、みりん、わさびを入れてよく混ぜ合わせます。そこに、水気を絞ったほうれん草とアボカドを加えて、アボカドが崩れないように優しく和えます。
  4. 盛り付ける 器に盛り付け、手でちぎった焼きのりを散らし、お好みでかつお節をかけたら完成です!

血圧を下げる食べ物 その3:減塩食

もちろん「高血圧=減塩」がよく言われるように、塩分量を減らす食事は血圧を下げることにも有効です。

例えば、2022年にマレーシアで発表された26件の研究をまとめた論文によると、食事のナトリウム量を減らすことで、収縮期血圧で平均4.51mmHg、拡張期血圧で平均2.42 mmHg低下させることが言われています。

この関係は用量依存的かつほぼ直線的であり、1日1.0~1.5 gといった低摂取量に至るまで、摂取量を減らせば減らすほど大きな降圧効果が期待できますが、「塩抜き」食事はなかなか難しいですよね。

日本高血圧学会では食塩摂取量1日6g未満、「日本人の食事摂取基準」においては男性の1日の食塩摂取量の目標値が7.5g未満,女性が6.5g未満という目標値があげられています。(成人の場合)

  • 汁物は「具沢山」にする:味噌汁やスープは、野菜やきのこ、海藻などをたっぷり入れると、具材のうま味が出汁に溶け出し、薄い味付けでも美味しく感じられます。
  • 香味野菜やスパイスを味方につける:生姜、みょうが、大葉などの香味野菜や、カレー粉、こしょう、唐辛子、ハーブなどのスパイスは、減塩の強い味方です。
  • 加工食品を避ける:ハム、ソーセージ、ちくわ、漬物などには、思った以上に多くの塩分が含まれています。できるだけ生の食材から調理する習慣をつけましょう。
  • 麺類の汁は飲まない:ラーメンやうどんの汁には多くの塩分が含まれています。汁は味わう程度にして、飲み干さないように心がけるだけで、大幅な減塩につながります。

1つ減塩レシピを載せますので、参考にしてみてください。

減塩レシピ:豚肉ときのこのカレー味噌炒め

材料(2人分)

  • 豚こま切れ肉(または豚バラ薄切り肉):150g
  • キャベツ:3〜4枚(約150g)
  • お好みのきのこ(しめじ、舞茸など):合わせて100g
  • 酒:大さじ1
  • 片栗粉:小さじ1
  • サラダ油:大さじ1
  • 合わせ調味料
    • 減塩みそ:大さじ1
    • カレー粉:小さじ2
    • みりん:大さじ1
    • 水:大さじ2

※ポイント:味噌は必ず「減塩タイプ」を選んでください。商品にもよりますが、普通のものより塩分を20〜25%程度カットできます。

作り方

  1. 下準備 ・豚肉は大きい場合は食べやすい大きさに切り、(A)の酒と片栗粉を揉み込んでおきます。 ・キャベツはざく切りに、きのこは石づきを取って手でほぐしておきます。 ・「合わせ調味料」の材料はすべて混ぜ合わせて、味噌を溶かしておきます。
  2. 豚肉を炒める フライパンにサラダ油をひいて中火で熱し、豚肉を広げ入れます。色が変わるまで炒めたら、一度お皿に取り出します。
  3. 野菜を炒める 同じフライパンでキャベツときのこを炒めます。キャベツがしんなりとして、甘い香りが立つまで2〜3分炒めます。
  4. 仕上げる ②の豚肉をフライパンに戻し入れ、混ぜておいた「合わせ調味料」を回し入れます。全体に調味料がよく絡むように、手早く炒め合わせたら完成です!

(参照:Blood Pressure Effects of Sodium Reduction
(参照:Impact of different dietary sodium reduction strategies on blood pressure: a systematic review

血圧を下げる食べ物 その4:トマト

あと、血圧を下げる食べ物の1つとして有名なのがトマトですね。

トマトは豊富なカリウムの他に、抗酸化作用を持つリコピンやβカロテン、ビタミンC、食物繊維などさまざまな注目すべき栄養成分がそろっています。

そしてそれらが、相乗効果をもたらし、様々な健康効果が言われているのです。

その中の1つが「血圧に対する効果」。

2024年に発表された7056人もの人を対象にした大規模臨床試験では、トマトの摂取が、特に高血圧の方において、収縮期血圧(SBP)と拡張期血圧(DBP)の両方を低下させることがわかっています。

トマトに含まれるリコピン、豊富なカリウム、そして血管内皮機能を改善するポリフェノール類が相乗的に作用することで、血圧を下げる効果を発揮しているのです。

では、血圧を下げるためにどのくらいの量のトマトを、どのくらいの期間摂取すれば良いのでしょうか。答えは、人やトマトの種類などによって異なります。

  • 高血圧の予防で食べる場合:まだ高血圧ではない方が、長期的に正常な血圧を維持するためには、比較的多くの摂取が望ましいとされています。3年間の研究では、1日あたり110g以上(大きめのトマト1個に相当)のトマトを摂取した場合、新規高血圧の発症リスクが36%低下したと報告されています。
  • 高血圧になっている人の場合:すでに高血圧(軽症高血圧)と診断されている方の場合、より少ない量でも効果が期待できる可能性があります。同じ研究で、1日あたり44~82gという中程度の摂取量でも、拡張期血圧を有意に低下させることが示されています。(-0.65mmHg)
  • リコピンのサプリメントやトマトジュースの場合:トマト栄養複合体(TNC)を1日あたりリコピン15mgまたは30mg摂取すると、未治療の高血圧の方の収縮期血圧が有意に低下することがわかっています。しかもその効果は2週間という早期に現れ、少なくとも4ヶ月間持続することが示されました。また、無塩トマトジュースを1年間摂取した研究でも、血圧が高めの方や高血圧と診断されている方で有意な血圧低下が認められています。

このように、もちろん個人差はありますが、血圧低下のためにトマトを摂取するのは理にかなっていますね。

また、トマトの摂取は、コレステロール値の改善にもつながる可能性があります。閉経後の女性を対象とした8週間の研究では、トマト食が総コレステロールとトリグリセリドを有意に低下させ、善玉(HDL)コレステロールを増加させることが報告されています。

他の効果についてはトマトの効果について【肌あれ・血圧・ダイエット】を参照してください。

(参照:Association between tomato consumption and blood pressure in an older population at high cardiovascular risk: observational analysis of PREDIMED trial
(参照:Effect of Tomato Nutrient Complex on Blood Pressure: A Double Blind, Randomized Dose–Response Study
(参照:Unsalted tomato juice intake improves blood pressure and serum low‐density lipoprotein cholesterol level in local Japanese residents at risk of cardiovascular disease

血圧を下げる食べ物 その5:玉ねぎ

玉ねぎに含まれるポリフェノールの一種であるケルセチンは、強力な抗酸化作用を持ち、血管保護効果が期待されています。

実際、高血圧の方を中心にケルセチンをとると、血圧が下がることが様々な試験で言われていますね。

例えば、2007年にアメリカで行われたランダム化試験では、I度高血圧症患者が1日あたり730 mgのケルセチンを28日間摂取したところ、収縮期血圧が7 mmHg、拡張期血圧が5 mmHg有意に低下しました。(なお、高血圧前症の患者では有意な効果は見られませんでした。)

2015年の肥満者での高血圧の人に対する試験では、玉ねぎの皮抽出物由来のケルセチンを1日あたり162 mg、6週間摂取した結果、高血圧の24時間の収縮期血圧が3.6 mmHg有意に低下しました。(この試験でも、高血圧前症を含む全体集団では有意な効果は認められていません。)

このように、玉ねぎに含まれる「ケルセチン」は特に高血圧の人にはオススメの食べ物ですね。

しかし、2点注意点があります。

1点目は試験で用いられたケルセチンの有効量(1日162~730 mg)は、平均的な食事からの摂取量(1日10~30 mg)を大幅に上回った量だということです。したがって、通常の食事で玉ねぎを摂取するだけで、試験で観察されたような顕著な降圧効果を期待するのは現実的ではありませんので、サプリメントでの活用が必須になりますね。

2点目は、調理方法に大きく左右される点です。

例えば、ケルセチンは玉ねぎの可食部の外層に最も多く含まれており、皮を厚く剥きすぎるとその多くが失われてしまいます。また、茹でるとケルセチンが湯に溶け出し、玉ねぎ自体からは18~75%が失われると報告されています 。一方で、炒めたり焼いたりする調理法では、水分が蒸発することでケルセチンの濃度が保たれるか、むしろ高まる可能性がありますので、ケルセチンをとりたいなら、焼いたり炒めたりがよいですね。

(参照:Effects of a quercetin-rich onion skin extract on 24 h ambulatory blood pressure and endothelial function in overweight-to-obese patients with (pre-)hypertension: a randomised double-blinded placebo-controlled cross-over trial
(参照:Quercetin reduces blood pressure in hypertensive subjects

【まとめ】食事は最強の血圧管理ツール!

今回は、科学的根拠に基づいて血圧を下げる食べ物をご紹介しました。血圧を下げる食事をまとめると次のようになります。

  • まず基本となるのは、野菜や果物を増やして「カリウム」を摂り、塩分を控える「DASH食」のような食事パターン全体を見直すこと。
  • その上で、無塩のトマト製品やケルセチン、ナス、納豆、青魚といった、確かな効果が示されている食品を積極的に取り入れること。
  • 逆に、お菓子やジュースなどの糖分、加工肉などの飽和脂肪酸は控えること。

これらを意識するだけで、血圧はきっと良い方向へ向かうはずです。食事の改善は、お薬のように即効性があるわけではありませんが、副作用もなく、体全体を健康にしてくれる最も自然で強力な方法です。

まずは今日の食事から、何か一つでも変えてみませんか?例えば、お味噌汁に野菜をたっぷり加える、おやつを果物に変える、そんな小さな一歩が、未来のあなたの健康を守る大きな一歩になるでしょう。

【この記事を書いた人】 
一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。

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