こんにちは、一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介です。
- 胃腸の調子がいつもより悪いと感じる
- 胃腸炎になった時にどんな食事をとればよいかわからない
など、いざ胃腸の不調が起こった時、食事について心配になりますよね。今回は、胃腸が悪い時に食べる「胃腸にやさしい食べ物」について、子供にも外食でも使えるものを厳選してお答えしていきます。
なお感染性胃腸炎に関しては、感染性胃腸炎は何日で治る?胃腸炎の症状や原因・食事についてを参照してください。
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胃腸炎でおすすめな「やさしい」食べ物は?
胃腸炎や胃腸が悪い時におすすめされる「やさしい食べ物」は「あたりさわりのない食べ物」「電解質」「お茶」「ヨーグルト」「水分の多い果物」などになります。それでは順番にみていきましょう。
① 「あたりさわりのない」食べ物(Bland Diet)をとる
胃腸炎の食事内容に関する論文によると、以下の食事が「Bland Diet(当たり障りのない食事)」として提唱されています。Bland Dietとは
- 口当たりがよいもの
- 味がうす味で辛くないもの
- 食物繊維の割合が低いもの
- 調理されており、やわらかいもの
が特徴になります。具体的には次のとおりです。
- 低脂肪の乳製品
- 卵
- スープ(コンソメスープやミネストローネなど)
- プリン
- 豆腐
- 赤身の肉(皮のない鶏肉、魚など):ただし十分加熱し細かく刻み食べやすくする必要あり
- ほうれん草・じゃがいも・リンゴ・にんじん・豆などを加熱処理したもの
こちらは西洋の論文になるので、上記の条件にあてはまる日本の食べ物なら、例えば以下も該当しますね。
- うどん
- おかゆやおじや
- うす味のすまし汁や鍋
(参照:Sara-Bethany S. Bland Diet. Statpearls)
さらに胃のむかつきや下痢のある成人や子供には当たり障りのない食事の一環として、「バナナ」「白米」「リンゴ」「トースト」のみを食べる食事方法「BRATダイエット」を推奨する論文もありますが、科学的根拠に乏しく微量栄養素に乏しいため、過剰に食事制限する必要はありません。
上記を参照していただきながら、自分が食べられるものを少しずつ食べることが大切です。
(参照:The BRAT diet for acute diarrhea in children: Should it be used?)
② 水分と電解質を補う(塩分など)
胃腸炎や胃腸の調子が悪い時に吐いてしまったり、下痢をしてしまうと、水分とともに多くの電解質が失われてしまいます。失われた水分量は想像以上のもの。そのため、電解質を含む水分をとると脱水症状が期待でき、胃腸にも負担をかけません。
もしご自宅で経口補水液を作るのでしたら、500mlペットボトルの水に砂糖20g(大さじ2杯-3杯程度)塩1.5g(親指と人差し指でひとつまみ程度)を混ぜると完成します。
特に高齢者や重度の免疫力が低下している方、脱水症状のある方はこまめに飲むとよいですね。
ただし、大切なのは「少しずつ小分けにして飲むこと」と「冷やしすぎないこと」。一気に飲むと胃腸に負担をかけてしまいますし、冷やしすぎると胃がビックリしてしまいます。
なので、経口補水液も常温にしておいた方が望ましいでしょう。
(参照:Rehydration Project)
③ 甘いものなら果物をとる
胃腸の調子が悪い時も「甘いものが食べたい」という方もいるでしょう。そのような場合は、果物をとるのがおすすめです。精製されている砂糖の多い食べ物は、胃腸の負担を増やすので、それなら果物の方が胃腸に負担がかかりにくいです。例えば以下の食べ物は、水分量が多くおすすめです。
- スイカ:スイカの91.5%は水分です
- いちご:いちごの90.5%は水分です
- メロン:マスクメロンの場合、全体の90.2%が水分になります
しかし、フルーツジュースは糖度も高いものが多く、オススメできません。できるだけ生に近いものを選ぶようにしましょう。
④ お茶を飲む
ある特定のお茶をとることは胃腸炎の方にはよいのではとするいくつかの論文があります。例えば、次のようなお茶です。
- 緑茶:緑茶が胃腸の荒れを抑えるという報告があります。例えば、42人の放射線治療後の急性胃腸合併症を評価した論文では、「高濃度カテキンの働きで下痢や嘔吐を予防するのに効果的である」としています。(参照:J Res Med Sci. 2014 May; 19(5): 445–450.)
- ジンジャーティー:「生姜がつわりや手術後の吐き気などに有用である」とする論文があります。おそらく生姜が吐き気を促す神経伝達物質「5-HT3」の働きを抑えるためだと考えられています。(参照:GASTROINTESTINAL SYMPTOMS)
- ペパーミントティー:別の論文では、ペパーミントティーが吐き気と嘔吐のは発生率を減らしたと報告されています。最終的な吐き気止めの量も減らしたとのことです。(参照:J Altern Complement Med)
⑤ ヨーグルトや乳酸菌など(プロバイオティクス)
プロバイオティクスとは、腸管にいる生きた微生物のこと。腸にはさまざまな種類の微生物がいて、腸の調子を整えてくれています。胃腸炎の時に処方してもらったこともあるのではないでしょうか。
研究でも、胃腸炎でのプロバイオティクスは吐き気や下痢の期間を短縮するという報告があり、決して「気休め」なものではありません。食べ物で補うと次のようなものです。
- 発酵食品
- 味噌
- ヨーグルト
しかし、腸内細菌の種類と個人的な相性もあるので、医師と相談しながら自分に合った菌を見つけられるとよいでしょう。
(参照:National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases)
胃腸炎で避けた方がよい食べ物は?
では、胃腸炎や胃腸の調子が悪いときに推奨されないものはなんでしょうか。例えば、胃腸炎の食べ物に関する論文では、次のようなものは避けるべきとされています。
- 揚げ物
- スパイス
- 種子やナッツ類
- 酸性の果物:ベリー、オレンジ、ライムなど、柑橘類は避けた方が無難です
- 全粒粉パンやパスタなど
- 赤身のない肉:牛肉・魚のフライ、皮付きの鶏肉
- 漬け物
- アルコール飲料
- 風味の強いチーズ
- 腸が膨らむような繊維質の多い野菜:キャベツ・カリフラワー・たまねぎなど
(参照:Sara-Bethany S. Bland Diet. Statpearls)
さらに、以下のような食べ物も胃腸炎や胃腸が悪いときにはオススメしませんので、注意してください。
- 紅茶やコーヒーなどのカフェイン飲料
- ソーダやコーラなどの糖質が多い飲み物
- 高脂肪の食べ物
- 辛い食べ物や甘味の強いもの、香辛料の多いもの
- (たばこ)
胃腸の調子が悪い時の「やさしい食べ物」についてのまとめ
胃腸の調子が悪いときの「胃腸にやさしい食べ物」について記載していきました。まとめると
- 水分や電解質をしっかりとること
- 「刺激の強くない」「繊維質の多くない」「調子されていてやわらかいもの」をとること
- 自分にあった「プロバイアティクス」を取り入れること
- お茶も胃腸炎に効果的な可能性があること
- 逆に上記に当てはまらない「高脂肪の食べ物」「糖質の多い食べ物」「繊維質の多い食べ物」に注意すること
といえます。あと気を付けていただきたいのが、「患者さんが胃腸炎と思っていても実は違っていた」ということもあるということ。実際、本当によく経験します。
もし胃腸炎だと思っても長引いている場合や、つらい場合は、医療機関への受診をお願いいたします。当院では患者さんの症例に合わせて食事のアドバイスも変えていますので、お気軽にご相談ください。
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【この記事を書いた人】
一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。
書かれていることは理解致しました。
しかしそれらの食品の食べる順序も
重要ではないかと思います。
例えば、ゆで卵、オートミール。
果物、パン、コーヒーというメニュー
の場合,どの食品から食べ始めるのが
良いか知りたいです。
ありがとうございます。記事の食事は「胃腸の調子が悪い時の食べ物」なので、あまり無理して消化吸収するのに時間がかかるタンパク質や逆流性食道炎の原因になるコーヒーなどはとらない方がよいでしょう。「普段の食事として、どの順番から食べれば胃腸の負担がすくないか」という問題については、また別記事であつかいたいと思っております。