- 首のイボが目立つようになってきた
- イボがあると思うと、人の目線が気になる
- 服を着るたびにイボが当たって違和感がある
など、首イボで悩むことはありませんか?生死にかかわることではありませんが、夏で首を露出する際に気になりやすいほか、実際こすれると痛みがでてくることもあり日常生活に支障が生じやすく、ついつい自分でとりたくなりますよね。
実際首イボは自分でとれるのでしょうか?首イボの原因や治療法・予防法などあるのでしょうか?
今回は、夏に向けて邪魔になりやすい首イボについてわかりやすく解説していきます。
Table of Contents
首イボ(軟性線維腫)とは?
首いぼは、皮膚の表面にできる小さな突起物で、主に首周辺に現れます。首いぼは、見た目が気になることから一般的な名称として使われていますが、医学的には軟性線維腫(アクロコルドン)と呼ばれることが多いです。
実際には、首いぼは主に3つの種類に分類されます。
- スキンタッグ・アクロコルドン: 首やワキにでてくる2~3mmの糸状の腫瘍が多発したもの。
- 軟性線維腫: 体幹にでてくるやや大きなもの(直径1㎝くらい)
- 懸垂性線維種(けんすいせいせんいしゅ): さらに巨大になり皮膚面から垂れ下がるもの
さらに、その似た疾患として「脂漏性角化症(老人性いぼ)」「ウイルス性のいぼ(尋常性疣贅)」がありますが、発症機序や見た目・治療効果などが異なります。
首イボの発生率ははっきりはわかっていませんが、年齢が重なるごとに上昇していき、30代女性でイボに悩む女性を対象としたネット調査では、首のイボは顔やわきを抑えて「1番できやすい場所」としてあげられています。
ウイルス性のイボについては、イボ(尋常性疣贅)の原因と液体窒素や他の治療法について解説もあわせてご参照ください。
(参照:あたらしい皮膚科学「軟性線維腫」)
首イボ(軟性線維腫) の原因は?
首イボ(軟性線維腫)の原因は完全には解明されていませんが、いくつかの要因が関与していると考えられています。例えば以下の通りです。
- 加齢: 年齢が上がるにつれて、首イボができやすくなることが分かっています。これは、肌のコラーゲンが減少し、皮膚がたるんで摩擦に弱くなることが一因とされています
- 服やアクセサリーによる摩擦: 首周りや襟ぐりのあたる部分に、摩擦や刺激が加わることで首イボができやすくなります。特に、金属製のアクセサリーや摩擦が生じやすい衣類は要注意です。
- 紫外線: 日光による紫外線の影響で、皮膚がダメージを受けやすくなり、首イボができやすくなることがあります。日焼け止めを使用し、適切な紫外線対策をとることが重要です。
- 体質や生活習慣: 女性や肥満の方は首イボができやすい傾向があります。ホルモンバランスの変化や生活習慣病が関与していることが考えられます。
軟性線維腫はウイルス性のものではなく、がん化するリスクも非常に低いとされています。ただし、首イボが急激に大きくなったり、痛みや炎症を伴う場合は、皮膚科に相談して適切な診断を受けることが重要です。
首イボ(軟性線維腫) の 症状は?
首イボ(軟性線維腫)の主な症状は以下の通りです。
- 色: 首イボは、通常、肌の色と同じか少し濃い色をしています。また、時には色が変わることもありますが、悪性腫瘍である可能性は非常に低いとされています。
- 大きさ: 首イボは、通常、数ミリから1センチ程度の大きさで、成長はゆっくりと進みます。ただし、突然大きくなる場合は、皮膚科に早めに相談しましょう。
- 形状: 首イボは、皮膚の表面から突き出した円形や楕円形の突起物で、表面は滑らかです。また、薄い茎で皮膚につながっていることもあります。
- 触感: 首イボは、触ると柔らかく、押すとしなやかに皮膚に沈む感触があります。これは、首イボが皮膚の真皮層にある繊維組織が増加してできるためです。
- 痛み:おおむね無痛ですが、摩擦などがきっかけで炎症した場合や化膿した場合、痛みを生じ腫れることがあります。
首イボは、症状が軽度であることがほとんどで、健康上のリスクは低いとされています。しかし、見た目や摩擦による不快感から、治療を希望する方も多くいますね。
首イボ は自分で取れる?
首イボは自分で取れるのでしょうか。結論から言うと「自己判断やセルフケアで取ろうとするのは非常に危険」です。それには3つの理由があります。
① 「首イボ=軟性繊維種」ではないから
明らかに軟性線維腫の場合は放置しても問題ありませんが、「首イボ=軟性線維腫」ではありません。例えば、首イボがウイルス性のものだった場合、自己判断で刺激すると周りに移ることがあります。(悪性腫瘍の場合はなおさらですね)
一度、きちんと診断してもらったほうが安全といえます。
② 自己処理でさらに悪化することがあるから
自分で何とか取ろうとハサミで切ろうとしたり、クリームをつけたりして様子を見る方がいます。
非常に茎が小さく取れるものもあるかもしれませんが、かえって出血したり感染したりか炎症をおこしたりして、悪化させて来院するケースもしばしば見られます。
自己処理して悪化したのを治すほうが治療が難渋しやすく、余計時間がかかることも。自分で治療するよりもクリニックで治すほうが安全で確実です。
③ 医学的な効果が乏しい商品が多いから
首イボのクリームなど市販薬が多くありますが、保険適応になっていない通り、その多くが効果が実証されたものではありません。例えば
- イボコロリ®(サリチル酸ワセリン):厚く硬くなった皮膚をやわらかくし、魚の目・タコなどに一時的に有効ですが、軟性線維腫に対しては効果的ではありません。
- ヨクイニン:ヨクイニンは免疫力を上げてイボを除去する作用を期待する薬です。そのため、ウイルス性のイボの場合はヨクイニンを使用することがあります。しかし、軟性線維腫の場合は免疫系がもともと正常のため効果を発揮しません。
- 保湿クリーム・杏仁オイルなど:よく「肌の老化で古い角質層が固まった結果、首イボになるからほしくクリームで角質を取り除けばよくなる」と宣伝されていたりしますが、これは間違いです。そして、杏仁オイルや保湿クリームで明らかによくなるとする医学論文も確認できません。
クリームを使うことで「治らなかった」「かえってかぶれてしまった」という声もよく聞きますので「市販薬で様子を見よう」というのはあまりおススメしませんね。
必ず自分で処理しようとせず、皮膚科やクリニックにご相談ください。
首イボ(軟性線維腫)の治療や治療費は?
首イボの治療は大きくわけて3つあり、患者さんの状態に合わせてオススメする治療内容が変わってきます。
① 液体窒素による冷凍療法(保険診療)
イボの部分に超低温(-198℃)の液体を綿棒で当てる治療です。ひりつくような痛みがありますが「ちょっとピリッとするくらい」とよく言われます。
かさぶたのように黒くなってから、お風呂に入っているときにポロっととれる印象です。大きさによって何回か治療が必要になります。
イボが大きい場合は、炎症後色素沈着を起こすこともあるので、患者さんに合わせて色素沈着に対してもアフターケアを行っております。
黒くなってなかなか取れない部分については、ハサミによる切除も組み合わせて行います。
液体窒素による治療費は診察料など合わせて1回1000円程度です。
② 手術による切除療法(保険診療)
イボの根本からメスやハサミで切り取り、傷口を縫う方法です。1㎝以上の大きなイボは液体窒素や後述するレーザー治療よりも傷跡が残りにくいでしょう。
なかなか液体窒素で難渋する部分や大きいイボで回数が多くなることが予想される場合には手術治療の対象になるでしょう。
手術の治療費はサイズや場所によって大きく異なりますが、診察料もあわせて5000円~10000円くらいになるのが一般的です。露出部で外見をきにされる場合、皮膚の下で溶ける糸を使用して外見上可能な限り目立たなくします。
当院では、あらかじめ診療時間外の時間枠を設けて手術対応しております。事前の診察でカウンセリングを行いますので、希望される方はその旨をお伝えください。
③ CO2レーザーを用いる方法(自費・当院では行っていません)
炭酸ガスを使ったレーザー治療器を盛り上がったイボにあててイボを削ります。
医療機関やイボのサイズによって前後しますが、診察や検査料を合わせて1個5000円~10000円に設定している医療機関が多いです。液体窒素よりも治りやすい反面、保険診療ではないので高額になりやすいのがデメリットですね。
当院では行っていないので、ご注意ください。
④ ラジオ波メス法(自費・当院では行っていません)
局所麻酔薬を使用してから、ラジオ波を照射できるメスを使ってイボを切除する方法です。
こちらも炭酸ガスレーザー同様自費診療になります。価格としてはクリニックにより変わりますが、やはり診察や検査料を合わせて1個5000円~10000円に設定している医療機関が多いです。
ご自身の首イボの状態に合わせて選択されるとよいでしょう。当院でも、保険診療中心に治療を行っておりますので、いつでもご相談ください。
首イボのついてのまとめ
以上、首イボ(軟性線維腫)について説明していきました。まとめると
- 首イボはサイズによって異なるが、良性腫瘍であることが多い。ただし、一度診察して確定する必要があります。
- 首イボは自分でとるとかえって危険であることも多く、クリニックや医療機関での治療のほう無難。
- 首イボ治療には「液体窒素」「手術」「レーザー治療(自費)」などがあり、徐々に高額。
となります。患者さんの要望や治療の経過を含めて、丁寧にカウンセリングさせていただき、方針を決定いたします。長年首イボで悩んでいた方は、ぜひ気軽にひまわり医院にご相談ください。
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【この記事を書いた人】
一之江ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照して下さい。
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