【シミ治療薬】ハイドロキノンの効果や使い方・副反応について解説

  • シミ改善で内服をしていてもなかなか薄くならない
  • シミ治療でレーザーをしていたが、ぶり返してしまった
  • シミ治療は高額なものが多いので、手ごろな値段から試したい

などの方のご要望にお応えして、一之江駅前ひまわり医院では、シミ治療の塗り薬である「ハイドロキノン」「トレチノイン」を導入しております。(いずれも自費診療です)今回は、その中でハイドロキノンについて説明していきます。

シミとは?

シミとはもちろん俗称で「皮膚で作られる『メラニン』という色素が沈着したもの」の総称です。実際には、多くの原因や疾患で「シミ」が作られます。代表的なものが次の通りです。

  • 日光黒子: 主に紫外線が原因と言われており、日光に当たりやすい場所(頬・手・うで・背中)など)に多くできます。特に中年以降に増えやすく、淡褐色調のシミになります。別名「老人性色素斑」
  • 炎症後色素沈着:化粧品かぶれや湿疹の炎症が治る過程で生じる褐色調のシミのことです。炎症が生じれば出てくるので、発生する年齢などは関係ありません。ただし、年齢とともにターンオーバーが長くなりますので、年齢とともに徐々に薄くなりにくくなります。
  • 肝斑: 女性の顔に生じやすい左右対称にできるうす茶色のシミです。主な原因は女性ホルモンの乱れであり、30代後半~50歳くらいの女性にできやすいといわれています。妊娠中やピルの服用・レーザー治療で悪化することもあります。
  • 雀卵斑(ソバカス):直径数ミリ以下の丸い斑点のような茶褐色の小さな「シミ」です。白人に多く、遺伝性が強いのが特徴です。3歳ごろから出現し、思春期には目立つようになってきます。

他にも、シミと間違えやすい「脂漏性角化症」や「後天性真皮メラノサイトーシス」など多くの原因で「シミ」ができます。

シミができる原因は?

ではどうしてシミはできるのでしょうか。結論からいうと「メラニン色素のサイクルの乱れ」が主な原因です。

日焼けで黒くなることからわかる通り、本来メラニンは紫外線や外部の刺激から皮膚を守る役割があります。紫外線を含む様々な刺激が肌に加わると、刺激を緩和しようとして肌の「基底層」という表皮の奥の層からメラニンを作る細胞(メラノサイト)が活性化され、メラニンの生成が促されます。

つくられたメラニンはバリア機能を形成し、過剰に炎症させないよう(主に紫外線による)肌へのダメージを防ぎます。つまり、メラニンは炎症を起こした肌の2次災害予防の役目があり、肌にとっても大切な物質なのです

肌の基底層では常に新しい細胞が生み出されて、徐々に肌の表面に押し上げられてついには捨てられます。これを「ターンオーバー」といいます。メラニンを含む細胞も、この「ターンオーバー」の仕組みで体の外に捨てられるのですが、

  • メラニンを作る細胞が過剰に増殖してしまっている
  • ターンオーバーの乱れでメラニンの排泄が遅れてしまっている
  • 常に新しい炎症などが加わり、メラニンが作られるようになってしまっている

などの理由で、メラニンが皮膚に残ってしまう状態が続くことがあります。これが「シミ」としてみなさんを悩ませているわけですね。

ハイドロキノンの効果は?

ハイドロキノンは、一言でいうと「メラニン色素を作らせなくするぬり薬」の1つです。

ハイドロキノンの主成分であるヒドロキノンは、メラニン合成するのに必要なチロジナーゼという酵素の働きを抑えます。また、メラニン色素を作る「メラノサイト」の数を減らす働きをもあるといわれています。(詳細はこちら)こうした働きから、ハイドロキノンを「肌の漂白剤」という方もいますね。

もともとは医師の管理下でのみ使用されていましたが、2001年の薬事法の規制緩和により化粧品への配合ができるようになりました。

ただし、市販の化粧品は配合濃度が低いものが多いこと、副反応もでることがあることから、ハイドロキノンを効果的に使用するには、皮膚科のクリニックで処方されるものの方が「不測の事態」のためにもオススメです。

ハイドロキノンはどんな方に効果的?

前述の通り「シミ」といっても多くの原因があります。ハイドロキノンは主にメラニン色素の生成を抑える薬なので、例えば以下の方に効果的です。

  • 肝斑の方
  • 日光によるシミの方(日光黒子)
  • ニキビ跡で茶色くなった方
  • 湿疹やかぶれでできたシミ(炎症後色素沈着)

逆に脂漏性角化症や色素性母斑(ほくろ)・そばかす(雀卵斑)などで「シミ」になっている場合は、手術やレーザー・液体窒素などほかの治療法が有効なケースがあります。どのタイプのシミかによって治療方法が異なるので、事前に医師によるカウンセリングを受けていただくとよいでしょう。

ハイドロキノンの使い方は?

ハイドロキノンは色素脱失剤として、特にシミがあるところだけに使用します。

顔やシミで気になるところを1日1回~2回、3か月~6か月間スポットで塗るようにしましょう。2~3か月たっても効果が得られない場合は、他の治療法を提案することがありますので、医師にご相談ください。

ハイドロキノンの使用に伴い最も大切なことは「日焼け対策」です。後述する副反応を抑える意味でも、ハイドロキノンを塗った後は、日焼け止めクリームを塗るようにしましょう。(詳細はこちら

またハイドロキノンは当院で処方されている「トレチノイン」と組み合わせると肌への浸透率を高め、さらに「シミ」に対して効果が高くなることが報告されています。(詳細はこちら

  • もっと効率よくシミを薄くしたい
  • ハイドロキノンを使っても効果をいまいち実感しにくい

などの方はぜひ医師に相談してください。トレチノインはハイドロキノンよりも慎重に扱った方がよい薬剤です。事前に丁寧に説明させていただきます。

ハイドロキノンの副反応は?

ハイドロキノンは以下の副反応が見られることがあります。

① 肌の赤みや炎症

ハイドロキノンで治療をはじめる時に、皮膚の赤みやヒリつく感じがあることも。これはハイドロキノンがもつ色素脱失作用で引き起こされる炎症です。治療を続けると、肌が慣れてきて自然と収まる場合もあります。少量にしてみたり、回数を減らすのも効果的ですね。

しかし、赤みや痛みが強い場合は使用を中止し、氷や保冷剤を用いて患部を冷やすようにしましょう。またその際にはぜひ再度ご相談ください。

② 白斑(肌が白くなりすぎる)

ハイドロキノンは「肌の漂白剤」。メラニン色素を作る「メラノサイト」の数を抑える働きがあります。そのため、長期間続けると「白斑」といって肌が白くなりすぎることもあります。

ただし、濃度5%以上のハイドロキノンで発現し、当院で扱っている4%程度のハイドロキノンでしたら白斑の可能性はほとんどありません。ただし、長期間使用した場合可能性が高くなりますので、気になる方は6か月くらいを目途に一度中止するようにしましょう。

白斑については、ステロイドの塗り薬や光線療法などが有効な場合があります。白斑になった場合もぜひ医師に相談してみてください。

③ 色素沈着

また、非常にまれにハイドロキノンにより灰青色に変色することがあります。これは体の広い範囲にハイドロキノンを長期間した場合にみられる現象です。用法容量を守って、正しく使うのが大切ですね。

他にも接触性皮膚炎や乾皮症・アレルギー反応などが生じる場合があります。

ハイドロキノンの費用は?

当院では、主に4%のハイドロキノンと紫外線対応のコンシーラー付き2%ハイドロキノンを取り扱っています。費用は以下の通りです。

ノブ社製「セルニュープラス」4%ハイドロキノン
(スティックタイプ)
3000円
ジェイメック社製「ナノHQクリーム」4%ハイドロキノン 5g
(クリームタイプ)(詳細はこちら
2000円
ノブ社製「セルニュープラス」2%ハイドロキノン
(コンシーラー・日焼け止め効果あり)
3500円
*別途消費税がかかります。

シミや肌の状態に応じて、医師がおススメする製品を使い分けるようにしています。もしご希望の製品などありましたら、事前にお知らせください。

ハイドロキノンの効果や安全性を高めるために大切なことは?

① クリニックで処方されるものを使用する

ハイドロキノンは市販薬や海外で個人輸入できるものもあります。ただし、安全性や効果が十分検証されていないもの、高濃度すぎて発がん性が懸念されるものなどがあり、安易に個人輸入で済ませてしまうのは危険です。安全性の調査に関する報告はこちら)

またクリニックで処方されていると、処方されているものに関しては自費診療であれ医師の責任が伴います。一方、クリニックで処方しておらず個人輸入されている方は、肌トラブルに関しては自分の責任になってしまいます。

そのためハイドロキノンも多少なりとも使い方に注意が必要な薬であり、クリニックで処方されるものを使いましょう

② 用法・用量を適切に守る

ハイドロキノンは強力にシミに作用する塗り薬の1つです。ただし前述した通り、広範囲につけすぎたり、長期間つけすぎたりすると、色素沈着や白斑症などの副反応の可能性が高くなります。

そのため必ず用法・用量を守り、シミが気になる箇所にスポットとして使用するようにしましょう

安全性を確保するなら、1個のシミについては半年程度の使用にとどめ、休薬期間を設けてから再開するようにするとよいですね。

③ 日焼け対策を徹底する

ハイドロキノンを使用される際には、日焼け対策はかかせません。前述の通り、本来シミはメラニン色素を作り日光から防御するために必要としてつくられるもの。

ハイドロキノンでメラニン色素が作られるのを抑えているため、日光に対して防御が弱くなってしまいます。そのため、ハイドロキノンを塗っている箇所・塗っている間は必ず日焼け対策を徹底し、日焼け止めクリームとセットでつけるようにしましょう。(特に朝使用される場合)

あわせてこちらもおススメです

【この記事を書いた人】 
一之江駅前ひまわり医院の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。

関連記事

  1. 寿命を延ばす食べ物は?長寿の秘訣を医学論文から検証します!

  2. 汗疹(あせも)や汗かぶれについて解説【原因・症状・治し方】

  3. 水いぼはうつる?水いぼ(伝染性軟属腫)の症状や治療・日常のケ…

  4. やけど(熱傷)の応急処置や病院での対処法・薬について解説【水…

  5. 多汗症の原因や症状・レベルの決め方や治療まで解説

  6. 【皮膚科医が解説】水虫(白癬)の原因や症状・治し方について

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


ピックアップ記事

新着記事 おすすめ記事
PAGE TOP