花粉症や喘息、じんましん、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎(かぶれ)や薬剤アレルギーなど、様々なアレルギー疾患で悩む方は年々増えています。
花粉症なら「今、スギの飛散時期だからスギアレルギーだな」などと予測はつきやすいですが、じんましんや薬剤アレルギーなど「何が原因か」はっきりしないことも多いですよね。
医師の説明でいまいち納得がいかない経験をしたこともあるでしょう。
そんな時に頼れるのが「アレルギー検査」。アレルギー検査では、血液検査から直接貼付まで、さまざまな方法でアレルギーの原因物質かどうかアプローチしていきます。
しかし、アレルギー検査と一言でいっても疾患によって適切な方法は異なります。また、それぞれのアレルギー検査にはそれなりに費用が掛かります。実際、アレルギー検査は保険適応でどれくらいのお金がかかるのでしょうか。
今回は、アレルギー検査の種類を紹介するとともに、アレルギー検査の費用を中心に解説していきます。
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代表的なアレルギー検査と適応は?
アレルギー検査と一言で言っても、実は多種多様にあります。それはなぜでしょう?
それは、アレルギー自体に色んな経路があるからです。
最も代表的な経路が「I型アレルギー」(即時型アレルギー)と呼ばれる経路。文字通り、摂取直後から2時間以内におこりやすいのが特徴です。じんましんや気管支喘息、花粉症などで関与しています。主に「IgE抗体」や「好酸球」というリンパ球の数などで測定されます。
次に主要な経路は「IV型アレルギー」(遅発型アレルギー)と呼ばれる経路です。文字通り半日~数日かけてゆっくりアレルギー反応が出現いてきます。昔、結核で「ツベルクリン」という反応検査を行った方もいるかと思いますが、これもIV型アレルギーを利用しています。アトピー性皮膚炎や接触性皮膚炎(かぶれ)などは、この「IV型アレルギー」が主体です。
他にも、「II型アレルギー」「III型アレルギー」「V型アレルギー」など様々な経路があります。そのため、「何のアレルギーを検査したいのか」によって適切なアレルギー検査は異なってきます。
代表的なアレルギー検査とおよその適応疾患は以下の通りです。
- 血液アレルギー検査「VIEW39」:花粉症、気管支喘息、じんましんなど
- 血液アレルギー検査「RAST」:花粉症、気管支喘息、じんましんなど
- パッチテスト・パッチパネルテスト:化粧品かぶれ、金属アレルギー、接触性皮膚炎(かぶれ)
- リンパ球刺激試験:薬剤アレルギーなど
それでは、各アレルギー検査をもう少し詳しく紹介しつつ、費用について解説していきましょう。
アレルギー検査「VIEW39」の費用は?
「アレルギーのスクリーニング検査」として最も代表的な検査が「VIEW39」と呼ばれる血液検査です。
アレルギーの原因となりやすい39項目を一度の血液検査で確かめることができる検査で、スクリーニング検査として向いているのが特徴です。
実際は上記の「I型アレルギー」の原因となる「特異型IgE抗体」の量をはかることで、アレルギーの度合を数値化します。主に吸入アレルゲンの信頼性は高く、本試験で陽性だった場合は、それなりに回避しなければならない原因物質といえるでしょう。
一方、食物アレルゲンの信頼性は低く、本試験だけで必ず回避しなければならないというわけではないので注意が必要です。
アレルギー検査39種類セット「VIEW39」の費用は次の通りです。
VIEW39で保険適応(3割負担)の場合 | 約5,000円 |
となります。なお、VIEW39は「アレルギーがあると医師が認めた場合」は保険が適応されますので、3割負担は5000円程度ですが、1割負担だと1700円程度、2割負担だと3400円程度となります。
(無症状の場合は、自費検査となり15000円となります)
VIEW39検査の詳細につきましては、アレルギー検査39種類セット「VIEW39」の項目や費用について解説を合わせてご参照ください。
アレルギー検査「RAST」の費用は?
一方、「VIEW39で調べたけど、アレルギーの原因を特定できなかった」という方もいるでしょう。その場合には、「RAST(特異的IgE検査)」というもう1つの血液検査を行います。
VIEW39検査はコストパフォーマンスの高さを求めるため「検査できる項目が固定」されています。一方、RASTでは200種類以上から自由に組み合わせてアレルギー検査を行うことができます。
ただし、RASTでは一度に検査できる項目は「13項目まで」と決められています。
アレルギー検査「RAST」の検査費用は次の通りです。
1項目あたり(保険適応・3割負担) | 330円 |
13項目(保険適応・3割負担) | 4,290円 |
ただし、VIEW39もRASTも特異的IgE抗体を利用した検査方法。当然「I型アレルギー」で生じた疾患でなければ意味がありませんし、RASTの場合あまりに検査項目が多いので、どれを調べればよいか迷ってしまう方も多いです。
そのため「このアレルギーが心配だから、この数値を知りたい」というように、ある程度アレルギーの原因を自分で目星をつけておくとよいですね。
アレルギー検査「パッチパネルテスト」の費用は?
血液検査では「かぶれ」や「金属アレルギー」などの「遅発型アレルギー」には対応していません。その代わりとなるのが「パッチテスト」や「パッチパネルテスト」です。
パッチテストとは、文字通り「特定の物質に『かぶれ』がでやすいかどうか」を直接肌に貼り付けて確認する検査のこと。
その「スクリーニング検査」にあたるのが「パッチパネルテスト」になります。パッチパネルテストでは、化粧品でよく使われる成分や歯科治療で使われやすい金属など、かぶれの原因になりやすいものを厳選して貼付します。
22項目スクリーニング検査できる「パッチテストパネル」での費用は次の通りです。(3割負担)
パッチテストパネル(S)(保険適応・3割) | 5,810円 |
なお、
- 1割負担の場合:約1,940円
- 2割負担の場合:約3,880円
となりますね。
アレルギー検査「パッチテスト」の費用は?
一方、上記パッチテストの項目に加えて、パラジウムや亜鉛など、特定の金属アレルギーを知りたいという方もいるでしょう。その場合はそれらの項目を追加して検査します。(当院では同時には行っていません)
当院で個別に検査できる金属アレルギー検査は次の通りです。
アルミニウム、コバルト、スズ(錫)、鉄、白金(プラチナ)、パラジウム、マンガン、インジウム、イリジウム、銀、クロム、ニッケル、亜鉛、金、銅
また、これらの個別の金属アレルギー検査の費用は次の通りです。
金属アレルギー検査(保険適応・3割) | 約1,000円 |
1項目ごと(保険適応・3割) | 約50円 |
パッチテストの詳細につきましては【金属アレルギー】パッチテストの方法や費用と検査項目について解説もあわせて参照していただけますと幸いです。
アレルギー検査「リンパ球刺激試験」の費用は?
リンパ球刺激試験(DLST)とは、薬剤によるアレルギー反応を疑った時に、原因薬を特定したり、治療などで使用する薬剤にアレルギー反応を起こしたりする可能性を調べる方法です。
アレルギー反応は多くの場合、免疫細胞のうち「リンパ球」が大きく関わっています。それを利用して「アレルギーが疑わしい薬」と「患者さんの血液」を反応させて、どれくらいリンパ球が増殖したのかを数値化します。
薬剤アレルギーかどうかを調べる主要な検査になりますね。
当院で調べられる「薬剤アレルギー」のタイプは「錠剤」「カプセル」「粉末」「リキッドタイプ」であり、1錠(カプセル・包)を持参していただきます。
そんな薬剤アレルギーの検査費用は次の通りです。
薬剤1種(保険適応・3割) | 2,415円 |
薬剤2種(保険適応・3割) | 2,975円 |
薬剤3種(保険適応・3割) | 3,605円 |
アレルギー検査の費用についてのまとめ
今回は、さまざまあるアレルギー検査の費用について解説していきました。まとめると、すべて保険適応で3割負担の場合
- スクリーニング検査である「VIEW39」の検査費用:約5,000円
- 個別での血液アレルギー検査「RAST」の検査費用:1項目あたり330円、最大13項目まで
- かぶれのスクリーニング検査である「パッチパネルテスト」の検査費用:約5,800円
- 追加での金属アレルギー検査費用:1項目あたり50円。金属だけのスクリーニングで約1,000円
- 薬物アレルギー検査である「リンパ球刺激試験」の検査費用:1種類の場合2,415円。2種類で2,975円。3種類で3,605円
となります。加えて診察料などがかかりますね。
もちろん症状がないといけないので、全例が保険適応になるわけではありません。また、これらの試験で必ずアレルギーの原因がわかるというものでもありません。
例えばじんましんの場合は7割くらいは「特発性じんましん」といって、原因が特定のアレルゲンではなかったりします。ただ、個人的には「これがアレルギーの原因ではないか」とモヤモヤした気持ちをずっと抱えて過ごすよりは、検査して白黒はっきりさせた方がよいと思います。
検査するかどうかに関わらず、アレルギーについてご不安な点などありましたら、ぜひ当院にもご相談ください。
【この記事を書いた人】
一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。
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