【医師が解説】腸内フローラ検査(腸内細菌叢検査)の方法や費用について

  • ちょっとしたことで、下痢になりやすい
  • 最近食生活が乱れがちで、おなかを壊しやすい
  • 普段食べているものと腸内細菌の関係をしりたい 

などの方の診断の一助にするために、ご自身の腸内細菌の状況を調べる「腸内フローラ(腸内細菌叢)検査」を導入しています。

今回、腸内フローラ検査でわかることや実際の検査方法・費用についてお話していきます。

腸内フローラ検査(腸内細菌叢検査)とは?

腸内フローラ検査とは「自身の腸内細菌のバランスがどのようになっているか」を調べる検査です。

皆さんも知っている通り、腸では様々な種類の細菌が住んでおり、食べ物を分解するのに役立っています。その数なんとヒトの腸内には約1000種類、約100兆個!多彩な細菌が腸の中で1つの社会のように共生しているので「腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)」といわれます。

そして、まるで花畑(フローラ)のように共生しながら住み着いているので、腸内細菌叢のことを「腸内フローラ」とも呼びますね。

実は、この腸内細菌叢のバランスが、腸に関係する疾患(大腸がんや潰瘍性大腸炎など)、うつ病や認知症などの脳機能にかかわる疾患、肥満や糖尿病の生活習慣病など多くの疾患と関係することが言われています。

そこで当院では「ご自身の腸内細菌叢を知りたい」というご要望にお応えするために「Mykinso Pro」(サイキンソー社)による腸内細菌叢を調べる検査を導入しました。少量の便を採取していただくだけの簡単な検査方法で調べることができます。

腸内フローラ検査(腸内細菌叢検査)でわかることは?

Mykinso Pro®による腸内フローラ検査では以下のことがわかります。

  • 腸内細菌叢のタイプ:食生活や体質に関連付けられた腸内細菌叢のタイプを血液型のように知ることができます。
  • 腸内細菌叢の多様性の指数がわかる:一般的に様々な腸内細菌がバランスがよい方が、腸管の免疫にとってよいことが言われています。腸内細菌叢検査ではそれらを数値化し、多種多様な菌がいるのかをチェックすることができます。
  • 太りやすい腸内環境なのかがわかる:人の腸内細菌のうち、ファーミキューテス(Firmicutes)門とバクテロイデス(Bacteroides)門の比率を見ることで、太りやすい体質かどうかがわかるといわれています。本検査では、その比率(F/B比)を算出し、自分が太りやすい腸内環境かどうかを知ることができます。
  • 主要な細菌の割合を知ることができる:あなたの代表的な菌である「ビフィズス菌」「乳酸酸性菌」「酪酸酸性菌」「エクオール酸性菌」「要注意菌」の比率を知ることができます。さらに基準値もあるので「一般的な方と比べて比率が高いのか」についても知ることができます。
  • 病気との関連性について知ることができる:自分の腸内環境が健康長寿の人に多いのか、糖尿病のリスクになるのか、大腸がんになりやすいのかなど、各病気とのリスク判定をすることができます。
  • 改善方法のアドバイス:詳しい検査結果から今後腸内環境を整えるために、どういった生活習慣を見直していけばいいのかについてアドバイスがわかります。

実際、腸内環境の変化と肥満や高血圧・慢性腎臓病との関係性は海外や日本でも多く報告されています。

(参照:厚生労働省 eヘルスネット「腸内細菌と健康」

腸内フローラ検査(腸内細菌叢検査)の方法は?

検査はご自宅での便からの採取となります。ご自身のタイミングで採便していただくので、負担が少なく検査ができます。

  1. 採便用シートを置いて排便する:採便用シートを置いて排便するようにしましょう。自動洗浄トイレの場合、先にスイッチをOFFにしておいてください。
  2. 採便する:便の一部を採取します。採便棒を袋から取り出し、便の場所を変えて複数か所突き刺して、米粒程度の便を保存容器にいれてください。保存容器のふたはあらかじめ開けておくとよいでしょう。
  3. 便を容器に保存①:先端部が溶液につかるように採便棒をさしこみ、ボールペンのペン先を出す要領で押し出し棒をおすと先端部が外れますので、先端部ごとふたをしましょう。
  4. 便を容器に保存②:先端部を残したまましっかり蓋をしたら、液がにごるまでしっかり振りましょう。その後、チャック付きポリ袋にいれます。他にキットにつかったものは燃えるゴミとして捨てましょう。
  5. ポストに投函:採便してから1週間以内に、できるだけ早く返送用封筒に入れて投函してください。猛暑の時は、日中のポスト投函よりは夜間か郵便局に直接だすほうがのぞましいでしょう。

腸内フローラ検査の費用は?

Mykinso ProⓇによる腸内フローラ検査の費用は以下の通りです

腸内フローラ検査(腸内細菌叢検査)22,000円(税込)

診察費・検査キット代などを含みます。本検査は保険外診療(自費)となりますのでご注意ください。高額ではありますが、普段から腸トラブルに悩んでいる方は、一度受けていただいてみてはいかがでしょうか。

当院で検査を受けられた場合、私自身も検査結果を参考にさせていただきながら、今後の治療薬選択や生活指導アドバイスなどを行っていきます。

腸内フローラ検査(腸内細菌叢検査)の受付方法は?

直接通常の診察予約を取っていただき、受診してください。前もって検査キットの在庫があるか事前電話していただくとよいでしょう。

検査の方法や検査でわかることなどを説明させていただいた上で、検査キットをお渡しします。ご自宅で検査をし、結果報告が当院に届きますので、結果が出たら電話でご報告し、予約せずに受付でお渡しします。

医師から結果について説明してほしい場合や検査結果を踏まえた症状にあわせた治療を行ってほしい場合などは、再度予約をお取りください。

【この記事を書いた人】 
一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。

あわせてこちらもオススメです

関連記事

  1. インフルエンザと新型コロナの同時感染について解説【症状・薬・…

  2. 大人のリンゴ病(伝染性紅斑)の特徴について解説【症状・発疹・…

  3. サル痘(さるとう)の原因や感染経路・症状・死亡率について解説…

  4. 骨粗しょう症(骨粗鬆症)の原因や症状・治療から予防まで解説 …

  5. 花粉症の原因や治療・花粉症対策・花粉症とコロナの違いについて…

  6. アトピーと花粉症の関係は?花粉でアトピーが悪化する理由や対処…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


ピックアップ記事

新着記事 おすすめ記事
PAGE TOP