2022年7月上旬の新型コロナ感染症の特徴について【感染者数・症状・重症化】

2019年から変異を繰り返しながら、世界中に蔓延し続けている「新型コロナウイルス感染症」。あまりに多くの変異をするたび、特徴を変え続けているので、「結局、今の『新型コロナ』の特徴は何?」と混乱している方も多いのではないでしょうか?

実際、ネット上でも新旧入り混じった情報が錯綜しているので、医療従事者含めて混乱されている方も多いでしょう。

そこで、「今流行っている新型コロナ感染症」に注目して、その症状や重症化・感染者数の推移を含めてアップデートしながらお話していきます。

今、日本で流行っている「新型コロナウイルス」の主流株であるBA.5株とは?

今流行っている新型コロナウイルス感染症の主流株は、オミクロン株の1種である「BA.2株」ですが、BA.5株に置き換わりが進んでいます。

東京都モニタリング会議資料によると、健安研における変異株PCR検査で検出された各変異株の割合は、7月7日時点で、「BA.2株57.8%、BA.5株33.4%、BA.4株4.2%」となっています。ただし、8月の第1週時点では、ほぼ100%になっていることから、今後は「BA.5株が主流になる」と考えてよいでしょう。

(参照:(第92回)東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議資料(令和4年7月7日))

今の新型コロナBA.5株による感染者数の推移は?

では、新型コロナの現在の感染者の推移を見てみると、7月12日時点では「新型コロナ新規感染者数10万人あたり全国で290人」になっており、急上昇しています。増加率も非常に高いので、これからの感染予防が特に大切ですね。

今後もさらなく増加が見込まれています。

マスクの予防効果とデメリットに関しては、【新型コロナ】感染対策でのマスクの効果とデメリットについて解説を参照してください。

(参照:7月12日の感染症アドバイザリーボード資料

今の新型コロナウイルスBA.5株の症状の潜伏期間・症状の特徴は?

(フランスで発表されたBA.5株とBA.1株の症状の内訳)

今の新型コロナ感染症の主流株であるBA.5株の特徴については、次の通りです。

① BA.5の潜伏期間は3日と想定されるが確定的ではない

オミクロン株が主流となり、潜伏期間は7日から3日程度に短縮された報告があります。これはウイルスの増殖能が強くなったことが反映していると思われています。さらにイギリスからの報告ではBA.2株が主流になり、「オミクロン株よりも半日程度短くなった」と報告されています。

BA.5株になってからの検証された論文はありませんが、同じオミクロン株であることから、同等と考えられます。しかし、

② 現在の新型コロナBA.5株の症状は「倦怠感、咳、発熱、頭痛、筋肉痛、鼻水、喉の痛み」

アメリカCDCによると「オミクロンBA.2株の症状は従来のオミクロン株と酷似している」といわれています。国立感染症研究所やイギリスからの報告では、従来のオミクロン株と比較して、「のどの痛みを感じやすくなり、味覚嗅覚異常は少なくなった」のが特徴の1つとして挙げています。

また、オミクロンBA.5株になり鼻水の症状が急上昇しています。鼻水自体は致死的なものではありませんが、今後の初期症状の検出として有用かもしれませんね。

③ 現在の新型コロナBA.5株のウイルス排出期間は「10日まで」が目安

国立感染症研究所の発表によると、オミクロン株では「ワクチン未接種者においてもワクチン接種者と同様に、無症状者および軽症者においては発症または診断10日以降に感染性ウイルスを排出している可能性は低い」と報告しています。BA.5株もオミクロン株なので、排出期間もそれくらいかもしれませんね。

いままでの新型コロナウイルスの主流であった、デルタ株や武漢株の感染性ウイルス排出期間は18日13日と報告されているので、より短くウイルス排出が終わるようになったと考えてよいですね。

ただし、今後はBA.5株に置き換わっていくものと考えられます。BA.5株の特徴についてはオミクロン変異株「BA4株・BA5株」の特徴について【感染力・重症化・ワクチン】もあわせてご参照ください。

(参照:CDC「Omicron Variant: What You Need to Know」
(参照:国立感染症研究所「SARS-CoV-2 B.1.1.529系統(オミクロン株)感染による新型コロナウイルス感染症の積極的疫学調査:新型コロナワクチン未接種者におけるウイルス排出期間(第2報)」)
(参照:国立感染症研究所「SARS-CoV-2 B.1.1.529系統(オミクロン株)感染による新型コロナウイルス感染症の積極的疫学調査(第5報): 疫学的・臨床的特徴」)
(参照:SantéPubliqueFrance「Coronavirus : circulation des variants du SARS-CoV-2」

今の新型コロナウイルスBA.5株の感染力は?

現在のBA.5株の感染力は実行生産数でBA.1株の1.4倍と言われており、非常に高い感染力をもちます。そのため、7月中旬では日本でも感染爆発が行っていますね。直近のBA.2株と比較しても1.2倍~1.3倍の感染力になります。

BA.2株でも家庭内感染は非常に高く、「6人に1人」~「3人に1人」は家庭内感染されていたので、

(参照:SARS-CoV-2 variants of concern andvariants under investigation in England Technical briefing 43)
(参照:Transmission of SARS-CoV-2 Omicron VOC subvariants BA.1 and BA.2: Evidence from Danish Households)

さらに、昨今の新型コロナ感染症の特徴として「若年の方の感染者数が多い」ことがあげられます。

年齢別に見た新規陽性者数の推移をみると、4月から6月まで一貫して若年者の方の感染が中心となっています。若い方の方が活動範囲が広いことが理由として挙げられますね。特に従来の新型コロナウイルス感染症では「小児はかかりにくい」といわれていましたが、現在はむしろ「小児や若い方から感染しやすい」と考えてもよいでしょうね。

(参照:6月30日の感染症アドバイザリーボード資料

今の新型コロナウイルスの重症化や死亡率は?

沖縄県での重症化率や死亡率の推移。ワクチンの接種の有無に伴い低下傾向

海外のデータによると「BA.5株による重症化率はBA.1株の時とほぼ同等」と言われています。そのため、基本的にはBA.1株の死亡率・重症化率に沿う形で重症化や死亡される方も増加すると予想されます。

沖縄県のデータによるとBA.1株では「20歳~49歳で130人に1人、50~69歳で35人に1人、70歳以上は5人に1人」の方が入院されています。

そのうち「50歳~69歳では3000人に1人、70歳以上では260人に1人」の方が死亡されています。風邪で死亡するということはまずないので、「新型コロナはただの風邪」とはまだ言えなそうですね。

これまでの変異株と同様、BA.5株についてもワクチンの有効性を示した論文が報告されております。特に70歳以上の高齢者の場合ワクチン接種がすすむにつれて入院率・死亡率の低下がみられると考えられいます。

(参照:Outcomes of laboratory-confirmed SARS-CoV-2 infection during resurgence driven by Omicron lineages BA.4 and BA.5 compared with previous waves in the Western Cape Province, South Africa. Posted July 01, 2022.)

(参照:6月23日の感染症アドバイザリーボード資料

現時点での新型コロナウイルス感染症のまとめ

いかがでしたか?現在流行っている新型コロナウイルス感染症の特徴について解説していきました。まとめると

  • 現在流行している新型コロナウイルスは「BA.5株」が主流になってきている
  • 新型コロナの潜伏期間は3日程度と予想されるが、ウイルスの性質からさらに潜伏期間がのびる可能性もあり・症状は咳や発熱、のどの痛み、鼻水などが中心
  • 新型コロナの重症化はデルタ株よりは落ちるものの、特に高齢者での死亡率は従来のウイルス感染症より高い状態であり、注意は必要

といえます。感染が広がっている今、みんなでこの第7波を乗り越えていきましょう!

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【この記事を書いた人】 
一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。

更新履歴

  • 7月2日:6月30日の感染症アドバイザリーボード資料を基にアップデート
  • 7月16日:オミクロンBA.5株が主流株になったことから、文面を変更

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