一之江駅前ひまわり医院では、安定している方のB型肝炎の継続治療と成人(大人)に対するB型肝炎ワクチンの接種も行っております。
B型肝炎について
B型肝炎はB型肝炎ウイルスが血液・体液を介して感染して起きる肝臓の病気です。
日本での調査によると、2012年から2016年までの現在の感染を示すHbs抗原の陽性率は0.37%でした。(2019年肝炎対策協議会の発表による)また、肝炎検査の検査を受けたことがある割合は58.4%であり、「隠れB型肝炎」を起こしている方がいるかもしれません。
① B型肝炎の感染経路
B型感染に感染する方法は、大きく分けて「母子感染(垂直感染)」と「水平感染」にわかれます。その内訳は次の通りです。
垂直感染 | 出生時に母子に感染している |
妊娠中に胎盤や子宮から感染 | |
水平感染 | 出血を伴う医療行為により感染 |
濃密な接触(性行為など)により感染 | |
ピアスの穴開けなど出血を伴う他の行為により感染 | |
刺青 | |
静脈内麻薬の乱用により感染 | |
その他 |
② B型肝炎の症状
B型肝炎には「急性肝炎」の状態と「慢性肝炎」の状態があります。
(1)急性肝炎
急性肝炎とは、B型肝炎を含む肝炎ウイルスの他、薬物・免疫状態の異常などにより、肝機能が急速に悪化することです。B型肝炎の場合は感染してから1~6か月の潜伏期間を経て発症します。症状としては、発熱・倦怠感・黄疸・吐き気などがあります。
急性肝炎は一般的には経過が良好な疾患ですが、約1~2%の患者は劇症化し、一度劇症化すると高率に死に至る可能性が高くなります。特に重症な方は肝臓移植をする場合もあります。
(2)慢性肝炎
出産時ないし乳幼児期においてHBVが感染すると持続感染に移行します。生後数年~数十年間は肝炎の発症せずに、感染したB型肝炎ウイルスは排除されずに体内で共存しています。この状態を無症候性キャリアと言います。
年齢が上がり免疫力が発達すると、共存しているB型肝炎ウイルスを「敵」とみなすようになり、排除しようとします。一般的に10代~30代の時に一過性に肝炎を起こし、ウイルス増殖の高い状態(HBe抗原陽性)から、ウイルス増殖の低い状態(HBe抗体陽性)に移行し、通常肝機能は安定していきます。
しかし、10%~20%の方はそのまま慢性肝炎に移行し、その中から肝硬変・肝がんになる方もでてきます。
ひまわり医院では、地域中核病院と連携を取り、肝がんや肝硬変のモニタリングも行いながら、安定した方のB型慢性肝炎に関する治療も行っております。
大人のB型肝炎ワクチンについて
当ひまわり医院では、B型肝炎ウイルスには、感染を未然に防ぐためのワクチンも行っております。
ワクチンを接種することにより高い確率でB型肝炎ウイルスの感染を予防することができます。2016年から乳幼児の定期接種の対象となっています。
他のワクチンについては、こちらを参照してください。
① B型肝炎ワクチン接種のスケジュール

大人(成人)におけるB型肝炎ワクチン接種は、「初回・1か月後・6か月後」の3回接種が基本です。B型肝炎ワクチンの添付文書では「1回目の接種から139日以上あけていれば3回目接種可能」としていますが、ワクチンの効果の持続性から20週~24週に接種を推奨しています。
獲得した免疫は少なくとも15年間持続することが確認されています。20歳代までに接種を行った場合も高い効果が期待できます。しかし、B型ワクチンの効果は年齢と共に低下します。
例えば40歳を過ぎてからのワクチン接種により免疫を獲得できるのは約80%です。そのため、3回接種後1~2か月後に抗体検査を実施して(他の医療機関で定期的に行っている場合は不要)抗体検査陰性であれば追加接種を行うこともあります。陽性であれば、追加接種の必要はありません。
(参考:医療関係者のためのワクチンガイドライン)
B型肝炎を発症していた方は、すでに抗体価が十分高いことが予想されます。追加でワクチン接種をされたい場合は、まずは現在の感染の有無も含めて採血することをオススメしております。
② B型肝炎ワクチンの費用は?
ひまわり医院では、以下の費用で行っております。
B型肝炎ワクチン | 1回 5000円(税込) |
*ワクチン接種に伴う手技料・診察費を含みます。
*3回接種が基本なので、合計15000円になります。
③ 成人でのB型肝炎ワクチン接種の推奨される人は?
WHOの見解によると以下の方は、成人でのB型肝炎ワクチン接種が推奨されています。
・ 医療関係者
・ 医療以外で血液や血液製剤にさらされる可能性のある方
・ B型肝炎の方と性的パートナーの方や同居家族
・ 複数の性的パートナーをもつ方
・ 頻繁に輸血や血液製剤を投与する必要がある方、透析患者・臓器移植を受けた方
④ 他のワクチンとの接種間隔は?
B型肝炎ワクチンはウイルスの一部を取り出し感染力を失わせた「不活化ワクチン」です。したがって
- 不活化ワクチン(インフルエンザワクチン・肺炎球菌ワクチンなど): 接種間隔に制限はありません。
- 新型コロナワクチン: 新型コロナワクチンとそれ以外のワクチンは、同時に接種できません。 新型コロナワクチンとその他のワクチンは、お互い片方のワクチンを受けてから2週間後に接種できます。(厚生労働省HP)
- 他の生ワクチン(BCG、MR[麻疹・風疹ワクチンなど]): 接種間隔に制限はありません。
となります。
⑤ B型肝炎ワクチンの接種を受けることができない人は?
以下の方はB型肝炎ワクチンを接種することができません。
- 明らかな発熱(通常37.5℃以上)がある方
- 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな方
- 本剤の成分によってアナフィラキシーを呈したことがあることが明らかな方
- 上記に掲げる者のほか、予防接種を行うことが不適当な状態にある方
B型肝炎ワクチンの救済制度について
集団予防接種が原因でB型肝炎に感染した人に給付金を支給している救済措置について、2022年1月までとなっている請求期限を5年延長する改正法が、2021年6月11日の参議院本会議で成立しています。
B型肝炎をめぐって、昭和63年までの40年間、注射器を替えないまま行われた集団予防接種で感染が広がった経緯がありました。それに対して、国は責任を認め、9年前に1人当たり最大で3600万円の給付金を支払うなどとした特別措置法が施行されました。
しかし、実際には救済制度を知らない方も多く、2021年1月時点で対象と見込まれるおよそ45万人のうち、19%に当たるおよそ8万5300人しか救済制度をうけていません。
具体的な内容や手続きは厚生労働省のHP(クリックで該当HPにとびます)がありますので、ご参照ください。
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【この記事を書いた人】
一之江ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。
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