熱中症とコロナの違いは?熱中症の症状と対処法について解説

今年も暑い夏がやってきます。暑い時期に注意しなければならないのが「熱中症」ですよね。熱中症はニュースでもよく取り上げられていて、言葉だけはよく知られていますが、実際のところ

  • 「熱中症の症状について詳しく知らない」
  • 「熱中症対策って、水分取ればよいのでしょう?」
  • 「いざ熱中症になった時の応急処置の仕方がわからない」

という方も多いのではないでしょうか。今回は意外と知られていない熱中症について、わかりやすく解説していきます。

熱中症とは?

熱中症とは「暑さによって体の調節機能に異常をきたし様々な症状をきたす病気」のこと。近年の夏の猛暑により、熱中症患者は2010年代に比べ大幅に増加傾向にあります。事実、厚生労働省の統計によると6-9月だけでも約6万人以上の方が熱中症で救急搬送され、令和2年では1500人程度の方が死亡されているのです。

特に自宅での熱中症を発生する方が増えており、高齢者では住宅での発症が半数を超えています。2018年の厚生労働省人口動態統計では、熱中症による死亡者のうち「家庭での死亡(庭も含む)」が56.5%を占めております。このことから、自宅での熱中症対策が特に大切といえますね。

熱中症の原因は?

熱中症の原因であるメカニズムについて。環境や個人差・行動により対尾音が上昇すると、脱水をきたし、熱疲労・熱失神・熱痙攣・熱射病に至ります。
(熱中症の原因のまとめ:著者作成)

熱中症の原因を一言でいうと「環境や個人差・行動によって体温上昇が生じ、さまざまな体温調節がうまくいかない」ことです。

私達の体は普段体温が上昇すると、体表に多くの血液を流して、汗をかくことや体の表面から熱を放散することで体温を正常に保っています。しかし、

  • 環境:普段から体温を上げやすい環境にいる(外での労働・水分がとりにくい環境)
  • 個人差:もともと体温を上げやすい脱水になりやすい(加齢・基礎疾患)
  • 行動:体温を上げやすい行動をしている(小児で活発な方・外での肉体労働)

が引き金をとなり、体温を調節するのが追い付かず、体の体温が上がっていきます。すると、

  1. 熱を放散しようと血流が体表に多く流れてしまう
  2. 汗によって脱水状態となる
  3. (悪化した場合)臓器にも十分な血流が流れなくなり臓器がダメージを受ける

という過程を経て、かるいめまいを起こす「熱失神」から脳への血流不足になり意識障害におちいる「熱射病」にまでつながっていくのです。

あまりに高体温になると、脳をはじめとしてさまざまな臓器が熱や脱水によって機能しなくなり、死ぬ可能性もあるので、熱中症にならないための予防や初期対応が非常に大切になります。

熱中症の症状と初期対応は?

熱中症の重症度と熱中症の症状・治療・病院受診の目安についてのイラスト。
(参照:全日本病院協会「熱中症について」

 熱中症の症状は軽症から命に関わる重症まで様々で、症状によって3つの重症度にわけられます。先に結論を述べると、熱中症の重症度にわけた、症状や治療方法・病院受診の目安は次の通りです。

① 軽度の場合(I度熱中症)

軽度の熱中症のことを医学的には「I度熱中症」と言います。I度熱中症では主に

  • めまい・立ちくらみ:脳の血流が瞬間的に失ったことによる症状です
  • 大量の発汗
  • 生あくび
  • 気分の不快感
  • 手足のしびれ
  • 筋肉痛や筋肉の硬直:こむら返りのようにふくらはぎが引きつくようになることがあります

などの症状が見られます。軽症ではまだ意識としてははっきりしており、「ちょっと変かな」と思うくらいです。この時点では涼しい場所に移動し、水分と塩分を補給しながら体を冷やせば病院に受診しなくても十分回復します。しかし、軽症の状態で放置していると、後述する「中等症」に移行します。

② 中等度の場合(Ⅱ度熱中症)

中等度の熱中症のことを医学的には「Ⅱ度熱中症」と言います。Ⅱ度熱中症では、主に

  • 強い倦怠感(だるさ)や虚脱感
  • 頭痛や吐き気が出現する
  • 集中力や判断力が鈍ってくる

といった症状などが見られます。少し意識レベルとしては低下しているものの、自分がどこにいるかなどははっきりしており、呼びかけにも少し遅れ気味になるものの、対応できると思います。しかし、周囲から見ても「少しいつもと違う」と思うこともしばしば。吐き気も伴うこともあり、重症の可能性もあるので病院への受診が必要な状態です。

通常は、外来で点滴をしながら慎重にフォローをすれば問題ないことも多いので、早めに病院に受診して指示を仰ぐとよいでしょう。もちろん軽症以上の状態なので、「安静にすること」や「水分や塩分をこまめにとること(吐き気が催さないよう少量ずつ頻回に)」「涼しい環境にいること」などは必須になります。

特に高齢者に見られがちな間違いが「とりあえず水を飲んでおけばよいのだろう」と考えること。もちろん心臓が悪い方の塩分の取りすぎは問題になりますが、失われた分の補充は水分と同時に塩分も非常に重要です。

経口補水液である「OS-1®」を利用するのも手ですが、お家で経口補水液を作ることもできます。

作り方は簡単で「500mlペットボトルの水に砂糖20g(大さじ2杯-3杯程度)塩1.5g(親指と人差し指でひとつまみ程度)を混ぜる」だけです。

特に高齢者や重度の免疫力が低下している方、脱水症状のある方はこまめに飲むとよいですね。

(参照:Rehydration Project)

③ 重度の場合(Ⅲ度熱中症)

重度の熱中症のことを医学的には「Ⅲ度熱中症」と言います。Ⅲ度熱中症では、主に

  • 意識障害:「自分がどこにいるのかわからない」「自分の名前が言えない」「刺激に反応しない」など
  • 熱けいれん:「ガクガクと体が震える」ような所見
  • 高体温:触ると非常に体に熱を持っていることがわかります
  • 臓器障害:肝機能障害や腎機能障害が現れますが、採血しないとはっきりしません

などの症状がみられます。もちろん上記をみれば明らかですが、間違いなく救急車を呼んだ方がよい状態であり、一刻も早い対処が必要です。以下に早く重度の脱水を点滴で補い、高体温を解除するかが、後々の生死につながります。

熱中症とコロナ・風邪の違いは?

熱中症と新型コロナや風邪症状との違
(熱中症と新型コロナ・風邪との違い)

では、熱中症とコロナや風邪の違いは何でしょうか。熱中症も新型コロナ感染症や風邪も発熱をしたり疲労感が起こったり、吐き気や頭痛を伴うこともあるので、似ている部分もありますね。

もちろん両者は病態が全く異なるので、症状の現れ方にも明確な違いがあります。例えば以下の点を考えて「どちらの可能性が強いか」判断してみてください。

① 症状の「きっかけ」が異なる

熱中症はやはり「気温が高い(特に外)場所に長時間いて、水分も取れない状態の時」に発症しやすくなります。一方、新型コロナ感染症は、他の風邪同様「人ごみの多い場所(特に室内)にいたり、コロナ感染症をきたしている方と接している場合」に発症します。

「症状が出た」と思ったら、まず「きっかけはどうだった」か振り返ってみて下さい。特に熱中症の場合、明確な「脱水をきたしやすい環境」が発症起点となります。(新型コロナ感染症は、その強い感染力から、特に人混みに行っていなくても起こることがあるので注意が必要ですね。)

② 新型コロナ感染症や風邪は「気道感染」の所見がある

やはり新型コロナ感染症か見極める1つとして「他の症状が伴うか」は非常に重要になります。

新型コロナウイルスといえども、もともとは風邪のコロナウイルスが変異したもの。咽頭や鼻腔から侵入し、気管や気管支・咽頭でウイルス増殖する点は従来のウイルス感染症と同じです。

したがって、新型コロナ感染症をはじめとしたウイルス感染の場合は咳や咽頭痛を伴うことが多く、少なからず上気道に炎症があるのがほとんど。「のどの痛みはなかった」という方も、咽頭をよく観察すればウイルス感染をきたしている所見がよく見られます。

また「発熱」といっても熱中症と違い「ゾクゾクした寒気(悪寒)」を伴うことも多いですね。

一方、熱中症は当然ながら感染症ではありません。主症状は脱水によるもの。当然ながら熱中症では「気道感染」の症状である咳や鼻水・咽頭痛などはなく、発熱やだるさなどが中心になります。

ぜひ「他の症状はどういうものがあるか」を注意深く考えてみてください。どちらの可能性が高いか、わかることが多いです。

③ 熱中症は他の脱水所見があることが多い

では、熱中症に特異的な症状の出方はあるのでしょうか。

もちろん新型コロナ感染症でも高度な発熱をきたしていれば脱水症状を伴うことがありますが、熱中症で発熱されている方はさらに高度な脱水所見になっていることが多くなります

よく脱水をみる所見として見られる変化として「Capillary Refill Time(キャピラリー・リフィル・タイム:毛細血管補充時間」というものがあります。毛細血管補充時間とは、以下の方法でチェックすることができる、末梢の循環が悪いかどうかを知る方法。非常に簡単に脱水かどうかを推測することができますので、ぜひ試してみてください。

  1. 手の親指の爪を3秒以上、反対側の親指で押してみる
  2. 親指の爪を押している間は「白」くなると思いますが、離してみて爪の色が「赤」になるまでの時間を計測してみてください。
  3. 通常、1秒もたたずに爪の色が赤く戻ると思いますが、ずっと爪の色が白いままで「赤」に戻るまでに2秒以上かかった場合、脱水などに見られる「末梢の循環が悪い」サインになります。

他にも脱水の時は皮膚のシワの戻りがわるい「ツルゴールサイン」などがあります。しかし、ツルゴールサインは非常に高度の脱水症状の場合に見られ、軽度の脱水の場合には現れにくい欠点があります。「脱水なのかな?」と思ったら、ぜひ爪の色の戻りを気にしてみるとよいかもしれませんね。

もちろん新型コロナ感染症では、発熱に伴う脱水の可能性はあるものの、脱水所見が前面に出るようなことはあまりありません。

(参照:Physical Examination and Daily Assessment of the Critically Ill Patient. Kirk & Bistner’s Handbook of Veterinary Procedures and Emergency Treatment (Ninth Edition) 2012, Pages 295-380)

熱中症で頭痛がおきる理由は?

頭痛は、多くの人が普段から悩まされる病気の一つです。ですが、普段からよくある頭痛だと思っていると、熱中症のサインの1つであることも。そのまま放置するとさらに熱中症が悪化する可能性もあるため、頭痛が熱中症によるものかどうか見極める必要があります。

では、なぜ熱中症で熱中症で頭痛が起きるのでしょうか?

結論から言うと「熱中症では脳の血流が悪くなってしまう」から。

熱中症では前述の通り、体の中の水分が不足して体全体の血流が悪くなっています。もちろん脳への血流も悪くなり、脳に十分な酸素が行き渡らない状態になると、頭痛を引き起こしてしまうのです。さらに体が高体温になると、頭痛発作がさらに強くなってしまいます。

それでは、どのように普段の頭痛と違いを見極めればよいのでしょう。

症状だけではなかなか両者を見極めることは難しいので、一番簡単な方法は「涼しいところに移動し水分補給を行い、頭痛が改善するか」をみること。涼しい場所に移動し、脱水を改善することで頭痛発作がよくなるのでしたら、熱中症による頭痛発作だと判別できます。逆に、改善しなければ他の原因を考えなければなりません。

ちなみに、熱中症により頭痛が生じている場合は中等度の熱中症ですので、十分な水分補給をできない場合には医療機関を受診する対象です。「とりあえず鎮痛薬で様子をみよう」と考えず、原因を考えることが大切ですね。

熱中症は翌日に起きることも

熱中症は暑い日や、運動した時すぐに起きるイメージがありますが、「熱中症は翌日に起きることもある」ことはご存じでしょうか。

熱中症は、汗かいて脱水状態になり体の血流が悪くなることや高体温になることで様々な症状が起きます。

脱水状態が続いて血流が悪いと、じわじわ体の臓器がダメージをうけます。ふらつきなどの症状がすぐに出る場合もありますが、体の臓器のダメージが蓄積し、症状として現れるまでに時間を要する場合も。そうした場合、暑い日の翌日に熱中症の症状が現れることもあるのです。

そのため、暑い日に症状がでなかったからといって、熱中症ではないと安心せず十分な水分補給や休息をとるようにしましょう。

熱中症対策は何をする?

熱中症対策の1例。こまめに休む。風通しのよい日陰で。マスクをはずす。無理をしない

熱中症は注意することで防ぐことが可能な病気です。そのため普段から熱中症対策が非常に大切になってきます。それでは熱中症対策のポイントをみていきましょう。

①暑さをさけて、無理をしない

熱中症対策の基本ですね。当然ですが、暑さを防げば熱中症にはなりません。そして暑さは、日々の工夫で防ぐことができます。特に以下を意識するとよいでしょう。

  • 室内では湿気・室温に気をつける: エアコン等を使用し、昼夜を問わず空気の管理に気を配りましょう。節電をしようと我慢すると、熱中症の危険性が大幅に高まってしまいます。
  • 室内への直射日光を遮断する: 日光を浴びるのは健康にとって重要ですが、適宜カーテンを使用し、室温の上昇を防ぐようにしましょう。
  • 屋外対策も万全に: 屋外では、日傘をさしたり帽子をかぶったりすることや日陰でのこまめな休憩で、日差しを避けるようにします。また、通気性が良く、吸収性・速乾性に優れた服を選んだほうがよいですね。

②こまめに休み、水分補給をする

大量の汗をかいているときはもちろんですが、特に高齢者では喉のセンサーが低下しているため、喉が乾いていないときにも脱水症状が始まっていることがあります。

そのため、特に高齢の方は喉が乾いたと思う前にも積極的に水分補給をするのが大切。

 また、体は汗によって塩分も同時に失っているため、塩分摂取も同時にすることが重要です。 お茶や水分のみを補給していた場合、さらに体の塩分濃度が薄まり、足の痙攣などが起きやすくなってしまいます。

スポーツドリンクも熱中症の予防には十分つながりますが、糖質が多く含まれているため、できれば電解質の配分量の多い「経口補水液」か「OS-1®」を利用するようにしましょう。

ご自宅で作るなら、作り方は簡単で「500mlペットボトルの水に砂糖20g(大さじ2杯-3杯程度)塩1.5g(親指と人差し指でひとつまみ程度)を混ぜる」だけです。

③外ではマスクを外す

マスクをすると熱が内側にこもり、熱中症になりやすくなります。人との距離が十分離れていたり、換気が十分されている環境であればマスクを外しても問題ありません。

厚生労働省でも「熱中症対策としてマスクを外す」よう注意喚起がされています。

(参照:厚生労働省による熱中症対策リーフレット

夏の暑い日に、家族と一緒にいる時などは熱中症予防の観点からマスクを外すようにしましょう。熱中症を含めたマスクの効果やデメリットに関しては、【新型コロナ】感染対策でのマスクの効果とデメリットについて解説もあわせて参照してください。

④熱中症を疑った時点で早めの対策をする

熱中症を少しでも疑ったら、早めの対策をすることが後の重症化を予防します。

気温や湿度が高い日に、めまい、立ちくらみ、頭痛、倦怠感、筋肉の痙攣など熱中症を疑う症状が見られたら、まず涼しい場所へ避難し水分をとるようにしましょう。大量の汗をかいている場合は塩分も摂取するのを忘れずに。

また、意識が変かな?と思ったら、早めに病院に受診するようにしてください。「自分の位置がわからない」くらい意識がおかしい場合は、救急車を呼ぶようにしてください。また、自力で水分補給ができない場合や吐き気を訴えている場合には、すでに熱中症により胃腸症状がでており点滴等の処置が必要な可能性があるため、病院受診が推奨されます。

  衣服をゆるめたり脱いだりして体を冷却するのも効果的です。体を冷やす際には氷枕や保冷剤(冷えたペットボトルや氷でも可)で両方の首筋や脇の下、足の付け根などの太い静脈がある部分を冷やすようにするとよいでしょう。

⑤子供・高齢者の場合は特に注意を

 子供は体温調節機能が十分に発達しておらず、また大人より体重あたりの体表面積が大きいため、環境の影響を非常に受けやすくなっています。 暑い環境では大人より容易に体温が上昇してしまうため、顔色や汗のかき方を周囲の大人が注意深く見守ることが重要です。

 寒暖差で体調不良をきたしやすいので、普段から適度な暑さで遊んで暑さに慣れることも熱中症予防に効果的ですね。

 また、子供と同時に熱中症に特に注意しなければならないのが高齢者。高齢者は暑さや体温上昇に対する感覚が低下しており、熱を放散する力も低下しているため高体温になりやすいのが特徴です。また若年者に比べ体内の血液量が少ないため、容易に脱水症状になります。脳の察知能力も低下しており喉の乾きも感じにくいため、「喉がかわく前に」早めのこまめな水分補給を行うようにしましょう。

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【この記事を書いた人】 
一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。

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