オミクロン変異株「XBB株」の症状や重症度・シンガポールでの状況について解説

日本でも新型コロナが着実に増加している中で、心配なのが「変異株」の存在です。2022年夏はBA.5株があがってきましたが、冬は「BQ.1株」「XBB株」が台頭してきていますね。

XBB株は一体どんな特徴なのでしょうか。XBB株の症状や重症度を、シンガポールの状況と絡めてお話していきます。

オミクロン変異株「XBB株」とは?

XBBとは「BJ.1株とBM.1.1.1株の組み替え体」です。オミクロン株の特徴の時に紹介しましたが、2つのウイルスが1つの細胞に同時に感染した時、細胞の中で2つのウイルスの遺伝子が混ざりあって全く新しいウイルスが誕生します。これが、「組み換え体」です。

もともとのBJ.1株はBA.2.10株(ステルスオミクロンがBA.2株です)の亜系統、BM.1.1.1株はBA.2.75.3株の亜系統株(BA.2.75株は「ケンタウルス」としても有名になりましたね)なので、その組み換え体のXBB株も「BA.2株」「BA2.75株」にある程度近しい性質を持つことが予想されます。

ただし、XBB株のスパイクタンパク質の受容体結合部位の中の「R346T、N460K、F486S」などのアミノ酸変異があり、特に中和抗体からの逃避能が高くなっている点が大きな特徴のウイルスです。(後述します)

また、XBB(読み方:エックスビービー)というのが煩雑なためか「グリフォン」と呼称されることもあります。

オミクロン変異株「XBB株」のシンガポールの状況は?

シンガポールMinistry of Healthの「COVID-19統計」により転載)

XBB株は、海外でも蔓延を始めています。特に感染が蔓延したのはシンガポールです。9月中旬には、XBB株の割合が感染者全体の17.3%であったのに対し、10月中旬には60.7%まで拡大し、感染者数増加に発展しました。

XBB株の感染拡大に合わせて、感染者数も1日12000人あまりまで増加しましたが、現在は1日2000~3000人を推移しています。しかし、シンガポールは人口545万人余りの国。日本の人口が1.2億人(約22倍)であることを考えると、XBB株が拡大した時の日本の感染者数はかなり高くなることが予測されますね。

入院者数も、XBB株の拡大に伴って最大で約2.5倍にまで拡大、現在縮小傾向となっています。

オミクロン変異株「XBB株」の症状は?

XBB株が優勢であるシンガポールの保健局「MOH」では、新型コロナの症状として

  • 発熱
  • 喉の痛み
  • 鼻水
  • 味覚嗅覚障害

などをあげており、「肺炎や急性呼吸器疾患に似ている」としています。しかもこれらは、XBB株が優勢になった後から症状を変更していないので従来のオミクロン株と同様の症状と考えてよいでしょう。

BA.5株と近い状態と考えるなら、加えて「倦怠感」「筋肉痛・関節痛」「頭痛」「吐き気などの消化器症状」などがあげられます。

新型コロナは他のウイルス感染と比較して非常に多彩な症状であることが特徴です。詳しくはインフルエンザとの比較の記事で述べていますが、新型コロナでは同じ家族内でも「ほぼ無症状な方もいる一方、激しい症状で夜も眠れなかった方もいる」ということが非常によく経験されます。

また「自分はコロナではない」と思っている方に限って「陽性だった」という例もよくあります。自己判断で行わず、お手持ちの抗原検査キットの活用(奥までしっかり採取しないと陽性になりません)や医療機関受診をし、診断を確定していただくようお願いします。

また、BA.5株の症状の詳細については、オミクロン変異株「BA5株」の特徴について【症状・重症化・潜伏期間】をご参照ください。

(参照:シンガポールMOH「GENERAL INFORMATION ABOUT COVID-19」

オミクロン変異株「XBB株」の重症度は?

(シンガポールMOHからのシンガポールにおける入院患者数の内訳:日本語に著者改変)

XBB株の重症度は「従来の新型コロナ感染症よりも重症度は上昇していない」といえます。シンガポールMOHからの発表によると、「XBB株の症例はBA.5症例と比較して、入院のリスクが30%低いと推定」としています。

ただし、シンガポールMOHからの発表によると、XBB株が拡大した9月22日~10月22日までの期間での死亡率は

  • 50歳未満の死亡率:ワクチン接種の有無に関わらず0.01%未満
  • 50-59歳の死亡率:ワクチン接種なし0.05%、ワクチン接種あり0.01%未満
  • 60-69歳の死亡率:ワクチン接種なし0.24%、ワクチン接種あり0.01%
  • 70-79歳の死亡率:ワクチン接種なし0.44%、ワクチン接種あり0.09%
  • 80歳以上の死亡率:ワクチン接種なし2.2%、ワクチン接種あり0.55%

となっており、年齢とワクチン接種の有無によって大きく変わってきますので、ご注意ください。

(参照:Gov.sg「Corrections regarding XBB wave in Singapore」)

オミクロン変異株「XBB株」への再感染率は?

(シンガポールMOHからのシンガポールにおける再感染率の内訳:日本語に著者改変)

XBB株の安心できない点は「再感染率」の高さです。シンガポールでは再感染は新規症例全体の約17%を占めており、「過去に新型コロナにかかっているから大丈夫」とはいえません。

また、再感染例にはオミクロン株から1-3か月後に再感染した例も含まれており、「直近でコロナにかかったから再感染しない」とも言えません。

実際、シンガポールのデータによると、人口10万人あたりの10月8日~10月14日での新規感染者・再感染者数の内訳は

  • 新規感染者数(コロナ未感染):163人
  • デルタ株以前にかかった方:147人
  • オミクロン株感染から1-3か月経過:0.7人
  • オミクロン株感染から4-6か月経過:26.4人
  • オミクロン株感染から7-10か月経過:42.4人

となっています。「また、査読前論文からも「BQ.1株とXBB株は以前の免疫から逃れる性質が高い」としています。「自分はコロナにかかったら、もうかからないだろう」と過度に考えず、感染前後で行動を極端に変えないことが大切ですね。

(参照:Ministry of Health「UPDATE ON COVID-19 SITUATION AND MEASURES TO PROTECT HEALTHCARE CAPACITY」
(参照:Biorxiv「Imprinted SARS-CoV-2 humoral immunity induces convergent Omicron RBD evolution」

オミクロン変異株「XBB株」の日本の状況は?

(11月15日の感染症アドバイザリーボード資料による)

日本では11月15日時点でBA.5株が74%に低下してきている一方、BQ.1株13%・XBB株5%となっており、BQ.1株とともにBA.5に置き換わりつつある状況です。

BQ.1の方の拡大がやや優勢であるものの、まだ未知数であり今後XBB株が優勢株になる可能性は十分あります。随時アップデートいたしますが、今後の動向に注目ですね。

第8波の主要株と目されている「BQ.1株」についてはオミクロン「BQ.1」「BQ.1.1」の症状・重症化や感染力について解説を参照してください。

オミクロン変異株「XBB株」のまとめ

いかがでしたか?今回はオミクロン変異株「XBB株」について解説していきました。まとめると

  • XBB株は、BA.5系統に分類されているが、実際はBJ.1株とBM.1.1.1株が同じ細胞の中で組み合わされた「組み換え株」である。
  • XBB株はシンガポールでは優勢株に先月なっており、感染者数は1日12000人まで増加。入院数が2.5倍に増加した。日本とシンガポールでは人口は20倍以上異なっているため、感染拡大が同様に見られた場合、多くの方の感染が見込まれる。
  • XBB株は重症化する可能性は少ない株であり、ワクチン接種の有無や年齢によって大きく異なる。
  • XBB株は再感染率の高さが非常に高いのが特徴であり、ウイルス学的にみてももともとの免疫能から逃れる性質があることがわかっている。

といえます。BQ.1株とともに、目が離せない変異株であることは間違いありません。なるべくかからないことが一番ですが、どんなに気をつけてもかかってしまうこともあります。早めに医療機関にアクセスするようにしていただき、抗原検査キット(奥に入れて採取しないと偽陰性になりやすいです)や市販薬などを活用しながら、対策していきましょう。

もちろん、当院にもいつでもご相談ください。公式LINEアカウントやオンライン医療相談なども随時行っています。どうぞ不安になっている方、メッセージをください。

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