便秘におすすめの食べ物や飲み物は?便秘に効く即効性の高いものをご紹介します

便秘は、3人~2人に1人は悩んでいるという、非常に悩んでいる方が多い疾患の1つ。もちろん薬による治療も大切ですが、生活習慣を治して改善できるなら治したいですよね。

今回は、数ある中でも特に論文上で効果が証明されている食べ物や飲み物で、かつ比較的即効性の高いものを中心に食材を厳選してご紹介します。便秘に対する他の生活習慣の改善方法や、病院にいく目安などは

つらい便秘症状を治すには?便秘の原因や解消法について解説をご参照ください。

便秘でオススメの食べ物 その①:水・白湯

前述の通り、便秘治療の基本ですね。水分がすくないと便が硬くなってしまい、うまく便が流れていきません。便秘になったらまず「水分がたりないのでは?」と考えて、多めに摂取するようにしましょう。水分摂取量の目標値としては1日1500ml~2000mlが目安になりますね。(体格による異なります)

そうはいっても中々水分摂取する習慣がないと、意識づけだけではうまくいかないもの。解消するのは、

  • 水分をどれだけとったか記録をつける
  • 朝起きあけに常温の水分をコップ1杯飲む習慣をつける
  • 自分が余分に飲む分の水分をとっておいて、全て飲むように意識する

などをしてみて、水分に意識を持ち習慣化することが大切です。ただし強い心不全がある方などは持病の関係で水分制限が必要な場合もありますので、事前に医師に相談をお願いします。

便秘でオススメの食べ物 その②:良質な油(オリーブオイル・アマニ油など)

水分だけでなく良質な油も便秘症にとても効果的です。実際、2015年の小規模臨床試験では、血液透析を受けている便秘の症状を改善したと報告されました。

便秘解消には油の種類も吟味する必要があります。油には大きくわけて「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」の2種類があります。

  • 飽和脂肪酸:肉類や乳製品に多く含まれ、常温で固形になる油のこと。バターやラード、ココナッツオイルなどが含まれます。
  • 不飽和脂肪酸:植物や魚に多く含まれる液体の油のこと。オレイン酸やリノール酸、α-リノレン酸などがあります。「オメガ3系」「オメガ6系」などで表現されることもありますね。代表例はアマニ油やオリーブオイルなどです。

このうち、便秘解消の油として臨床的に検証されることが多いのは、オリーブオイルやアマニ油・えごま油などの「不飽和脂肪酸」です。これらの油は小腸で吸収されにくい性質を持ちながら、腸内の潤滑油として働くため、たまった便の滑りをよくする効果が期待できます。(逆に、揚げ物や加工肉などで使われる「飽和脂肪酸」は便秘の原因になる可能性があります)

さらに、不飽和脂肪酸は血中の悪玉コレステロールを下げ、生活習慣病を予防するのにも効果的です。摂取量は1日15~30mlくらいが目安(カレースプーン2杯~4杯)ですが、まずはスプーン1杯くらい食事に使うだけでもよいのではないでしょうか。

「便秘にいい」といっても、油なのでかけすぎると胃もたれしてしまったりするので、1回の摂取はほどほどに。

(参照:Journal of Renal Nutrition VOLUME 25, ISSUE 1, P50-56, JANUARY 01, 2015
(参照:Johns Hopkins Medicine「Foods for Constipation」

便秘でオススメの食べ物 その③:プロバイオティクス(乳酸菌やビフィズス菌など)

プロバイオティクスとは、人の体内に自然に存在する微生物のこと。代表的なものとしては、よく知られているヨーグルトや乳酸菌飲料の他に納豆やみそ・キムチなどの発酵食品もプロバイオティクスになります。

腸内細菌を整えると、例えば高齢者の便秘症にとって有用なことが2017年の複数の論文を検証したレビューで認められています。

同研究では、プロバイオティクスを投与すると大将軍と比較して高齢者の便秘が10~40%と大幅に改善することがわかりました。ただし、人によって相性があるので、自分に合った方法を見つけるのが大切です。

また、便秘治療に注目を集めているのが「ケフィア」です。ケフィアはロシアのカフカース地方を起源とした乳製品の1つ。ヨーグルトは乳酸菌だけで発酵していますが、ケフィアは乳酸菌に酵母が加えられているのが特徴です。

日本で行われた心身障害者の慢性便秘症の方42人を対象とした小規模臨床試験で12週間毎食ごとに2gの凍結乾燥ケフィアを食事と一緒に摂取したところ、便秘症状を大幅に軽減することがわかりました。

しかし、同研究でも完全に便秘が治った方もいれば、効果がなかった方もいるので、相性は特に大切ですね。

(他の食材もそうですが)「まずは試してみる」くらいの気持ちで取り組むとよいでしょう。

(参照:Archives of Gerontology and Geriatrics Volume 71, July 2017, Pages 142-149
(参照:Japan Journal of Nursing ScienceVolume 15, Issue 3 p. 218-225. November 2017

便秘でオススメの食べ物 その④:食物繊維

厚生労働省では「1日あたりプラス3~4gを目標に食物繊維を摂取すること」が推奨されています。さらに食品で見ると、「そば、ライ麦パン、しらたき、さつまいも、切り干し大根、かぼちゃ、ごぼう、たけのこ、ブロッコリー、モロヘイヤ、糸引き納豆、いんげん豆、あずき、おから、しいたけ、ひじきなどは、1食あたり摂取する量の中に食物繊維が2~3gも含まれているため、これらの食材を毎日の食事に上手に取り入れるとよい」としていますね。

日本の食事摂取基準では、男性で21g以上、女性で18gが1日の食物繊維推奨量ですが、欧米の研究では、1日あたり24g以上の摂取で、心筋梗塞や脳卒中、糖尿病、乳がん、大腸がんなどの発症リスクの低下が認められています。そのため、アメリカ・カナダの食事摂取基準では、「できれば14g/1000kcal」を目標値として定めているのです。ということは、一般成人女性のカロリーは1400~2000kcal摂取されていますから、20~28gが欧米での食物繊維の推奨量ということになりますね。

このように日本人の食物繊維摂取量は少ないのが現状です。特に便秘を自覚されている方は、自分の思った以上にしっかり食物繊維をとるようにしましょう。

ちなみに、「食物繊維」といっても「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の2種類があります。(両方ふくむものもあります)それぞれの特徴は以下の通りです

  • 水溶性食物繊維:水に溶けやすい食物繊維のこと。水に溶けるとゼリー状に変化して水分を保持します。便秘は大腸に便が停滞して水分が失われているので、便にうるおいを与えて、排便をスムーズにします。食べ物の代表例は青菜・あずき・きくらげ・こんにゃく・大麦・海藻類(わかめ・昆布)・納豆などです。
  • 不溶性食物繊維:水に溶けにくい食物繊維で、便の体積を大きくして大腸を刺激して排便をうながします。食べ物の代表例はごぼう・イモ・小麦ふすま・きのこ・大豆・穀類・ココアなどです。

このように水溶性食物繊維と不溶性食物繊維で役目が違うので、2つをバランスよくとるようにしましょう。

ただし、厚生労働省でも注意喚起されていますが、あくまで「食品由来の食物繊維」が推奨されており、サプリメントでの大量摂取での有益性はまだ分からないのでご注意ください。

(参照:e-ヘルスネット「食物繊維の必要性と健康」)
(参照:日本人の食事摂取基準(2020年度版)

便秘でオススメの食べ物 その⑤:オリゴ糖

オリゴ糖とは「糖質のうち、最小単位である単糖が2個から10個程度結びついたもの」のことで、少糖ともいいます。

オリゴ糖はビフィズス菌などの善玉菌と呼ばれる腸内細菌の栄養源となってそれらを増やす効果があり、特定保健用食品として認められている成分です。腸内細菌をとるのを「プロバイオティクス」と呼ぶのに対して、オリゴ糖や食物繊維など腸内細菌の栄養になるもののことを「プレバイオティクス」と読んだりします。

実際、オリゴ糖には整腸作用や腸内細菌を増やす作用があり、オリゴ糖摂取により便秘が解消した報告例もあります。2007年のオリゴ糖を検証したレビュー論文では「1日あたり5~15gを目安にオリゴ糖を使用すると、成人~高齢者の便秘症状を改善する可能性がある」と報告されました。

乳幼児にとってもオリゴ糖は安全であり、オリゴ糖を調合乳に補給することで、母乳と同様に便の性質を整えられるとしています。

オリゴ糖は過剰摂取で、逆に胃腸症状が起こることがありますが、1日12g以下なら起こる可能性は少ないので、「普段の食生活を砂糖からオリゴ糖に切り替える」だけでも効果は出てくるかもしれませんね。

(参照:eヘルスネット「オリゴ糖」
(参照:Scand J Food Nutr. 2007 Jun; 51(2): 62–66.

便秘でオススメの食べ物 その⑥:果物

果物も食物繊維も豊富で水分を多く含むものも多くあり、便秘解消にオススメな食材の1つ。特にキウイフルーツ・リンゴ・ナシ・ぶどう・ブラックベリーやラズベリー・プルーンなどが便秘に対して有用とされています。

上記に挙げた果物はどれもオススメですが、その中でもプルーンとキウイフルーツはそれなりに臨床研究でも証明されています。

キウイフルーツの摂取と過敏性腸症候群の関係を調べた論文によると、1日あたり2個のキウイフルーツを4週間摂取した方は、対照群と比べて、毎週の排便回数が増え、腸を通過する時間も短縮することが分かっています。また、2022年の複数の論文を検証したレビュー論文でもキウイの摂取により上部消化管の症状(消化不良や腹痛など)の症状が改善することが報告されました。

また、プルーンについても60歳以上の女性の便秘症を対象とした論文で、3週間にわたり50gずつプルーンを摂取すると、介入後1週目の終わりから3週目の終わりまで、便秘の重症度が低下したと報告しています。1週目から改善したということで、プルーンは比較的即効性のある対策といえますね。

(参照:Asia Pac J Clin Nutr. 2010;19(4):451-7.)
(参照:Adv Nutr. 2022 May; 13(3): 846–856.)
(参照:Bali Medical Journal. Vol. 7 No. 1. 2018)

まとめ ~まずは医療機関にご相談を~

いかがでしたか?便秘を解消する食材を中心にいくつか紹介させていただきました。これ以外にもいろいろあるのですが、患者さんの状態にも異なりますし、おってご相談いただけたらと思います。

またつらい便秘症状を治すには?便秘の原因や解消法について解説でも解説しましたが、便秘の中には「隠れ疾患」があり検査が必要なものもありますし、生活習慣だけではなかなか改善されない場合もあります。

その際には、それぞれの方にあった薬物療法を行ってまいりますので、どうぞ気軽にご相談ください。

【この記事を書いた人】 
一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。

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