アトピー性皮膚炎の注射、最新治療ガイド!効果や費用、気になる副作用まで徹底解説

みなさん、こんにちは。アトピー性皮膚炎、本当につらい病気ですよね。

  • 「毎日しっかりと塗り薬を塗っているのに、なかなかかゆみが治まらない」
  • 「夜中にかきむしってしまって熟睡できない」

といった限界や悩みを抱えている方は少なくないのではないでしょうか。中には、さまざまな治療を試しても良くならず、途方に暮れてしまっている方もいらっしゃるかもしれません。

実は今、アトピー性皮膚炎の治療体系は劇的な転換期を迎えています。

これまではステロイド外用薬を中心とした、いわば「出てきた症状をその都度おさえる対症療法」が主流でした。しかし、アトピー性皮膚炎の原因になっている化学物質の流れをピンポイントで遮断する「分子標的型注射薬(生物学的製剤など)」が登場したことにより、皮膚の炎症やかゆみを根本からコントロールできるようになってきているのです。

とはいえ、新しく画期的な治療法だからこそ、「本当に自分に効果があるのだろうか」「副作用が怖い」「費用はどれくらいかかるの?」といった不安や疑問を感じるのも当然ですよね。

この記事では、日本国内で承認されて実際に使用されている4つの主要な注射薬(デュピクセント、イブグリース、ミチーガ、アドトラーザ)について、最新の臨床試験データや費用シミュレーションを交えながら、分かりやすく徹底的に解説していきます。

アトピー性皮膚炎の注射薬の一覧

アトピー性皮膚炎の注射薬とは、いずれも「アトピー性皮膚炎」の原因になっている「サイトカイン」という物質の流れを抑える薬です。

そもそもアトピー性皮膚炎はなぜ起こるのか。それは、アトピーの皮膚の中で、ヘルパーT細胞(Th2細胞)という免疫の細胞から出される、IL-4、IL-13、IL-31といった「サイトカイン(細胞へ指令を出す物質)」が暴走して、お肌のバリアを壊したり激しいかゆみを起こしたりするからです。いま使われている注射の抗体製剤は、この暴走している物質を狙い撃ちにして抑える働きを持っています。

具体的には次の4種類です。

① デュピクセント(一般名:デュピルマブ)

一番実績があるアトピー性皮膚炎の注射剤です。炎症を引き起こす上流の鍵であるIL-4とIL-13の両方のシグナルを同時に、強力にブロックします

世界初の治療用生物学的製剤として最も豊富な実績があり、なんと生後6ヶ月の赤ちゃんから使える唯一のお薬でもあるんです。喘息やアレルギー性鼻炎など、他の2型アレルギー疾患も一緒に改善してくれるという一石二鳥な特性を持っています。

② ミチーガ(一般名:ネモリズマブ)

湿疹そのものを治すというよりは、脳へかゆみを伝えるIL-31という物質をブロックすることに特化した「かゆみ特化型注射剤」です 。

皮膚の赤みや腫れを直接おさえる力は他の包括的なお薬に一歩譲ることもありますが、アトピーの天敵である「かゆいから掻く、掻くからさらに荒れてもっとかゆくなる」という地獄の悪循環を、初期段階で一気に断ち切ってくれます。

4週間に1回投与でよくなるのも大きい点ですね。

③ イブグリース(一般名:レブリキズマブ)

皮膚の病変に深く関わっているIL-13だけをピンポイントで狙い撃ちします。

IL-4には直接さわらないため、デュピクセントでたまに問題になるアレルギー性結膜炎などの目の副作用リスクが低めになっていることが特徴の1つですね。

また、デュピクセントは2週間に1回ですが、状態が落ち着いた維持期に入れば、4週に1回(月1回)まで投与間隔を延ばせるのが最大のメリットの1つです。

④ アドトラーザ(一般名:トラロキヌマブ)

イブグリースと同じように、IL-13シグナルだけをターゲットにして邪魔をする完全ヒトモノクローナル抗体です。

15歳以上の成人・思春期のアトピーに対して、お肌の赤みや湿疹に安定した効果を発揮してくれる選択肢としてしっかり確立されています。2週間に1回投与です。

アトピー性皮膚炎の注射の効果は?

では、こうしたアトピー性皮膚炎の注射剤の効果はどれくらいあるのか。個々の臨床試験を見ていきましょう。

① デュピクセント:湿疹が大幅に激減

デュピクセントの一番の特徴といえば、「効果の高さ」と「豊富な実績」にありますね。

例えば、中等症から重症の成人アトピー患者さんを対象にした試験(SOLO 1 & SOLO 2)では、16週間(約4ヶ月)にわたって2週に1回注射したところ、肌の湿疹が完全に消えた、あるいはほぼ消えた状態(IGA 0/1)を達成した人の割合が、偽薬(プラセボ)のグループでは8〜10%だったのに対し、デュピクセント群では36〜38%にも上りました

アトピー性皮膚炎に悩んでいた方にすれば、これって画期的なんですね。

皮膚の重症度を表すEASIスコアの減り具合を見ると、デュピクセント群ではマイナス67.1%〜マイナス72.3%と、非常に効果的なのがわかります。(プラセボ群はマイナス30.9%〜マイナス37.6%)つまりは、赤く炎症している部分が注射で70%以上も減るということです。

症状が抑えきれずに強いステロイドのごく強い塗り薬を緊急追加しなければならなかった人の割合も、プラセボ群の51〜52%に対して、デュピクセント群では15〜21%に抑えられていますね。

このように、「湿疹自体を治す効果が強い」のがデュピクセントの大きな特徴です。

(参照:Two Phase 3 Trials of Dupilumab versus Placebo in Atopic Dermatitis

② ミチーガ:「注射の翌日」からかゆみが減る

湿疹自体を抑える効果というより、かゆみを抑える効果が強いのがミチーガの特徴。

例えば、13歳以上を対象にした国内の試験(M525101-01)では、16週間でかゆみの強さ(そう痒VAS変化率)がミチーガ群でマイナス42.84%と半分近くまで減少しました(プラセボ群はマイナス21.39%) 。

何より凄いのがそのスピード感です。

なんと、初めて注射した翌日(Day 1)の時点で、かゆみの変化率がミチーガ群でマイナス10.33%(プラセボ群はマイナス4.36%)と、すでにハッキリと効果が出始めていることが確認されているんですね。

一晩でかゆみがスッと引く感覚を味わえるのは、毎晩かゆみと戦っている方には救世主そのものではないでしょうか 。かゆみが止まったおかげで、不眠症が軽微なしレベルに改善した人の割合も54.6%(プラセボ群は21.4%)へと一気に跳ね上がっています。

このように、かゆみを抑える効果に特化した薬がミチーガなのです。

(参照:ミチーガ皮下注用60mgシリンジ 審査報告書

③ イブグリース:月1回の投与でもキレイを維持

デュピクセントはIL-4、IL-13両方に効果があるのに対して、イブグリースはIL-13に特化させた薬です。

イブグリースとデュピクセントとの違いは「4週間投与でも維持できること」と「IL-4に関連した副作用(結膜炎)が少ないこと」にあります。

では、イブグリースの効果はどうなのか。

例えば日本の臨床試験(ADhere-J試験)で、ステロイドの塗り薬を併用しながらイブグリースを2週に1回使ったところ、16週間で肌の重症度が75%以上改善した人(EASI-75)の割合は51.2%に達しています(プラセボ群は13.4%) 。

さらに驚きなのが、16週以降の維持期です 。肌が落ち着いたレスポンダーの患者さんが、そこから投与間隔を4週に1回(月1回)に延ばしたとしても、68週時点(約1年3ヶ月後)でのEASI-75維持率は83.4%という高い数値を叩き出しているんですね。

そのため、効果はデュピクセントより劣る可能性もあるが、4週間投与が可能という点は大きいと思います。

(参照:Efficacy and safety of lebrikizumab combined with topical corticosteroids in Japanese patients with moderate-to-severe atopic dermatitis: a phase 3, double-blind, placebo-controlled, randomized clinical trial (ADhere-J) (参照:Long-term management of moderate-to-severe atopic dermatitis with lebrikizumab and concomitant topical corticosteroids: a 68-week randomized double-blind placebo-controlled phase III trial in Japan (ADhere-J)

④ アドトラーザ:じっくり安定してお肌を良くしていく

アドトラーザもIL-13に特化した薬の1つです。

国内外の長期投与試験のデータによると、成人集団におけるEASI-75達成率は、継続投与によって56週時点で83.1%に達することが報告されています。また、実際の医療現場における実臨床データでも、治療開始から16週時点でEASI-75達成率が66%、52週時点では83%へと上昇しています。

時間の経過とともに、効果が蓄積されてよくなっていることがわかりますね。

(参照:アドトラーザ皮下注300mg 審査報告書
(参照:Real-World Clinical Practice Evaluation of Tralokinumab in Atopic Dermatitis: A 52-Week Multi-Center Retrospective Study in the Basque Country

アトピー性皮膚炎の副作用と痛みについて

さて、注射のすごい効果についてお話してきましたが、もちろんリスクもあります。例えば次の通りです。

① デュピクセント

一番知られているのが、目のゴロゴロ感、充血、かゆみといった結膜炎などの症状です 。だいたい11%〜26%の割合で報告されています。これは、目の粘液を出す細胞の働きが一時的に落ちるためと考えられています。

他には、注射した場所が少し赤くなる注射部位反応や、顔や首が一過性に赤くなる顔面紅斑などがあります 。ただ、お肌がキレイになってバリアが戻るため、皮膚のバイ菌感染症(黄色ブドウ球菌など)のリスクは逆にプラセボの半分に減るという嬉しいおまけもあります。

② ミチーガ

16週間の試験での副作用報告は37.1%でした 。

ここで最も注意したいのが、「アトピーや皮膚症状の悪化」が17.5%の割合でみられた点です(プラセボは5.6%)。

これはミチーガがかゆみは超特急で止めますが、皮膚の炎症自体を直接おさえるわけではないため、嬉しくなって塗り薬(ステロイドなど)をサボってしまうと、皮膚の赤みや湿疹が一時的に暴れてしまうという病態からきています 。

なので、ミチーガだけで治療しようとせずしっかり塗り薬を併用することが絶対に大切になります 。副作用による永久中止は2.1%でした 。

③ イブグリース

最初の16週間での副作用などを含めた全体の発生率は75.6%(Q2W群)でした 。主なものは、発熱(23.3%)、コロナ感染(17.5%)、頭痛(10.7%)、そしてニキビ(9.7%)などです。

気になる目のアレルギー性結膜炎は12.3%〜17.1%と、プラセボ(4.9%)よりは高いですが、デュピクセントよりは少し控えめな傾向を見せています 。

重篤な例は特になく、途中で治療をやめた人は1.6%とごくわずかです。

④ アドトラーザ

アドトラーザも上気道感染や結膜炎、注射部位の副反応などですね。

臨床試験において重篤な有害事象が4.01%(24/602例)に認められたと報告されています。その中には、アトピー性皮膚炎自体の重症化(4例)や全身性剥脱性皮膚炎(2例)などの皮膚剥脱反応のほか、蜂巣炎や注射部位反応が含まれています。

【注射の痛みについて】

デュピクセントやイブグリースでは、シリンジ型(手動)に加えて、ペン型(オートインジェクター)が開発されています。そのため、自己注射する方もいますね。

ペン型は針が露出しておらず、皮膚に押し当てるだけで一定の速度で自動的に薬液が注入されるため、恐怖心を和らげる工夫が施されています。ただし、これらの薬剤は分子が大きく高粘度であるため、注入時に組織を圧迫するような局所痛が生じやすいといわれています。

この痛みを和らげるための最大のコツは、投与前に冷蔵庫から取り出し、室温(15〜25℃)に45分以上戻しておくことです。薬液が冷たいままだと強い痛みを感じやすくなります。

ちなみにミチーガは、お薬全体のボリューム(液量)が少ないため、皮膚が引っ張られるような局所の痛みは比較的少ないと言われています。

(参照:Two Phase 3 Trials of Dupilumab versus Placebo in Atopic Dermatitis
(参照:Trial of Nemolizumab and Topical Agents for Atopic Dermatitis with Pruritus
(参照:Efficacy and safety of lebrikizumab combined with topical corticosteroids in Japanese patients with moderate-to-severe atopic dermatitis: a phase 3, double-blind, placebo-controlled, randomized clinical trial (ADhere-J)
(参照:アドトラーザ皮下注300mg 審査報告書 (PMDA)

アトピー性皮膚炎の注射薬は子供にも使える?

では、こうしたアトピー性皮膚炎の注射薬は子供にも使えるのか?

結論からいうと、一部のアトピー性皮膚炎の注射薬は子供にも使えて、十分な効果が出ています。

例えば、デュピクセントは生後6ヶ月の乳幼児から使えますが、試験では16週でお肌がほぼツルツル(IGA 0/1)になった子が28%と、プラセボ(4%)に比べて約7倍もの圧倒的な成果を出しています。

ミチーガは6歳から使えますが、小学生を対象にした国内試験では、かゆみが劇的に減った(NRSが4ポイント以上改善)と答えた子が41.9%に達しました(プラセボは6.8%) 。見た目の湿疹の点数(EASIスコア)自体はプラセボと比べて大きな差が出なかったのですが、主観的な生活の質(QOL)は劇的に改善しています

何より素晴らしいのが、子どものかゆみが止まったことで、夜中に看病のために何度も起こされていたママやパパの睡眠不足や精神的なストレス(家族機能への影響指数:DFI)が劇的に減ったことです 。

「子どもが朝までぐっすり眠れるようになって、自分も久しぶりにまとまった睡眠がとれた!イライラしなくなった!」という、家族全員への効果も期待できるんですね。

ちなみに、イブグリースは12歳から、アドトラーザは15歳以上から適応となります。
(参照:Dupilumab in children aged 6 months to younger than 6 years with uncontrolled atopic dermatitis: a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 3 trial
(参照:Efficacy and safety of nemolizumab in paediatric patients aged 6–12 years with atopic dermatitis with moderate-to-severe pruritus: results from a phase III, randomized, double-blind, placebo-controlled, multicentre study

アトピー性皮膚炎の注射薬の費用は?

これだけ画期的なお薬ですから、お値段もそれなりに張ります。アトピー性皮膚炎の「10割の薬価」を見てみましょう。こちらです。

  • デュピクセント(300mgペン):53,659円 / 本 (基本2週に1回)
  • イブグリース(250mgペン):50,782円 / 本 (維持期は4週に1回)
  • ミチーガ(60mgシリンジ):116,009円 / 本 (4週に1回)
  • アドトラーザ(300mgペン):41,859円 / 本

例えば、デュピクセントの場合、投与開始日1回目のみ、2本を皮下注射します。その後2回目からは当面2週間に1回、1本を皮下注射します。なので、3割負担だとしても維持期でも3万程度はしてしまうことがわかるでしょう。

1年間で支払った医療費の総額により還付金を受け取れる医療費控除や、1ヵ月の間に医療機関の窓口で支払った額が、一定の金額を超えた場合に、金額が払い戻される高額療養費制度を使うこともありますね。

また、小児の場合は自己負担が無料になるケースもあります。ぜひ費用を考えながらご活用ください。

【この記事を書いた人】 

一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。

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