しもやけは予防できる?しもやけ(凍瘡)の原因や薬についても解説

  • 寒い時期になると指が、赤く腫れてしまう
  • 鼻のてっぺんやほほも、よく赤くなりやすい
  • 寒暖差が激しくなると決まって、足がむずがゆい感じになる

こうした「しもやけ(凍瘡)」でお困りな方はいませんか?しもやけと聞くと「大したことない」と思われがちですが、しもやけを放置しておくと炎症が強くなり、意外と治療が長引きやすいんですよ。

今回は、冬になると多くなる「しもやけ」について、原因や治し方・予防方法に至るまでわかりやすく解説していきます。

真冬におこりやすい「冷え性」としもやけは大きく関係しますので、【医師が解説】冷え性(冷え症)の原因や漢方薬・改善法について もあわせてご参照ください。

しもやけ(凍傷)の症状は?

しもやけ(霜焼け)とは寒暖差によって血行が悪くなり炎症を起こす疾患です。医学用語では「凍瘡(とうそう)」と書きます。血行が悪くなり炎症をおこした部分は、痛みやかゆみを伴いながら、赤紫色の皮疹がでてくるのが特徴です。

しもやけは大きく分けて、次の2つがあります。

  • 樽木型(たるきがた):指や手全体が赤く腫れあがるタイプです。子供によく見られます。
  • 多型紅斑型(たけいこうはんがた):指や手全体に赤いブツブツや水膨れなどがたくさんできるタイプです。大人によく見られます。

炎症が強い場合はむくみや水ぶくれ、さらにえぐれるようになることもあります。この場合、しばしば治療に難渋します。

しもやけ(凍瘡)の原因は?

しもやけの原因は、寒冷刺激を何回も繰り返すことで血管が縮み、血流が悪くなるからです。

人間は寒さが強いと、自律神経の働きで末端の血管を収縮させ、体内の熱を外に逃がさないようにする働きが備わっています。そのため、寒い環境でも重要な臓器が守られ、正常に働いているのですね。

しかし、その分寒さで血流が悪くなりがちなのが末端部分。特にしもやけがよく起こりやすい場所は「手足の末端」「耳たぶ」「ほほ」「鼻先」などです。

寒暖差が大きい時期に大きく血管が収縮しやすくなるため、寒さの厳しい真冬よりも、冬のはじめや春先に起こりやすいのもしもやけの特徴。真冬でしもやけになる場合は、暖かい場所から急に冷たい場所に移動したときになりやすいですね。

遺伝的素因のほか、発汗が多い方はしもやけになりやすいこともわかっています。これは、発汗したあと放置すると汗が蒸散し、余計に熱を奪うから。特に気をつけたいのは、「暖かい場所にずっといて蒸れた靴下で外へ出たら、一気にしもやけになった」というケース。普段活発に活動する子供に多いですね。

いずれにせよ、しもやけは日常生活と大きく関わる疾患なので、生活スタイルによっては繰り返しやすい疾患です。そのため、早めの予防・早めのケアが大切になってきます。

(参照:あたらしい皮膚科学「凍瘡」)

しもやけ(凍瘡)の薬は?

しもやけは通常皮膚科で治療されることが多いですが、どんな薬を使うことが多いのでしょうか。しもやけの治療方法の一例として紹介していきます。

① 血行をよくする薬

前述の通り、しもやけの原因は自律神経の働きによる「末梢の血行不全」によるもの。であれば、冷えや血行をよくすることでしもやけを改善することができます。最初は塗り薬で対処することが多いですね。例えば、次のような軟膏を使用します。

  • ビタミンEの塗り薬: ビタミンEには血液の流れをスムーズにする血行促進作用があり、しもやけの治療に使用されます。内服薬と外用薬がありますが、内服薬は過剰摂取や使用上に注意が必要な場合があります。
  • ヒルドイド軟膏: 「ヘパリン類似物質」と呼ばれる成分は血行促進作用があり、しもやけの治療に使用されます。血行促進効果により一時的にかゆみがでることがあります。

② 炎症やかゆみを抑える薬

しもやけによる末梢の血行不全で炎症が強くなった場合は、炎症を抑える薬が使用されます。ステロイドの塗り薬や傷に対して抗生剤の塗り薬が使用されることがあります。また、かゆみの生成には「ヒスタミン」が関与しますので、アレルギーを抑える内服薬が有効な場合もあります。(ただし、皮膚自体の炎症が主体なので外用薬よりも補助的です)

③ 冷え性そのものを改善する薬

上記の治療で改善しなかった場合、冷え性そのものを改善したり、動脈を収縮させづらくする薬があります。例えば次のような薬です。

  • 漢方薬:東洋の世界では、しもやけは「四肢末端型の冷え性」に合致しやすい疾患。そのため「温経湯」「四物湯」「当帰四逆加呉茱萸生姜湯」「五積散」など、しもやけに適応症をもつ漢方薬で症状が緩和する可能性があります。東洋医学の「証」やタイプによって自分に合っている漢方が変わってくるので、気軽に相談してください。
  • ビタミンEの飲み薬:前述した血管を拡張しやわらげる栄養素の1つがビタミンE。これを内服薬として処方する場合があります。ただし、過剰摂取すると内臓に影響がでる場合があるので、長期間内服する場合は採血することがあります。
  • 末梢血管拡張薬:血管を広げ血流をよくする薬です。もともと慢性動脈閉そく症や肺高血圧症の方に使用されます。血が止まりにくくなったり、他の薬との飲み合わせを注意したりすることがあるので、上記の治療で改善が見込めない場合に使用されることがあります。

いずれにせよ、しもやけの状態に合わせて処方される薬や治療内容は大きく変わってきます。普段のライフスタイルも含めて診療いたしますので、ぜひ相談していただけましたら幸いです。

しもやけ(凍瘡)の予防法は?

しもやけは普段の生活で予防することが大切です。個々人でライフスタイルは大きく異なるので一概には言えませんが、しもやけの治し方や改善方法を紹介します。自分で取り入れやすい所から試してみるとよいでしょう。

① 気温に合わせて防寒対策をする

寒暖差が大きくなるとしもやけになりやすいことがわかっているので、気温に合わせて服装を変えることが大切です。

普段から気温をチェックして、気温に合わせて防寒対策をしっかり行いましょう。特に末梢部分の血流をよくするように手袋・耳当て・マフラー・カイロなどは大切ですね。(カイロは低温やけどに注意)

② 湿気や汗対策をする

多汗の方はそうでない方よりも「しもやけ」になりやすいというデータがあります。それは汗で濡れた状態を放置すると、末梢が冷えやすくなるからと考えられています。

手汗をかきやすい方は、ぬれた状態を放置せずに給水性の高い手袋を用いたり、こまめにふいたりなどして、湿気や汗を避けるようにしましょう。

特に気を付けたいのが「靴下」。汗ばんだ靴下を放置するとしもやけが悪化する可能性があります。靴下も蒸れにくい靴下を選んでいただきながら、可能なら替えの靴下もあるとよいですね。

③ 靴下や靴は締め付けのないものを選ぶ

普段から足がむくみやすい方は、靴下のゴムで締め付けられて、末梢の血流が悪くなってしまいがちになります。

特に冷え性の方では「二枚履き」にする方がいらっしゃいます。その場合、内側に来る靴下は相当「ゆるめ」にしないと締め付けにより血行がわるくなりやすくなります。気を付けましょう。

④ 家や職場を温かくする

自分だけで防寒対策をしていても、周りの環境が寒いとやはりしもやけの原因になります。職場や家が冷えているなと感じたら、遠慮せずに暖めるようにしましょう。

⑤ 禁煙する

タバコは末梢の血管が収縮するため、しもやけが発症しやすくなります。しもやけが辛い方は禁煙することで改善することがあります。禁煙方法は様々ですが、当院では禁煙外来も行っております。詳しくは禁煙外来と禁煙補助薬(チャンピックス・ニコチンパッチ)についても参照してください。

⑥ しもやけが強い時はゆっくり温める

肌が寒いところに、急に温めると一気に末梢の血管が開いてしもやけが悪化することがあります。あまりに手足がかじかんでしまっている時は、ゆっくり温めるようにしましょう。足湯も効果的ですね。

⑦ 血流をよくするためにマッサージする

末梢の血行不全が原因なので、マッサージも有効な手段になります。ただし、しもやけが起きている場所は炎症が起きている場所。腫れが強い部分にマッサージの刺激が加わると、炎症が強くなる可能性も。

そのため、直接しもやけが起きている場所よりもすこし離れた部分をマッサージしたほうがよいでしょう。しもやけ部分をマッサージする時は、デリケートにソフトタッチでお願いします。

(参照:Mayo Clinic 「Chilblains」)

しもやけについてのまとめ

いかがでしたか?今回は冬場に起こりやすい「しもやけ」について解説していきました。

一番よくあるのは「しもやけは体質だから仕方がない」と放置してしまい炎症をこじらせてしまうこと。自分でできるケアを行いながら、炎症してきて症状が辛いときは早めに皮膚科に受診してくださいね。

もちろん当院でも「しもやけ」の治療も積極的に行っています。一人ひとりのライフスタイルを考えながら治療させていただきますので、お気軽にご相談ください。

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【この記事を書いた人】 
一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照して下さい。

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