新型コロナ「第7波」のピークや症状などの特徴について【BA5株】

こんにちは、一之江駅前ひまわり医院の伊藤大介です。

BA.5株が日本に蔓延し、発熱外来を実施している医療機関は新型コロナ感染症の対応に追われる日々を送っています。みなさんもなかなか新型コロナに感染されても医療機関に受診できず、つらい日々を送られる方も多いでしょう。

今、BA.5株が中心である「第7波」は今どんな状況なのでしょうか。また、日本政府(厚生労働省)はどのように対応を進めているのでしょうか。

  • 第7波はいつから始まり、いつごろピークになると予測できるか
  • 第7波の症状はどんなものが多いのか
  • 第7波で東京や大阪などはどのような状況になっているのか

などについて詳しくお話していきます。

新型コロナ「第7波」の原因ウイルスであるオミクロン変異株「BA.5株」の特徴についてはオミクロン変異株「BA5株」の特徴について【症状・重症化・潜伏期間】を参照してください。

新型コロナ「第7波」の感染者数・死亡者数の推移は?

(第7波の新規感染者数・重症者・死亡者数の推移)

第7波の新規感染者数・重症者数・新規死亡者数は次の通りとなっています。

  • 8月2日時点:感染者数211,040人、重症者数478人、新規死亡者数110人
  • 8月9日時点:感染者数212,531人、重傷者数579人、新規死亡者数179人
  • 8月17日時点:感染者数231,472人、重症者数610人、新規死亡者数233人

10万人あたりの感染者数で考えると、次の通りとなっています。

  • 8月2日時点:首都圏で1284人、関西圏で1429人、中京圏で1091人
  • 8月9日時点:全国で1194人、関西圏で1480人、首都圏で1248人、中京圏で1219人
  • 8月17日時点:全国で1036人、関西圏で1236人、首都圏で955人、中京圏で1038人

重症者を見ると2年前と比較するとわかる通り、重症化率自体は下がっていますが新規感染者数が多い分、実際の重症者数は高くなっています。

また、死亡者数のみのグラフは次の通りとなっています。

(第7波の死亡者数の推移:青は7日間平均。赤は現在の新規死亡者数)

新規死亡者のみを見てみても、8月17日時点でまだピークまで達したとはいえない状況です。重症化率が低いといわれるオミクロン株主体の「第6波」でも感染者数の増加に伴い、死者数が増加してしまった点からも、今後死者数は増加すると予想されます。

新型コロナ「第7波」のピークの予測は?

(新型コロナ「第7波」の1週間前との増減比)

1週間前の増減比は次の通りです。

  • 8月2日時点:全国で1.16倍、東京で1.11倍、大阪で1.01倍
  • 8月9日時点:全国で1.05倍、関東で0.99倍、近畿で1.05倍
  • 8月17日時点:全国で0.87倍、関東で0.78倍、近畿で0.85倍

第6波の時も一度下がりはじめたら、しばらくは1.0を下回っていたので、8月17日時点でピークは越えてきているといえます。

ただし、現時点での新規感染者数は非常に高いので、例え増減比が「1.0」を下回ったとしても、実際の感染者数が高いことには変わりありません。ですので、8月~9月くらいまでは感染者数が高い状態が続くとみてよいでしょう。

(死亡者数は感染者数が下回ったとしても拡大するおそれは十分あります)

(新型コロナ「第7波」における夜間滞留人口の推移)

しかし、今回はオミクロン株の性質や世論の影響もあって、「人流抑制」を行わない政策がとられています。それを反映して2019年よりは夜間の人流は45.5%マイナスとなっていますが、2021年と比べると約40%増加している状況です。(これがよいかどうかはわかりません)

したがって、感染制御の面からいうと、国全体として前年度よりは感染しやすい状況であると考えてよさそうです。

新型コロナ「第7波」の症状の特徴は?

では、新型コロナ「第7波」ではどのような症状に気を付ければよいのでしょうか。広島県のデータベース(J-Speed)の報告によると、オミクロン株に感染した場合の症状として

  • 呼吸器症状(咳・鼻水・喉の痛み):75%
  • 全身のだるさ:48%
  • 39度以上の発熱: 20%

などをあげています。フランスからの報告でも「倦怠感」「咳」「鼻水やのどの痛み」を代表的な症状として挙げているので、今の日本の現状と合致しますね。

8月10日の広島県からのデータでは「発症から症状悪化までの日数が、3日以内が62%、4日~7日以内が26%、8日以上が12%」としています。入院事例のデータなので、入院された方は1週間以上たってから悪化する可能性があるということですね。

外来で診療している印象では、3日くらいたってから症状が変化されてお薬の継続を求める方が約30%いらっしゃいます。(電話診療による)そのため、症状が変わってきた場合は医療機関にお伝えいただくと幸いです。

4学会からの生命では「順調に経過していれば”かぜ”と大きな違いはない」としていますが、個人的には第7波になり、ややより強く長引く症状を訴えるようになってきたと感じます。(強い症状の場合に受診されるので、そこで『バイアス(偏見)』がかかっているかもしれません)

同じフランスからの報告でも「BA.5株では症状は平均7日くらい持続する」と考えられていますので、2~4日で長引いていても慌てないことが大切ですね。

新型コロナ「第7波」での政府の取り組みは?

では、新型コロナ「第7波」の現状において政府(厚生労働省)としてはどのような取り組みが行われているのでしょうか。8月2日発表時点で以下のような取り組みが行われています。

① BA.5対策強化地域の設定

病床使用率が50%をこえた場合、入院患者がおおむね中等症以上になった場合などに、都道府県が「BA.5対策強化宣言」を行い、住民や事業者に対して、下記の呼びかけを行うとともに、感染対策がより効率に行われるように支援をするというものです。

住民への協力要請の事項

  1. 基本的感染対策の再徹底(「三つの密」の回避、手洗い等の手指衛生、効果的な換気等)
  2. 早期にワクチンの3回目までの接種を受けること、高齢者や基礎疾患を有する者、重症化リスクが高い者は早期に4回目接種を受けること
  3. 高齢者や基礎疾患を有する者、同居する家族等について、混雑した場所や感染リスクが高い場所への外出の自粛等、感染リスクの高い行動を控えること
  4. 帰省等で高齢者や基礎疾患を有する者と接する場合の事前の検査
  5. 高齢者施設等の利用者のお盆等の節目での検査
  6. 飲食店での大声や長時間の回避、会話する際のマスク着用
  7. 症状が軽く重症化リスクが低いと考えられる者は、発熱外来の受診に代えて、都道府県が行う抗原定性検査キットの配布事業の活用も検討すること
  8. 無症状の者は、都道府県が行う無料検査事業を活用すること
  9. 救急外来及び救急車の利用は、真に必要な場合に限ること

事業者への協力要請事項

  1. 在宅勤務(テレワーク)等の推進
  2. 人が集まる場所での感染対策の徹底
  3. 高齢者施設、学校・保育所等の感染対策の強化
  4. 飲食店において十分な換気や、座席の間隔の確保又はパーティションの設置等を行うこと
  5. 大人数での会食の場合は参加者への事前検査を促すこと
  6. 大規模な参加型イベントは、十分な人と人との間隔の確保又は参加者への事前検査等を促すこと
  7. 国民生活・国民経済の安定確保に不可欠な業務を行う事業者は、業務継続計画に基づき、事業の継続を図ること

特に新しい点としては、「抗原検査キットの配布事業の活用」ではないでしょうか。抗原検査キットを活用し、陽性かどうかを判別したうえで適切な時間に来院いただくことでクラスター発生の抑制につなげる目的があると考えられます。

② 医療機関のひっ迫に向けた対応

医療機関のひっ迫を抑える目的で、入院や高齢者施設では、

  • ベッドの確保(最大確保病床5万ベッドの全面的な稼働)
  • 重症者をはじめ入院李朝が必要な患者を優先的に入院できるように調節を図る
  • 入所者に陽性者が発生した場合の、24時間以内の感染制御や医療支援
  • 療養解除基準を満たした患者の早期退院(4日以内)や転院調節

また、診療所や発熱外来のひっ迫回避に向けての取り組みは以下の通りです。

  • 抗原定性検査ケットの供給:都道府県にきっとを配布し、自己検査の整備を進める
  • 発熱外来を経ない在宅療養の仕組みづくり:健康フォローアップセンターなどに医師をおき、発熱外来を経ずに自己検査の結果を都道府県等にWEB等で登録することで、在宅療養とする仕組みをつくろうとしています。

③ 医療機関受診の目安の提示

さらに、新型コロナに感染した方の医療機関や救急車利用に向けて日本感染症学会・日本救急医学会・日本プライマリ・ケア連合学会・日本臨床救急医学会の4学会の同時声明が8月2日に行われました。その要件としては以下の通りとなります。

  • 症状が軽い場合(飲食できる、呼吸が苦しくない、乳幼児で顔色がよい)場合で、65歳未満、基礎疾患や妊娠がなければ、慌てて検査や受診をする必要はありません。(コロナウイルス専用の特別な治療も必要ない)
  • 症状が重い場合や、37.5度以上の発熱が4日以上続く場合、65歳以上の方、65歳未満でも基礎疾患がある方、妊娠中の方、ワクチン未接種の方は重症になる可能性があるため、かかりつけ医に相談してください。
  • 救急車を呼ぶ必要がある症状は、顔色が明らかに悪い、唇が紫色になっている、様子がおかしい、急に息苦しくなった、などです。このような時に救急車を呼ぶことをためらわないでください。

というものです。当院でも最大限診療したいと思っていますが、人数には限りがあります。そのため、なるべく重症な方や基礎疾患があり重症化リスクが高い方からお受けするように思っています。

軽症で医療機関に受診することがなかなかできない方は、その間市販薬を使うのもひとつの手です。市販薬の選び方などは、市販薬で新型コロナの症状を緩和する薬についてを参照してください。

参考サイト

新型コロナウイルス感染症アドバイザリーボード

【この記事を書いた人】 
一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。

新型コロナに関する他の話題は「ひまわり医院の新型コロナウイルスに関するコラム一覧」からご覧ください。

更新履歴

  • 8月10日:8月9日の感染症アドバイザリーボード資料をもとに更新
  • 8月18日:8月18日の感染症アドバイザリーボード資料をもとに更新

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