- シミ治療をまずは手軽に始めてみたい方
- 市販のシミ消しクリームでなかなか薄くならない方
- いつもシミが気になっているが治療できないと思っている方
は、シミの塗り薬による治療方法がオススメです。一之江駅前ひまわり医院では、自費診療によるシミ治療について「ハイドロキノン」と「トレチノイン」を取り扱っております。
ハイドロキノンについてはシミ治療の塗り薬「ハイドロキノン」の効果や使い方・副反応についてを参照していただき、今回はシミ治療の塗り薬である「トレチノイン」の効果や副反応・ハイドロキノンとの併用療法についてご紹介していきます。
Table of Contents
トレチノインとは?
トレチノインとは、ビタミンA(レチノール)の誘導体で、一言でいうと「皮膚のターンオーバーを早める薬」です。
皮膚のターンオーバーとは、角質が作られ外に排泄されるまでの皮膚の周期のこと。若い方でしたら通常4週間ですが、年齢とともに遅くなり30~40代だと約6週間ほどになります。
通常のビタミンA(レチノール)でもターンオーバーを早める作用はありますが、トレチノインの生理活性はビタミンAの約50倍~100倍。市販薬よりも強力な治療薬になります。
ニキビやシミ・シワの治療薬としてFDA(アメリカ食品医薬品局)に認可されている安全性の高い薬ではありますが、作用が強く取り扱いに注意が必要なため、日本では認められた医療機関でしか処方することができません。
なおトレチノインを含む化粧水などが市販薬として売られていることはありますが、医療機関で処方するトレチノインとは異なり、保湿クリームと位置付けられています。
トレチノインの効果は?
トレチノインは主に以下の3つの効果が期待できます。
① シミの改善
トレチノインは肌のターンオーバーを早める塗り薬なので、古い角質がはがれやすくなります。すると、肌の奥ですでに作られたメラニン色素を外に押し出しやすくなるのです。
実際、日光によってつくられたシミ(日光黒子)やシワに対しての臨床試験では、プラセボ(偽薬)を塗った方よりもトレチノインを塗った方が有意に改善していた(68~100% vs 0~44%)というデータがあります (詳細はこちら)
シミの改善は比較的早く表れますが、皮膚のターンオーバーを促進するため、一時的にレチノール反応といって、赤みや乾燥が出ることが高率に認められるので、取り扱いに注意が必要です。
② シワの改善
トレチノインを使用すると、肌のコラーゲンの増生が促進することが言われています。
ただし、シワの改善にかかる期間には個人差はありますが、少なくとも3か月は継続してトレチノインを使用する必要があります。その間に副反応が強くでた場合には、一度相談していただけますと幸いです。
③ ニキビやニキビ跡の改善
トレチノインはもともとニキビやニキビ跡の治療薬としてアメリカで多く使用されていたお薬です。
実際、トレチノインはニキビやニキビ跡に対して以下の効果を発揮します。
- ニキビに関連する炎症を抑える働き
- ターンオーバーを促進し、古い角質を除去する働き
- 皮脂腺の機能を低下させ、皮脂の分泌を抑える働き
これらの作用から「ニキビ治療の主力としてトレチノインをはじめとしたレチノイド製剤を用いるべき」とする論文もあります。(詳細はこちら)
またトレチノインはニキビ跡の赤身の改善にも有効なお薬の1つ。ただしニキビに対しては保険診療の薬も多くあるので、これらの治療法と比較しながら肌の状況を見て医師が判断いたします。興味がある方はぜひ気軽に相談していただけますと幸いです。
トレチノインが効果的なシミは?
トレチノインが効果的なシミの種類としては以下がいわれています。(参考:自治医科大学 形成外科HP)
- 比較的短期間によく取れるもの:日光によるシミ(日光性色素斑)・湿疹後のシミ(炎症後色素沈着・そばかすなど
- 治療にやや時間がかかるもの:肝斑
- 再発傾向のあるもの:扁平母斑・そばかす
- 有効でないもの:脂漏性角化症・ほくろ・太田母斑など
このように、「シミ」といっても数多くの種類があり、一概にトレチノインが有効というわけではありません。トレチノイン療法を希望される方は、まずはトレチノインが有効かどうかを判断させていただきたいので、通常の診察時に医師に相談していだけますと幸いです。
トレチノインの副反応や注意点は?
トレチノインがこれだけ多くの効果を持っているのに、扱うクリニックが限られているのは「取り扱いが難しい」ことが一因として挙げられます。もっとも多い副反応として「レチノイド反応」があげられ、非常に高い確率で以下の症状が出ます。
- 肌が一時的に赤くなる
- ポロポロ皮膚がはがれる
- (時に)かゆみがでることも
これは、トレチノインの作用で肌のターンオーバーが早くなり、肌の古い角質が剥がれ落ちるための正常な反応です。多くの場合一過性で、(継続的に使用していても)日にちが立つと症状が落ち着くのがほとんどです。
レチノイド反応はトレチノインを塗布してから1~3日くらいから出始め、1~2週間くらいがピークになり、徐々に落ち着きます。(ただし最大3か月続く方もいます)その間、「レチノイド反応」が強く表れた場合は、ぜひご相談ください。その時の肌の状況を見ながら、適切にアドバイスさせていただきます。
こうしたことから目や口・鼻や粘膜につかないように注意していただくよう、お願いいたします。
なお、妊娠中や妊娠を予定されている方は、安全性が十分確立していないため、使用しない方がよいでしょう。またトレチノインは2~3か月で一度休薬してください。
トレチノインとハイドロキノンの併用療法について
トレチノインはハイドロキノンと併用することで、さらに高い効果と期待できます。なぜなら、トレチノインは「メラニン色素を排泄するのをうながす薬」である一方、ハイドロキノンは「メラニン色素の産生を抑える薬」だからです。
単純にシミの原因であるメラニン色素を追い出しても、またさまざまな刺激によってメラニン色素は生み出されやすくなります。そうしたメラニン色素の産生をハイドロキノンで抑えることで、新しくメラニンを作らせず、シミをより効果的に改善する…というわけです。
ハイドロキノンの作用については、シミ治療の塗り薬「ハイドロキノン」の効果や使い方・副反応についても参照していただくと幸いです。
実際、東大の形成外科の治療プロトコールによると、最初の2~8週は「漂白段階」といって、トレチノインとハイドロキノンを併用し、メラニンの排泄を促し、その後「治癒段階」でハイドロキノンのみを続けるとよいとされています。具体的な使用手順としては以下の通りです。
- メイクを落として洗顔します。保湿剤をたっぷり顔全体の肌になじませてください。
- トレチノインを微量により、肝斑やシミの部分に丁寧に塗ります。刷り込まないようにしてください。また、厚く塗ると反応が強く出るので、薄めに塗るのがポイントです。
- トレチノインが乾いたら(10分程度が目安)、ハイドロキノンを肝斑やシミの周囲に塗ります。トレチノインを塗った部分から外側に塗ると、トレチノインを周囲い広げるので注意しましょう。
- 患部以外に美容液・乳液を塗るようにしましょう。
トレチノインとハイドロキノンの併用は最初は夜おフロあがりに1回のみをおススメしております。(朝行うと日焼け止めクリームを塗ったり、ファンデーションなどで広げて思わぬ肌トラブルを招く原因になるからです)
赤みが強かったり、ヒリヒリした刺激症状が強い場合などは、来院をお願いします。ちょっと赤くなってポロポロ向けるくらいなら通常の「レチノイド反応」である可能性が高いので、そのまま継続してください。
トレチノインの費用(料金)は?
トレチノインの費用は以下の通りです。
トレチノイン(0.05%)5g | 2000円 |
トレチノイン(0.1%) 5g | 2500円 |
また肌の状態をみてトレチノインの適応疾患なのかどうか含めて検討させていただきたいので、通常の診察を予約を取って来院をお願いいたします。
トレチノイン療法についてのまとめ
いかがでしたか?トレチノイン療法についてまとめてみました。シミ治療として有効性が高い反面、取り扱いが非常に難しい薬の1つです。
肌の状態も確認しながら治療を進める必要がありますので、医療機関で医師の判断のもとトレチノインを処方してもらうようにしましょう。
ぜひシミに関する相談もお気軽にご相談ください。一人ひとりに、丁寧にアドバイスさせていただきます。
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【この記事を書いた人】
一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。
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