非常に症状が多彩なのが特徴である新型コロナ感染症。
頭痛も新型コロナにはよくある症状の1つですが、「この頭痛が新型コロナによるものなのか」心配される方は多いのではないでしょうか。
今回は新型コロナウイルスと頭痛に焦点をあてて、新型コロナによる頭痛の特徴を症状から対処法に至るまでわかりやすく解説していきます。
新型コロナと他の症状との関係性については下記も参照してください。
- だるいのはコロナ?だるさや倦怠感について解説【原因・治し方】
- 痰が絡む咳はコロナ?痰の原因や対処法について解説
- のどの痛みはコロナ?のどが痛い時の原因やケアについて解説
- 鼻水が止まらないのはコロナ?鼻水のコロナ以外の原因や対処法についても解説
また、わかりやすく動画でも最後に解説していますので、あわせてご覧ください。
Table of Contents
頭痛は新型コロナで多い症状?
頭痛は実は、新型コロナで多い症状の1つ。約50%、つまり2人に1人は新型コロナで「頭痛」を経験しています。
フランスのBA.5株を中心とした報告によると、倦怠感、咳、発熱についで多い52%の方が頭痛を主な症状として経験しています。
また、第7波での日本の研究によると、新型コロナウイルス感染症第7波に感染した被験者600人のうち、感染時に頭痛があったのは334人、頭痛がなかったのは266人であり、55.6%の方が頭痛を引き起こしていますね。
当院でもコロナ感染症やコロナ後遺症を診ていますが、2023年9月現在「一番つらい症状はなんですか?」と聞いたところ(のどの痛みや咳もあるものの)「頭痛が一番つらい」と答える方が多くなってきています。
では、コロナではどんな頭痛が多いのでしょうか?新型コロナでの頭痛の特徴をみていきましょう。
(参照:Santé Publique France. Analyse de risque sur les variants émergents du SARS-CoV-2 réalisée conjointement par Santé publique France et le CNR Virus des infections respiratoires.)
(参照:Survey on Headache During COVID-19 Infection in People with Chronic Headache)
コロナでの頭痛の特徴①:他の症状を伴いやすい
新型コロナでの頭痛の特徴として「他の症状を伴いやすい」という特徴があります。
日本のBA.5株を中心といた新型コロナでの頭痛の特徴を調べた論文によると、コロナで頭痛がある人がもつ他の症状について
- 発熱:92.5%
- のどの痛み:85.0%
- 咳:84.1%
- 全身倦怠感:71.0%
- 鼻水:50.9%
- 味覚障害:28.1%
- 嗅覚障害:20.7%
- 下痢:20.4%
- 息切れ:12.6%
としています。特に、症状に頭痛がなかった症例と比較しても、「のどの痛み、咳や痰、発熱、鼻水、全身倦怠感、下痢など他の症状が伴いやすかった」としています。
つまり裏を返せば「頭痛だけの症状で新型コロナとは考えにくい」といえますね。私も診療をしていて「頭痛が一番つらい」と訴える症例は他の症状を伴っていることが多いです。
当然非常に多くの疾患が「頭痛」になることがあります。そのため、当院ではコロナに限定せず幅広い観点から頭痛をみています。
コロナでの頭痛の特徴②:「頭痛もち」の人は特になりやすい
また、コロナでの頭痛の特徴として「もともと頭痛もちの人がなりやすい」ということがあげられます。
コロナで頭痛があったと回答した人は、コロナで頭痛がない人と比べると、もともと
- 片頭痛(30.5% vs 11.3%)
- 音過敏症
- 光過敏症
- 吐き気
- 日常生活での頭痛の悪化
を経験していたことがわかっています。つまり、もともと頭痛もちの人はコロナ感染をきっかけにしてより頭痛が増強されやすいことがわかりますね。
また、コロナの頭痛によって療養期間中の日常生活も障害されやすかったこともわかっています。
私自身も(インフルなどの他の疾患ではあまり言われませんが)「頭痛があまりに強くて一般的な解熱鎮痛剤(ロキソプロフェンやアセトアミノフェンなど)では効かないからなんとかしてほしい」といわれることがありますが、多くは頭痛もちの方です。
その時は、(もちろん感染対策を行いながら)適宜迅速に対処するようにしています。
このように、既存の頭痛が増強されることが多いのが新型コロナ感染症による頭痛の特徴といえますね。
コロナでの頭痛の詳しい症状は?
さらに、日本の「第7波」での頭痛の状況を詳細に分析すると以下のようなことがわかっています。
- 頭痛を感じた人のうち、2日間頭痛が続いた人が24.6%、3日間頭痛が続いた人が23.7%、5日以上続いた人が13.5%であった。
- 「発熱による頭痛」が76%、「前頭部か頭全体におよぶ頭痛」が73.7%、「拍動性のドクンドクンとするような頭痛」が60.5%である。
- 睡眠が障害になるほどの頭痛が46.4%である。
睡眠が障害されるほどの頭痛が半分弱あるということは、かなり辛い症状であることがうかがえますね。
さらに、コロナでの頭痛の中でも片頭痛もちの人は特に
- 頭痛が辛くてうるさく感じやすい
- 頭痛に伴って光がまぶしいと感じやすい
- 吐き気や胃のむかつきを伴いやすい
- 睡眠を障害されやすい
としています。なので、片頭痛もちの方は特に注意が必要ですね。ちなみにコロナで頭痛が起こった時の対処法として最も多かったのが「ベッドでじっとしている」というものであり、頭痛が療養中に日常生活に影響を与えなかったとする人は片頭痛の方で1%、他の頭痛の人も14%しかありません。
頭痛があまりに辛い人は下記の対処法を行いながら、無理をせずぜひ医療機関に早めに相談してください。
(参照:Survey on Headache During COVID-19 Infection in People with Chronic Headache)
コロナでの頭痛の対処法は?
では、新型コロナで頭痛が辛い時、どうすればよいでしょうか。まずは以下を試してみてください。
① まずは医療機関に相談する
新型コロナでは後から症状が変わったり、症状が強くなることがよくあります。また、医師が「薬によって改善するであろう」と想定した範囲を超える場合もあります。
頭痛にもいろいろな種類があるので対処法も異なりますし、場合によっては全くコロナとは関係のない、もっと重篤な疾患の可能性や血栓症などによる頭痛もあるわけです。
そのため、解熱鎮痛薬などを飲んでもあまりに辛いくらいの頭痛であれば、素直に診断された医療機関に相談しましょう。
② 解熱鎮痛薬は早めに内服する
医療機関に相談することが前提ですが、そのほかの対処法としては「早めに解熱鎮痛薬を内服する」ことが大切です。
特に片頭痛の場合は「起きはじめ」に対処しないと効果が弱くなりやすい傾向にあります。ましては発熱がある状態だとさらにひどくなります。
「発熱をしているのはウイルスと戦っている証拠だから、解熱鎮痛薬を使わない」という方もいますが、症状が辛いなら話は別です。コロナの解熱鎮痛薬に関する論文をみても「イブプロフェンなどの解熱鎮痛薬を使用しても新型コロナによる入院率や増悪率は変わらない」としています。
我慢せず、辛いときは早めに内服するようにしましょう。
(参照:Drug Saf. 2021 Sep;44(9):929-938.NSAIDs and COVID-19: A Systematic Review and Meta-analysis)
③ 安静にする
新型コロナも当然ですがウイルス感染症です。あなたが辛い時、一生懸命、体がウイルスと戦っています。
もちろん感染は突然起こるので、やり残した仕事ややらなければいけないこと、たくさんあるでしょう。しかし、ご自身の体あっての仕事であり家庭です。
実際、コロナによる頭痛は日常生活に多くの影響を与え、もっとも多くの方が「ベッドで横になる」ことを選択しています。安静に保つことは重要な「治療行為」なのです。
頭痛で辛いのなら、安静にしてよく休んでください。片頭痛もちの方が増悪している場合は、なるべく光刺激や音刺激が加わらない落ち着く場所にいるといいですね。
④ 水分をしっかりとる
頭痛と発熱は非常に密接な関係があり、特に発熱時には自分が思った以上に体から水分が失われます。
基本的に片頭痛は脱水や絶食などとも関連が深いことが言われているので、水分はこまめにとるようにしましょう。(一気に水分をとると胃もたれしやすく、吐き気につながります)
そのほかに関しては、頭痛の種類によって異なります。詳しくは
もあわせて参考にしてみてください。
【この記事を書いた人】
一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照して下さい。
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