- いつも決まった場所にピリピリ痛む場所がある
- 体調が悪い時に、口びるに赤いブツブツができやすい
- 市販の軟膏をつけると余計に赤いブツブツが悪化したことがある
そのような方はもしかしたら「ヘルペス」かもしれません。一之江駅前ひまわり医院では、ヘルペスについての治療yや再発予防治療も行っております。
ヘルペスの原因は?
ヘルペスってよく聞きますが、もともとのルーツはHerpes(疱疹=水ぶくれの湿疹)のこと。昔は湿疹全般を指していたんですね。
それから「ヘルペスウイルス」というウイルス感染症全般を指すようになり、今ではヘルペスウイルス属の「単純ヘルペスウイルス」による感染症をヘルペスというようになりました。
ヘルペスウイルスは、一度感染した後に体の神経に息をひそめる性質があります。普段は症状もださずにおとなしくしていますが、体調が悪くなった時に「再活性化」し症状が繰り返し出てくるのが特徴です。
再発する時はヘルペスウイルスによる抗体を持っているので、一般的に軽い症状ですみます。(日本皮膚科学会HPより)
ヘルペスの症状やよく出る場所は?
ヘルペスというと口にできる「口唇ヘルペス」が有名ですが、他の場所にも発症し多彩な症状を示します。1982年~2002年までの1788例の症例のヘルペス疾患の内訳は次の通りです。
起こりやすい症状・病型 | 頻度 |
口唇ヘルペス | 455例(25.4%) |
再発型性器ヘルペス | 282例(15.8%) |
顔面ヘルペス | 220例(12.3%) |
カポジ水痘用発疹症 | 205例(11.5%) |
臀部(おしり)のヘルペス | 127例(7.1%) |
急性型性器ヘルペス | 105例(5.9%) |
ヘルペス性ひょうそ | 56例(3.1%) |
上肢や体幹のヘルペス | 36例(2.0%) |
下肢のヘルペス | 35例(2.0%) |
非常に多彩な症状をもつ「ヘルペス」ですが、いずれの部位でも経過は似ています。
まずどの部位でも違和感・かゆみ・ムズムズ感といった自覚症状が始まります。それから半日くらい経ってで赤く腫れ、さらに2~3日後に痛みと小さな水ぶくれが出てくるようになります。5日から1週間くらいで治ってくると、かさぶたのようになって黒くなって、剥がれ落ちるようになります。

女性に多い性器ヘルペスの場合、陰部やその周りに、違和感や痛みを伴う赤み・水ぶくれなどの症状が生じます。初めて感染したときには、歩くことが困難になるほど、強い痛みを伴うことも。しかし2回目以降はヘルペスに対する免疫が出来てくるため、それほど強い痛みにならないことが一般的です。
稀ですが、ヘルペスに感染している妊婦から出産時に生まれてくる子供に産道感染することがありますので、妊娠後期は感染に気を付けたほうが良いですね。
またごく稀にヘルペス性脳炎といって、神経症状で発症する場合があり、脳炎疑われた場合は連携病院に連絡し、入院が必要になります。(参照:単純ヘルペス脳炎のガイドライン2017年)
ヘルペスと帯状疱疹の違いは?
多くの場合臨床症状で判断することがほとんどですが、他疾患の鑑別のために顕微鏡で調べる施設もあります。特に、類縁疾患である「帯状疱疹」の初期と見分けがつきにくいことが多く、慎重に経過をみる必要があります。
ただし、ヘルペスの場合は一部を除いてヘルペスの場所にだけ出ますが、帯状疱疹は神経が支配している部分全てに広がっていくのが大きな違いです。痛みの程度も異なり、帯状疱疹のほうが痛みが強くなるのも特徴です。
しかし「あまり痛くないからヘルペスだろう」と安易に考えてしまうと、後遺症の残りやすい帯状疱疹を見逃しかねません。
(帯状疱疹については帯状疱疹や帯状疱疹ワクチン【効果・価格・持続期間】について解説を参照してください)
ヘルペスの治療薬は?
ヘルペスの治療は内服薬と塗り薬の2種類があります。内服薬の方が効果が高いことや回数も少ないことから、内服薬が主流になっています。代表的な治療薬は次の通りです。
① バラシクロビル

バラシクロビルは1日2回で5日飲むタイプのお薬です。回数が2回でよい分、少し錠剤が大きいため喉に引っかかりやすい欠点があります。顆粒タイプもあり子供から飲むことができます。
② ファムシクロビル

ファムシクロビルは1日3回タイプの飲み薬で、通常5日間飲みます。再発性のヘルペスの場合1日で終わらせる飲み方があること、錠剤が小さく飲みやすいのが特徴です。
③ アラセナ-A軟膏®・ビタラビン軟膏®など
単純ヘルペスの治療薬では、内服だけでなくて塗り薬もあります。1日1回~4回適量塗ることで効果を発揮します。「何回も同じ所に再発しやすい」という方は、軽い症状の場合選択肢としてあげられます。
ただし内服薬と塗り薬の併用処方は、現時点(2021年)では保険適応として認められていないので注意が必要です。また、近年米国のFDAで、市販薬として安易に抗ウイルス薬外用薬の使うことは、耐性ウイルスの出現を増加させるおそれがあるとして警告を発しております。(日本皮膚科学会 HPによる)
ヘルペスへの対処法は?
① 体調管理に気をつける
ヘルペスは体調が悪くなった時に出やすい疾患です。逆に普段から体調管理を心がけることで、再発を予防することができます。規則正しい生活を送り、適度な運動・睡眠不足に気をつけ、疲れ・ストレスを溜めないようにしましょう。風邪をひいたときはしっかり休むことが大事です。
② ヘルペスができたら周囲への感染に気をつける
ヘルペスは人との接触によって感染します。水ぶくれが出ている時期はウイルスを大量に放出しているため、特に注意が必要です。さらに免疫力が弱い子供やお年寄りの方はヘルペスに感染する確率が高くなります。特に
・ 濡れた状態でのタオルやコップは共有しない
・ ヘルペスが起きている間は水ぶくれの部分は、特に小さな子供には接触させない
などの配慮が必要です。
③ 紫外線に気を付ける
紫外線はヘルペスの症状を悪化させることがあります。特に露出部である口唇ヘルペスや顔面ヘルペスの場合はマスクや帽子などをかぶるなどをして、日光にさらさないようにしましょう。
④ 飲酒は控える
アルコールは炎症を悪化させることがあります。特に「口に水ぶくれができている」など症状がある間は飲酒は控えましょう。
ヘルペスの再発予防の治療は?
「ヘルペスが何回も繰り返して困る」という場合は再発予防として、上記のバルトレックスをしばらく毎日内服する方法やファムシクロビルを携帯していただく方法もあります。詳しくは当院医師にご相談ください。
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【この記事を書いた人】
一之江ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。
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