花粉症とコロナの違いは?花粉症の原因や治療・対策についても解説

新型コロナウイルス感染症が流行し、ちょうど花粉の時期にさしかかると

  • コロナと花粉症の違いがよくわからない
  • くしゃみやのどのイガイガがあるとコロナのように感じてしまう

と心配される方が増えてきました。確かに花粉症なら薬で様子を見れますが、新型コロナ感染症だと重症化する可能性や人にうつしてしまう可能性もあるので心配ですよね。

今回、花粉症とコロナに悩まされている方に、花粉症の原因や新型コロナ感染症の違い、花粉症の治療や対策に至るまで幅広く説明していきます。

花粉症とは?

年齢別の鼻アレルギー症状の割合(鼻アレルギーの全国疫学 (2019年)の報告より転載)
(2017年の年齢別のアレルギー性結膜炎の有病率:アレルギー性結膜炎ガイドラインより一部改訂)

花粉症はもちろん医学用語ではありません。広辞苑によると「スギ・ブタクサなどの花粉によって粘膜が刺激されて起こるアレルギー」と記載されています。つまり、花粉によって引き起こされるアレルギー反応の総称といえますね。その中でよく起こりやすいのが

  • くしゃみや鼻水などの鼻の症状
  • かゆみや涙といった目の症状
  • 咳や息苦しさといった呼吸器の症状

になります。他にものどのかゆみや下痢・皮膚のかゆみや熱っぽい感じがでることも。鼻の症状やのどのイガイガ感、咳の症状(たまに発熱)があり、確かにコロナを始めとする感染症と見分けがつきにくいこともあります。

特に上図に見られるように鼻10代~50代まで幅広く見られるので、スギやヒノキ花粉が飛散する1月~5月くらいまでは特に注意が必要です。

花粉症の原因は?

では、花粉症はそもそも起こるのでしょうか。鼻や咳・のどの症状もも主に「即時型(I型)アレルギー」という反応で起こります。

原因物質(花粉やハウスダストなど)が鼻や目にくっつくと「排除すべき異物」だと免疫細胞であるリンパ球が察知します。すると「IgE抗体」という異物を認識するマーカーを作るようになります。

IgE抗体を認識した「肥満細胞」が異物を排除しようと、ヒスタミンやロイコトリエンなどの物質を放出します。これらの化学物質がかゆみなどのアレルギー反応の原因になります。

簡単にいうと、かゆみや鼻水・涙は花粉を追い出そうとする本来「正常な反応」なのです。しかし、本当は排除しなくてもよいものに反応しすぎていることが問題といえますね。

つまりアレルギーではIgE抗体や好酸球・肥満細胞が中心となるので、感染症と免疫応答の経路が異なるがポイントになります。

新型コロナ感染症とかぜ・花粉症の症状の違いは?

(新型コロナ・かぜ・花粉症の症状の違い:Allergy UKより転載・日本語に改訂)

2021年1月にオミクロン株が蔓延してしまい、「花粉症の症状か新型コロナの症状かどうかわからない」でお悩みの方も多くなっています。そこで、新型コロナ感染症と花粉症の症状の違いをまとめてみました。

① 発熱の有無

新型コロナ感染症の場合、やはり発熱は主要な症状の1つ。通常の新型コロナでも52%、オミクロン株でも70%以上の方が37.5℃以上の発熱がでてきます。詳細はこちら)一方、花粉症の場合は発熱などの全身症状は多くありません。(厚生労働省発表による

② のどの痛みの違い

特に新型コロナウイルス「オミクロン株」感染と花粉症の違いに「のどの痛み」の出方の違いがあります。オミクロン株感染の場合、約半数の方にみられます。いずれもウイルスの侵入によるものなので、のどが炎症し痛みを伴うことが多くなります。

一方、花粉症も「のどの違和感」がみられることがありますが、どちらかというとアレルギー反応に伴う「かゆみ」が主体です。そのため花粉症は、痛みよりは「のどがかゆい」「のどイガイガする」と訴えるケースが少なくありません。

また、従来の新型コロナ感染症の場合は、のどの痛みとして出てくる頻度は10%であり、そこまで頻度が多くありません。ただし、症状のみよりは咽頭所見によって区別されますので、のどの違和感がある場合は新型コロナの可能性も考えてクリニックに受診したほうがよいでしょう。(のどの痛みはコロナ?のどが痛い時の原因やケアについて解説も併せてご覧ください)

③ 鼻水の違い

新型コロナ感染症でも鼻水や鼻づまりを生じることがあります。しかし、新型コロナ感染症(特にオミクロン株の場合)咳やのどの痛み・発熱のほうが頻度として高い傾向にあります。逆に「鼻水だけ出る」という可能性は低くなりますね。(1例経験しましたが、ゼロではありません)

特に毎年花粉症の時期に鼻水が出てくる方は、鼻水の出方も違いがわかる方もしばしばです。

例えば、感染症での鼻水の場合「水っぽい鼻水か濃い黄色に分泌物を伴う鼻水」が特徴ですが、花粉症の場合は「サラサラした薄い鼻水が止めどなく流れるのが特徴になります。(参照:Mayo Clinic HP)

また、耳鼻科でファイバー検査をすると、鼻の炎症の違いにより区別することができます。

④ 目のかゆみの違い

花粉症でよく合併するのが「目のかゆみ」ですが、逆に新型コロナ感染症や風邪で目のかゆみが主症状になるのは稀です。同じように、皮膚のかゆみも花粉症の時期に出てくる方もいますが、同様に新型コロナ感染症で皮膚のかゆみが主体になることもほぼありません。

他にも、「1日の中で変動がある」「特定の場所や時間・環境で症状が出てくる」などの場合も花粉症の可能性が高くなりますね。もちろん「新型コロナや他のウイルス感染症が心配」という方は、ぜひ当院に相談してください(もちろん、新型コロナPCR検査など必要な場合は発熱外来の受診をお願いいたします)。

他の症状の特徴は、上図にまとめましたので参考にしてください。

花粉症の発症時期は?

もちろん花粉症は飛散時期に症状が現れるので、感染症の流行時期と飛散時期によって、ある程度推測することができます。

具体的な花粉の飛散する時期は次の通りです。(関東の場合)(参照:花粉症マニュアル2019年

  • ハンノキ 1月~5月上旬(特に3~4月)・6月
  • スギ: 1月下旬~6月上旬(特に2月~4月)・9月~12月上旬
  • ヒノキ: 2月下旬・3月中旬~6月(特に3月下旬~4月上旬)
  • イネ科: 3月下旬~6月(特に5月~6月)・7月下旬~10月
  • ブタクサ(キク科): 8月下旬~10月上旬(特に8月下旬から9月)

自分がどの花粉に対してアレルギーを持っているかを知ることで、対象時期よりも前から対策を行うことで、発症を最小限に抑えることができます。アレルギー検査については血液アレルギー検査(VIEW-39、RAST)について解説 【費用・原理・信頼性】を参照してください。

花粉症の治療や薬は?

① 飲み薬による治療

花粉の原因で「肥満細胞がヒスタミンなどの化学物質が放出されるため、症状が出る」とお話しました。つまり、「化学物質の働きを抑えれば症状が抑えられる」といえます。現在化学物質を抑える薬としては様々な種類があり、一部市販薬でも売られています。大まかに分けると次の通りです。

  • 第1世代抗ヒスタミン薬(ポララミン®など):ヒスタミンの働きを抑える、古くからある薬です。安全性は高いですが、眠気や口が渇く可能性があります。緑内障や前立腺肥大のある方は使用できません。
  • 第2世代抗ヒスタミン薬(アレグラ®・アレジオン®・クラリチン®・ビラノア®・ルパフィン®・ザイザル®・デザレックス®・タリオン®・アレロック®など):第1世代の副作用を軽減されている薬です。上記の通りたくさん種類があり、最も使われています。作用が少しずつ違っているので、自分にあった薬を見つけることが大切です。多くは飲み薬ですが、貼り薬もあります。
  • 抗ロイコトリエン薬・抗プロスタグランジン薬(シングレア®など):ヒスタミンと異なる化学物質を抑えます。特に鼻づまりに効果があります。
  • ケミカルメディエーター遊離抑制薬(ケタス®・リザベン®など):肥満細胞に働いて、ヒスタミンやロイコトリエンの働きを抑えます。効果判定には2~4週間かかります。
  • Th2サイトカイン阻害薬(アイピーディー®): IgE抗体を作る細胞であるTh2リンパ球に働き、抗体を作りにくくします。
  • ステロイド:抗ヒスタミン薬との配合薬はよく使用されます。よく効く薬ですが、ステロイドとしての副作用があるので、短期間(1週間がめど)の使用にとどめたほうがよいでしょう。
  • 漢方薬:鼻症状に対しては、小青竜湯や葛根湯加川芎辛夷などが用いられます。

飲み薬だけでも非常に多くの種類がありますが、症状の程度やアレルギーのタイプに応じて適宜使いわけています。

② 局所治療薬(点鼻薬・点眼薬)

鼻や目の症状に応じて、局所治療薬を使っていきます。飲み薬による治療と異なり、全身の副作用が少ないことが特徴です。代表的な薬としては以下の通りです。

(1) 鼻の症状の場合

  • 鼻噴霧用ステロイド薬:鼻に噴霧する薬で、くしゃみや鼻みず・鼻づまりに効果があります。ステロイドの飲み薬と違って、ステロイド薬としての副作用がほどんどないことが特徴です。ただし、決められた通り定期的に使用しないと効果が十分に発揮されないので注意してください。
  • 鼻噴霧用抗ヒスタミン薬:点鼻するタイプの抗ヒスタミン薬です。最近では、内服治療の進歩によりほとんど使われなくなりました。点鼻ですが、飲み薬同様多少眠くなることがあります。
  • 点鼻用血管収縮薬: 鼻に噴霧する薬で、鼻づまりに効果があります。即効性がありますが、使いすぎると鼻づまりが強くなり、効かなくなってきます(薬剤性鼻炎)。どうしても必要な時だけ使うようにしましょう。

(2) 目の症状の場合

  • 抗アレルギー薬点眼薬: ヒスタミンや肥満細胞の働きを抑えることで充血や目のかゆみを抑えます。点鼻薬と異なり、点眼薬は非常に多く使用されます。
  • ステロイド点眼薬:抗アレルギー点眼薬では効果不十分な場合は重症度に応じたステロイド点眼薬を併用します。しかし、緑内障や感染症の誘発・白内障の副作用があるので、使用には注意し、定期的に眼圧を測定することが必要です。
  • 眼軟膏:眼瞼炎など目の周囲にまで炎症が生じている場合、用いられます。
  • 免疫抑制点眼薬:ステロイド点眼薬同様に抗アレルギー薬点眼薬で効果がない場合に使われます。新しい薬で、ステロイド抵抗性の場合にも有効性がある報告があります。

一部の薬は慎重に扱う必要がある薬が含まれているので、使用の際には連携している眼科・耳鼻科に紹介させていただく場合があります。

③ 注射薬

2019年に生物学的製剤(抗体療法)の「ゾレア®」が認可されました。花粉のIgE抗体と肥満細胞がくつつくのを弱することがアレルギー症状を抑えます。

もともとは気管支喘息や慢性じんましんに保険適応され、使用されました。非常に高額であること(1回投与300㎎の場合、1か月17,488円)などから、希望される場合は、連携施設に紹介させていただきます。

他には、よく使われる注射薬として、「ケナコルト®」や「ノイロトロピン®」「ヒスタグロビン®」があります。

ケナコルト®を始めとしたステロイド注射は効果が2~3か月効果が持続するため、昔は重宝されました。しかし実態は長期間ステロイドの飲み薬を飲むのと同じことであり、重大な副作用の恐れがあるため、厚生労働省・日本耳鼻咽喉科学会でも「アレルギー性鼻炎の治療にステロイドは推奨しない」としています。(詳細はこちら

ノイロトロピン注射やヒスタグロビン注射は、副作用も依存性も少ない一方、治療効果が認められるまでに時間がかかること、効果への信頼性の問題点などから、効果は限定的といえます。(2021年現在ガイドライン上にも記載はありません)

④ アレルゲン免疫療法

原因となっている物質を舌下や注射することで、アレルギーそのものを起こさなくする治療法です。長期間(2~3年)の治療が必要ですが、いままでの対症療法とことなり、アレルギー体質そのものを治す可能性(約70%)があります。

詳しくは舌下免疫療法(アレルゲン免疫療法)について【効果・費用・種類・デメリット】を参照してください。

⑤ 手術療法

鼻症状や眼の症状を改善するための手術療法もあります。「鼻の粘膜を切除して小さくする手術」「レーザーで鼻の粘膜を焼却する手術」「結膜の乳頭部を切除する手術」などです。

それぞれ専門の施設で行う必要があり、希望される場合は紹介させていただきます。

花粉症対策で気を付けることは?

① 花粉情報に気を配っておく

日本気象協会が随時花粉の飛散情報を掲載していますので、参考にしてください。

雨がいつ降るか知るために天気予報を見るのと同じくらい、花粉症の方には重要な情報です。情報があることで対策が立てやすくなります。(もちろん自分がどのアレルギーか知っていての話です)

② 飛散が多い時に防護対策を徹底する

飛散情報を確認したら、特に飛散の多い時は以下を検討してみましょう。

  • 飛散が多い時は外出をなるべく控える
  • 外出する場合は、マスクやメガネ・ゴーグルを着用する
  • 毛ば立ったセーターやコートなどをなるべく着ない
  • 換気にも気をつき、できるだけ窓を開けないようにする

基本は「花粉から身を守ること」が大切です。

③ 帰った時の対策も忘れずに

帰った時に花粉を家に持ち込まないようにすると、家での症状を軽減することができます。帰宅したら、衣服や髪をよく落としてから部屋に入るようにしましょう。

「帰宅したらシャワーで洗い流す」ことが理想ですが、難しい場合は、せめて衣服に付着した花粉を払いおとすようにし、洗顔やうがい・鼻をかんでから入室し、外出用の衣服と部屋着を分けるようにしましょう。空気清浄機などを玄関先においておくのも対策の1つになりますね。

④ 普段から部屋をキレイにしておく

上記を徹底しても、部屋に花粉が持ち込まれるものです。普段から掃除を行い、部屋にどうしても入った花粉を除去するようにしましょう。

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【この記事を書いた人】
一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。

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