白玉点滴の成分と効果・頻度について解説【ビフォーアフター・危険?】

SNSなどでも話題の「白玉点滴」。まるで白玉のような、つるんとした美肌を目指せるというイメージから、試してみたいと考えている方も多いのではないでしょうか。

一方で、「本当に効果があるの?」「どんな成分なの?」「危険はない?」「白玉点滴で太るの?」といった疑問や不安もあるかもしれません。理想のビフォーアフターを期待するからこそ、頻度や安全性についてもしっかり確認しておきたいですよね。

この記事では、白玉点滴の成分や期待できる効果、推奨される施術頻度、そして気になる危険性について、わかりやすく解説します。

白玉点滴・白玉注射の主な成分は?

白玉点滴の主成分はグルタチオン(還元型グルタチオン: GSH)です。製剤にはビタミンCなどを添加する場合もありますが、美白・抗酸化効果の中心となるのはグルタチオンとされています。

白玉点滴の由来は「白玉のような透き通った肌」をイメージした点滴ということなのでもちろん俗称になります。

グルタチオンは、グルタチオンはシステイン、グリシン、グルタミン酸からなるアミノ酸の複合体(トリペプチド)で、生体の抗酸化作用に働く物質です。

もともとは体内の抗酸化作用や解毒作用から、薬物中毒、アセトン血性嘔吐症(自家中毒、周期性嘔吐症)、金属中毒、妊娠悪阻、妊娠高血圧症候群、慢性肝炎の治療に使われていました。(今でもこれらの効果として保険診療でも使われます)

それが今では「老化予防にもよい影響を与えるのではないか」と注目され、美容医療の分野でも使用されるようになりました。後述しますが、美容を含めグルタチオンの様々な効果がいわれています。

しかし、内服サプリとしてもグルタチオンは市販されていますが、経口摂取では分解や吸収率の問題で生体利用率が低いことが知られておりグルタチオンの効果を十分発揮することができません。

実際、2015年に行われた健康成人に対してグルタチオンを500mgまたは1000mg/day を6か月投与した臨床試験では、初期の1~3か月では有意な変化がなく、6カ月目になってやっと血中グルタチオン濃度が約30~35%増加するという結果となりました。他の1992年の臨床試験では、なんとグルタチオンの経口摂取での生体利用率は1%未満であるという結果まででています。

リポソーム型や前駆型のように生体利用率を上げる工夫がされた製剤があるものの、生体利用率は静脈で直接取り入れるよりずっと少ないものになっています。

そのため、グルタチオンの効果をすぐに発揮するためには静脈注射の方が確実です。そこで生まれたのが「白玉点滴」というわけですね。

では、本当に白玉点滴には効果が認められているのでしょうか。順番にみていきましょう。

(参照:Randomized controlled trial of oral glutathione supplementation on body stores of glutathione
(参照:The systemic availability of oral glutathione

白玉点滴の美容への効果は?

さて、白玉点滴といえば「肌を白玉のように白くする」美容効果を目的としている方が多いですよね。

薬理学的には、紫外線や炎症で誘導されるチロシンキナーゼ活性の働きを抑えてメラニンを作らせない作用が言われています。さまざまなメカニズムが提唱されており、グルタチオンが

  • チロシナーゼ酵素の活性部位(金属銅部位)にグルタチオンが結合して直接阻害する
  • チロシナーゼのメラノソームへの移行を妨げる
  • 抗酸化作用を介して間接的にチロシナーゼ活性化を抑える

などが言われていますね。

また、グルタチオンがユウメラニン(黒色系)の生成を減らしフェオメラニン(黄色~赤色系)合成を促進するため、全体として皮膚の色を明るく見せる方向に作用するとも考えられています。

白玉点滴の効果は小規模な臨床試験ですが、ある程度認められています。

実際、フィリピンで22人の女性に週1回計10週間、グルタチオン600mgの静脈注射を行った試験では、平均メラニン指数が約4%減少したと報告しています。

また、パキスタンで行われた二重盲検試験(グルタチオン1200mgを週2回×6週 vs プラセボ)でも、37.5%の被験者が肌が明るくなったと感じています。プラセボ群が18.5%となっていますので、20%の上乗せ効果ですね。

また、グルタチオンの添付文書によると、「国内で実施された臨床試験成績の概要」として肝斑への有効性が59.6%と記載されてあります。(146例中87例)肝斑は治りにくいことが言われている中で、なかなかの好成績です。

しかし、上記のパキスタンの臨床試験では白玉点滴をしないで6か月たつと元に戻ったとされていますので、継続的な治療が必要であることや、上記のように効果としても限定的なので、「白玉点滴だけで肌が白くなる」と過信しない方がよいですね。

(参照:Intravenous glutathione as a skin lightening agent a pilot study on its efficacy and safety
(参照:Exploring the Safety and Efficacy of Glutathione Supplementation for Skin Lightening: A Narrative Review
(参照:注射用グルタチオン添付文書

白玉点滴がもつ、体の内側から働く効果

実は、白玉点滴というと美容のイメージが多いのですが、本当はより確実に臨床的に認められている効果が2つあります。それが体の内側から働く「抗酸化作用の効果」と「肝臓に対する効果」です。

① 肝臓への効果

白玉点滴で最も効果が高いのは、実は「肝臓が悪い人」です。

もともとグルタチオンは肝臓に高濃度に存在しており、解毒や抗酸化作用がある物質であるため、肝機能改善目的でも用いられているのです。

例えば、慢性肝疾患への研究として、中国での慢性B型肝炎患者を対象にした試験では、グルタチオン1200mgの点滴静注によって肝酵素(AST, ALT)の低下と炎症性サイトカイン(TNF-α, IL-6, IL-8)の減少が認められ、肝機能の改善および肝線維化の抑制効果が示唆されています。

あと日本では「脂肪肝」が問題になっていますが、グルタチオンで脂肪肝による肝機能異常である「NASH(非アルコール性肝炎)」を防げるのではないかという臨床研究が進められています。

さらに、フィリピンFDA(食品医薬品局)はシスプラチンなど白金製剤による抗がん剤治療の副作用軽減目的に限って静注用グルタチオンを承認しており、これは肝臓や腎臓への毒性をグルタチオンが緩和する効果を期待したものです。

日本でも経口のタチオンが慢性肝炎に対して保険適応になっている通り、肝臓がもともと悪い人には白玉点滴は意外にオススメです

(参照:Changes in Glutathione Content in Liver Diseases: An Update

② 抗酸化作用の効果

グルタチオンは細胞内で主要な抗酸化物質として働き、活性酸素種(ROS)を直接消去する能力があります。

「抗酸化」というと、なじみが少ないと思いますが、老化以外にもさまざまな炎症のダメージを抑える働きがあります。

例えば、急性心筋梗塞患者100例を対象にグルタチオン点滴(1回2,500mgを計4回投与)したランダム化試験では、対照群に比べ炎症・酸化ストレス指標の有意な低下が認められ、免疫細胞の過剰な活性化が抑制されました。

そして、細胞障害性の高い炎症環境が緩和され、心筋組織の保護につながったと報告されていますね。また、免疫を調節する作用も報告されています。

上記から、例えば以下のような方は「白玉点滴」は意外にオススメです。

  • 生活習慣病がある人(高血圧・糖尿病・脂質異常症など):酸化ストレスが高く、細胞ダメージの抑制に役立ちます
  • 心筋梗塞・狭心症などの既往がある人:炎症や酸化ストレスの軽減、心筋保護が期待されます
  • 抗がん剤を使用中の人: 副作用(肝障害・腎障害)からの臓器保護を目的に使用される例があります
  • 肝機能異常がある人:ウイルス性肝炎や脂肪肝による肝炎がある人はオススメできます
  • ストレス・不眠が強い人:ストレスで増加する活性酸素を抑え、自律神経の安定につながる可能性があります
  • 加齢による疲労感・老化予防を意識している人
  • たばこやお酒を飲んで色がくすんでいる人:上記の通り美白面での効果も認められているので、酸化ストレスを伴うような色のくすみには効果が高い可能性があります


(参照:Glutathione Infusion Before and 3 Days After Primary Angioplasty Blunts Ongoing NOX2-Mediated Inflammatory Response

白玉点滴・白玉注射の最適な頻度はどれくらい?

では、白玉点滴や白玉注射はどれくらいの頻度で行えばよいのでしょうか。結論からいうと、美白効果を狙うのであれば、週1回投与を数週間から数ヶ月続けるのがよいでしょう。

例えば、フィリピンのパイロット試験では週1回を10週間、パキスタンの試験では週2回を6週間というスケジュールでした。

8~10週間程度で一旦効果判定を行うケースが多いですが、もともと副作用の非常に少ない薬ではありますので、そこで継続できるなら続けても問題ないでしょう。

一時的に肌が明るくなっても、その効果がどのくらい維持されるかは重要です。パキスタンの試験では前述のように治療終了6か月後には色調が元に戻ったとされています。つまり、グルタチオン投与による美白効果はずっと続くわけでないことに注意が必要です。

経口投与試験でも、内服中止後に皮膚メラニン指数が数週間~1ヶ月でベースラインに戻る例が報告されており、効果維持には連続投与の継続が必要になりますね。

(参照:Intravenous glutathione as a skin lightening agent a pilot study on its efficacy and safety
(参照:Exploring the Safety and Efficacy of Glutathione Supplementation for Skin Lightening: A Narrative Review

白玉点滴・白玉注射は危険?太る?

「白玉点滴や白玉注射をすると危険?」「白玉点滴で太るのでは?」という人もいますが、結論から言うと白玉点滴は非常に安全性の高い薬剤であり、太るという明確なエビデンスもありません

注射用グルタチオンの添付文書によると、以下のような副作用が言われています。(いずれも0.1%未満)

  • 発疹などの過敏症
  • 食欲不振・悪心・嘔吐など

授乳中でも「治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮しながら投与可能」としていますし、妊娠中に投与してはいけないこともないので、比較的安全な製剤といえます。(もともとアミノ酸ですしね)

ただし、重篤な副作用としてアナフィラキシーショックが言われているほか、パキスタンの臨床試験では肝機能障害の報告もされています。

どんな薬も絶対に副作用がない薬はありません。白玉点滴で健康診断などで検査異常があった場合などは、ぜひご相談ください。一人ひとりに合わせて適切に対応させていただきます。

白玉点滴の費用は?

白玉点滴の費用は以下の通りとなっております。

白玉注射 660mg6,900 円
白玉点滴 1,000mg11,500 円
白玉点滴 2,000mg23,000 円

逆に600㎎よりも低用量の白玉点滴は臨床試験もなく、あまり意味がないかもしれません。せっかく受けられるのなら、品質のよいグルタチオンをしっかりとした量を入れた方がよいでしょう。

「肝斑や美白を体の内側からケアしたい」「普段から酸化ストレスにさらされているから、何か治療を行いたい」という方にはオススメな点滴メニューとなります。他、シミやシワ治療に関して、丁寧にカウンセリングさせていただきますので、ぜひ当院にもご相談ください。

【この記事を書いた人】 
一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。

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