花粉症の季節になってきました。花粉症は鼻水や肌のかゆみも辛いですが、目のかゆみも非常につらいですよね。
今まで点眼薬と飲み薬で対処されていたと思いますが、アレルギー結膜炎に2024年に新しい「花粉症の塗り薬」が誕生しました!それが「アレジオン眼瞼クリーム」というものです。なんと塗り薬のタイプで1日1回で効果が持続するというのだから、驚きですよね。どんな薬なのでしょうか。
今回は、花粉症の塗り薬である「アレジオン眼瞼クリーム」について紹介するとともに、まぶたや目の腫れに使われやすい他の塗り薬についてもあわせてご紹介します。
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花粉症の塗り薬「アレジオン眼瞼クリーム」とは?
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アレジオン眼瞼クリームとは、アレルギー性結膜炎に適応とする新しい塗り薬のタイプのお薬です。
1日1回適量を上下のまぶたの部分にぬるだけで、1日中長く効果が持続するのが一番の特徴。基本的にはかゆみが起きてから塗るのではなく、1日1回決められた時間に毎日同じタイミングで使用します。例えば、朝食の時や寝る前など「毎日の生活習慣」の中に組み込むように使うと忘れにくいですね。
2024年の日本人30人を対象とした臨床試験によると、0.5% エピナスチン局所眼瞼クリームは、プラセボと比較して、治療後 24 時間で目をかゆみを訴えるレベルが低くなり(スコア差で1.12)、結膜が充血しにくくなる(スコア差で0.54)といわれています。
点眼は大体6時間くらい、長くても12時間くらいで効果が切れることを考えると、とても長い持続効果ですよね。これは、お薬の成分がまぶたの皮膚科からゆっくり吸収され、目の中の結膜に浸透し、目のかゆみを抑えるからといわれています。
塗り薬のメリットはそれだけではありません。使い方が簡便であるという点も魅力的です。
点眼薬は「使いづらい」「うまく目に入らない」という人も中にはいます。中には点眼薬によって目がかぶれてしまっている方もいます。一方、アレジオン眼瞼クリームでは「塗るだけ」なので、比較的誰でも簡単にぬることができます。
12歳未満の小児を対象とした臨床試験は実施していないため、基本的に12歳以上に限られますが、点眼が苦手な人には朗報でしょう。
妊娠中は「有益性が危険性を上回る場合に使用すること」とありますので、基本的には妊娠中でも使用可能です。
主な副作用としては「かぶれ」「眼瞼炎」「目の掻痒感」などがありますが、比較的副反応がすくない薬でもあります。先の臨床試験では明らかな副作用は認めていません。
(参照:Safety and efficacy of a novel 0.5% epinastine topical eyelid cream in allergic conjunctivitis: a phase 3 trial)
(参照:アレジオン眼瞼クリーム0.5% 患者用指導せん)
(参照:アレジオン眼瞼クリーム0.5% 添付文書)
アレジオン眼瞼クリームの正しい塗り方は?
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では、アレジオン眼瞼クリームの正しい塗り方についてご説明しましょう。
- 手洗い:まず、石鹸と流水で手をしっかり洗ってください。
- クリームの取り出し:次に、チューブを軽く押して、指先に適量のクリームを出します。
- 使用量の目安:1回あたり、片目に約30mgのクリームを使います。これは、チューブから絞り出したクリームが約1.3cmの長さになる量です。ちなみに、成人の人差し指の先端から第一関節までの長さがおよそ2.6cmで、その半分が約1.3cmに相当します。
- 塗り方:目を軽く閉じた状態で、指先に乗せたクリームを上下のまぶたに均等に分けます。その後、クリームが透明になるまで指でやさしくなじませてください。
反対側も同じように塗りましょう。大体1本あたり1か月くらいで使い切るくらいが「ちょうどよい分量」となります。
なお、入浴直前だと洗い流されてしまうのでさすがに浸透しきらないで、効果を十分に発揮できません。オススメの時間帯は「就寝前」ですが、忘れないと思うタイミングで定期的にぬるようにしましょう。
(参照:アレジオン眼瞼クリーム0.5% 患者用指導せん)
まぶたや目の周りの腫れを治す塗り薬は別にあります
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ここで1つ注意があります。アレジオン眼瞼クリームは塗り薬ですが、効果を発揮する場所は「アレルギー性結膜炎」なので、まぶたや目の周りの腫れである「眼瞼炎」を治す薬は別にあるということです。
花粉になると目や鼻の症状だけでなく、肌にも花粉という微粒子が多くついて荒れやすくなります。さらに、目をかいたりこすったりすると余計荒れがひどくなりますよね。
こうした荒れは「かぶれ」に近いものなので、アレジオン眼瞼クリームではなく、炎症を直す「ステロイド剤」などが適応となります。例えば目にも塗っていいものとしては
- プレドニン眼軟膏
- ネオメドロールEE
などがあります。また目のまわりにプロペトなどの保湿剤を塗ってカバーしておくと、花粉がつきにくくなりますよね。
このように、アレルギー性結膜炎とは違う花粉による皮膚炎を「花粉皮膚炎」といいます。花粉皮膚炎は目の炎症ではないので、基本的に皮膚科に受診するようにしましょう。詳しくは
もあわせて参考にしてみてください。
【この記事を書いた人】
一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。
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