【新型コロナ】感染対策でのマスクの効果とデメリットについて解説

新型コロナが落ち着いてきて、マスク着用に対して疑問を持つ声がインターネット上で上がっています。

一部の方からは「マスクの粒子径はウイルスの粒子よりも大きいから、マスクをしていても意味がない」などの声もあるようです。本当なのでしょうか。

  • 今後、マスクとどう向き合えばよいかわからない
  • マスクが感染対策になっているのか改めて知りたい
  • 新型コロナに対してマスクはどの程度効果があったのか知りたい

といった方のために、マスクの実際の効果やデメリットも含めて、わかりやすく解説していきましょう。

【まず結論】厚生労働省のマスク着用についての見解は?

まず結論から。2022年5月時点で厚生労働省が発表したマスク着用への見解を「屋外のマスク着用について」まとめると以下の通りとなります。

① 屋外でマスクの着用が必ずしも必要でないケース

  • 周囲との距離が十分確保できる場合
  • 家族など一緒に過ごすことが多い間柄の人たちだけの場合
  • 公園での散歩やランニング・自転車などの移動
  • 十分距離が確保できない場合でも周囲で会話が少ない場合

② 屋外でマスク着用が必要なケース

  • 人混みに行くとき
  • 会話するような場面
  • 多数の人が利用する交通公共機関での通勤通学
  • 屋内への訪問がある場合はマスク持参して、屋内でマスクを着用

なお「風邪症状があるとき(発熱・咳・鼻水など)は原則外出を控えるようにし、必要物品の買い出しなどやむを得ない事情の時は、マスク着用の上外出すること」としています。また、屋内での政府の見解としては

  • 身体的距離が確保できる場合(2m以上を目安)
    • 会話を行う場合:着用を推奨する(十分な換気がる場合は外すことも可)
    • 会話をほとんど行わない場合: 着用の必要はない
  • 身体的距離が確保できない場合(2mを目安): 着用を推奨する

としています。(厚生労働省のパンフレットはこちら)

なお、小児について「マスクを外してよい場面」の例として、下記を示しています。

  • 熱中症リスクが高い場合の登下校:十分な距離を確保し会話を控えること
  • 屋外の運動場やプールのでの体育の授業の時
  • 休憩時間での運動遊び(鬼ごっこなど密にならない外遊び)

では、実際マスクはどのような効果やデメリットについて解説していきます。

マスクとは?

マスクとは、「口と鼻を覆う形状で、咳やくしゃみの飛沫の飛散を防ぐために使用される、または、ほこりや飛沫等の粒子が体内に侵入することを抑制する衛生用品」と定義されています。(詳細はこちら)

「マスク」といっても色々な種類があることは、コロナ下での数年間で感じられたことでしょう。マスクの性能は大きく「マスク性能」「素材(マスク性能と関連)」「形状」などで分けられます。

その中で、マスク性能(どれだけ微粒子をシャットアウトできるか)は特に大切な要素です。マスク性能でわけると次の通り。

  • 防塵規格マスク(N95マスク、DS2規格マスク):試験粒子(0.3㎛)以上を95%捕集できることが求められます。
  • 風邪・ウイルス対策用マスクBFE(約3㎛)、VFE(約1.7㎛)での試験を行い、99%までのフィルタ捕集効果で表記されています。
  • 花粉対策用マスク花粉(30μm)の粒子をカットするフィルタを採用することで、息苦しさを軽減。

にわけられます。さらに形状も「平型」「プリーツ型」「立体型」などさまざまありますね。

では、各粒子の大きさはどれくらいなのでしょう。それは次の通りです。

  • 花粉: 30μm(髪の毛の直径の1/3)程度
  • 飛沫(ウイルスが痰や唾液などとくっつきながら飛ばされる水滴):5μm以上
  • 飛沫核(飛沫から水分が蒸発したもの):0..01μm~5μm
  • 新型コロナウイルス:0.05~0.2μm(詳細はこちら)

上記のマスクの粒子径と比べてみるとウイルス自体の大きさは非常に小さいですよね。ウイルス対策様でも10倍以上もの穴が開いていることになります。

しかし、これをもって「マスクは新型コロナ感染予防に効果はない」とするのは間違いです。これを正しく理解するには、感染経路について知る必要があります。

飛沫感染・エアロゾル感染の違いは?

よく「新型コロナはエアロゾル感染する」といわれてニュースになったのをご存じな方もいると思いますが、飛沫感染・エアロゾル感染・空気感染の違いは「粒子のサイズの違い」です。具体的には以下の通りです。

  • 飛沫感染: 「ウイルスに水滴などがついた『飛沫』が口・鼻・目などについて感染する」こと。飛沫の定義は5μm以上を指すことが多い。
  • エアロゾル感染: 空気中に浮遊するウイルスを含むエアロゾル(水分が飛ばされて個体の粒子のまま浮遊している状態≒飛沫核)で感染すること。粒子径は0.01μm から 5 μm 程度と幅が広い。

「空気感染」と呼ばれ方もエアロゾル感染のうち、特に飛沫核の粒子系が小さいものと空気中に浮遊し感染することを指すことが多いですね。しかし、実際にはウイルスがこれらの感染経路を使い分けているわけではありません。「どの程度水分が蒸発してもウイルスが活性化されているか」がポイントになります。

そして新型コロナウイルスは国立感染所研究所でも発表されている通り、「エアロゾル感染」「飛沫感染」「接触感染」により感染します。

気道からのウイルスの感染経路は?

(ウイルスの飛ぶ様子を墨汁で表現したもの)

さまざまな経路がありますが、ここでは気道から感染する例を見ていきましょう。

最初、咳やくしゃみ・息をするのにも加湿されながら空気中に放出されます。特に咳をしたときはウイルスに痰や唾液など多量の水滴をつけて飛ばされます。これが「飛沫」です。

飛沫の大きさは「5μm以上」が1つの基準(WHOの定義による)ですが、話すときや咳をした時の呼気中の飛沫の大きさは0.01μm~数mmまで様々です。しかし、2μm前後と120-150μmの飛沫が最も個数が多いといわれています。(詳細はこちら)

では、どの大きさの粒子がウイルスを多く含んでいるのでしょう。中国で2020年に検証されておりますが、概ね「0.25μm~1μm」および「2.5μm以上」の粒子が1個あたりの最もウイルス濃度が高かったとしています。(詳細はこちら)

あとは、時間や距離とウイルス量の関係性です。粒子の大きさが大きいほど、遠くに飛ばないといわれています。(特に飛沫感染の場合)一般的には、5μm以上の飛沫感染の場合

  • 呼吸している場合:0.5m
  • 話している場合:1m
  • 咳をした場合: 2m
  • くしゃみした場合:3~6m

までしか届かないと考えられます。ただし、その分粒子が大きい場合その範囲にしか飛ばないわけですから、密度は高くなります。

一方、エアロゾルで空気中に拡散した場合は粒子系が小さいほど遠くに拡散します。しかし、エアロゾルで遠くに拡散される分、特に屋外では密度は低くなるわけです。ただし室内の場合は遠くに飛びにくく、十分に換気されていないとエアロゾル感染をしやすくなります。そのため、換気が大切であり、いかにウイルスを室内にこもらせないかが重要です。

ここまで考えるとマスクの役割が見えてきます。つまり、新型コロナ下でのマスクとは

  • 飛沫個数が多く、特に密度が高くなりがちな「120-150μmの飛沫」をシャットアウトすること。
  • 粒子あたりのウイルス濃度の高い「2.5μm以上」の粒子をできる限りシャットアウトすること。

が主な役割となります。

確かに、家庭用マスクだけだと小さい粒子についてはシャットアウトできず、感染対策としては不十分です。そのため、WHOでもアメリカCDCでも「マスクだけでなく手指消毒や距離の確保・換気・空気清浄機の設置など、他の対策が必要である」としています。

しかし「マスクが粒子の観点から考えてもそれなりの効果は見込める」という点もわかっていただけたのではないでしょうか。5月19日の厚生労働省の発表でも「限界はあるものの飛沫やエアロゾルを吸い込むことを予防する効果もある」としています。

新型コロナ感染対策としてのマスクの効果は?

アメリカCDCで行われた検証実験による)

では、実際に新型コロナ感染対策としてマスクはどれくらい効果があると実証されているのでしょうか。これは、複数の論文で検証されています。

アメリカCDCで行われた検証実験で、2021年2月から12月に「屋内の公共の場で常にマスクをしていた方」とそうでない方を比較すると、新型コロナ陽性になる確率が

  • 布マスク着用56%減少
  • 手術用(サージカル)マスク66%減少
  • N95マスク/KN95マスク83%減少

したという報告されています。またバングラデシュで34万人あまりを対象とした大規模なランダム化比較試験では、「マスク着用の啓発を行わなかった自治体ではマスクの着用率は13.3%であるのに対し、啓発を行った自治体では着用率が42.3%と高く、新型コロナの感染が疑われる症状が出た人の割合は11.6%低くなっていた」ということです。着用率が30%増加で症状発症率が11.6%低くなったのなら、マスクは感染予防にかなり高い効果をもつといえそうですね。

厚生労働省でも2021年時点でマスクの効果について検証しており、国内外において様々な報告がされていることからマスク着用を推奨しています。

マスクをつけることのデメリットと対策は?

医療従事者を対象に行ったアメリカの論文よる)

新型コロナ感染対策として、マスクはある程度効果があることはわかりましたが、デメリット(副作用)はないのでしょうか。例えば、以下のことがあげられます。

① 長期間着用における頭痛が起きやすい

マスク着用を行うと、十分な酸素を取り込めないケースが出てきます。特に医療従事者を対象に行ったアメリカの論文では、マスク着用における悪影響として

  • 頭痛:71.4%
  • ニキビ:53.1%
  • 皮膚炎:51%
  • 認知機能低下: 23.6%

をあげています。マスク着用をすると、着用していない場合よりも二酸化炭素濃度が起こりやすいためではないかと考えられています。これらの対策として、同論文では

  • 頻繁な短い休憩をとること
  • 首のマッサージをすること
  • シフト開始前に水分をよくとること
  • 自分の顔にあったマスクを着用すること
  • (可能なら)外科用マスクとN95マスクのように換気が悪いマスクを交互に使用すること

を推奨しています。「マスク後に頭痛が起きやすくなった」と考えられる方は、自分ができる範囲で実践されるとよいでしょう。

② マスク皮膚炎になりやすくなる

マスクに伴う皮膚トラブルと総称して「マスク皮膚炎」といわれることがあります。実際、マスクの着用をされてから、

  • マスク周囲の荒れ
  • マスクのゴムの部分の耳切れ
  • マスクでおおわれた部分のニキビ

などさまざまなマスクにまつわる皮膚トラブルで来院されてくる方が増えています。こうしたマスクトラブルを防ぐ意味でも「自分にあったマスク」を見つけていただきながら、早めに適切な治療を行う必要がありますね。ぜひ当院でも承っておりますので、お気軽にご相談ください。

③ 熱中症のリスクが上がる

熱中症とは、熱が体内にこもることで様々な臓器障害になること。熱中症は死亡するおそれもあり、新型コロナ同様に十分気を付けなければならない疾患です。(熱中症による死者数の推移はこちら

特に、マスクを着用されている場合、マスクを着用していない場合と比べると心拍数・体感温度の上昇するなど、体に負担がかかることが想定されます。

そのため、気温が高く湿度が高い状況では、熱中症のリスクが高くなる恐れがあり、「屋外で2m以上の距離が確保できる場合には、マスクを外す」ことが、厚生労働省で言われています。

④ 小児のマスク着用の問題

乳幼児のは、自分で息苦しさや体調不良を訴えることが難しく、自分でマスクを外すことができません。特に2歳未満ではマスクによる弊害の危険性が高まるといわれています。

日本小児科学会でも「乳幼児のマスク着用には危険があります。特に2歳未満の子どもでは気を付けましょう」としており、CDCでも「2歳未満のこどもには、窒息の恐れがあり、マスクをしないように」とされています。

小児は大人と違い活動量も活発で、マスクにより呼吸は苦しくなりやすいです。確かに昨今小児での新型コロナ感染リスクは高いですが、マスクによる弊害も予想されることから、マスクとバランスよく付き合っていきたいですね。これをうけて、厚生労働省では、「マスク着用しなくてよい例」として下記を発表しています。

熱中症リスクが高い場合の登下校:十分な距離を確保し会話を控えること
屋外の運動場やプールのでの体育の授業の時
休憩時間での運動遊び(鬼ごっこなど密にならない外遊び)

小児による新型コロナ感染症の特徴は【オミクロン株】子供の新型コロナ感染症の特徴について【症状・後遺症・ワクチン】にまとめておりますので、参考にしてください。

「新型コロナ感染症対策でのマスク」についてのまとめ

いかがでしたか?今回は、たびたび議論になるマスクについて、具体的に論文も交えながらお話していきました。まとめると

  • マスクは、粒子の観点から考えてもある一定の効果はある(完全ではない)
  • 実際、マスクは、新型コロナ感染対策としても効果があることが報告されている
  • ただし、マスクはデメリットもあることから、状況や個人個人に合わせて考える必要がある

といえます。実際に、厚生労働省では上図のように考えています。感染対策におけるマスクや悪影響による弊害に対しても承っておりますので、ぜひご相談ください。

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【この記事を書いた人】 
一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。

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