トコジラミの症状と対策について【韓国・フランスで流行】

みなさんはトコジラミが世界で話題になったのをご存じですか?

2023年秋、フランス・パリでトコジラミの被害が世界的に話題となり、その波は韓国にも及んでいます。

かつて韓国はトコジラミを一掃した「トコジラミ清浄国」とされており、1970年以降ほとんど姿を消していました。しかし、新型コロナウイルスのパンデミック終結後、増加する外国人観光客や国際宅配の活発化により、トコジラミの被害に直面しているのです。

今後、近隣の国である日本にもトコジラミの被害が波及する可能性は十分考えられます。その時、私たちはトコジラミにどのように対策していけばよいでしょうか?

今回、トコジラミの主な症状と具体的なトコジラミ対策法について解説していきます。

トコジラミとは?

誤解されがちですが、トコジラミは、シラミではなくカメムシの仲間です。別名「ナンキンムシ」とも呼ばれ、体長は5ミリから8ミリほどの大きさ。もちろん目にも見えますね。

主に屋内に生息し、人や物に付着して生息エリアを拡大します。この昆虫は夜行性で、日中は布団や枕の中、家具、カーテンレールの隙間、ベッドフレーム、マットレスやスプリングなどに潜んでいます。そして夜になると活動を開始し、就寝中の人の血を吸います

トコジラミは、直接這って広がるケースもありますが、主に媒介物(衣類、バック、リネン、家具)を介して感染が広がっていきます。また、小さな気流や静電気によっても分散します。

そして、トコジラミは最大5か月もエサを与えなくても生存しています。なので、しばらく使っていない部屋でもトコジラミがいる可能性はあるのです。

日本でもトコジラミによる被害に悩まされていましたが、戦後の殺虫剤の普及や生活環境の改善により一時は絶滅寸前まで駆除が進みました。しかし、約10年前から殺虫成分に耐性を持つ「スーパーナンキンムシ」が現れ、被害が拡大しました。

さらに、新型コロナの感染対策防止策が解除され、海外含めた人の往来が多くなったことから、世界中で問題になっています。

フランス食品環境労働衛生安全庁(Anses)が7月に公表した調査結果によると、2017〜22年にフランスの10世帯に1世帯を超える割合でトコジラミが発生してます。フランス当局では、増加の理由として「旅行客の増加と殺虫剤による耐性」をあげていますね。

東京都でもトコジラミによる相談件数は増加しています。平成17年は26件しかありませんでしたが、令和2年には320件。10倍以上にも達しているのです。

しかも、これは新型コロナ流行下で人の往来が制限されていた頃の話。今後、海外からの来日される人が増えれば、今後被害が増えてくることが十分予想されます。

(参照:東京都保健医療局「トコジラミ」
(参照:Bed Bugs in Clinical Settings: Case Report and Literature Review

トコジラミの主な症状は?

トコジラミに刺されると、刺された箇所に強いかゆみや赤い発疹、腫れなどが現れます。刺されるのは露出しているところが中心ですね。

これは、トコジラミが吸血中に血液の凝固を防ぐために唾液を注入することで起こるアレルギー反応によるものです。通常刺されてから48時間以内に現れます。刺された時には痛くありません。

腫れは中央出血点を伴う 2 mm~5 mm程度のかゆみを伴うぷっくりした「丘疹」として表れます。

何度か吸血されると、この唾液に対するアレルギー反応が強まり、さらに皮膚に赤い発疹やかゆみ、腫れなどの症状が表れるようになります​​。そして、被害者の体質によってはじんま疹の症状が出ることもありますね。

トコジラミの刺し傷は1~2週間ほど経っても消えにくいのが特徴で、しつこいかゆみが続くことがあります。

また、かゆい部分をひっかりたりすると皮膚の常在菌による感染を生じ、腫れが強くなったり痛みを生じたりします。

(参照:Bed Bugs in Clinical Settings: Case Report and Literature Review
(参照:Dermatología Cosmética, Médica y Quirúrgica

トコジラミに刺された時の対処法は?

トコジラミに刺されたと思った場合は、皮膚科での診察をなるべく早く受けてみてください

トコジラミの虫体が見つかり診断が明確であったら、通常の虫刺されの治療と同じく市販薬「炎症を抑える塗り薬」や「かゆみを抑える飲み薬」で抑えることができます。(ただ、市販薬で抑えきれないほど猛烈なかゆみであることが多いです。)

しかし、トコジラミによる虫刺されは、ダニ刺されなどの他の虫刺されとの見分けがつきにくく、疥癬などの特殊な疾患の場合は通常の治療だと逆効果の場合もあります。

診断をきちんと確定させて対処法を明確にする上でも、皮膚科で診断をうけるようにしましょう。

虫刺されに対する基本的な対処は虫の種類に関係ありません。詳しくは以下も参考にしてみてください。

トコジラミへの対策は?

では、トコジラミが見つかった場合、どのような対策を行えばよいでしょうか。「トコジラミが繁殖している地域へ旅行する際の対策」と「自宅での対策」に分けて説明すると以下の通りとなります。

① 家に持ち込まないための対策

  1. 宿泊施設のチェック:まずは宿泊施設でトコジラミがいないかチェックしましょう。荷物を入り口付近に置いてトコジラミの付着を防ぎます。トコジラミの黒いふんのような物を確認することも重要です。特に宿泊施設の四つ角や点状をよく見てみましょう。
  2. 殺虫剤の使用:もし宿泊施設で見つかったら現地で説明して部屋を変えてもらうのが一番ですが、「見つからなくても心配」という方もいるでしょう。その際は、プロポクスルやメトキサジアゾンなどの成分が含まれる殺虫剤を使うのも1つの手です。(ゴキブリ用のピレスロイド系は耐性トコジラミが出てきています)
  3. 電気をつけて寝る、露出部分を少なくする:トコジラミは基本的に夜行性であり電気に反応します。そのため、「どうしても刺されたくない」という方は電気をつけて寝ると急場の虫刺されを抑えられます。もちろん露出部分を少なくすることも有効です。
  4. 衣類は乾燥機で十分熱消毒をする:トコジラミが付着した衣類を持ち込むと後々大変です。トコジラミは高温には弱く、50℃に 30 分、60℃に 10 分程度、100℃近くなら数秒さらされれば死亡します。そのため、乾燥機で熱消毒することは有効です。
  5. なるべく荷物をコーティングする:荷物はなるべくコーティングしましょう。プラスチック製品などで覆うのもトコジラミを住み着かせないので有効です。

このように、トコジラミが繁殖している地域に旅行に行く際には、「トコジラミを家に持ち込ませないこと」が大切になってきます。

② 自宅でトコジラミ対策を行う場合

では、トコジラミを見つけてしまった場合はどうすればよいでしょう。程度によりますが、以下の対策を検討してみてください。

  1. 専用の駆除業者を活用する:餅は餅屋です。トコジラミを駆除する業者さんは、やはりノウハウをたくさん知っています。もちろんお金がかかることですが、大量にトコジラミが繁殖している場合は任せられるなら任すに越したことはありません。
  2. 隙間をなるべく作らない:コーキング剤を使用してトコジラミが好む隙間を埋めることで、潜む場所を減らすことは、トコジラミ対策として有効です。
  3. 念入りに掃除をする:トコジラミは隙間やベッド周りなど「潜みやすい場所」は決まっています。こまめに掃除機をかけるようにしましょう。
  4. 定期的にチェックする:特に虫刺されがなかなか治らない時は、ふとんやベッド、四隅や天井を確認してください。黒いフンのようなものがあればチェックしましょう。
  5. 定期的に殺虫剤を使う:繰り返しトコジラミに悩んでいる方は定期的に殺虫剤を隙間などに注入するのも検討したほうがよいでしょう。

非常に難渋しやすいのがトコジラミです。特に繰り返し虫刺されで悩んでいる方は、一度チェックしてみてくださいね。

【この記事を書いた人】 
一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。

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