新型コロナワクチン4回目接種について解説【対象者・効果・副反応】

新型コロナの流行拡大や新たな「波」による重症者予防の観点から、新型コロナワクチン4回目の接種も計画されています。

厚生労働症の発表では全員に接種するわけでなく、一部の方がワクチン接種対象者となります。しかし、中には

  • どうしてコロナワクチン4回目は全員接種ではないのか
  • 実際、コロナワクチン4回目接種はどれくらい効果があるのか

など疑問に思われる方もいるでしょう。今回、そんな4回目接種に疑問を感じる方に対して、ワクチン接種4回目の対象者や効果・副反応についてお話していきます。

新型コロナワクチン4回目接種の対象者は?

新型コロナワクチン4回目接種で対象となる方は次の通りです。

  • 60歳以上の方(基礎疾患の有無を問わず)
  • 18歳以上で基礎疾患を有する方
  • 18歳以上で重症化リスクが高いと医師が認める方

接種日は、3回目接種日から5か月後の同日から接種可能になります。5か月後に「同日(例えば31日など)」がなければその翌月の1日から接種可能になりますね。

使用されるワクチンは、3回目接種同様で「ファイザー製」「モデルナ製(初回の半量)」となります。どちらのワクチンを取り扱うかは各自治体や医療機関によって異なるので、あらかじめ問い合わせたほうがよいでしょう。

また2022年5月時点では「医療従事者は対象外」となっているほか、自費でのワクチン接種についても現時点では受け付けておりませんので、注意が必要です。

新型コロナワクチン4回目接種の対象である「基礎疾患」とは?

新型コロナワクチンの「基礎疾患」に当たる方は例えば以下の方です。

  • 慢性の呼吸器疾患の方
  • 慢性の心臓病(高血圧を含む)の方
  • 慢性の腎臓病の方
  • 慢性の肝臓病(肝硬変等)の方
  • インスリンや飲み薬で治療中の糖尿病又は他の病気を併発している糖尿病の方
  • 血液の病気(鉄欠乏性貧血を除く)の方
  • 免疫の機能が低下する病気(治療や緩和ケアを受けている悪性腫瘍を含む)の方
  • ステロイドなど、免疫の機能を低下させる治療を受けている
  • 免疫の異常に伴う神経疾患や神経筋疾患の方
  • 神経疾患や神経筋疾患が原因で身体の機能が衰えた状態(呼吸障害等)の方
  • 染色体異常の方
  • 重症心身障害(重度の肢体不自由と重度の知的障害とが重複した状態)睡眠時無呼吸症候群重い精神疾患の方

また基礎疾患とは一概に言えませんが「肥満の程度を示す『BMI』が30以上の方」も接種対象者になります。

ただし、前述の通り「18歳以上で重症化リスクが高いと医師が認める方」も対象になりますので、「自分は『対象者』なのか」わからない方はかかりつけの先生に判断したもらった方がよいでしょう。

新型コロナワクチン4回目の効果は?

(イスラエルで60歳以上を対象にした臨床試験)

では、新型コロナワクチンの実際の効果はどれくらいなのでしょうか。

イスラエルで60歳以上の18万人を対象に行われた臨床試験では、ファイザー製4回目接種は4か月以上前に行われた3回目接種と比較して、

  • 新型コロナの感染予防効果45%(95%信頼区間:44-47%)
  • 新型コロナの発症予防効果55%(95%信頼区間:53-58%)
  • 新型コロナ関連の入院予防効果68%(95%信頼区間:59-74%)
  • 新型コロナの重症予防効果62%(95%信頼区間:50-74%)
  • 新型コロナ関連の死亡予防効果74%(95%信頼区間:50-90%)

絶対値で考えると、例えば60歳以上の入院については4回目ワクチン接種で10万人当たり180人の入院を減らすと考えられています。

(医療従事者を対象にした、3回目接種と4回目接種での累積感染率(95%信頼区間はグラフが見づらくなるため可及的に削除))

一方、同イスラエルの1250人の医療従事者を対象にした論文だと、感染予防効果はファイザー製で30%、モデルナ製で11%と算出されています。これは60歳以上と比べて効果は限定的と言えます。また同論文では「4回目接種による中和抗体の上昇率は、野生株やデルタ株に比べてオミクロン株では低下する」ことがわかっています。

つまり、オミクロン株では多くの変異が起こっている関係上、今までのmRNAワクチンの接種での効果が限定的になってしまうのですね。まとめると

  • 4回目接種での中和抗体上昇や感染予防効果は限定的である(特にオミクロン株)
  • 60歳以上の高齢に限定した場合、オミクロン株においても、それなりに予防効果が認められている

となります。これらの背景から、日本では60歳以上や基礎疾患を持っている方に限定しているものだと思われます。(諸外国でも4回目接種は50歳以上や基礎疾患を持つ方などに限定されていることが多いです)

またオミクロン株では「感染力が高い分重症化しにくい点」「既存のワクチンに対して回避反応がある点」も、現在接種が限定されてる理由としてあげられますね。オミクロン株に関しては新型コロナウイルス「オミクロン株」の特徴について【感染力・症状・重症化】を参照してください。

またコロナの変異次第や情勢の変化によって、接種対象が変わるかもしれません。その際は適宜アップデートいたします。

新型コロナワクチン4回目接種の副反応は?

(60歳以上の各ワクチン4回目の副反応)

イスラエルの報告によると、60歳以上のワクチンの主な副反応は、

  • 局所の痛み:ファイザー製 68.4%、モデルナ製 78.7%
  • 局所の腫れ:ファイザー製 7.6%、モデルナ製 14.7%
  • 倦怠感: ファイザー製 21.5%、モデルナ製 38.3%
  • 頭痛:ファイザー製 16.1%、モデルナ製 17.0%
  • 筋肉痛: ファイザー製 12.7%、モデルナ製 27.7%

などがあげられます。この報告は3回目接種と同程度ですので、今までワクチン接種で問題なかった方に関しては、新たに副反応が強く起こる可能性はかなり低いと考えられます。(3回目の副反応についてはブースター接種とは?新型コロナ3回目ワクチンの効果や副反応・接種間隔について

逆に、過去3回接種して何らかの副反応が出た方は逆に心配される方もいるでしょう。ぜひかかりつけ医や当院にも相談していただけましたら幸いです。1人ひとりあわせてアドバイスさせていただきます。

新型コロナワクチン4回目接種についてのまとめ

いかがでしたか?新型コロナワクチン4回目接種について、対象者や効果・副反応に至るまで幅広く解説していきました。まとめると

  • 日本では新型コロナワクチン4回目接種の対象者は重症化リスクの高60歳以上の高齢者・基礎疾患がある方・BMI30以上の方などが対象
  • ただし、医師が判断した方も新型コロナワクチン4回目接種の対象者であり、境界があいまいな部分もあり。
  • 新型コロナワクチン4回目は(特にオミクロン株)の場合、60歳以上ではそれなりに予防効果が認められているものの、一般としては効果が限定的。(そのため、対象者を絞っていると思われます)
  • 新型コロナワクチン4回目の副反応は同程度であり、局所反応や頭痛・倦怠感が中心

といえます。ただし、一人ひとりワクチン接種に対する事情は異なると思うので、4回目接種で心配な方はぜひご相談ください。

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【この記事を書いた人】 
一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。

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