インフルエンザも猛威を振るっていますが、この冬徐々に多くなってきているのが、新型コロナ感染症です。5類になってきて、最新の変異株「JN.1株」が中心になってきている中、やはり感染拡大傾向にあるようです。
最近は、新型コロナの症状としてどのような症状が多いのでしょうか?当院で1月~2月の間、直近で来院された新型コロナ80名の陽性者の症状について解析し、のどの痛みや鼻水などの特徴を踏まえてお話していきます。
現在流行中の「JN.1株」についてはコロナ変異株「JN.1株」の特徴について【最新株・症状】も参考にしてください。
目次
新型コロナの主な症状は?
当院で新型コロナ陽性となった80名の方の訴えられた主な症状は次の通りです。(平均年齢42.9歳、複数回答可)
- のどの痛み:76%
- 発熱(38度以上):75%
- 咳・痰:66%
- 鼻水:65%
- 頭痛:45%
- 体の痛み:21%
- 息苦しさ:21%
- 倦怠感・だるさ:11%
- 味覚嗅覚障害:4%
- 消化器症状(吐き気・下痢など):9%
となっています。やはり、発熱や上気道症状を中心に訴えられるかたが多いですね。息苦しさはご本人が訴えられる症状として言われているので、いわゆる酸素飽和度が低い「呼吸困難」という状況ではありません。
また、だるさや倦怠感も発熱などの他の症状がつらくて、訴えとして挙げられていないため、他の報告よりも低い印象がありますね。
統計的にみるとわかる通り、味覚嗅覚障害を訴えられる確率はかなり低くなったように感じます。
新型コロナの症状の特徴と経過は?
全体的な新型コロナの症状の特徴としては「症状の多彩さ」があげらます。
こちらは、直近の50例の方で訴えられた「症状の数」を円グラフにしたものです。最高で「7つ」の症状をあげた方もいましたが、多くは、4つくらい症状を上げています。(例えば、発熱、頭痛、喉の痛み、咳・痰といったようですね)
平均すると4.0個あげていました。
しかし、一方で、「発熱と関節痛だけ」「咳とだるさだけ」「鼻水だけ」といったように、症状が乏しいケースも存在します。(鼻水だけのケースは家族内のコロナ感染から判明しました)
このように考えると、さまざまな感染症を見ていますが、新型コロナは「結構幅広い症状に対して考えないといけないな」と感じますね。
多くの症状は5日~7日くらいで治まりますが、一部の症状は悪化もしくは長引き、再度受診するケースもあります。そして稀に後遺症として残ることがあります。
後遺症については新型コロナ「オミクロン株」 での後遺症の割合や症状・期間についても参照してください。
新型コロナのそれぞれの症状の特徴について
では、もう少しコロナの症状のそれぞれの特徴を考察してみます。
① のどの痛み
のどの痛みは最も訴えやすい症状の1つです。当院では76%の方がのどの痛みをコロナの症状として訴えていました。
痛みの程度はさまざまで「のどの違和感がする」くらいのものから「イガイガが強くてつばも飲み込めない」というものまで多彩にあります。
オミクロンBA.5株あたりは、かなり強いのどの痛みを訴えられ「なんとかしてほしい」と言われる方も多かったですが、ここ最近はそこまで言われなくなってきている印象です。
ただし、のどの痛みと高熱が中心の症状で陽性になるケースでは「かなり強烈な痛み」になっていることもあります。
喉の痛みの区別のしかたについてはのどの痛みはコロナ?のどが痛い時の原因やケアについて解説も参考にしてください。
② 発熱
発熱は最も訴えやすい症状であり、当院では75%の方がコロナの症状として訴えていました。
38度~39度になることもしばしばで、ここ最近発熱の確率が上がっていると思います。(5類になって発熱しないと病院にかからないから、ということもあるかもしれません)
一方、逆にいうと残りの25%は38度以下でも新型コロナとして発症しています。37.3度くらいの微熱で陽性になることもありましたね。
なので、「発熱していないから絶対にコロナではない」とはなかなか言いにくいです。
② 咳や痰
咳や痰も言われやすい症状ですね。当院では66%の方がコロナの症状として咳や痰をあげています。
咳や痰の発症起点も多彩で「のどの炎症がほとんどなくて、呼吸器症状が中心のケース」もありましたし、鼻水などの症状が強くて、咳や痰も一緒に出てくるというケースもありました。どちらかという後者の方が多い印象ですね。
また、息苦しさを伴うこともしばしばあり、もっとも長引きやすい症状の1つだとも思います。詳しくは痰や咳はコロナから?痰のからむ咳の原因や対処法について解説も参考にしてください。
③ 鼻水
鼻水は以前はそこまで言われませんでしたが、近年よく言われるようになった症状の1つです。実際、当院では65%の人がコロナの症状として鼻水をあげています。
実際、下気道から上気道~上咽頭への炎症が中心になっているケースが多いように感じます。鼻水の性状としては感染性らしくネバり気が強い印象ですね。色は無色から黄色味がかかったものまでさまざまです。
詳しくは鼻水はコロナから?風邪とコロナ・花粉症の見分け方について解説も参考にしてください。
④ 頭痛・関節痛
頭痛も近年よく言われやすくなった症状であり、当院では45%の人がコロナの症状として頭痛をあげています。
発熱と一緒に出てくることが多いですが、「最も強い症状」として頭痛をあげる人は多いですね。ガンガン響くような頭痛になることもしばしばあります。
関節痛は21%の方が当院では主症状としてあげていますが、「ふしぶしの痛み」としてよく言われます。たまに、非常に激烈な痛みで後遺症として残るケースがあります。
詳しくは頭痛はコロナから?新型コロナ感染症による頭痛の特徴について解説【症状・対処法】も参考にしてください。
⑤ 息苦しさ
息苦しさも比較的いわれやすい症状であり21%がコロナの症状として挙げています。ただし、酸素飽和度が低下して入院が必要になるほどの例は直近ではありませんでした。
実際に気道狭窄になっている例から発熱や上咽頭の炎症から「息苦しさ」として表現することもありますね。
⑥ 倦怠感・だるさ
倦怠感は実際の文献上や海外の報告ではよく言われる症状の1つです。
当院では倦怠感は「主症状」として訴える割合は12%にとどまっています。しかし、発熱やのどの痛みが強くて「だるさ」をあまり表現しなかっただけかもしれません。
倦怠感は後からかなり辛く発症される例があり、その場合は非常に長く後遺症になることもあります。
- ずっと横になって寝ていたい
- どうしても内容が頭に入っていかない
などもコロナ後遺症としてよく言われるところです。詳しくはだるいのはコロナ?だるさや倦怠感について解説【原因・治し方】も参考にしてください。
⑦ 消化器症状
消化器症状も実はコロナでは発症することのある症状の1つです。直近でも1例だけ消化器症状が中心だったケースがありましたね。よく言われる症状としては「吐き気・おう吐・下痢」です。
特に気持ち悪さがつらいといわれることがあります。
(参照:CDC「Update on SARS-CoV-2 Variant JN.1 Being Tracked by CDC」)
(参照:CDC「Symptoms of COVID-19」)
新型コロナの症状についてのまとめ
このように、新型コロナは「多彩な症状として言われやすい」感染症の1つです。
また抗ウイルス薬もありますが、他の抗ウイルス薬・抗生剤と比較しても高額であり(3割負担で9,000円)、治療にもしばしば難渋する疾患とも言えます。(特に後遺症)
各感染症についての特徴もまとめてありますので、「疑わしいな」と思ったら自己検査を正しく行っていただいたり、医療機関に受診して検査してもらったりしながら、早めに治療に専念していただきたいと思います。
【この記事を書いた人】
一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。
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