【2022年度版】とびひ(伝染性膿痂疹)について解説【症状・治療】

  • 搔いている場所からどんどん広がってきた
  • 子供がだんだん痛いと言い出すようになった
  • 虫刺されのところを掻いていたら皮がめくれるようになった

こんなことがあったら、もしかして「とびひ」かもしれません。一之江駅前ひまわり医院では皮膚科診療の一環で「とびひ」についても注意深くみています。

「とびひ」とは?とびひの症状は?

(「とびひ」の皮膚所見。日本皮膚科学会HPより転載)

「とびひ」の正式名称は「伝染性膿痂疹」(でんせんせいのうかしん)といいます。「とびひ」(飛び火)はいわゆる俗名で、「掻いている所にどんどん移っていく様」がまるで「火事で飛び火するようだ」ということで、「とびひ」という名称で広く知られるようになりました。

とびひは症状の出方によって下記の2つのパターンに分かれます。

  • 「水疱性膿痂疹」(すいほうせいのうかしん): 水ぶくれができて皮めくれが生じて、広がっていくパターン。乳幼児でよく見られます。
  • 「痂皮性膿痂疹」(かひせいのうかしん): かさぶたができ水ぶくれにならないパターンです。年齢を問わずに発症します。

とびびは毎年、「冬」と「春から初夏にかけて」という2つの時期に流行する。冬は乾燥して肌のバリア機能が低下するため。初夏は逆に汗などで皮膚に炎症が生じやすくなるためです。

とびひの原因は?

写真提供 Janice Haney Carr, Matthew J. Arduino, DRPH, USCDCP から Pixnio

「とびひ」の原因は皮膚にもともといる菌である黄色ブドウ球菌レンサ球菌にあります。最近はMRSAとよばれる耐性菌も増えてきているという報告があります。(詳細はこちら

ですが、通常皮膚は「角質」というバリアに守られていますので菌が皮膚に入り込むことはありません。

しかし、虫刺されや汗による湿疹などのかゆみで皮膚を掻きこわすと皮膚のバリアが崩れます。すると、崩れた部分から、こうした皮膚にいる菌が侵入し「とびひ」として発症するのです。

通常の皮膚は多少掻いたとしても角質の層が厚いため「とびひ」にならないことが多いですが、皮膚の免疫力がまだ弱い乳幼児やもともと皮膚のバリア機能がよわいアトピー性皮膚炎の方に起こりやすくなります。

また「とびひ」は掻いた部分だけでなく接触でどんどん人にうつります。そのため夏に保育園で集団発生しやすいのが特徴ですが、他の季節になることもあります。

とびひは大人でもなる?

「とびひ」というと、子供で集団感染するケースが多く「とびひ=子供」と考えがちですが、大人でもとびひになります。例えば次のような方は大人であっても気を付けたほうがよいでしょう。

  • アトピー性皮膚炎の方
  • 乾燥肌が強く、肌のかさつきが強い方
  • 年齢とともに肌の角質が薄くなっている方
  • もともと免疫を抑える治療を長い間うけている方
  • かきこわしグセがあり、ストレスをため込むと書いてしまう方

例えば上記の方が、湿疹の治療をしないで、かゆみに任せて掻き壊しを続けてしまうと、肌の弱い子供と同様に「とびひ」になってしまいます。特に、前述した「痂皮性膿痂疹」(かひせいのうかしん)について、近年アトピー性皮膚炎での発症が増えています。(詳細はこちら)

「大人になったら『とびひ』まで悪化しない」と考えずに、普段の行動を注意してくださいね。

とびひの治療法は?

皮膚の菌が原因なので、皮膚の菌を殺菌する抗生剤の塗り薬や飲み薬を用いて治療します。非常に軽症の場合は、塗り薬だけでよくなることもあります。

治療で一番大切なのは「とびひ」かどうかの見極めです。なぜなら「湿疹」と思って治療しているとかえって皮膚の状態を悪化させてしまうことがあるからです。なので、自己判断やとびひの診療経験の乏しい科で薬をもらわず、経験豊富な皮膚科に受診することが大切ですね。

また抗生剤の内服薬はドラッグストアで買うことができないこと、十分量飲むことが必要なことなどから、「とびひかな?」と思ったら、なるべく早く皮膚科に行くことを強くオススメします。

また「とびひ」になった時のケアとして、次のことを意識しましょう。

  • 患部をよく覆いましょう: 掻いてしまったり触ると、どんどん広がります。塗り薬だけ塗るのではなく、なるべく覆うことがとても大切です。
  • 人にうつさないようにしましょう: 特に兄弟同士などでお風呂に入ってしまうと、肌がこすれあって兄弟同士で移ってしまいます。「とびひかな?」と思ったら一緒にお風呂に入らないようにしましょう
  • 湯船には入らずシャワーで: 湯船は雑菌がおおく、感染を助長させる可能性があります。石けんで泡立ててやささしく洗いながら、シャワーで洗うようにしましょう

「とびひ」を予防するには?

このように、一度「とびひ」になったらなかなか「とびひ」の予防には、いかに皮膚を清潔に保つかと、皮膚にかゆみがおこった時の対処が大切です。特に以下の点に気をつけましょう。

  • 皮膚を清潔に保つ: 1日1回シャワーで肌を洗うようにしましょう。シャワーで洗う際にはナイロンタオルなどでゴシゴシこすらないように気をつけましょう。肌の角質層を壊すきっかけになります。
  • かゆみがあったときに掻かない: 特に虫刺されがきっかけで「とびひ」になりますくなります。掻き壊して「とびひ」になる前に患部を覆ったり、かゆみ止めを使用することを必要です。爪を短く切るのも効果的です。
  • 鼻をかかないようにしましょう: 子供が一番掻いて移りやすい箇所は「ハナ」です。鼻水がでたりすすったり、ハナの穴についつい指をつっこんでみたり・・。そうして鼻の下がよくジクジクしてきます。普段から鼻をさわらない習慣をつけることも大切です。
  • 日常的に手洗いをする: 「とびひ」は手を介して広がります。帰宅した時や、なにかした後は日常的に手洗いを泡立ててしっかりおこなうようにしましょう。

「とびひ」になったら登園やプールはできる?

では、とびひになったら登園などはどうすればよいでしょうか。

とびひが出た場合の登園の目安は、「抗菌薬の内服後24~48 時間が経過していること」です。その後は患部を抗生剤の塗り薬を使ってガーゼなどでおおってあれば、登園することができます

とびひの皮膚病変がある間は、子ども同士でタオルや寝具は共用せず、別々にするようにしてください。ジクジクして汁がでている部分も原因菌がいるので、触らせないようお願いします。

プールの水を介しては感染しませんが、患部をかくことで病変が悪化したり、他の人と触れたりすることがあるので、ジクジクしている間はプールでの水遊びや水泳は入ることができません。かさぶたになって治ってきたら、プールに入ることができます。プールに入る前に、とびひが治ったか皮膚科に受診するようにしましょう。

(参考: 保育所における感染症対策ガイドライン 2018年版(2021年一部改訂))

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【この記事を書いた人】 
ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。かかりつけ医として、皮膚科疾患も含めて幅広く診療。プロフィールはこちらを参照してください。

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