亜鉛のとりすぎによる症状や副作用は?亜鉛過剰症について解説【銅欠乏】

亜鉛は人体にとって欠かせないミネラルの1つですが、なかなか自分で補うことができないもの。

最近「亜鉛不足になりやすい」という認知度も上がってきており、「サプリメントで普段からとっている」という方も増えています。

しかし、そのように亜鉛をサプリで補っている方で、実際採血で亜鉛値を計測したら「亜鉛過剰症」になってきている方も。亜鉛不足も問題ですが、亜鉛のとりすぎである「亜鉛過剰症」でもさまざまな症状や副作用が出ることがあるのです。

今回は、亜鉛のとりすぎである「亜鉛過剰症」について、症状や副作用・亜鉛過剰症に関連した「銅欠乏」に至るまで解説していきます。

亜鉛不足については、ぜひ亜鉛不足の原因や症状・摂取量の目安について【食べ物や治療薬も】を参照してください。

亜鉛のとりすぎ「亜鉛過剰症」による症状や副作用は?

亜鉛をサプリメントなどで過剰に摂取した場合には

  • 頭痛
  • 発熱や倦怠感・神経障害
  • 銅や鉄不足による貧血
  • 吐き気(嘔吐)・腹痛・下痢・食欲不振などの消化器症状
  • HDLコレステロール(善玉コレステロールの低下

などが、副作用や症状としてあげられます。また、1日あたり100mgを超える亜鉛摂取をされている男性は、進行性前立腺がんのリスクが2.29倍(1.06~4.95倍)に上昇するという報告もあります。10年以上サプリメントで亜鉛を服用されている方の前立腺がんの発生リスクは2倍(1.42~3.95倍)に及ぶので、長期間内服されている方は注意が必要ですね。

(参照:Zinc supplement use and risk of prostate cancer. J Natl Cancer Inst. 2003 Jul 2;95(13):1004-7.

(参照:厚生労働省 eJIM「亜鉛」

亜鉛過剰症の背景にある「銅欠乏」

長期にわたって亜鉛を過剰摂取することで、最も大きい理由が「銅欠乏」です。

銅は、胃や十二指腸、空腸で吸収され、さまざまな生体内にある酵素の働きを活性化させます。そのため銅欠乏になると

  • 疲労・貧血・白血球数の減少:好中球減少や血球全体の低下
  • 骨粗しょう症・神経の損傷:手足にちくちくする感覚やしびれ
  • 筋力低下や歩行異常

など、神経や血液検査異常を中心に見られます。

銅欠乏の原因としては、胃手術後やセリアック病などの吸収障害が一般的ですが、次に多いのが「亜鉛の長期にわたる過剰摂取」です。

亜鉛自体の毒性はとても低いですが、亜鉛は銅と吸着しやすいたんぱく質を活性化させるため、亜鉛の過剰摂取が長くなると、銅の吸収が悪くなります。すると、亜鉛のとりすぎから、銅吸収障害による銅欠乏の症状が出てくるのです。

亜鉛は、実はサプリメントだけでなく、亜鉛が添加されている食事・亜鉛を使用している義歯・「プロマック®」などの亜鉛が含まれている処方薬など、食事以外の様々な経路で過剰摂取することがあります。

そのため、当院では亜鉛不足で継続的に投与されている方は「銅」も一緒に測定し、銅欠乏に至っていないかチェックしながら慎重に投薬しています。

(参照:偏食による亜鉛過剰摂取が原因と考えられた銅欠乏性ミエロパチーの 1 例. 臨床神経 2016;56:690-693)

亜鉛過剰症のリスクが高い方は?

亜鉛は、通常の食事ではむしろ不足しやすいことが多く、亜鉛過剰症には至りません。亜鉛過剰症のリスクが高い方は例えば次のような方です。

  • 亜鉛のサプリメントを継続的に飲まれている方
  • 亜鉛が含まれている義歯を使用されている方
  • ミネラルが添加されている食事を非常によく摂られている方
  • 亜鉛が含まれている薬(プロマック®)などを継続的に飲まれている方

などです。これらに該当されている方は一度「亜鉛値」の計測をしてみるとよいでしょう。

亜鉛の安全な上限値は?

亜鉛の安全な上限値は、厚生労働省によると下記の通りです。もちろん医学的な理由で亜鉛を処方され摂取している場合は該当しません。

ライフステージ亜鉛の安全な上限値
生後6か月4 mg
幼児7-12か月5 mg
小児1-3歳7 mg
小児4-8歳12 mg
小児9-13歳23 mg
14-18歳34 mg
成人40 mg

ただし実際に診療をしていると「サプリメントで安全域で飲んでいたのにも関わらず『亜鉛過剰症』や『銅欠乏』になっていた」ということもよくあります。

そのため、亜鉛を継続的に飲まれている場合は定期的に医療機関に亜鉛を測定してもらうようにしましょう。

(参照:厚生労働省 eJIM「亜鉛」

銅が多く含まれる食事は?

では、亜鉛過剰症で銅が不足していたとして、どのような食事に銅が多く含まれているのでしょうか。一般的には魚介類・肉類・豆類に多く含まれています。

例えば、「レバー」「大豆」「干しエビ」「いいだこ」「かき」などです。

実は、これらの食品は「亜鉛」も多く含まれているので、実際には銅のサプリメントで補った方が効率がよいでしょう。(もちろんバランスが大切なので、サプリメントで補う場合は計測しながらの方が望ましいです)

逆に言えば、食事を中心に摂取すれば「亜鉛」も「銅」もバランスよく摂取できるということになりますね。

亜鉛のとりすぎ「亜鉛過剰症」に関するまとめ

いかがでしたか?亜鉛過剰症の症状からリスクの高い方、亜鉛過剰症に欠かせない「銅欠乏」についてお話していきました。簡単にまとめると

  • 亜鉛過剰症になると、頭痛・吐き気・下痢・食欲不振・神経障害・貧血・HDLコレステロール低下などの症状が出現することがあります。
  • また、亜鉛のとりすぎにより前立腺がんの発生リスクも上昇します。(約2倍)
  • 亜鉛をとりすぎると、「銅欠乏」になることがあり、血液検査異常や神経症状を中心とした症状が出ることがあります。
  • そのため、適切にモニタリングしながらの補充が大切です。

といえます。当院でも亜鉛不足や亜鉛過剰症に対して、個別に相談をしておりますので、ぜひ気軽に来院・相談してください。

あわせてこちらもオススメです

【この記事を書いた人】 
一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。

関連記事

  1. サル痘(さるとう)の原因や感染経路・症状・死亡率について解説…

  2. 新型コロナウイルス感染症について【症状・臨床経過・予防策】

  3. 亜鉛不足による「10の症状」について【皮膚症状・舌炎など】

  4. 舌下免疫療法(アレルゲン免疫療法)について【効果・費用・種類…

  5. のどの痛みやだるさ…コロナに似ている「伝染性単核球症」につい…

  6. 痰が絡む咳はコロナ?咳や痰の原因や対処法について解説

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


ピックアップ記事

新着記事 おすすめ記事
PAGE TOP