緊張型頭痛の治し方は?緊張型頭痛の原因や治療薬についても解説

  • 首すじから頭の後ろが重い感じする
  • 肩こりがなかなかとれなくて困っている
  • 頭のまるで万力で締め付けられるようなズンズンした痛みがある

などでお悩みの方はいませんか?それは頭痛の中でも最も多い緊張型頭痛かもしれません。今回は、緊張型頭痛の原因や治し方、またストレッチ方法について解説していきます。

なお、緊張型頭痛と似ている「片頭痛」については、片頭痛の治し方は?片頭痛の原因や前兆・治療薬についても解説を参照してください。

緊張型頭痛とは?

緊張型頭痛は「両側の圧迫されたり締め付けられるような頭痛」の総称です。頭痛には他の原因がはっきりしている「二次性頭痛」と頭痛自体が病気とされる「一次性頭痛」がありますが、緊張型頭痛は、片頭痛・群発頭痛とともに「一次性頭痛」に分類されます。

さらに、緊張型頭痛は発生頻度によって

  • 稀発反復性緊張型頭痛:3か月を超えて、平均1か月に1日未満の頻度で出る頭痛
  • 頻発反復性緊張型頭痛:3か月を超えて、平均1か月に1~14日の頻度で出る頭痛
  • 慢性緊張型頭痛:1か月に15日以上の頻度で出る頭痛

の3つに分けられます。緊張型頭痛の診断基準は国際頭痛分類に基づいて診断されます。診断基準の要約を記載するので、自分に当てはまっているかチェックしてみるとよいでしょう。

【緊張型頭痛の診断基準】(国際頭痛分類第3版による)

  • 頭痛は30分~7日間持続する
  • 頭痛は以下のうち少なくとも2項目を満たす
    • 両側の頭痛
    • 圧迫感があったり締め付けるような頭痛
    • 軽度~中等度の頭痛
    • 歩行や階段の上り下りなどの日常の動作で悪化しない
  • 以下の両方を満たす
    1. 「慢性緊張型頭痛以外」の場合
      1. 吐き気がない
      2. 光過敏や音過敏があってもどちらか一方のみ
    2. 「慢性緊張型頭痛」の場合
      1. 光過敏、音過敏、軽度の吐き気があってもいずれか1つのみ
      2. 中等度の吐き気はない
  • その他の疾患によらない

みなさんは当てはまりましたでしょうか?片頭痛の記事にも片頭痛の診断基準が載せてありますので、見比べてみるとよいかもしれませんね。

緊張型頭痛は全国調査でも22.4%と、みなさん非常に悩まれている疾患の1つ(5人に1人が緊張型頭痛ですからね!)。やや女性に多いとされていますが、片頭痛ほど性差はありません。また、片頭痛と合併されている方もいます。

(参照:日本頭痛学会「国際頭痛分類第3版(ICHD-3)日本語版」

緊張型頭痛の原因は?

緊張型頭痛はよく「筋肉の『こり』から来ている」と来ているといわれていますが、実は緊張型頭痛は片頭痛以上に、病態がはっきり分かっていません。

一般的には2つのメカニズムが考えられています。

① 末梢性疼痛メカニズム

緊張型頭痛の方は普通の方に比べて、「頭部周辺を押したときの痛みが強い」ことが言われています

さらに、普段の姿勢が悪かったり、頭周辺の筋肉の緊張が高まるとサブスタンスPやグルタミン酸などの神経伝達物質が生じ、さまざまな化学経路を介してブラジキニンやプロスタグランジンなどの「痛みを生じる物質」が生まれることがわかっています。

「痛みを生じる物質」がずっと継続すると、徐々にその回路が強化されて、弱い刺激での痛みとして自覚するようになってしまいます。これが「末梢性疼痛メカニズム」です。

簡単にいうと

  1. 姿勢が悪かったり、筋肉の慢性の緊張が続く
  2. 神経伝達物質を介して、「痛みを生じる物質」が継続的に出るようになる
  3. 継続的に出ると、弱い刺激でも痛みを生じやすくなり、慢性頭痛につながる

というわけですね。すべて末端の神経で起こっているので「末梢性」と名付けられています。

② 中枢性疼痛メカニズム

中枢とはいわゆる「脳」の神経回路のこと。通常、体に痛み刺激が生じると「下行疼痛抑制系」といって痛みを抑える機能が働き、過度な痛みの伝達をシャットアウトします。

しかし、あまりに姿勢異常や筋肉からの刺激が長引いていると「下行疼痛抑制系」が「もう痛みをシャットアウトしなくてよいだろう」と考え、シャットアウトしなくなってしまいます。これが「中枢性疼痛メカニズム」です

また、慢性緊張型頭痛では、運動による僧帽筋の血流増加が弱いことも言われており、交感神経がうまく働かずに、頭部周辺の血管収縮が起こってしまっているのではともいわれています。

どちらのメカニズムにせよ、姿勢異常や筋肉の継続した緊張が原因の一端になっているのは間違いないようですね。

また「頭痛の診療ガイドライン2021」によると、緊張型頭痛の危険因子についてもまた確率されたものはありません。肥満や運動不足、喫煙などが増悪する要因としてあげられたり、最初から慢性であることや片頭痛との共存・未婚・睡眠障害があることなどを予後不良因子として挙げている研究もあります。

(参照:Neurology. 2005 Aug 23;65(4):580-5.
(参照:日本頭痛学会「頭痛の診療ガイドライン 2021

緊張型頭痛の治療薬は?

緊張型頭痛の治療は、薬物療法と非薬物療法にわかれます。さらに、それでもあまりに頻繁に頭痛が生じる場合は、予防療法を用いることがあります。

① 急性期の治療薬

一般的な痛み止めとして知られている「アセトアミノフェン(カロナール®)」やNSAIDsで知られる「ロキソニン®」「イブプロフェン」「ボルタレン®」などは頭痛診療ガイドラインでもGradeA(最も推奨される)に分類されます。

次いで、カフェイン配合の複合鎮痛薬、脊髄後角ニューロンの刺激に対する反応を抑制し痛みを和らげる「チザニジン(テルネリン®)」などはGradeB(推奨される)に分類されていますね。ただし、カフェイン配合鎮痛薬は依存性があり注意が必要です。

一方、トリプタン製剤や筋弛緩薬・オピオイドの使用はヨーロッパ神経学会ガイドラインで推奨されていません。ただし、片頭痛の合併例などは一部有効な薬があります。

また、急性期治療の薬物を使いすぎると「薬物乱用頭痛」といって「薬物が原因でかえって頭痛になってしまう」ということになりかねないので注意が必要です。その場合は、以下の予防療法を行うことになります。

② 予防のための治療薬

何回も頭痛を繰り返して困っている方に対しては、薬物療法が有用になります。特に緊張型頭痛の予防薬として最も有効性が高いと考えられている薬は「アミトリプチリン(トリプタノール®)」になります。

もともとは三環系抗うつ薬といって、うつ症状をやわらげ磯久を高める薬として使用されてきましたが、その後神経の痛みや子供の夜尿症も改善する薬としても使用されるようになった薬です。

他には、トピラマートやミルタザピン(レメロン®)・ミアンセリン(テトラミド®)・ベンラファキシン(イフェクサー®)なども効果があるとされていますが、保険適応外になります。

予防療法は6~12か月ごとに再評価し、治療を続けるか中止するかを検討していきます。

(参照:J Headache Pain. 2010 Apr;11(2):141-50. doi: 10.1007/s10194-010-0187-2.

緊張型頭痛の薬以外の治し方は?

緊張型頭痛は、姿勢異常や筋肉の慢性的な刺激から生じる頭痛なので、薬物治療だけだとなかなかうまくいきません。やはり緊張型頭痛に対する「薬以外の治し方」も重要になってきます。例えば以下を意識してみるとよいでしょう。(これが難しいから多くの方が悩まれるわけですが)

① 正しい姿勢を心がける

緊張型頭痛は頭の後ろの筋肉の過度な緊張で頭痛が生じやすくなるのですが、パソコンやスマートフォンの普及により、うつむいた姿勢で長時間を過ごすことが多くなっています。さらに、手を前に出して作業することがほとんどなので、猫背になりやすくなっており、頚椎に過度な負担がかかりやすい状況です。

進行すると、首の湾曲が崩れ、首の骨がまっすぐになる「ストレートネック」になる可能性も。ストレートネックは男性よりも、首回りの筋力が弱い女性に多いとされています。

背中側を壁に向けて立ち、かかと・お尻・方の順番で壁に当てていき、自然と頭が壁に当たらなければ、ストレートネックの可能性が高く、姿勢矯正が必要です。例えば次のようなことを意識してみましょう。

  • 普段からあごを軽く引き、軽く胸を張るようにする
  • デスクワークを1時間ほど行ったら5分は休み、体を動かす:時々背筋を伸ばしてあげるとよいですね。
  • スマホやパソコンをできるだけ目線と同じ高さにする:目線の下5度~10度の範囲が理想的
  • 自分に合った枕にする:頭が高くなりすぎる枕や沈みすぎて体制を変えづらい枕はストレートネックになりやすく、筋肉の負担が強くなります。

神経内科病棟で行う非薬物療法の1つに、「筋電図バイオフィードバック療法」というのがあります。これは、筋電図により患者さんに筋緊張を自覚させ、コントロールを促す方法の1つで、積極的なリラクセーション法と併用することで、長期的な効果が得られやすいとされています。(筋電図は当院にはありません)

それほど、姿勢は緊張型頭痛の改善に有効というわけですね。

(参照:J Consult Clin Psychol. 2008 Jun;76(3):379-96. )

② 頭周辺の血流を普段から改善する

緊張型頭痛の方は僧帽筋をはじめとした血流が乏しくなっているのが知られていますので、血流を改善することは、緊張型頭痛の改善の糸口になるかもしれません。

頭部の血流の改善する方法としては、例えば以下が考えられます。

  • 頭部周辺の筋肉を普段から動かす:筋肉を動かすほど内側から熱が発生します。
  • 蒸しタオルなどで肩から首をあたためる
  • ぬるめのお湯にしっかりつかる:40度未満のお湯なら副交感神経を優位にし、リラックス効果を得られます。ただし長時間のお湯は肌の乾燥が強くなるので注意しましょう。
  • 定期的に水分を飲み、しっかり睡眠をとる
  • バランスの取れた食事をとる:特に過度なアルコール・カフェイン・砂糖をとりすぎない、そして朝食をしっかりとり自律神経のバランスを促すのが大切です。
  • 禁煙する:タバコは頭部の血管収縮をうながします

(参照:Mayo Clinic「Tension-type headaches: Self-care measures for relief」

③ 頭痛日記をつける

頭痛日記とは「自分の頭痛の本当の原因を知るために記載する日記」のこと。

具体的には、「頭痛の起こった日時」「どのような痛みか」「頭痛の持続時間」「他の症状は何か」「薬を飲んだかどうか」などを記載してもらい、医師と共有することで、原因を探っていきます。

特に小児における有用性が報告されており、「実は片頭痛も合併していた」「意外な所が原因にあった」など、新たな気づきが生まれる場合も少なくありません。

当院でも希望者には頭痛ダイアリーをお配りしておりますが、日本頭痛学会からもダウンロードできますので、興味のある方は下記を参照するとよいでしょう。

(参照: 日本頭痛学会「頭痛ダイアリーで頭痛を攻略」

④ 頭痛体操とマッサージやリラクセーション法などを併用する

頭痛の診療ガイドライン2021では、「頭痛体操」という1日2分程度の運動プログラムを推奨しています。頭痛体操とは、図のように

  • ひじを軽く曲げ、肩を内側と外側に回す運動
  • 正面を向き、頭は動かさず、ひじを軽く曲げながら両肩を大きくまわす運動

の2つからなっており、緊張型頭痛の軽減のみながら片頭痛の予防としても有効であるとしています。

さらに、同ガイドラインでは、「マッサージやリラクセーション法、運動プログラムを組み合わせると効果的である」としています。私はよく側頭筋をやわらげるために、人差し指~小指を立てて、こめかみや耳の上の筋肉のつけ根の筋肉を広範囲に円を描くようにマッサージしています。

「自分が効果がある」と感じたら、普段から簡単にできる方法で継続するとよいでしょう。

(参照:日本頭痛学会「1日2分の頭痛体操

まとめ ~辛いときには病院に相談を~

いかがでしたか?今回は、緊張型頭痛について幅広く解説していきました。緊張型頭痛は5人に1人が悩まされている、非常に数の多い疾患の1つ。ぜひ1人で抱え込まないでいただきたいと思います。

また、なかなか治らない頭痛の中には「2次性頭痛」と言って、他の病気が原因である場合もあります。その中にはクモ膜下出血、脳卒中、側頭動脈炎など見逃してはいけない疾患もあるので、自己判断で引き延ばさない方がよいかもしれません。

当院ではそうした2次性頭痛が疑わしい方を対象に、検査センターと連携して、脳CT・脳MRI検査を行っております。ご不安な方や医師側としても「危ない頭痛だな」と感じる場合は、適宜検査や連携施設への紹介を行わせていただきますので、どうぞ気軽にご相談ください。

危ない頭痛の見分け方は、片頭痛の治し方は?片頭痛の原因や前兆・治療薬についても解説に解説していますので、合わせてご参照ください。

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【この記事を書いた人】
一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照して下さい。

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