特に冬だと恋しくなるのがチョコレート。バレンタインデーやホワイトデーにチョコレートをシェアされる方も多いのではないでしょうか。
コロナをはじめ病気の話題が続く中、「ちょっと明るい話題を」ということで、チョコレートの医学的な効果をマジメに調べてみました。では早速見ていきいましょう。
Table of Contents
チョコレートとは?
チョコレートとはカカオの種子を発酵・焙煎した「カカオマス」に砂糖・ココアバター・粉乳などを練り混ぜたお菓子のこと。
カカオマスの成分や配分量・粉乳の配分量などで「ブラックチョコレート」や「ミルクチョコレート」など様々な名称が使われています。
つまり、一言で「チョコレート」といっても非常に多くの種類があることがわかりますね。(みなさんも実感の通りです)そのため、本記事では論文とともに検証されたチョコレートの種類についても記載していきます。
チョコレートの血圧や動脈硬化に対する効果は?
チョコレートに含まれている「カカオポリフェノール」という抗酸化物質は、血圧や動脈硬化に対して、多くの良い点があることが知られています。
例えば、ポリフェノールのよって内皮型NO合成酵素という血管を拡張させる酵素が活性化します。さらに、血栓症の原因となる血小板の反応を抑えたり、糖尿病の原因となるインシュリン感受性の低下を防止する役目もあります。
こうしたチョコレートの血管に対する効果は多くの臨床試験でも実証されています。例えば以下の通りです。
- 血圧が低下する:1297人に及ぶ42のランダム化試験から、チョコレートとココアの接種が収縮期や拡張期血圧を低下させることが示唆されています。
- 血管機能も改善:若くて健康な成人が20gの高カカオ(90%)チョコレートを30日間摂取すると血圧低下とともに、血管機能が改善することが報告されています(詳細はこちら)
- 心筋梗塞のリスクも低下:スウェーデンの研究ではチョコレートの消費量(週3~4食分以上)と心筋梗塞や虚血性心疾患のリスク低下を関連性が高いとしています。(詳細はこちら)
- 脳卒中の防止にも: 男性と脳卒中のリスクを調べた論文では、カカオポリフェノールの定期的な摂取は、脳卒中のリスクを下げることが示唆されています。この論文ではダークチョコレートとミルクチョコレートで差はありませんでした。
しかし「チョコレートを大量に食べればよい」というわけでもありません。20,992人を対象にした研究では、チョコレートの大量摂取(最大1日100g)をとっても心不全の発症を抑えることはできませんでした。その背景として、チョコレートに含まれる砂糖の消費量の増加が悪影響であるとしています。
別の論文では、心血管系リスクに対してチョコレートの効果を高めるのに最も適切な用量は週45gであったとしています。(週100g以下からリスク低下の可能性あり)
複数の論文から「ダークチョコレートのほうが望ましい」とコメントされており、カカオポリフェノールの含有量や砂糖の量も考慮すると、ダークチョコレートのほうがよいといえるでしょう。
血圧に関する他のポイントは血圧が高いとどうなる?高血圧の原因・治療や対処法について【食べ物の塩分量も】にも記載していますので、参考にしてみてください。
チョコレートの糖尿病・脂質異常・ダイエットに対する効果は?
カカオポリフェノールを中心としたカカオの成分は2型糖尿病や肥満・脂質異常症にも効果があることが示唆されています。
例えばカカオポリフェノールは糖質の吸収を遅らせる効果ががあり、インスリンの効きをよくします(詳細はこちら)。また脂肪を作るの抑え、逆に脂肪を分解するのを助ける働きも。
さらにダークチョコレートの匂いには満腹感を抑え、食欲を抑える効果も認められており(詳細はこちら)、「ちょっと小腹が空いたときに最適な食べ物」といえますよね。
実際、こうした効果は臨床試験でもある程度認められています。
- 糖尿病の発症が下がる: 若くて正常な体重の男性の健康調査では、チョコレートの消費が多いほど、糖尿病の発症が低くなりました(詳細はこちら)
- 妊娠糖尿病のリスクも下がる:日本人妊婦を対象とした研究でも、過去12か月のチョコレートの消費量が最も高い方が妊娠糖尿病のリスクが低いことが示されています。
- 肥満の方にも有用な可能性:メタアナリシスの一部の解析では、1日30gのダークチョコレートを4週~8週間摂取すると、体重とBMIの低下する可能性があるとしています。
- 脂質異常症にも有用:ダークチョコレートとココアの消費で「悪玉コレステロール」といわれるLDLコレステロールを5.9mg/dl(10.47~1.32mg/dl)下げるることが示唆されています。(HDLと中性脂肪は変化なし)(詳細はこちら)
ただし、ダイエット目的でも食べ過ぎには注意が必要です。チョコレートを多く食べると体重が増加する論文もみられ「チョコレートを食べればやせる」というわけではなさそうです。
血糖改善効果などはポリフェノールの量が大切。しかし、ほとんどの市販のチョコレートは砂糖とカロリーが豊富でポリフェノールが少ない製品が多数を占めているので、健康効果を狙うなら注意が必要ですね。
コレステロールの他の注意点はコレステロールを下げるには?脂質異常症の原因や食事・治療について解説も参考にしてください。
チョコレートはストレスや認知機能に対しても効果的
他にも様々な効果が認められているチョコレート。例えばこんなことも報告されています。
- 認知機能の改善: カカオポリフェノールには、軽度認知症の方の認知機能を改善する可能性があります(詳細はこちら)
- 便通の改善: 小規模の日本の臨床試験ですが、チョコレートに含まれるカカオプロテインには、便をかさ増しして便通をよくする可能性があります
- 太陽の光から肌を保護する可能性: 30人を対象とした小規模な臨床試験では、12週間ダークチョコレートを食べると、日光による肌の刺激を抑える可能性があることが報告されています。
- ストレスや抑うつ症状を緩和:アメリカの1.3万人以上を対象にした調査では、高カカオチョコレートを摂取している人は、抑うつ症状の可能性が低いと報告しています。
これだけ多くの健康効果が注目されている「お菓子」も珍しいですね!
チョコレートを食べる時の注意点は?
ただし疾患によってはチョコレートが悪影響を与えたり、食べ方によってはせっかく体にいいチョコレートの健康効果を損なってしまう恐れがあります。例えばこんなことに気を付けましょう。
① 食べ過ぎ
ついつい美味しくて食べ過ぎちゃうこと…ありますよね!けど、食べ過ぎは禁物。多くの論文でも食べ過ぎると、先ほどの健康も失われてしまうばかりか、太ってしまうことも。論文によってまちまちですが、多くても週100gか1日20~25gくらいにとどめておいた方がよいでしょう。
特に糖度が多いものは虫歯の原因にもなりますし、注意が必要ですね。
② 片頭痛の方は要注意
カカオに含まれるカカオのチラミン、ヒスタミン、およびフェニルアラニンの含有量が原因で、チョコレートを定期的に食べると片頭痛が悪化する可能性があります。ただし、全員がチョコレートが原因で片頭痛になるわけではない(詳細はこちら)ので、もしチョコレートで片頭痛が強くなるようでしたらやめておいた方がよいでしょう。
片頭痛の方がほかに気を付けなければならないポイントは片頭痛の治し方は?原因や予防薬・対処法についても解説にも記載していますので、参考にしてください。
③ 金属アレルギーの方も要注意
チョコレートにはニッケルや亜鉛・マンガンなどの重金属が多く含まれています。金属アレルギーをお持ちの方は、成分を確認の上、摂取を控えたほうがよい可能性がありますね。
④ 不眠症の方や妊娠中の方は食べる量を控えめに
チョコレート(特にダークチョコレート)は、多くのカフェインも含まれています。ダークチョコレートの場合、100g中カフェインが80mg程度含まれています。
不眠症の方は、午後3時以降くらいからはカフェインの摂取を控えたほうがよいので、午後の食べ過ぎには気を付けないといけません。また妊娠中の方はカフェインの摂取を1日200mgまでにすることが推奨されますので、やはり食べ過ぎには注意ですね。
まとめ:チョコレートの最適な量と食べ方は?
いかがでしたか?チョコレートにまつわる医学的な健康効果について検証してみました。まとめると医学的に見れば
- チョコレートはポリフェノールを中心とした成分により、血圧・動脈硬化・脂質異常症など多くの健康効果が認められている
- ただし、食べる量や種類に気を付ける。なるべく「ハイカカオなもの」「砂糖が少ないもの」「1日20g程度を目安にチョコっと食べ」がおすすめ。
- ハイカカオでも、一部の方には有害になる恐れがあるので、ご注意を。
ということになります。みなさんもチョコレートを上手に活用して、素敵な1日をお過ごしくださいね!
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【この記事を書いた人】
一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。
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