汗疹(あせも)や汗かぶれについて解説【原因・症状・治し方】

夏になり気温が高くなるとますます増えてくる「汗疹(あせも)」「汗かぶれ」

汗疹や汗かぶれは新陳代謝が活発な子供だけでなく、肌のバリア機能が低下した大人でも発症することが多い疾患です。

今回は、そんな汗疹(あせも)や汗かぶれの原因や症状・治し方について、詳しくみていきましょう。

汗疹(あせも)や汗かぶれとは?

汗疹(あせも)とは「汗が正常に排出されずに起こる発疹」のことです。汗が様々な原因で排出されずにたまってしまい、皮膚の炎症を引き起こします。

一方、汗かぶれは「汗をかくことで、ふやけた皮膚が汗自体や衣類とのこすれなどによりかぶれる」ことです。汗自体には塩分やアンモニアなど、肌を刺激する成分も含まれています。もともとアトピー性皮膚炎の方や敏感肌の方・衣類がこすれたりなどして、皮膚のバリアが低下している方は、汗の成分によってかぶれてしまいます。これが「汗かぶれ」です。

汗疹(あせも)も汗かぶれも、どちらも汗による皮膚炎なので、両者をあわせて「あせも」と呼ぶ場合も。そして、いかに「汗と上手に付き合うか」が大切になってきます。

汗疹(あせも)・汗かぶれの原因は?

汗疹(あせも)も汗かぶれも大きく分けて「個人的な体質(遺伝的要因を含む)」「環境要因(生活習慣も含む)」があげられます。

① 個人的な体質や遺伝的要因

汗疹(あせも)や汗かぶれになりやすい方とそうでない方がいます。例えば、次のような方は汗トラブルが多くなります。

  • アトピー性皮膚炎や敏感肌であり、少しの刺激で炎症をおこしやすい:遺伝的な要因もあります
  • もともと汗腺の密度が高い:例えば1歳児は成人と比べて汗腺の密度が8倍あるといわれています。そのため特に乳幼児に好発します。
  • 肥満や甲状腺機能亢進症などの基礎疾患で多汗症がある

このようにもともと汗疹が多くなりやすい方もいますので、該当される方は汗に対して特に注意が必要になります。

② 生活習慣や環境要因で汗トラブルが起きやすい

さらに、もともと持っている素因に加えて、例えば以下のような汗にまつわる環境要因が加わると、さらに汗疹や汗かぶれの原因になります。

  • 激しい運動で大量の発汗をしやすい
  • 皮膚のしわで汗が正常に排出されない
  • チリやほこりなどで汗が閉塞されている
  • 高温多湿の環境にいる:やはり夏に多くなります
  • 吸湿されない素材の衣類(化学繊維など)・ギブスなどを着用している

これらの場合、生活習慣や周りの環境を変えれば、症状が治まる可能性があるので、できるところから試してみるとよいですね(後述します)。

汗疹(あせも)と汗かぶれの症状は?

① 汗疹(あせも)の症状

汗疹(あせも)の症状は閉塞する場所によって異なり、主に「紅色汗疹」と「水晶様汗疹」にわかれます。

皮膚の比較的深い部分で詰まる「紅色汗疹」の場合、途中で詰まるとその周囲で炎症が起きて、赤いブツブツになって現れます。炎症するので、かゆみが出てきたり、さらに詰まったところに汗をかくと、刺すような感じになることもあります。

一方、皮膚の浅い部分で詰まる「水晶様汗疹」の場合は、透明で水滴のような小さい水ぶくれになるのが特徴です。浅いので、炎症や自覚症状がないことも多く、水ぶくれは自然と破れることも多くなります。

② 汗かぶれの症状

汗かぶれでは、汗自体に含まれる成分や衣類のこすれの刺激などで「かぶれる状態」になるので、かぶれた場所全体が赤みやかゆみとなって現れるのが特徴です。汗疹で1個1個がプツプツしている湿疹とは対照的ですね。

汗疹も汗かぶれも服でおおわれる体幹部やワキの他、ヒジやヒザの屈折側、首などに生じます(参照:アトピー性皮膚炎ガイドライン「汗疹」

汗疹(あせも)や汗かぶれの治療は?

汗疹も汗かぶれも「現在ある炎症に対する治療」「汗に対する迅速な対処」が治療の基本になります。

医療機関に受診される方は炎症やかゆみが強くお悩みになっていることが多いので、まず炎症を取り除く塗り薬(ステロイド軟膏など)が治療の中心になります。どのタイプの塗り薬を使うのかは、炎症度合や場所によって大きく異なるので、ぜひ皮膚科に受診してアドバイスをもらってください。

また「眠れないほどかゆい」などかゆみがひどいときは、補助的にかゆみを抑える飲み薬を使うこともあります。

「たかが汗疹」と侮ってはいけません。汗疹を放置して搔き壊す結果、重症化し「とびひ」になっていることもしばしば経験します。これは、かゆいから爪でひっかくと爪にある雑菌が患部に侵入し、悪化させてしまうからです。この場合は、通常の汗疹の治療では難しく、抗生剤の塗り薬や飲み薬が必要になってきます。

そのため汗疹だと思っても放置せず、早めに医療機関に受診して適切なお薬をもらい、重症化する前に早く治療することが大切ですね。とびひについてはとびひ(伝染性膿痂疹)について解説【症状・治療】も参照してください。

汗疹(あせも)や汗かぶれの治し方や普段のケアは?

① こまめに汗を拭く・シャワーで流す

特に汗かぶれのケア基本は「汗を放置しない」こと。かぶれの原因となる汗をいかに早く除去するかが大切になります。特に

  • 家から帰ってきたら早めにシャワーを浴びる
  • 外出で外に出歩く時は汗ふきタオルを持参する
  • 激しい運動後は特にシャワーで汗を洗い流すことを心がける

ことを意識するとよいですね。

② 普段から肌ケアをしっかりと

もともと肌荒れしやすいかたは、炎症で汗腺がフタをされやすく、汗の成分でも容易にかぶれやすくなります。

そのため、普段からの肌ケアは汗疹に対してもとても大切です。特に以下を意識すると良いですね。

  • 入浴後は保湿剤を使う: 保湿剤は、べたつかず汗の腺を塞ぎくいローションタイプがオススメですが、肌の状態で異なりますので、ご相談ください。
  • 紫外線対策をこまめにする: 特に夏の紫外線は肌にも悪影響になります。特に運動の際は低刺激性の日焼け止めクリームをこまめにつけるようにしましょう。
  • かゆいときにこすらない: 掻きたくなる気持ちはわかりますが、肌の状態は悪化します。早めに炎症をおさえる治療薬を使ったり、医療機関に受診しましょう。

③ 服装は吸湿性の高い、肌に優しいものを選ぶ

服装は、汗疹の管理に非常に重要です。特に衣服がつきやすい部分に汗疹ができやすい方は特に意識する必要があります。

衣類は「汗を吸いやすく、乾きやすいものにする」のがポイント。ゆったりとした木綿や絹などの生地の服を選ぶとよいですね。

④ 汗と上手につきあう

ここまで書くと「汗をかかなければいいんじゃないの?」と思うかもしれませんが、そうではありません。

汗は体温を下げるのに、とても大切な役割があります。汗を通じて水分だけでなく、体の老廃物を排泄し、体を健康な状態に保ってくれるのです。健康的に汗をかくのも大切なこと。こまめに水分を取り、運動もしながら上手に汗とつきあいましょう!

ただし、汗で十分日常生活が送れないという方は、多汗症を抑える治療法もあります。多汗症の方はぜひ汗っかきとの違いは?多汗症について解説【原因・治療・改善法】も参考にしてください。

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【この記事を書いた人】 
一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。

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