【医師が解説】加工肉は体に悪いのはなぜ?加工肉・赤身肉との付き合い方について解説

ハムやソーセージやベーコンなど、朝食をいろどるのに多くの家庭で利用されているのが「加工肉」。

手軽に調理でき子供も食べてくれやすく、忙しい朝を支えるのにまさにうってつけの食材ですよね。

しかし、「加工肉」と聞くと「体に悪い」「発がん性がある」と聞いたことはありませんか?食品添加物の話も相まって、非常に気にされている方も多いのではないでしょうか。

実際、加工肉は体に悪いのでしょうか?体に悪いとしたら、加工肉の何が原因なのでしょうか?今回は、ソーセージやハムなどに代表される「加工肉」と体のことを考えた「正しい付き合い方」について考えていきましょう。

加工肉とは?

加工肉とは、文字通り様々な理由で「加工処理」をされた肉製品全般を指します。

例えば、ハムは豚のもも肉を塩漬けや燻製にし、スチームで茹でたり蒸したりして作られます。ソーセージは豚肉をひき肉にして、香辛料と一緒に薄い膜状の袋に詰めたものです。ベーコンは豚のばら肉を塩漬けしてスモークしたものですね。

ハムやソーセージ、ベーコンは有名ですが、最近流行している牛脂を肉に注入して作成した「脂肪注入加工肉」も加工肉ですし、内臓肉などを加えて形状を整えた「成形肉」も加工肉です。他には、コンビーフ、ビーフジャーキー、塩味の切り干し肉、缶詰肉、食肉調製品(ソースを含む)も加工肉の1つです。

このように、長期間の保存やよりおいしくなるように脂肪分や塩分などを加えたものを「加工肉」と言います。

加工肉は体に悪い?

「加工肉は体に悪いか」と言われると「食べ過ぎると体に悪い」と言われる論文が多いです。

まず、加工肉は動脈硬化を中心に死亡リスクを上げます。

日本でのJPHS Studyで行われた「動物性たんぱく質と植物性たんぱく質摂取量と循環器病リスク」を調べたでは報告では、加工肉から植物性たんぱく質に置き換えることで総死亡リスク46%の低下を認めたとしています。

他の動物性たんぱく質から植物性たんぱく質に置き換えると総死亡リスク34%、心臓や血管による死亡リスクが42%の低下なので、加工肉は他の動物性たんぱく質以上の死亡リスクを抱えていることになりますね。

そのため、動脈硬化学会では「たんぱく質摂取源も考慮して、肉や加工肉の過剰摂取を控えて、魚や植物性脂質を摂取する」ように推奨しています。

また加工肉や赤身肉の過剰摂取は「大腸がん」へのリスクもあげます。

これらの研究結果に置き換わるほどの加工肉独自の健康効果がないので、健康を意識するのなら、あえて加工肉を積極的に摂取するものではないといえます。

(ただし後述しますが「加工肉の摂取をゼロにしろ」というわけではありません)
(参照:Association of Animal and Plant Protein Intake With All-Cause and Cause-Specific Mortality in a Japanese Cohort. JAMA Intern Med. 2019 Nov 1;179(11):1509-1518.

加工肉が体に悪いのはなぜ?

では、なぜ加工肉が体に悪いのでしょう。

1つは加工肉には動脈硬化を誘発する「飽和脂肪酸」や「食品保存料や食品添加物」が多く含まれているからです。加工肉では保存する過程やおいしくする過程で、亜硝酸ナトリウムをはじめ発がん性が指摘されている物質を加える必要があります。

また、加工肉ではおいしくするために人工的な脂肪を肉の中に注入されているものもあります。これらの人工的な添加物は、あまり体に好ましくありません。

また、加工肉の発がん性については、以下のメカニズムが指摘されています。

  • 高脂肪食がインスリン抵抗性または便の胆汁酸を介して発癌を促進する可能性
  • 肉を高温で調理すると、発がん性の複素環式アミンと多環芳香族炭化水素が形成される
  • 発がん性のある N-ニトロソ化合物が赤身肉に含まれること(特に鶏肉ではなく牛肉摂取の方がおおいようですね)
  • 赤身肉のヘム鉄が脂肪を過剰に酸化させ、糞便中の細胞毒性を介して粘膜の細胞増殖を増加させるため

よく誤解されがちですが、赤身肉のたんぱく質そのものが発がんしやすいわけではありません。なので、後述しますが、加工肉や赤身肉と上手に付き合うことで、発がん性を大きく予防することができます。

加工肉や赤身肉は過剰摂取による発がん性も指摘

加工肉は発がん性も指摘されているのは有名なところです。

WHOは現在、加工肉を「発がん性がある証拠がある」グループ1、赤身肉を「おそらくヒトに対して発がん性がある」グループ2Aに分類しています。つまり加工肉には発がん性に関する証拠が十分そろっているのですね。

加工肉は特に結腸癌、直腸がんが発生しやすいことが分かっています。

では、加工肉をどれくらい食べると発がん性のリスクが上がってくるのでしょうか?

10件の研究データでの分析によると、「加工肉を毎日50グラム食べるごとに、結腸直腸がんのリスクが約18%増加する」と言われています。また、同研究では毎日赤身肉を100g食べるごとに結腸直腸がんのリスクが17%増加するとされています。

加工肉と赤身肉の摂取量をそろえた研究では「1gあたりの加工肉が1gの新鮮な赤身肉よりも2倍~11倍促進されるとしています」としていますね。

(参照:WHO「Cancer: Carcinogenicity of the consumption of red meat and processed meat」

実は、加工肉や赤身肉の発がん性は「軽度」

では、ただちに加工肉をやめたほうがよいのでしょうか?実は、WHOでもイギリスNHSでも国立がん研究センターでも「加工肉をゼロにした方がよい」と結論づけていません

その根拠の1つは発がん性の程度です。グローバル疾病負荷プロジェクトの見解によると、各発がん物質の「世界」の推定死亡者数は

  • 加工肉による癌の死亡:年間3万4000人
  • 赤身肉の多い食事による癌の死亡:年間約5万人
  • 大気汚染による癌の死亡:年間20万人
  • アルコール消費による癌の死亡:年間60万人
  • タバコの喫煙による癌の死亡:年間約100万人

となっており、加工肉の発がん性は他の発がん性物質と比較すると、程度は「軽度」なのですね。

さらに日本の場合は肉類の摂取が欧米より少なめなのも特徴の1つ。2019年の国民
健康・栄養調査によると、肉類全体の摂取量は全体の平均で103g、20歳以上で101g、65歳以上で87.5gです。

先ほどの「赤身肉1日90gの摂取で結腸癌のリスクが17%増加する」という結果と照らし合わせてみても、「少し努力してふだんの赤身肉の食べる量を減らせばよいレベル」とも言えます。

また、実際45-74歳の男女80,658名を対象とした日本のコホート研究によると、赤身肉の量肥料が多いほど、80g以上食べた女性の結腸癌のリスクが1.4倍(1.06-1.98倍)になることが分かっていますが、加工肉摂取による結腸直腸がんのリスク上昇は男女ともに見られませんでした

これを受けて国立がん研究センターでは、「肉を極端に多く食べ過ぎるような習慣は控える」よううながしており、「ゼロにすべき」という結論にはしていません。

ただし、5年前の2014年の肉類摂取量は全体の平均で91g(現在103g)で年々消費量は増加しています。健康のためにも加工肉や赤身肉を必要以上に食べ過ぎない努力は大切ですね。

(参照:厚生労働省「国民健康・栄養調査」
(参照:国立がん研究センター「赤肉・加工肉摂取量と大腸がん罹患リスクについて」
(参照:WHO「Cancer: Carcinogenicity of the consumption of red meat and processed meat」

まとめ:加工肉や赤身肉との正しい付き合い方は?

いかがでしたか?加工肉がなぜ体に悪いのか、どれくらい体に影響があるのかについて医学論文から検証してお応えしました。ここまでをまとめると

  • 加工肉は、動脈硬化を誘発したり大腸がんのリスクをあげる意味で体にとって好ましくない影響がでやすい
  • 加工肉や赤身肉が体に悪いのは、食品添加物や脂肪注入などの加工過程、ヘム鉄やN-ニトロソ化合物が含まれることなどが原因。
  • 加工肉の発がん性はさまざまな論文で実証されているが、他の発がん性物質よりも軽度である。

といえます。では、加工肉とはどのように付き合えばよいのでしょうか?最新の研究結果では、「加工する過程や食べる過程を変えれば、加工肉の発がん性をある程度予防できるのではないか」と考えられています。

例えば、イギリスの保健局「NHS」では加工肉との付き合い方について以下のように結論づけています。

  • 赤身肉をなるべく新鮮なものにする:肉屋さんに一番脂身のすくないものを選び、無駄のないカットを頼む
  • 鶏肉は脂肪が少ないため有用ですが、皮なしでとった方がよい
  • 加工肉の中でソーセージ、サラミ、パテ、ビーフバーガーなどは、般的に脂肪が多く、塩分も多いため制限する
  • 肉は揚げるのではなくグリルする:余分な油を追加しない、脂肪が流れるようにローストする
  • シチューやカレーなどの料理で少量の肉を使用し、肉の一部を豆類などで置き換える
  • 赤身肉または加工肉を 1 日に 90g (調理済み重量) 以上食べている場合、1日 70g には減らすようにする

また、加工肉の体の影響についてまとめた論文によると、以下も推奨されています。

  • 加工肉を摂取する際には、他の悪化因子になるようなものをとらない:例えば、加工肉の接種はお菓子、ケーキ、デザート、スナック、アルコール飲料摂取との関連が指摘されており、これらの高脂肪食とアルコールの摂取により、大腸がん発生のリスクが高まるとしています
  • 1日に90g以上食べたら、翌日は食べる肉の量を減らすか、まったく肉を食べないようにする

加工肉や赤身肉も食べたくなる方もいるでしょう。一般的にこのように言いましたが、実際には人によっても摂取すべきかは大きくことなります。

赤身肉も大事なたんぱく源であり、亜鉛もビタミンB12、鉄分も豊富です。上手に付き合って健康的で楽しい食事にしていきたいですね。

ぜひ食事に関しても当院にご相談ください。

【この記事を書いた人】
一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。

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