梅干しのオドロキの効果について【肝臓・がん・ダイエット・体臭】

和食でごはんのお供といえば!色々あると思いますが、その筆頭にあたるのが「梅干し」です。昔は日の丸弁当といって、梅干しがごはんの真ん中にあるのが普通でしたよね。

そんな日本を代表する食材の1つである「梅干し」ですが、実は医学的にさまざまな「いい効果」があると注目されています。肝臓やがん、ダイエットだけでなく、お肌や体臭にまで効果があるのではないかというのですから、驚きですよね。

一体、どんな効果なんでしょうか。今回は、医学的に検証されている「驚くべき梅干しの効果」について解説していきます。朝に食べればよいのか、夜に食べればよいのか、塩分の意外な事実についてもお伝えするので、ぜひ最後までお読みください。

梅干しには驚きの機能性成分がこんなにたくさん!

梅干しと聞くと、「塩分」「クエン酸」が思いつくと思いますが、意外にも色んな機能性成分があることが知られています。例えば次の通りです。

  • クエン酸・リンゴ酸(有機酸): おなじみのすっぱさの主成分で、体内のエネルギー代謝を支える大切な味方です 。疲労の原因となる乳酸の代謝を促し、体を健やかに保ってくれます 。
  • 梅リグナン(シリンガレシノールなど) :梅に特異的に含まれるポリフェノール化合物で、強力な抗酸化作用を持っています 。なかでもシリンガレシノールは、胃がんのリスクを高めるピロリ菌の運動能力を驚異的な確率で止めてしまう凄い力を持っています 。
  • ピルビン酸 :有機酸の一種で、肝臓の代謝活性や解毒作用を高めて、私たちのデトックスをそっと応援してくれる成分です 。
  • ムメフラール: 生の梅には存在せず、梅を加熱するプロセスでクエン酸と糖が熱化学反応を起こして生まれる特別な成分です 。血液の巡りを良くして、全身の代謝効率を向上させてくれます 。
  • バニリン(およびバニリングルコシド) :脂肪細胞を直接刺激して燃焼を促してくれる、ダイエットの心強い味方です 。加熱前の梅干しにはバニリングルコシドという活性のない形で含まれていますが、熱を加えることで大活躍のバニリンへと変化します 。
  • エポキシリオニレシノール: 梅干し抽出物から世界で初めて同定された新しい機能性化合物です 。インフルエンザウイルスなどの増殖を強力に抑え込んでくれる高いディフェンス力を持っています 。
  • トリテルペノイド系化合物: 梅の果汁をじっくり煮詰めた梅エキスなどに含まれており、がん細胞を特異的に死滅させる優れた抗腫瘍効果が報告されています 。
  • シリンガ酸、プロトカテク酸アルデヒド、リオニレシノール、p-クマル酸など): これらはアレルギー反応に関わるマスト細胞の働きをブロックし、花粉症などのつらい症状を和らげるために働いてくれます 。
  • フラボノイド・ポリフェノール群 :血管を収縮させて血圧を上げてしまう体内ホルモンの働きを優しく抑え、塩分による血圧上昇リスクを上手に調整してくれます。

たった1個の梅干しにこんなにたくさんの機能性成分があるのは驚きですよね。そのため、数多くの梅干しの効果が医学論文でも検証されています。

梅干しの肝臓への効果

では、梅干しにはどんな効果があるのか。まず挙げておきたいのが「肝臓への効果」です。

私たちの体の中で、有害物質の「解毒」や代謝を黙々と担ってくれているのが肝臓です。梅干しおよび梅の抽出物には、この肝細胞における脂質代謝を改善し、肝機能を保護する優れた作用があることが分かっています

福井県立大学などの研究によると、ウメ抽出物には肝細胞の中に脂肪が蓄積するのを抑える強い活性が認められており、現代人に増えている非アルコール性脂肪肝(NAFLD)などの予防に対する有効性が示唆されています。

また、梅干しに含まれる有機酸の一種であるピルビン酸は、肝臓そのものの代謝活性を高め、解毒作用を直接支援する働きがありますね。

さらに、梅を加熱するプロセスで生成されるムメフラールという特異な成分は、肝臓の血流を改善する効果を持っています。肝臓の血の巡りが良くなることで、肝細胞へ酸素や栄養素が円滑に供給されるようになり、間接的に解毒プロセスを強力にサポートしてくれるのです。

これらの複合的な作用によって、医療機関の血液検査でおなじみの指標であるAST(GOT)やALT(GPT)の上昇が抑制され、慢性的な肝細胞の破壊を軽減する効果が言われています。

(参照: 福井県立大学共同研究報告「福井県産ウメ抽出物ならびにエゴマ油成分の肝細胞脂肪蓄積抑制作用の検討」

梅干しのがんへの効果

次に紹介するのが、梅干しのがんへの効果です。

実は、梅干しに含まれる成分には、がん細胞に対する増殖抑制効果や、がん細胞自らを死滅させる細胞死(アポトーシス)を誘導する働きがあることも示されています

東海大学医学部などの研究においては、梅の成分が持つ強力な抗酸化作用を介して、細胞ががん化する初期段階であるDNAの突然変異を抑制する抗変異原活性を持つことが明らかにされました。また、梅の果汁をじっくり煮詰めて作られる「梅エキス」には、トリテルペノイド系化合物と呼ばれる成分が含まれており、これががん細胞を特異的に死滅させることが報告されています

さらに、島根大学医学部などの共同臨床研究では、非常に治療が難しいとされる難治性がんの「膵がん」などに対して、既存の抗がん剤(化学療法)と梅エキスを併用することで、優れた相乗効果を発揮することが確認されました。この研究では臨床的な安全性も同時に検証されており、将来的に体に優しい低毒性のがん補助療法として応用できるのではないかとされているのです。

このように、梅干しには抗がん作用も知られているんですね。

(参照: 島根大学医学部がん治療研究報告書「梅エキスと抗がん薬の併用」

梅干しのダイエット効果

実は、梅はダイエットの世界でも注目を集めています。

例えば、お腹の中で善玉菌の素晴らしいエサになってくれる食物繊維やオリゴ糖がたっぷりと含まれています

これらがビフィズス菌や乳酸菌といった良い菌を元気に増やし、腸内環境を変えることで、体重が増えるのを防いでくれることが実験で分かっています。 さらに、梅を食べるとお腹が満たされやすくなるため、自然と食べ過ぎをセーブできるようになるのも嬉しいポイントですね。

また梅にも、血糖値やインスリンが急激に上がるのを抑える働きもあります。 大腸でゆっくり発酵することで血糖値の上昇がおだやかになる「低GI(血糖指数)フルーツ」としての優れた強みも持っているんですね。

実際、梅のジュースなどを摂ることで、肝臓や心臓に余分な脂肪が溜まるのを減らしてくれることも実証されました。 実験では、わずか2週間ほど梅によるケアを続けただけで、血糖値などの全体の上がり幅(AUC)がグッと抑えられることが確認されています。

それだけではありません。

梅は脂肪組織の中で「痩せホルモン」と呼ばれる物質が増えたり、代謝を良くする遺伝子のスイッチが活性化し、コレステロールを整えたり、食欲のコントロールやエネルギー消費に深く関わる「レプチン」というホルモンの量も正常に整える作用がいわれています。

実は肥満の人の約10%は、このレプチンというホルモンのレベルが低くなってしまい、食欲が暴走しやすくなっていると言われています。梅はそんな乱れてしまったホルモンを調整し、内臓脂肪の蓄積といったあらゆるメタボの数値をしっかり減らしてくれるんですね。

このように、様々な面から梅や梅干しはダイエットには有用な食材の1つといえるでしょう。

(参照:Plums as Potential Dietary Agents to Prevent Obesity and Obesity-Related Disorders

梅干しの体臭への効果

最後に紹介するのが、驚きの「梅干しの体臭への効果」です。

なんと梅の摂取がヒトの体臭や便臭を直接的に抑えてくれるという、共同臨床研究データが報告されているんですね。

この臨床試験では、ボランティア被験者を対象に、梅抽出物製品を1日2回(昼食・夕食時)に摂取してもらう6間のクロスオーバー試験(時期をずらして効果を比較する厳密な試験)が実施されました。

体臭の測定には、皮膚ガス分析用の特殊な吸着材を用いて、うなじへ6時間貼り付けたり、実際に着用したTシャツから揮発する成分を特殊な機械(ガスクロマトグラフィー質量分析:GC-MS)にかけたりして、徹底的な定量分析が行われています。

その結果は非常に驚くべきものでした。

まず体臭(皮膚ガス・衣類付着臭)への効果。梅抽出物を日常的に摂取することにより、被験者の50%(ちょうど半数)において、中高年特有の脂臭さや青臭さ、いわゆる加齢臭などの主原因物質である「オクタナール」および「2-Ethyl-1-hexanol」の皮膚からの排出量が有意に減少することが実証されました。

さらに便臭への効果 。便のサンプル中におけるにおい物質の定量分析を実施したところ、被験者の約66.7%(3分の2)という高い割合において、糞便臭の主要な悪臭原因物質である「インドール」の排出量が顕著に減少していることが確認されたのです。

この減少傾向は、梅の摂取を途中で中止すると再び元の数値へと増加に転じたため、梅を継続的に食べることと、便臭が抑えられることとの間に、はっきりとした直接的な因果関係があることが認められたんですね。

では、どうしてこんな美容や体臭への作用が起こるのか。その背景にあるのが、細胞内における「クエン酸サイクル」の劇的な活性化です。

クエン酸やリンゴ酸をはじめとする有機酸は、細胞内で代謝されてクエン酸サイクルを力強く稼働させます。そのため、疲労の原因や体を酸性に傾ける原因となる乳酸の生成が抑えられ、体内組織の酸性化(酸性体質)が中和されて、人間の本来の理想的な状態である弱アルカリ性の健康的状態が維持されます。

体内の代謝が根源から正常化することで、分泌される皮脂の質そのものが「酸化しにくい不飽和脂肪酸主体」のクリーンなものへと変化します。その結果、皮膚の表面において皮脂が過酸化(サビること)を起こし、ノネナールなどの悪臭物質へと変化するプロセスを根っこから遮断してくれるのです。

お肌の調子を整え、体のニオイまでケアしてくれるなんて、梅干しはまさに自然のデオドラント・美容液と言えますね。

(参照: 紀州ほそ川公式発表「梅摂取がヒト体臭・便臭に与える影響」
(参照: 第30回日本未病学会学術総会・梅摂取による便中インドールおよび体臭成分変化に関する抄録

梅干しは朝たべるべき?夜たべるべき?

では、梅干しはいつ食べるのがベストなのか。実は、「食べる時間帯」によって梅干しの期待される効果はちょっと違います。

① 朝(起床時・朝食時)

朝一番の梅干しの効果は「1日のサイクルを整える効果」です。

例えば、胃腸に適度な刺激を与えることで、蠕動(ぜんどう)運動を強力に促し、サラサラとした質の高い唾液や胃酸の分泌を急速にサポートして、その日1日の消化機能をシャキッと活性化させてくれます。

また、起きてすぐにクエン酸サイクルを稼働させることで、睡眠中に体内に蓄積してしまった乳酸を速やかに代謝・分解し、朝特有のだるさや疲労感を迅速に除去してくれます。 さらに、梅干しに含まれるクエン酸には、虫歯の原因菌であるミュータンス菌の活動を優位に抑制する作用もあります。

1日を整えて元気に過ごしたいという場合は、忙しい朝の習慣にぜひ取り入れたいですね。

② 食事中(特に昼食・夕食時)

食事中、特に昼食や夕食で梅干しの効果を発揮しやすいのが「急激な血糖値を抑える効果」です。

食事と一緒に梅干しを摂取すると、先ほど解説した「α-グルコシダーゼ」の活性阻害作用がジャストタイミングで働きます。これにより、食後の急激な血糖値の上昇、いわゆる血糖スパイクを効果的に防ぐことができ、糖尿病の予防や肥満防止に最も高い効果を発揮します。

また、日本未病学会の臨床データが示す通り、昼食および夕食時に梅の成分を摂取することが、1日を通じて体臭や便臭の原因物質(オクタナールやインドール)の排出を抑えることにダイレクトに直結します。

③ 夜(就寝前)

では就寝前だとどうか。注目すべき夜間の梅干しの効果としては「肝臓の解毒作用の活性化」です

夜間、私たちが眠っている間は、肝臓による解毒機能や、傷ついた組織の修復が最も活発に行われるゴールデンタイムです。この時間帯を迎える前にクエン酸やピルビン酸を補給しておくことで、睡眠中の肝機能の回復を力強くサポートすることができます。 ただし、就寝直前に塩分の高い梅干しをそのまま食べてしまうと、ナトリウムの過剰摂取によって夜間の血圧変動リスクを高めてしまいます

そのため、夜間に摂取する場合は、塩分を一切含まない代替手段として、後述する「梅肉エキス」(約2gを温水に溶かして飲むなど)を利用するのが医学的に強く推奨されています。

【梅干しの適切な量】

ちなみに、梅干しの適切な量は以下の通りです。

  • 標準的な調味梅干し(塩分濃度8〜10%程度):1日1個~2個
  • 伝統的塩漬け梅干し(白干し梅:塩分濃度約18%) :1日1個

医師から塩分の制限を指導されている方や、腎臓の機能が低下している方にとっては、塩分を一切含んでいない「梅肉エキス」がオススメ。1日あたりスプーン半分程度(約2g)を目安に、白湯やお好みではちみつなどに溶かして摂取してみてみるといいと思います。

ぜひ、梅干しや梅の効果を存分に発揮して、毎日健康でイキイキとお過ごしください!

【この記事を書いた人】 
一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。

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