新型コロナは他のウイルスよりもうつりやすいウイルスの1つ。身に覚えがなくても新型コロナに感染する可能性は十分あります。
- 風邪だと思って病院にいったら、検査が陽性になってビックリした
- 自宅療養と言われても、どう過ごせばよいかわからない
という方もいるでしょう。今回、新型コロナの感染者の方がどう過ごせばよいのか、待期期間(隔離期間)や家族への対応も含めてまとめてみました。
新型コロナウイルスについては
- 新型コロナウイルス「オミクロン株」の特徴について【感染力・症状・重症化】
- オミクロン変異株「BA5株」の特徴について【症状・重症化・潜伏期間】
- オミクロン「XBB株」「XBB1.16株」の症状や重症度などについて解説
を参照してください。
Table of Contents
新型コロナ感染者はまず「症状回復」に専念を
新型コロナの症状は極めて多彩です。「ほとんど風邪と同じ」「なんでもなかった」という人もいる一方で「息切れがして本当につらい」と息も絶え絶えに崩れるようにして診察室に入ってくる人もいます。
のどに激痛が走る人もいるし、のどに炎症はなくて40度の発熱と頭痛だけで来る人もいます。私もある程度検査前に予測できますが完全ではなく、「検査して初めてコロナだとわかった」ということもしばしばあります。
というわけで、いつ「コロナ」と診断されるかわかりません。そしてコロナと診断されたらしばらくの間、自宅療養する必要があり「仕事はどうするんだ」と考える方もいるでしょう。
ついつい自分の体を後回しにして、仕事や周りの家族のことを優先にしがちですが、まずは症状回復に努めましょう。ご自身の体のこと、どうか大切にしてください。コロナからの症状回復の方法として、以下が想定されます。
① ウイルスをなるべく外へ追い出す
特に初期の場合は、いかにウイルスを外へ追い出すかが大切です。ウイルス量と重症度の関係は完全には証明されてはいないものの、一部の研究では
- ウイルス量とコロナへの重症度には相関関係がある
- ウイルス量が多ければ2次感染(他の人への感染)が高くなりやすい
としているからですね。では、ウイルスをなるべく外に追い出す行動とはなんなのか。例えば
- からんだ痰などは外へ出す
- 鼻水などの症状が中心の時は鼻うがいを行う
- 痰を外へ出しやすくするように、態勢を時々変える
- 喉の炎症が強い時などは炎症を奥の方からうがいをする
などになります。うがい液などがなければ「緑茶うがい」も効果的かもしれません。(緑茶の感染予防効果については緑茶の効果とデメリットについて解説を参考にしてください)
また、体の中のウイルスを減らす意味で、今は抗ウイルス薬も処方することができます。あまりに症状が乏しい方は必要ないと思いますが、重症化リスクの高い人や症状が激しい人は検討してみてもよいですね。
コロナへの抗ウイルス薬については、ゾコーバ・ラゲブリオ・パキロピッドなど、新型コロナ感染症「軽症」の治療薬についてを参照してください。
(参照:The relationship between COVID‐19 viral load and disease severity: A systematic review)
② しっかり休み、体に負担がかかる行動は控える
人間、ウイルス感染を来して体調が悪くなったとしても、今までの習慣を変えるのは難しいかもしれません。しかし、「体のメンテナンス期間」だと思って、体に負担がかかる行動は控え、しっかり休みましょう。
特に体に負担がかかる行動としてあげられるのが
- タバコ(電子タバコも含む):コロナは呼吸器感染症です。当然ながら、症状が長引く原因になります。
- お酒:コロナは(特に後遺症の場合)全身感染症と考えてよいです。よく寝酒でお酒をたしなんでいる方は数日は控えましょう。
- 過度な仕事:今はリモートワークができてしまうので、仕事を普段通りにしてしまう方がいますが、体は普段通りではありません。体はウイルスと戦い頑張っています。休む時はしっかり休みましょう。
などですね。特にタバコは要注意だと思います。
また、発熱している時や喉の炎症が強い時に「なるべく薬に頼らないで治そう」とギリギリまで頑張る方もいますが、虫刺されなどの炎症を放置するとアトになるように、強い炎症を放置すると後々まで長引く可能性がでてきます。
私は、あまりにつらい症状なら薬に頼ってもよいと思います。医療機関に受診できない間は市販薬を使いながら、医療機関できちんと診断してもらい薬をきちんと内服しましょう。
コロナの時でも使える市販薬については新型コロナに対する市販薬について【発熱や咳などの症状別】も参考にしてください。
新型コロナ感染者は「家族への対応」にも気を付ける
もう1つ、新型コロナ感染者が気をつけなければならないことがあります。それは、家族への対応、つまり二次感染です。
そもそも新型コロナが世界中に拡大した原因として「高い感染力」があげられます。インフルエンザと違い「エアロゾル感染」が主体なので、感染者と数メートル離れているだけでは不十分であり、空間を分けなければ感染対策として十分とは言えません。
5類になったとしても新型コロナの性質自体が変わったわけではありません。中には家族で重症化リスクの高い方もいるでしょう。
ではどうすれば家族への感染を防げるのか、例えば以下のポイントが大切です。
① 自宅から原則外出しないで、部屋を分ける
当然ですが、医療機関から指定されている期間は自宅から出ることができません。5類になったので、同居の方は外出することはできますが、同様に症状がある場合は「コロナ感染症」と考えて、接触は最小限に行うことになるでしょう。
そして、できる限り部屋から出ないようにして同居の方との接触を最小限にすることになります。完璧にするなら、以下の形になります。
- 陽性の方と共用な物(ドライヤーなど)、なるべく分けて使用する
- 部屋を分けられない場合は仕切りやカーテンで区切って過ごす
- 食事はできるだけ自分の部屋にし、食器は使い捨て。終わったのちはビニール袋で口を縛る
- お風呂は陽性の方が一番最後で、シャワーで浴室を洗ったのち、換気をしっかりする
- 会話するときはマスク着用で、頻回のアルコール消毒を行う
- ドアノブなど複数使う共用器具に関してもこまめに消毒する
などになりますね。ポイントを絞るなら「部屋を出るときに手を消毒して、生活空間を別にする」ことですね。空気中のウイルスを共有しないことが大切でしょう。マスクもウイルスを多く含む飛沫を防ぎ、ウイルスを遠くに飛ばすのを防ぐ意味で、とても大切です。
感染者の世話をする時もマスクをつけて最小限にするようにしましょう。
② できるだけ換気をする
コロナの感染には「飛沫感染」「エアロゾル感染」「接触感染」「糞便感染」などがあります。このうち大切なのは「エアロゾル感染」です。
換気をしっかりする意味でも窓は2方向以上あけて、通気をよくしましょう。定期的な窓開けの回数を増やす、というのでもよいでしょう。
あとは、感染者と同居人の間に空気清浄機をおくようにしましょう。高性能空気フィルター(HEPAフィルター:High Efficiency Particulate Air Filter)など、ウイルスをきちんと捕捉できるものがよいですね、
また、外気導入タイプのエアコンを活用するのも1つの手となります。
以上のように、しっかり換気をし、二次感染を防ぐというのも大切なこと。大切な家族の健康を守るためにも、できるだけ感染対策をしていくようにしましょう。
新型コロナの隔離期間(待機期間)は?
令和5年5月8日以降、新型コロナウイルス感染症患者は、法律に基づく外出自粛は求められていませんが、「外出を控えることが推奨される期間」として、以下のように言われています。
- 特に発症後5日間が他人に感染させるリスクが高いことから、発症日を0日目として5日間は外出を控えること
- 5日目に症状が続いていた場合は、熱が下がり、痰や喉の痛みなどの症状が軽快して24時間程度が経過するまでは、外出を控え様子を見ることが推奨されます
例えば、8月1日に感染したとすると、8月2日(1日目)・3日(2日目)・4日(3日目)・5日(4日目)・6日(5日目)までは、最低自宅待機ということになりますね。
また、学校保健安全法施行規則においても、「発症した後5日を経過し、かつ、症状が軽快した後1日を経過するまで」を新型コロナウイルス感染症による出席停止期間としています。
多くの会社でも上記を採用しており、医療機関もこれを元に判断することが多いでしょう。これは、「発症後3日間は、感染性のウイルスの平均的な排出量が非常に多く、5日間経過後は大きく減少すること」から上記のように定められています。
ただし、何回も繰り返しますが、ウイルスの性質が変わったわけではありません。詳しくは新型コロナウイルスの潜伏期間について解説【最新株・平均日数・オミクロン株】でも解説していますが、発症してから10日間は他の人に感染させる可能性も十分に考えられます。
自宅待機期間終了後に自由にしたら、それこそ感染は広がります。ただでさえ感染力の高いウイルスです。感染対策は隔離期間終了後もしっかり行うようにしましょう
こちらもあわせてオススメです
- 【新型コロナ】感染対策でのマスクの効果とデメリットについて解説
- 新型コロナウイルスの潜伏期間について解説【最新株・平均日数・オミクロン株】
- 新型コロナウイルス感染症「軽症」の方の治療薬について【適応・効果・副反応】
- のどの痛みはコロナ?のどが痛い時の原因やケアについて解説
- 鼻水が止まらないのはコロナ?鼻水のコロナ以外の原因や対処法についても解説
【この記事を書いた人】
一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。