世界で流行しており、日本でも感染拡大が懸念されている「はしか(麻しん)」。
はしかは、非常に感染力が強いことで知られるウイルス性の感染症です。日本は長年のワクチン接種の取り組みにより、2015年に世界保健機関(WHO)から「はしか排除状態」にあると認定されました。しかし、海外からの輸入感染をきっかけとした局地的な流行は今も時折起きており、決して過去の病気とは言えません。
「自分は子どもの頃にワクチンを打ったから大丈夫」と思っている方も多いかもしれません。しかし、時間の経過とともに免疫が弱まっている可能性もあるのです。
そこで、麻しんに対して十分な免疫があるかどうかをチェックすることができるのが「抗体検査」です。
今回は、麻しんの抗体検査の具体的な方法や費用・基準値について解説していきます。
麻しんの症状や麻しん風しんワクチンの効果については
もあわせて参照してください。
はしか(麻しん)の抗体検査とは?

はしか(麻疹)の抗体検査とは、過去にウイルスに自然感染したり、予防接種を受けたりしたことで、体の中に「はしかウイルス(麻疹ウイルスと戦うための力(特異的抗体)」が残っているかどうかを、血液検査で調べる検査です。
私たちの体は、ウイルスなどの外敵に出会うと「抗体」というタンパク質を作って対抗しようとします。 感染してすぐの時期には「IgM(アイジーエム)抗体」というものが作られますが、これは数週間から数ヶ月で体から消えてしまいます。
その後、より強力で長持ちする「IgG(アイジージー)抗体」が作られ、これが血液中に長期間とどまることで、次に同じウイルスが入ってきたときに発症を防いでくれます。
一般的な健康診断や医療機関で行われるはしかの抗体検査では、この「IgG抗体」の量を測定して、将来ウイルスに出会った際に身を守れるだけの十分な免疫(液性免疫)があるかを判定しているんですね。
では、実際、私たちの体の中にはどれくらいあるのか。結論から言うと「日本国民全員が100%十分抗体がある」とはいえない状況です。
2022年~2024年に行われた麻しんに対する抗体検査(PA法)の状況を見たグラフによると、
- 16倍以上の必要最低限に麻しんに対して抗体がある人の割合:95.6%
- 128倍以上の発症を抑えるのに抗体を持っている人の割合:85.7%
となっています。裏を返すと、残り4.4%、つまり25人に1人くらいは必要最低限の抗体をもっていないことがわかりますね。特にグラフからは10代の方と70歳以降の方の抗体が落ちかけているのが目立ちます。
麻しんには現在有効な治療薬があるわけではありません。そのため、はしかが流行する前に、特に抗体検査で抗体価が少ない方を対象にワクチン接種をすすめる動きが出てきています。
(参照:Risk Assessment for Measles – Japan, March 2024)
はしか(麻しん)の抗体検査の基準値は?

では、実際に検査を受けると、どのような数値で結果が出るのでしょうか。
実は、はしかの抗体を測る方法にはいくつか種類があり、それぞれで数え方(単位)や基準となる数値が全く異なります。現在、日本のクリニックや健診施設で最も広く使われているのは「EIA(酵素免疫測定法)法」という方法です。自動化しやすく、客観的な数値が早く出るというメリットがあります。
他にも、「PA(ゼラチン粒子凝集)法」や「HI(赤血球凝集抑制)法」、「NT(中和試験)法」といった検査方法があります。それぞれの検査方法における、発症を防ぐための基準値の目安は以下の通りです。
- EIA-IgG法(単位:EIA価)
- 陰性:2.0未満
- 十分な抗体がない:2.0~15.9
- 十分な抗体がある:16以上
- PA法(単位:希釈倍数)
- 陰性:16倍未満
- 十分な抗体がない:16倍、32倍、64倍、(128倍)
- 十分な抗体がある:128倍、256倍以上
- HI法(単位:希釈倍数)
- 陰性:8倍未満
- 十分な抗体がない:8倍、16倍、32倍、64倍
- 十分な抗体がある:128倍
- NT法(単位:希釈倍数)
- 陰性:4倍未満
- 十分な抗体がない:4倍
- 十分な抗体がある:8倍以上
このように、たとえば同じ「16」という数字が出たとしても、EIA法なら「十分な抗体がある」となりますが、PA法やHI法では「不十分」と判定されてしまいます。ご自身の検査結果を見る際は、「どの検査方法で測った数字なのか」を必ずセットで確認することが大切ですね。
当院では、感度がもっともすぐれていることから、主に「EIA-IgG法」を採用しています。
はしか(麻しん)の抗体検査の費用は?

はしかの抗体検査は、明らかな症状があって医師が診断のために行う場合を除き、「免疫があるか確認したい」「就職や留学のために必要」といった目的で行う場合は、公的医療保険が使えない「自費診療」となります。
具体的には以下の通りです
| はしか(麻しん)の抗体検査費用(税込) | 3,500円 |
風しんやムンプスなどのほかの検査を組み合わせる場合は、セット料金で安くなるので、スタッフにお声がけください。
日数は5~7日くらいかかります。結果は来院して説明の上でお渡ししております。水痘や風疹の抗体検査なども一緒に受けることも可能ですので、一緒に受けたい場合はおっしゃってください。
検査の結果、抗体が足りずに追加のワクチン(MRワクチンなど)を打つことになった場合の費用も、原則として全額自己負担となります。MRワクチンの費用は1回10,000円となります。
費用はかかってしまいますが、ご自身の健康を守るため、そして周りの大切な人にうつさないためにも、過去の母子手帳を確認したり、不安な場合は一度医療機関で相談してみることをお勧めします。
【この記事を書いた人】
一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。



















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