チョコレートの効果と効能について解説【勉強・ストレス】

特に冬だと恋しくなるのがチョコレート。バレンタインデーやホワイトデーにチョコレートをシェアされる方も多いのではないでしょうか。

実は、チョコレートは軽食としても非常に優秀な食材の1つ。勉強やストレスに対する効果をはじめ、認知機能の向上や血圧や動脈硬化に対する効果にも優れているのです!

しかし、ときに逆効果になるので、種類や食べ方にも注意しなければならない点があります。

今回は、そんなチョコレートの効果・効能についてみていきましょう!

チョコレートとは?

チョコレートとはカカオの種子を発酵・焙煎した「カカオマス」に砂糖・ココアバター・粉乳などを練り混ぜたお菓子のこと。

カカオ豆は発酵・乾燥・焙煎を経てカカオマスとなり、さらにカカオバターや砂糖、乳成分を加えることでさまざまな種類のチョコレートが作られます。

一般的に、チョコレートは以下の種類に分類されます。

  • ダークチョコレート:カカオ成分が多く、糖分や乳成分が少ない。ポリフェノールを豊富に含み、もっとも健康効果が期待される。
  • ミルクチョコレート:カカオマスにミルクを加え、まろやかな味わいにしたもの。
  • ホワイトチョコレート:カカオバターを主成分とし、カカオマスを含まないため、チョコレートの中では異なる風味を持つ。
  • ルビーチョコレート:特別な製法で加工されたカカオ豆から作られ、ピンク色をしており、フルーティーな風味が特徴。

チョコレートには、カカオ由来のポリフェノールやテオブロミン、マグネシウムなどの成分が含まれており、これらが健康や脳の働きに良い影響を与えることが研究で明らかになっています。

チョコレートはストレスに対して効果的

さて、チョコレートって、夕方ストレスがたまったときに食べたくなりますよね。実はチョコレートがストレスを和らげる効果があることは、医学論文でも証明されているのです!ここでは2つの研究結果をご紹介します。

① ダークチョコレートとうつ症状の関連性(米国の大規模調査)

アメリカで行われた 13,626人を対象とした大規模調査によると、ダークチョコレートを摂取している人は、うつ症状を抱えるリスクが有意に低いことが分かりました。

この研究では、参加者の食事データと、うつ症状の有無を評価するPHQ-9(患者健康質問票)を用いて、チョコレートの摂取と気分の関係を調査しました。その結果、ダークチョコレートを食べていた人は、まったく食べていなかった人に比べて、うつ症状を抱える可能性が約70%低かったのです。一方で、ミルクチョコレートやホワイトチョコレートの摂取は、うつ症状に対して特に影響を与えないこともわかっています。

また、摂取量別に分析したところ、1日104~454gのチョコレートを摂取している人は、うつ症状を抱える可能性が57%低いという結果になりました。

普段からうつっぽくなりやすい人はチョコレートを習慣にするとよいかもしれませんね。

② 医学生を対象にしたストレス軽減効果の研究

もう一つの研究では、医学部の学生60名を対象に、2週間にわたるチョコレート摂取の影響を調べました。参加者は以下の3グループに分けられました。

  • ダークチョコレート(DC)グループ
  • ミルクチョコレート(MC)グループ
  • ホワイトチョコレート(WC)グループ

全員が 1日40gのチョコレートを食べ、摂取前後でストレスレベルを測定しました。その結果、ダークチョコレート(DC)とミルクチョコレート(MC)のグループでは、ストレススコアが有意に低下したことが確認されています。特に、女性がチョコレートでストレスが下がりやすいことがわかりました。

具体的には、ダークチョコレートを食べた人は平均2ポイント、ミルクチョコレートを食べた人は平均3ポイントのストレス軽減 が見られました。一方で、ホワイトチョコレートを食べたグループでは有意な変化は見られませんでした。

チョコレートに含まれる カカオポリフェノールやテオブロミン、マグネシウム などの成分が、脳内の神経伝達物質(セロトニンやドーパミン)に良い影響を与えるためだと考えられているので、多少カカオの成分が入っている方がよいでしょうね。

(参照:Effects of chocolate intake on Perceived Stress; a Controlled Clinical Study
(参照:Is there a relationship between chocolate consumption and symptoms of depression? A cross-sectional survey of 13,626 US adults

チョコレートは勉強に対しても効果的

勉強のおともにチョコレートという方もいるでしょう。実際に、勉強にチョコレートはかなり理に適っていて、チョコレート、特に カカオポリフェノールを豊富に含むダークチョコレートは、脳の認知機能を向上させる可能性があると報告されています。

2023年に日本で発表された研究では26人の健康な中年成人を対象に、カカオポリフェノールを 低濃度(LC: 211.7 mg)高濃度(HC: 635 mg) の 25gのダークチョコレートを食べてもらい、チョコレート摂取後 25分後と50分後に、脳をフル活動させるような集中力を要する課題を行ってもらいながら、認知課題中の脳活動をfMRI(機能的磁気共鳴画像法)で測定しました。

結果、高濃度カカオポリフェノール(HC)チョコレートを食べると、脳のエネルギー効率が向上して脳の負担が軽減しやすいことがわかったのです。

特に左背外側前頭前野と左下頭頂小葉 という部分の活動が セッション2(50分後)では低下し、脳の負担が減少しました。逆に低濃度カカオポリフェノール(LC)チョコレートを摂取した場合は、逆にセッション2で脳活動が増加し、より多くのエネルギーを消費していました。

つまり、勉強の最中にはダークチョコレートが有用ということがわかりますね。

特に「勉強するとすぐ脳が疲れる」という人はダークチョコレートを取り入れてみるとよいのではないでしょうか。

(参照:Cacao Polyphenol-Rich Dark Chocolate Intake Contributes to Efficient Brain Activity during Cognitive Tasks: A Randomized, Single-Blinded, Crossover, and Dose-Comparison fMRI Study

他にもチョコレートはこんな様々な効果が確認されている

(2009年 Circulationより転載)

チョコレートに対する効果は勉強やストレスだけではありません。

チョコレートに含まれている「カカオポリフェノール」という抗酸化物質は、血圧や動脈硬化、糖尿病、肥満に至るまで多くの良い点があることが知られています。

例えば、ポリフェノールのよって内皮型NO合成酵素という血管を拡張させる酵素が活性化します。さらに、血栓症の原因となる血小板の反応を抑えたり、糖尿病の原因となるインシュリン感受性の低下を防止する役目もありますね。

こうしたチョコレートの血管に対する効果は多くの臨床試験でも実証されています。例えば以下の通りです。

  • 血圧が低下する1297人に及ぶ42のランダム化試験から、チョコレートとココアの接種が収縮期や拡張期血圧を低下させることが示唆されています。
  • 血管機能も改善若くて健康な成人が20gの高カカオ(90%)チョコレートを30日間摂取すると血圧低下とともに、血管機能が改善することが報告されています(詳細はこちら
  • 心筋梗塞のリスクも低下スウェーデンの研究ではチョコレートの消費量(週3~4食分以上)と心筋梗塞や虚血性心疾患のリスク低下を関連性が高いとしています。(詳細はこちら
  • 脳卒中の防止にも: 男性と脳卒中のリスクを調べた論文では、カカオポリフェノールの定期的な摂取は、脳卒中のリスクを下げることが示唆されています。この論文ではダークチョコレートとミルクチョコレートで差はありませんでした。
  • 糖尿病の発症が下がる: 若くて正常な体重の男性の健康調査では、チョコレートの消費が多いほど、糖尿病の発症が低くなりました(詳細はこちら
  • 妊娠糖尿病のリスクも下がる日本人妊婦を対象とした研究でも、過去12か月のチョコレートの消費量が最も高い方が妊娠糖尿病のリスクが低いことが示されています。
  • 肥満の方にも有用な可能性メタアナリシスの一部の解析では、1日30gのダークチョコレートを4週~8週間摂取すると、体重とBMIの低下する可能性があるとしています。
  • 脂質異常症にも有用:ダークチョコレートとココアの消費で「悪玉コレステロール」といわれるLDLコレステロールを5.9mg/dl(10.47~1.32mg/dl)下げるることが示唆されています。(HDLと中性脂肪は変化なし)(詳細はこちら

しかし「チョコレートを大量に食べればよい」というわけでもありません。20,992人を対象にした研究では、チョコレートの大量摂取(最大1日100g)をとっても心不全の発症を抑えることはできませんでした。その背景として、チョコレートに含まれる砂糖の消費量の増加が悪影響であるとしています。

別の論文では、心血管系リスクに対してチョコレートの効果を高めるのに最も適切な用量は週45gであったとしています。(週100g以下からリスク低下の可能性あり)

複数の論文から「ダークチョコレートのほうが望ましい」とコメントされており、カカオポリフェノールの含有量や砂糖の量も考慮すると、ダークチョコレートのほうがよいといえるでしょう。

チョコレートを食べる時の注意点は?

ただし疾患によってはチョコレートが悪影響を与えたり、食べ方によってはせっかく体にいいチョコレートの健康効果を損なってしまう恐れがあります。例えばこんなことに気を付けましょう。

① 食べ過ぎ

ついつい美味しくて食べ過ぎちゃうこと…ありますよね!けど、食べ過ぎは禁物。多くの論文でも食べ過ぎると、先ほどの健康も失われてしまうばかりか、太ってしまうことも。論文によってまちまちですが、多くても週100gか1日20~25gくらいにとどめておいた方がよいでしょう。

特に糖度が多いものは虫歯の原因にもなりますし、注意が必要ですね。

② 片頭痛の方は要注意

カカオに含まれるカカオのチラミン、ヒスタミン、およびフェニルアラニンの含有量が原因で、チョコレートを定期的に食べると片頭痛が悪化する可能性があります。ただし、全員がチョコレートが原因で片頭痛になるわけではない(詳細はこちら)ので、もしチョコレートで片頭痛が強くなるようでしたらやめておいた方がよいでしょう。

片頭痛の方がほかに気を付けなければならないポイントは片頭痛の治し方は?原因や予防薬・対処法についても解説にも記載していますので、参考にしてください。

③ 金属アレルギーの方も要注意

チョコレートにはニッケルや亜鉛・マンガンなどの重金属が多く含まれています。金属アレルギーをお持ちの方は、成分を確認の上、摂取を控えたほうがよい可能性がありますね。

代表的な金属アレルギーについては、パッチテストで検査することができます。詳しくは【金属アレルギー】パッチテストの方法や費用と検査項目について解説を参照してください。

④ カフェインの量にも要注意

チョコレート(特にダークチョコレート)は、多くのカフェインも含まれています。ダークチョコレートの場合、100g中カフェインが80mg程度含まれています。

不眠症の方は、午後3時以降くらいからはカフェインの摂取を控えたほうがよいので、午後の食べ過ぎには気を付けないといけません。アメリカでは健康な成人では400㎎まで妊娠中の方はカフェインの摂取を1日200mgまでにすることが推奨されますので、やはり食べ過ぎには注意ですね。

まとめ:チョコレートの最適な量と食べ方は?

いかがでしたか?チョコレートにまつわる医学的な健康効果について検証してみました。まとめると医学的に見れば

  • チョコレートはストレスや勉強のお供にも最適だが、カカオマスの効果によるもののため、ダークチョコレートが効果的
  • チョコレートはポリフェノールを中心とした成分により、血圧・動脈硬化・脂質異常症など多くの健康効果が認められている
  • ただし、食べる量や種類に気を付ける。なるべく「ハイカカオなもの」「砂糖が少ないもの」「1日20g程度を目安にチョコっと食べ」がおすすめ。
  • ハイカカオでも、一部の方には有害になる恐れがあるので、ご注意を

ということになります。みなさんもチョコレートを上手に活用して、素敵な1日をお過ごしくださいね!

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【この記事を書いた人】 
一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。

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