【皮膚科医が解説】AGA(男性型脱毛症)でおすすめの治療法と具体的な効果について

  • 最近、抜け毛が徐々に増えてきた
  • 髪の毛が1本1本細く短くなった気がする
  • だんだんおでこの面積が大きくなってきた

男性で上記の方は「AGA(男性型脱毛症)」かもしれません。脱毛自体は生理現象ですが、なかなか人に言えずに悩んでいる方も多い疾患ですよね。

今回、AGA(男性型脱毛症))の治療法と、特に効果が高い「フィナステリド」「デュタステリド」「ミノキシジル」の具体的な効果や使用上の注意点について解説していきます。

AGA(男性型脱毛症)とは?

男性型脱毛(AGA)とは、年齢や男性ホルモンの影響で、毛の周期の異常をきたす脱毛疾患のことです。

正常な髪の毛は以下のような毛の周期を繰り返しながら、髪の状態を保っています。

  • 成長期:新しい髪の毛が「太く」「長く」成長する期間(約2~6年)
  • 退行期:髪の毛の成長が止まり、休止期の準備をする期間(約2~3週間)
  • 休止期:髪の毛が抜け落ち、成長期が来る準備をする期間(約3~4か月)

しかし男性型脱毛(AGA)では、「成長期」が短くなり「休止期」にとどまる毛包が多くなります。すると、全体的に「毛が生えていない」期間の割合がながくなり、髪のボリュームがなくなります。日本人男性の場合は、20代後半から30代にかけてはっきりわかるようになっていき、徐々に進行して40歳台以降に完成されていきます。

日本人男性の発症頻度は全年齢平均で30%であり、じつは非常に多くの方が悩まれている疾患です。また20 代で約10%・30 代で20%・40代で30%・50代以降で40%と、年齢とともに割合も増加していきます。(日本医事新報,2004; 4209: 27―29)

また男性型脱毛症(AGA)はX染色体にある遺伝子と密接に関係しています。父親や祖父など血のつながった方にAGAの方がいる場合、将来男性型脱毛(AGA)になる可能性は通常よりも高くなります。(詳細はこちら

AGA(男性型脱毛症)の治療は医療費控除や保険適応の対象になる?

結論から言うと、AGAの治療は基本的に保険適応ではなく、医療費控除の対象にもなりません。通常自費診療となります。理由は明確で、命に別状がないからです。

確かに髪の毛が薄くなると誰しも気になりますが、身体の不調が起きたわけではないので、保険適応ではないのです。そのため、市販の育毛剤や発毛剤も医療費控除の対象外です。

しかし、例えば診察上以下のようなケースの場合は保険適応になる場合があります。

  • 頭皮の炎症が及んでいた場合
  • 男性型脱毛(AGA)以外で脱毛になっていた場合
  • 男性型脱毛の治療に伴う副反応で身体に不調が起きた場合

そのような事情もあり、男性型脱毛(AGA)に対しても実際に対面で診療し、場合によっては採血検査なども含めて検査させていただきます。

ただし、その場合も円形脱毛症など他の脱毛症にかかる費用は医療費控除の対象となりますが、AGA治療はやはり保険適応外となり、医療費控除の対象となりません。ひとまとめにはならないため注意しましょう。

AGA診療ガイドラインで推奨されている治療法は?

実は、AGAの治療法は非常に多彩にあります。そのため、ガイドライン以前ではどの治療が本当に有効なのかクリニックによって異なっていました。

そこで、2017年に日本皮膚科学会がAGAの治療方針をさまざまな臨床試験データをもとに、「推奨される治療」と「推奨されていない治療」に分類されています。

現時点で、推奨されている治療法は次の通りです。

もっとも推奨される治療法(推奨度A)

  • フィナステリド(プロペシア®)
  • デュタステリド(ザガーロ®)
  • ミノキシジル外用療法

基本的に推奨される治療法(推奨度B)

  • LEDレーザー、低出力レーザー照射
  • アデノシン外用薬

弱く推奨される治療法(推奨度C1)

  • ケトコナゾールの塗り薬
  • カルプロニウム塩化物の塗り薬
  • t-フラパノンの塗り薬
  • サイトプリン・ペンタデカン外用
  • かつらの着用

一般的に「推奨されない」治療法(推奨度C1)

  • ビマプロストの塗り薬:グラッシュビスタⓇのことです
  • 成長因子や細胞移植療法

強く「推奨されない」治療法(推奨度D)

  • ミノキシジル内服薬:動悸や循環器疾患に影響を及ぼすことがあるため

です。当ひまわり医院ではこのうち「推奨度A(強く推奨する)」とされる、ミノキシジル外用薬・フィナステリド内服療法・デュタステリド内服療法のみを厳選して行っております。

では、それぞれどれくらい効果が実証されているのか、具体的に見ていきましょう。

(参照:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版

AGA(男性型脱毛症)治療薬その①:フィナステリド

① フィナステリドとは?

フィナステリドは「男性ホルモン(テストステロン)を脱毛しやすい男性ホルモンであるジヒドロテストステロン(DHT)へ変換しなくする」薬です。


一般的に男性ホルモンはひげや胸毛など体毛を濃くするホルモンとして知られていますが、DHTに変換されると、前頭部や頭頂部の毛をやわらかくし、成長期を短くする作用があります。


フィナステリドは男性ホルモンからDHTに変換するための酵素である「5α-還元酵素Ⅱ型」を抑えることで、太く長い毛の本数を徐々に増やす効果が期待できます。(フィナステリドの製品情報

② フィナステリドのAGAに対する効果

フィナステリドは日本人を対象とした臨床試験によると48週間で6割くらいの方でAGAが改善してきます。。
継続する年数が長くなるほど改善率も大きくなり、5年服用すると99.4%になる報告があります。

また発毛効果が得られたあとに中止すると元にもどってしまいます(悪化するわけではありません)ので、服用を中止する際には注意してください。

フィナステリドによる6か月時点での改善率
フィナステリドによる5年間服用時の改善率

③ フィナステリドの副作用や注意点

フィナステリド主な副作用は男性機能の低下(1-5%未満)と肝機能障害(頻度不明)です。

また前立腺がんのマーカーである「PSA」が低下することが言われています。(40%程度)前立腺に関する検査を受けられる際には、申告していただくとよいでしょう。また、そのほかの注意点は以下の通りとなります。

  • 女性への効果は認められていません。特に妊娠中や授乳中の方は投与できません。
  • 20歳未満での安全性及び有効性は確立されていません。
  • かんだり粉砕しないようお願いします。
  • 内服中や、最後に内服してから1か月間は献血できません。(日本赤十字社HP)

④ フィナステリドの価格

当ひまわり医院でのフィナステリドの価格(費用)は

フィナステリド1mg(28日)5000円

になります。頭皮の状態を確認しながら、副作用についても丁寧に診察させていただきます。

AGA(男性型脱毛症)治療薬その②:デュタステリド

① デュタステリド(ザガーロ®)とは

デュタステリド(ザガーロ®)もフィナステリドと同じく「男性ホルモン(テストステロン)を脱毛させやすい男性ホルモンであるジヒドロテストステロン(DHT)へ変換しなくする」薬です。
しかしデュタステリド(ザガーロ®)は、「5α-還元酵素Ⅱ型」だけでなく「5α-還元酵素I型」の機能も抑えるので、フィナステリドより強い作用になります。

② デュタステリド(ザガーロ®)の効果

917名の男性を対象にした、国際ランダム化比較試験(日本も含める)では、デュタステリド 0.5 mg/日とフィナステリド1 mg/日を6か月比べて、デュタステリドのほうがフィナステリドよりも毛髪の数や毛髪の太さが優れた効果が出ています。

臨床試験では6か月~1年で約80%の方に発毛効果が認められていますね(著明増加:約10%、中等度増加:33~39%、軽度増加:31~38%)

もちろんフィナステリドと同様に、年数を重ねるほど脱毛の改善率も期待できます。

しかしフィナステリドと同様に発毛効果が得られたあとに中止すると元にもどってしまいます(悪化するわけではありません)ので、服用を中止する際には注意してください。

デュタステリドとフィナステリドの比較試験の詳細はこちら

③ デュタステリド(ザガーロ®)の副作用や注意点

フィナステリドと同じく、 主な副作用は男性機能の低下(1-5%未満)と肝機能障害(頻度不明)です 。そのため、場合によっては採血して肝機能をチェックすることがあります。

また、前立腺がんのマーカーである「PSA」が低下することが言われています。前立腺に関する検査を受けられる際には、申告していただくとよいでしょう。また、以下の点に注意してください。

  • 女性への効果は認められていません。また、妊娠中・授乳中の方は禁忌です。
  • 20歳未満での安全性及び有効性は確立されていません。
  • かみ砕いたり、カプセルを開けないようお願いします。
  • 内服中や、最後に内服してから6か月間は献血できません。(日本赤十字社HP)

④ デュタステリド(ザガーロ®)の価格

当ひまわり医院でのデュタステリド(ザガーロ®)の価格(費用)は

ザガーロ®0.5mg(先発品) (30日)12000円
デュタステリド 0.5mg(30日)9000円

になります。(診察代込)頭皮の状態を確認しながら、副作用についても丁寧に診察させていただきます。

AGA(男性型脱毛症)治療薬その③:ミノキシジル外用

① ミノキシジル外用とは

ミノキシジルは一言でいえば、「毛が生えやすい土壌を作る」塗り薬です。

毛の根本である「毛包」に直接作用し、毛の細胞の増殖やタンパク質の合成をうながすことで、発毛効果を発揮します。またヘアサイクルの異常で小さくなった毛包を成長させ、細く柔らかくなった毛髪を太い毛に成長させます。
ミノキシジル内服は日本皮膚科学会では推奨されていませんのでご注意ください

② ミノキシジル外用の効果

では、ミノキシジルの効果はどれくらいあるのでしょうか。

300名の男性に対して5%ミノキシジル液を使った国内臨床試験では、6か月間で脱毛部 1 cm2 に平均 26.4本、硬い毛が増加したというデータがあります。

日本皮膚科学会でもフィナステリド・デュタステリド同様に強く推奨されており、有効性の高い治療方法と言えるでしょう。

ミノキシジル外用の比較試験の詳細はこちら

③ ミノキシジル外用の副作用や注意点

ミノキシジルの副作用は以下の通りです。

  • 塗った後のかぶれやかゆみ、赤みが出ることがあります。(6%程度)
  • ミノキシジル特有の副作用として、頭皮の血流が促されるので、まれに動悸や血圧が低下することがあります。
  • また、塗った時に一時的に「休止期脱毛」といって、逆に抜けるような現象があることがあります。これは一時的な現象なので、かぶれなどなければ継続していただくことで改善する可能性があります。

以下の方は使用しないでください。

  • ミノキシジル外用でかぶれたことある方
  • 頭皮がかぶれている所がある方

以下の方は使用に注意してください。

  • 循環器疾患や高血圧で血圧を下げる薬を内服している方
  • 頭皮にかゆみがでやすい方

④ ミノキシジル外用の価格

当ひまわり医院でのミノキシジル外用の価格(費用)は

ミノキシジル外用(60ml)5000円

になります。 (診察代込) 頭皮の状態を確認しながら、副作用についても丁寧に診察させていただきます。

AGA(男性型脱毛症)診療に関するよくあるご質問

Q: 通常の診察と同時に、AGAの処方もしてもらえますか?

A。 同時に処方することができます。院内処方なので、お薬の受け渡しもスムーズです。

Q: AGAの診療のみの場合の待ち時間は?

A。男性型脱毛(AGA)の自費診療のみの場合は、比較的早めにお呼びだししております。受付に自費診療のみであることをお伝えください。

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【この記事を書いた人】 
一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。

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