痛風・尿酸値とコーヒーの「意外な」関係について【砂糖はOK?何杯まで?】

こんにちは、一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介です。

突然ですが、普段の生活で痛風発作でお悩みの方はいませんか?

当院でも痛風を起こされた方で来院されている方は数多くいます。そんな痛風でお悩みの方にオススメしたい飲み物の1つが「コーヒー」です。

  • コーヒーは痛風にどれくらい効果があるのか
  • コーヒーで尿酸値は下がるのか
  • 痛風発作予防でのコーヒーのオススメの飲み方はあるのか

などのコーヒーと痛風・尿酸値に関する疑問に対して、論文を実際紹介しながらご説明していきます。

尿酸値や痛風について詳しく知りたい方は、それぞれ

も参考にしてみてください。

コーヒーは痛風発作を約50%減少させる

コーヒーと痛風の関係を調べたメタアナリシス解析。複数の論文からコーヒーを飲む方は15%程度痛風になりにくくなっていることがわかる。
コーヒーの摂取と痛風の関係を調べた複数の論文からの解析結果)

いくつかの研究から「コーヒーは痛風の予防に効果的である」ということがわかっています。

2016年に発表された複数の論文をもとにした解析によると、コーヒーの消費量が多いと、逆に痛風の発生率が43%に減少することがわかりました(95%信頼区間:31%から59%)

また、17万人の日本人および3000人の痛風をもつ男性を対象した防衛医大の報告でも「尿酸値レベルの調整した後でもコーヒー消費量の増加による痛風リスクが50%減少する」ことが示されています。(95%信頼区間:31%-81%)

コーヒーの尿酸値への効果ははっきりしない

コーヒーと尿酸値を調べたメタアナリシス解析。全体の解析では、中間値をまたがっているので、コーヒーが尿酸値に関与するかはっきりしない。コーヒーによる尿酸値が高くなったとするデータもあり。
コーヒーと尿酸値を調べた複数の解析結果による論文

では、コーヒーは尿酸値は下がるのでしょうか。2016年の複数の論文の解析結果によると、コーヒーの摂取量が最も多い群と最も低い群の間の尿酸値を調べても有意な減少は認めませんでした

全体としては、やや尿酸値が低くなる傾向にはありましたが(84%の減少[95%信頼区間:65%~109%])一部の研究では、尿酸値が高くなった論文も見られたほどです。

2022年の防衛医大の論文でもコーヒーの消費量と尿酸値の間に関連性は認められませんでした。

このことからも、「コーヒーの痛風予防効果は、尿酸値とは無関係に痛風のリスクを下げる」といえますね。

コーヒーが痛風のリスクを下げる理由は?

では、なぜコーヒーは尿酸値と無関係に痛風のリスクを下げるのでしょうか。

一番有力な説は、「コーヒーには抗炎症作用がある」という説です。

コーヒーには、クロロゲン酸やカフェ酸をはじめとした炎症シグナルを協力に抑制するポリフェノールが含まれています。

実際、コーヒーの抗炎症作用に着目した複数の論文を解析した結果では、IL-6(インターロイキン6)を始めたとしたさまざまな炎症マーカーを低下させることがわかりました。

痛風は、関節の中の尿酸結晶が引き起こす「急性炎症」の1つ。コーヒーの持つ独自の抗炎症作用が痛風予防につながっているのでしょうね。

(痛風発作については、痛風を早く治すには?痛風の原因や治療・食事についても参考にしてください)

痛風予防にコーヒーは何杯までがよいのか?

1日コーヒー摂取量と痛風発生率を見た論文。9万に人以上の女性を対象。0杯を100%とすると、4杯以上のむと43%減少。1杯では97%、2-3杯では78%に低下している。
9万人の女性を対象にした、コーヒー摂取量と痛風発作の関係を見た論文による

では、痛風予防にコーヒーがよいことはわかりましたが、何杯くらいがよいのでしょうか。

9万人の女性を対象にした、コーヒー摂取量と痛風発作の関係を見た論文によると、1日コーヒー摂取量が(1杯237mlとして換算、0杯の時の痛風発作率を100%とする)

  • 1杯の場合:97%
  • 2~3杯の場合:78%(95%信頼区間:64%~95%)
  • 4杯以上の場合:43%(95%信頼区間:30%~61%)

となっています。ちなみに、デカフェ(カフェイン抜き)のコーヒーの場合でも2杯以上で77%の痛風発症率の低下なので、カフェインの有無はあまり問わないかもしれません。

これは、カフェインによる覚醒効果や胃もたれなどの副反応を考えると、うれしい話です。いずれにせよ、少なくとも2杯以上はコーヒーを摂取することが望ましいといえるでしょう。

あとは、個人個人でコーヒーの好き嫌いや体調の変化に合わせて調節していただくとよいですね。

痛風予防のコーヒーのオススメの他の飲み方は?

① 低脂肪牛乳をプラスする

痛風を予防する食材として、乳製品の摂取が奨められています。コーヒーと組み合わせるなら、低脂肪牛乳がオススメです。味もマイルドになりますし、コーヒーの苦みが気になり難しい方も気軽に飲むことができるでしょう。(参照:高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版 2022年追補版)

② 砂糖をなるべく加えない

砂糖を多量に加えて甘くすると、痛風や尿酸値の問題だけでなく、さまざまな生活習慣病を引き起こしてしまいます。なるべく、砂糖を加えずコーヒー本来の味を味わっていたくとよいですね。

コーヒーと痛風・尿酸値についてのまとめ

コーヒーと痛風・尿酸値についてまとめると解説していきました。まとめると

  • コーヒーは痛風予防には効果的
  • 一方、コーヒーと尿酸値減少ははっきりしない
  • コーヒーが痛風を予防するメカニズムとしては、コーヒーが持つさまざまな抗炎症効果が作用している可能性が高い
  • コーヒーは2杯以上のむと効果的だが、個人個人の体調や個性に合わせて摂取量を調節する
  • コーヒーに加えるなら低脂肪牛乳がオススメ。逆に砂糖を加えすぎない。

といえます。痛風や尿酸や生活習慣の見直しがとても大切。ひまわり医院では、個別に生活習慣のアドバイスも行っています。「他の食材についても知りたい」という方は、ぜひ当院にも足を運んでみてくださいね。

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【この記事を書いた人】 
一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。

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