ダイエットに漢方は効果がある?減量に使う漢方の種類と特徴について論文から解説

みなさん、ダイエットの経験はありますか?

ダイエットに成功するためには、適切な食事と運動が必要なことはわかっていますが、今まで築いてきた習慣を変えることは容易ではありません。

ダイエットで薬のサポートを受けながら、少しでも負担を軽くしたい

そんな方にまず試しやすいのは「漢方によるダイエットサポート」ですよね。しかし、本当に漢方薬でダイエットに効果はあるのでしょうか?

今回は、ダイエットにおける漢方薬の効果を「防風通聖散」「大柴胡湯」「防己黄耆湯」を中心に、実際の論文データをもとにしながらわかりやすく解説していきます。

ダイエットにおける漢方薬の役割は?

漢方薬は、植物や動物、鉱物を原料とした自然由来の成分で、東洋医学の理論に基づいて体内のバランスを整えることを目的としています。漢方ダイエットでは、ダイエットそのものというより、「体質改善の一環」として処方されること。実際、漢方薬による消化機能や代謝機能の改善、脂肪燃焼の促進、むくみの解消、ストレス緩和など、様々な効果が期待されています。

ダイエットに用いられる漢方薬には、例えば以下のようなものがありますね。

  • 防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
  • 防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)
  • 大柴胡湯(だいさいことう)

それぞれの漢方薬は、異なる効果や特徴があり、個々の体質や症状に応じて選ばれます。では、具体的に漢方薬でどれくらいダイエット効果が期待できるのか、実際の生薬の効能と合わせてみていきましょう。

ダイエットに使われる漢方薬の効果は?

今回は、数ある漢方薬から比較的ダイエットに使われやすい3種類の漢方薬について説明していきます。それぞれ適応症や使い方が異なるので、医師や薬剤師の方に相談していただきながら補助的に使いましょう。(あくまで生活習慣の改善が第一です)

① 防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)

防風通聖散は「ダイエットの漢方薬といったらコレ」というくらい非常に知名度の高い薬で、肥満やむくみ、高血圧などの症状に対して効果が期待されています。防風通聖散は、以下の生薬で構成されています。

  • 麻黄(マオウ):発汗作用
  • 川芎(センキュウ):血行促進
  • 芒硝(ボウショウ):利尿作用
  • 桔梗(キキョウ):抗炎症
  • 荊芥(ケイガイ):発汗作用や解熱作用
  • 芍薬(シャクヤク):鎮痛作用や抗炎症作用
  • 連翹(レンギョウ):解熱作用や抗炎症作用
  • 大黄(ダイオウ):下剤作用や抗炎症作用
  • 滑石(カッセキ):体内の水分調節
  • 生姜(ショウキョウ):発汗作用や抗菌作用
  • 防風(ボウフウ):鎮痛作用や抗炎症作用・健胃作用
  • 石膏(セッコウ):解熱作用や鎮痛作用
  • 山梔子(サンシシ):利尿作用や抗炎症作用
  • 黄芩(オウゴン):抗菌作用や抗炎症作用
  • 甘草(カンゾウ):他の生薬との調整や抗アレルギー作用
  • 白朮(ビャクジュツ):健胃作用や抗炎症作用
  • 当帰(トウキ):血行促進や鎮痛作用
  • 薄荷(ハッカ):鎮痛作用や抗菌作用

実は、18種類もの生薬がこの中に含まれているんですね。効果としては、それぞれ「下剤作用」「健胃作用」「発汗作用」「水分調節作用」などが中心となっています。

そんな防風通聖散ですが、「肥満傾向の体型ですぐお腹がすいて間食してしまいやすい方」におすすめされる漢方薬。よく便秘症になっている肥満症の方にも効き、便秘薬としても処方されることもあります。

そんな防風通聖散ですが、本当にダイエットに効果があるのでしょうか。

結論からいうと「小規模な臨床研究では、ダイエットに関する効果も認められている」といえます。

例えば、外来での肥満患者127例に一律に防風通聖散を投与し、6か月以上服薬できた33例について体重減少効果を行ったところ、うち16例で食欲低下を認め、食欲低下例の体重変化は-4.8±1.0kg、食欲不変例では-1.4±0.7kgであったとしています。

さらに、血中の中性脂肪の値も防風通聖散後に有意に低下したとのことです。

逆に、腹痛や下痢などで長期投与ができなかった症例が9例いたとのことで、同論文では「腹力(腹圧)がしっかりしている方が防風通聖散に適している」とコメントしています。しっかり「証」を事前に診てもらった方がよいでしょうね。

(参照:The Effect of Bofutsushosan on Weight Reduction in Humans

② 大柴胡湯(だいさいことう)

大柴胡湯も「適応症」にはないものの、ダイエット治療として比較的用いられる漢方薬の1つです。主な生薬の構成は次の通りとなります。

  • 柴胡(サイコ):気の滞りを解消し、体内のエネルギー代謝を促す
  • 半夏(ハンゲ):水分代謝を改善し、腹部の脂肪蓄積を軽減
  • 生姜(ショウキョウ):体を温め、基礎代謝を向上させる
  • 黄芩(オウゴン):抗炎症作用で体内環境を整え、肥満の原因となる炎症を緩和
  • 芍薬(シャクヤク):血行を促進し、新陳代謝を改善
  • 大棗(タイソウ):ストレス緩和に役立つ
  • 枳実(キジツ):胃腸を回復し、消化を促進する効果
  • 大黄(ダイオウ):便秘解消に役立ち、腸内環境を整える

防風通聖散より少ない8つの生薬から成り立っています。やはり大柴胡湯も基礎代謝を向上させたり、新陳代謝を促す作用が中心となりますね。

大柴胡湯も非常に小規模でありながら、ダイエット効果についての研究もおこなわれています。

実際、BMI25以上もしくは腹囲が90cm以上の女性15名、85cm以上の男性9名に大柴胡湯エキス錠を12週間(3か月)服用した臨床試験では、体重が2.1㎏の減少体脂肪量が約2㎏の減少脂肪の代謝率が129%に上昇したとのことです。

ただし、例えば大柴胡湯の適応症として

  • 便秘がちな方
  • 比較的体力のある方
  • 上腹部が張って苦しく、耳鳴り、肩こりなどを伴う方

が対象になっていますので、上記に当てはまらない方はあまり「証」として適していません。自分にあうか、漢方に詳しい医師・薬剤師に相談するようにしましょう。

(参照:一般用大柴胡湯の抗肥満効果, 医学と薬学, 61(3):499-509, 2009)

③ 防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)

防已黄耆湯は本来「水分代謝に働きかけてむくみをとる薬」ですが、肥満症の薬としても注目されています。防己黄耆湯を構成する生薬は次の通りです。

  • 防已(ボウイ):水分代謝促進、鎮痛
  • 黄耆(オウギ):利尿作用、滋養強壮作用
  • 蒼朮(ソウジュツ):水分代謝の改善、健胃作用
  • 生姜(ショウキョウ):体を温める、基礎代謝向上
  • 大棗(タイソウ):ストレス緩和、ストレスによる過食の防止
  • 甘草(カンゾウ):抗炎症、免疫力の向上

防己黄耆湯はさらに少ない6種類の生薬からなります。上記をみるとわかる通り、利水作用が多く含まれることがわかりますね。水が溜まって腫れるような関節の痛みなどにも有効とされています。

日本の研究では、「肥満症(25≦BMI<35)の女性で、気虚と水滞の問診票を参考に38例に防已黄耆湯を24週(6週間)投与したところ、体重は平均2.4kg減少しBMIからみた著効例は9例(23.6%)、waist/hip周径からみた著効例は7例(18.4%)であった」と報告しています。

この漢方薬は、上記2つと違って、

  • 疲れやすい方(体力がない方)
  • 色白で筋肉が柔らかく水太りの方
  • 足がむくみやすい方

などが「適応症」となります。同じく長期服用により後述する副作用が出現することがあるので、きちんと医療機関でモニタリングしながら内服されることをオススメします。

(参照:山形県病医誌 39(2): 108, 2005)

他にもダイエットで使用されることのある薬はありますが、適宜「それぞれの患者さんにどの漢方薬が適しているか」を問診と診察でよく観察しながら、処方するようにしています。ですので、肥満に限らず体質改善として漢方薬を使用したい場合は、遠慮なくご相談いただけましたら幸いです。

ダイエット漢方薬の副作用は?

副作用

一般的には、漢方ダイエットは自然由来の成分を使用しているため、副作用は少ないとされていますが、薬を長期に内服される以上、もちろん副作用がでることがあります。例えばそれぞれの漢方薬の主な副作用は以下の通りです。(頻度は少ないです)

  • 防風通聖散:消化器症状(特に下痢や食欲不振)・発疹・発赤・かゆみ・めまい・発汗・動悸
  • 大柴胡湯:間質性肺炎・肝障害・消化器症状(食欲不振・腹痛)
  • 防己黄耆湯:間質性肺炎・偽アルドステロン症・ミオパチー・肝機能障害

そのため、漢方薬といっても定期的な採血を含めたモニタリングは必要です。また他の病気などで受診するとき、飲み合わせの悪い薬(特に漢方薬同士)などもありますので、必ず漢方薬を飲んでいることを申告するようにしましょう。

ダイエットの漢方の効果のまとめ

いかがでしたか?今回はダイエットに使われる漢方薬を3つ紹介してみました。まとめると

  • ダイエットで漢方薬は、減量効果だけでなく、体質を改善する目的で使用される
  • 「防風通聖散」「大柴胡湯」「防己黄耆湯」などが用いられるが、3~6か月内服しての体重減少効果が認められるため、長期内服が必須である。
  • エビデンスレベルは小規模なものなので、漢方薬でのダイエット効果はまだ検証の余地がある。
  • それぞれに対して適応となる「証」が異なり、あらかじめ漢方に詳しい医師や薬剤師に相談した方が望ましい。
  • ダイエット漢方薬も副作用があるため、必ず定期的な採血を含めたモニタリングが必要です。病院に受診する際にも漢方薬を内服していることを自己申告する。

となります。また、もっとも大切なことですが、あくまで漢方薬によるダイエットは「生活習慣の見直しが前提」です。

そのためには、まずは自分がどういうライフスタイルを送っているのか「知る」こと。そして、定期的に誰かにチェックしてもらうことです。

そして、その中で漢方薬を上手に使ってダイエットを成功していただけたらと思います。当院でもダイエットや肥満に関連した種々の病気についても随時相談に乗っておりますので、お気軽にご相談ください。

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【この記事を書いた人】 
一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。

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