こんにちは、一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介です。突然ですが、
- 季節を問わず鼻水や目のかゆみがでてしまって困る
- 毎回、虫刺されの時期でもないのに、ブツブツした赤みとかゆみがでる
- 咳が夜中を中心に出て、特に実家など特定の場所にいくとさらに悪化する
という方はいらっしゃいませんか?もしかしたらその症状、ダニ刺されによるアレルギー反応かもしれません。今回はダニ刺されの具体的な症状の特徴や治療、ダニ対策について解説していきます。
大まかな解説動画もあるので、参考にしてください。
ダニ刺されの症状の特徴は?

ダニ刺されとは、文字通り「ダニに刺されて生じる虫刺され様の皮疹」のこと。通常、ダニ刺されの症ダニ刺されの症状は、ダニの種類や刺された方の免疫の状態によっても変わってきますが、最も共通している大きな特徴は、境界がはっきりした赤いしこり(紅斑性丘疹)ができることと、強烈なかゆみを伴うことです。
マダニや疥癬(かいせん:ヒゼンダニというダニが皮膚に寄生する病気)の場合は全身に症状が広がることがありますが、一般的な室内のダニ刺されは、首や腕、お腹など、衣服から露出している部分や皮膚の柔らかい場所に集中しやすい傾向があります。
実際、アメリカで行われたダニの大量発生に関する疫学調査(平均年齢39歳)によると、ダニに刺された場所として最も多かったのは首(48パーセント)で、次いで腕(37パーセント)でした。また、同調査では、患者さんの77パーセントが「境界がはっきりと盛り上がるような単発のしこり」ができていると報告しています。
ブツブツが一つ一つ独立していて、くっついて大きく腫れ上がったり膿んだりすることは22パーセント未満と比較的まれであることもわかっています。多くの場合、適切な処置をすれば62パーセントの方が1日から7日以内に改善に向かうといわれています。
しかし、実際は環境を整えない限り何回も刺されることも多く、1カ月以上繰り返してしまうということもよくありますね。
主にダニ刺されは室内で起こることが多く、代表的な室内ダニは「イエダニ」と「ツメダニ」です。
- イエダニ: 体長0.8mm前後のダニです。室内ではネズミや鳥類に寄生していますが、ヒトも吸血することがあります。古い一戸建てでネズミが生息するような家では被害が出やすいとされています。夏場に繁殖時期を迎えます。
- ツメダニ: 体長0.6mm前後のダニです。ヒョウヒダニやコナダニなどを捕まえて生息するダニですが、夜間就寝中にはい出て、傷口から唾液を入れ、人の体液を吸います。建築後2年~3年経過した家屋や新しい畳などで、ヒョウヒダニやコナダニが大発生すると、ツメダニも大発生する場合があります。
意外と患者さんと医療者との意識のずれが大きいのが「ダニ刺され」で、「これってダニかな?」と患者さんが思って受診しても実際に見ると違っていることがよくあります。
また特殊なダニとしてマダニと疥癬があり、通常のダニとは治療方法が異なるので注意が必要です。(マダニについてはマダニに刺されたら?マダニの大きさから症状・マダニ対策について解説)
(参照:日本皮膚科学会「ダニに刺されたらどうなりますか?」)
(参照:CDC「Outbreak of Pruritic Rashes Associated with Mites — Kansas, 2004」)
ダニ刺されの薬や市販薬は?

ダニ刺されの症状は、一般的な蚊などの虫刺されと比べて炎症やかゆみが非常に強いため、お薬選びには少し注意が必要です。治療の基本は、かゆみと炎症を抑える対症療法と、ダニそのものを退治する駆虫療法に分けられます。
まず、局所の強い炎症やかゆみを抑えるためには、ステロイドの塗り薬(外用ステロイド薬)が第一選択となります。軽症であれば、市販されている低力価のステロイド軟膏などで一時的にかゆみを和らげることができるかもしれません。
しかし、ダニの唾液に対する強いアレルギー反応が起きている場合、市販薬ではなかなか効かないことが多く、皮膚科で処方されるストロングクラス以上の少し強めのステロイド軟膏が必要になることが一般的です。
また、塗り薬だけでなく、かゆみを抑える飲み薬(経口抗ヒスタミン薬)を併用することも非常に効果的です。強烈なかゆみで夜眠れないといった症状を改善してくれます。
インドのパスツール研究所で行われた熱帯ネズミダニに関する研究では、抗ヒスタミン薬を飲んだグループは3日から5日以内に赤いブツブツやかゆみが消えたのに対し、無治療のグループでは治るまでに7日から10日もかかったというデータがあります。お薬を早く使うことで、つらい期間を半分に減らせる可能性があるのですね。
軽度ならいいのですが、全身に及ぶ場合には検討してもよいと思います。
さらに気をつけていただきたいのが、かゆみに耐えきれずに皮膚をかきむしってしまうことです。かき壊した傷口から細菌が入り込むと、とびひ(伝染性膿痂疹)や化膿を引き起こしてしまいます。もし浸出液(ジュクジュクした液)が出ていたり化膿していたりする場合は、ステロイドの塗り薬だけでは悪化してしまう危険があるため、抗菌薬(抗生物質)の塗り薬や飲み薬に切り替える必要があります。
なお、疥癬(ヒゼンダニ)やマダニといった特殊なダニの場合は、これらのお薬では治りません。ダニそのものを退治するために、イベルメクチンという専用の飲み薬を使ったり、マダニが媒介する感染症を防ぐために「テトラサイクリン系」とよばれる抗生剤を使用する場合があります。
詳しくはマダニに刺されたら?マダニの大きさから症状・マダニ対策について解説を参照してください。
ダニ刺されで「じんましん」は出る?

患者さんからよく、「ダニに刺されてじんましんが出た気がするのですが、本当に出るのですか?」というご質問をお受けします。結論からいう、一般的な急性じんましんとは少し違うのですが、「丘疹性蕁麻疹(きゅうしんせいじんましん)」と呼ばれる、虫刺され特有のアレルギー反応を引き起こすことがわかっています。
ダニが血を吸ったり刺したりする時に皮膚に注入される唾液成分に対して、私たちの免疫系が過剰に反応(感作)することでこの丘疹性蕁麻疹が起こります。
通常の急性じんましんは、皮膚が赤くふくらんでも24時間以内には跡形もなく消え、また別の場所に移動するという特徴があります。しかし、ダニ刺されによる丘疹性蕁麻疹は、数日から数週間にわたって同じ場所に留まり続けるのが大きな違いです。頂点に小さな水ぶくれ(小水疱)ができることもあり、かきむしることで治った後にも茶色いシミ(色素沈着)やカサブタを残しやすいのも厄介な点です。
そして、近年のアレルギー研究で非常に重要なことがわかってきました。この丘疹性蕁麻疹は、単なる虫刺されの反応ではなく、その方のアレルギー体質(アトピー素因)と深く関わっているという事実です。
ある小児患者130名を対象とした研究データによると、丘疹性蕁麻疹と診断されたお子さんの最大30パーセントに、明確なアレルギー体質があることが判明しました。同じ年齢の健康なお子さんと比較したところ、気管支喘息(ぜんそく)やアトピー性皮膚炎といったアレルギー疾患を合併している確率が統計学的にも明らかに高かったのです。
つまり、ダニ刺されに対して異常に強い反応が出てしまうお子さんは、気管支や皮膚のバリア機能も弱まっている可能性が高いと考えられます。もしお子さんがダニ刺されでひどく腫れ上がったり、何度も繰り返したりする場合は、皮膚の治療だけでなく、喘息やアレルギー性鼻炎が隠れていないかどうかも含めて、総合的に診ていくことが大切になってきますね。
(参照:Urticaria and other mimickers of urticaria)
(参照:Prevalence of atopic diseases in children with papular urticaria)
ダニ刺されで自分で治らない時は皮膚科に受診をしてください

「ただの虫刺されだから」と市販薬で様子を見ていても、いっこうに良くならない時は、なるべく早めに皮膚科を受診してください。実は、ダニ刺されの診断は専門医でも非常に難しいケースがあり、思わぬ誤診の罠が潜んでいることがあるからです。
2024年に中国から報告された医学論文に、大変興味深く、かつ教訓となる症例が掲載されていました。70歳の女性が「全身が激しくかゆく、虫が這っているような感覚がある」と訴えて複数の病院を受診しましたが、日中の診察時には皮膚に虫の姿が見当たらなかったため、精神的な思い込みによる「妄想性寄生虫体感症(もうそうせいきせいちゅうたいかんしょう)」と誤診されてしまっていたのです。
しかし、その後の詳しい診察で、患者さんの衣服を払った際に偶然ダニの姿が顕微鏡で確認され、実は熱帯ネズミダニによる被害であったことが判明しました。イエダニなどの吸血性のダニは、夜間に血を吸う時以外は人間の体から離れて部屋の隅などに隠れてしまう性質があります。そのため、昼間に病院を受診して皮膚をこすったり拡大鏡で見たりしても、ダニそのものを見つけることはほぼ不可能なんですね。
こういった見逃しを防ぐために、最近の医学研究では自宅でできる2つの確認方法が推奨されています。
- 粘着テープ法:夜寝ている時などに「チクッ」としたり不審なものを感じたりしたら、ご自身で透明なセロハンテープをその場所や衣服にペタッと貼り付けてみてください。それを病院に持参して顕微鏡で見てもらうことで、ダニを発見できる確率が劇的に上がります。
- 下着の血痕の確認:血をたっぷり吸って大きくなったメスのイエダニは、寝返りを打った時などに潰れてしまうことがあります。その時に下着やシーツにポツッとした微小な血のシミがつくことがあります。
もし、しつこいかゆみが治らない場合は、こうしたサインがないか確認し、皮膚科医にご相談いただければと思います。また、次のような
- 自分の皮膚症状がダニ刺されかはっきりしない時:意外とヘルペスや帯状疱疹などの感染症や別の症状だった…ということもよくあります。
- ダニ刺されの腫れが強い時:通常ダニ刺されで使用される薬は、市販薬よりも強い薬を使用することが多く、かゆみで掻きこわし自分で悪化させてしまうケースをよく経験します。
- 特殊のダニ刺されが疑われる時:特にマダニや疥癬などの場合は、抗生剤や駆虫薬など早急な治療が必要であり、マダニの場合は実際に取り除く処置が大切になります。(自分でマダニをとろうとしては、本当にいけません)
また、ダニ刺されの跡に対しても当院ではフォローさせていただきながら、個別に治療しております。
いずれにせよ、ダニ刺されの薬による治療は現在の皮膚症状を抑えているだけです。何より大切なのは、繰り返さないように、後述するダニ退治(ダニ対策)をしっかりすることが大切です。
(参照:Ornithonyssus bacoti Dermatitis Incorrectly Diagnosed as Delusional Parasitosis)
ダニ刺されの対策は?ダニ退治の方法について

日本アレルギー学会による「ダニアレルギーにおけるアレルゲン免疫療法の手引き」では、下記が推奨されています。(原文から一部加筆)それぞれのライフスタイルもあるので全て実行するのは難しいこともありますが、できる範囲で行うとよいでしょう。
- 常に室内を清潔にし、ダニが繁殖しやすい環境(室内温度25℃以上、相対湿度60%以上)を避け、室内の清潔や通気を心がける。:ある研究で、マットレスに対して毎日掃除機掛けを8週間継続したところ、ダニのアレルゲンやハウスダストが約70~85%も減少したことが確認されています。
- ダニが繁殖しやすい絨毯や布製ソファなどの使用は避け、フローリングの床が望ましい。
- 床や畳の掃除機かけは、1回20秒/m2の時間をかけて毎日行うことが望ましい。
- 寝具の管理は重要であり、寝具への掃除機かけは、20秒/m2の時間をかけて週1回以上行う。シーツや寝具はこまめに交換や洗濯することが望ましい。
- 優れた品質の防ダニシーツの効果はある程度望めるが、殺ダニ剤の使用は推奨されない。
- 年1回は室内の徹底した大掃除が必要である。
- 室内ペット(犬、猫、うさぎ、げっ歯類など)飼育は、ペットアレルゲンの新規感作やダニアレルゲンの増加をもたらすため避ける。
他には、
- お部屋の湿度(相対湿度)を常に35~50%の範囲に保つ:特に5月から10月にかけて、室温が25度を超え、湿度が60%以上になると、ダニは爆発的に増殖してします。
- ダニのエサになる「フケ」「アカ」「食べ残し」などを放置しない
- イエダニの場合はネズミの駆除を行うこと(ネズミが媒介者になるため)
- ダニは50℃以上10~20分処理すると死滅するため、寝具を乾燥機にかけお風呂で熱消毒する:韓国の大学で行われた洗濯の温度に関する研究によると、普段の洗濯でよく使われる30度から40度の水温では、ダニはわずか6.5パーセントしか死滅せず、ほとんどが生き残って再繁殖してしまうことがわかっています。水で洗い流すだけではダニは退治できません。
- パジャマや寝衣を毎日交換する
- (疥癬の場合)入浴時のタオルなど肌に直接ふれるものは自分だけで使用する
- (疥癬の場合)入浴の際は手足の指の間や外陰部も丁寧に洗う
なども大切です。特にダニが繁殖しやすい5月~10月には特に気を付けたほうがよいですね。患者さんのライフスタイルに合わせて個別にアドバイスしますので、ぜひご相談いただけたら幸いです。
(参照:Daily Vacuuming of Mattresses Significantly Reduces House Dust Mite Allergens, Bacterial Endotoxin, and Fungal β-Glucan)
(参照:Optimal conditions for the removal of house dust mite, dog dander, and pollen allergens using mechanical laundry)
【この記事を書いた人】
一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。
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更新履歴
- 5月26日:内容について見やすくなるように大幅改訂



















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