大麻グミの成分はなに?大麻に似た成分の合法性と違法性について

昨今、話題になっている「大麻グミ」。大麻グミを食べ体調不良を訴え、一時意識不明になったり、病院に搬送されたりする例が相次いでいます。

「大麻グミ」という名称からみると「そもそも違法な成分ではないのか」と考えても不思議ではありません。一方、「医療用大麻」という言葉もあり、大麻成分のすべてが違法でないのも事実。渦中に揺れる「大麻グミ」の成分は一体何なのでしょう。

今回、大麻グミの成分とその合法性、違法性について、わかりやすく解説していきます。

大麻に似た成分は104種類もある

「大麻」と聞くと、なんとなく全ての成分が怖いイメージを持ちますが、そうではありません。

大麻草の成分である「カンナビノイド」は実は104種類もあります。その中で「大麻取締法」や「麻薬取締法」で規制されている大麻の成分はマリファナの主成分で有名な「THC(テトラヒドロカンナビノール)」という成分です。

「THC」は大麻の葉っぱや花に含まれており、摂取すると幻覚症状などの多彩な精神症状が出てくる一方、以下のような有害な症状が出てきます。

  • 知覚の変化:時間や空間の感覚がゆがむ
  • 学習能力の低下:短期記憶が妨げられる
  • 運動失調:瞬時の反応が遅れる
  • 精神障害:統合失調症やうつ病を発症しやすくなる
  • 知能指数の低下:短期・長期記憶や情報処理速度が下がる

もっとも「THC」の恐ろしいのは薬物依存性です。大麻を継続的に摂取しないと、大麻への欲求が抑えられなくなるのです。そのため「大麻の有害症状で物事を正しく考えられなくなる」➡「強い薬物依存でさらに大麻を摂取したくなる」という負のループに陥ります。

特に、若者の脳に強い影響を与えやすいことが言われており、規制もなく「THC」を摂取することは非常に危険なのです。

一方、大麻の主成分の1つである「CBD(カンナビジオール)」に代表される通り、大麻の成分の中でも中毒や多幸感を引き起こさず、乱用の可能性が低いとする成分もあります。また海外で実施されているように「医療用大麻」として販売するケースもあります。このように

  • 大麻に含まれる全ての成分が悪いわけではない
  • 大麻に似た成分にも一部の病気や疾患に有用なケースがある
  • ただし、THCを規制することなく販売・摂取をすることは非常に危険

という「グレーな状態」が大麻の世界には起こっており、大麻に似た成分として様々な成分が開発されてきました。「大麻グミ」もそのような中で生まれ、事件当時には「規制対象外」とされていた成分だったのです。

大麻グミの成分と効能は?

2023年11月に「大麻グミ」で問題になっている主成分は「HHCH(ヘキサヒドロカンナビヘキソール)」という成分です。

HHCHは2020年に初めて化学的に合成されたカンナビノイド。ロシアからの論文によると、HHCHの特徴として以下のことが記載されています(ロシア語なので、翻訳ソフトで翻訳して、他資料で整合性を確認しながらまとめています)

① HHCHの作用機序

HHCHは、テトラヒドロカンナビヘキソール(THCH)の次の水素化形態であり、その化学式は上図の通り非常に似ています。HHCHは、大麻の主成分であるTHC(テトラヒドロカンナビノール)などと同様に、ヒトの体内に存在するカンナビノイド受容体に作用しますね。

カンナビノイド受容体は主に脳内にあり、神経伝達物質の放出を調節することによって、様々な心理的および生理的な効果を引き起こします。

② HHCHの効果

HHCHには以下の効果があるといわれています。

  • 鎮痛作用:HHCHは鎮痛作用を持つとされています。これは、痛みの伝達を調節する神経系への影響によるものかもしれません。
  • 抗炎症作用:炎症反応を減少させる効果があるとされています。
  • 鎮静作用:リラックス効果や鎮静作用があるとされています。
  • 精神作用:HHCHはΔ9-THCよりも約10~15倍強力な精神活性を持つとされ、幸福感や軽い気分の高揚などの効果を引き起こす作用があります。

特に、注目すべきなのは精神作用です。先に「HHCHはTHCHを次の水素化形態であり非常に似ている」と言いましたが、このTHCHは今年の8月で規制されている「指定薬物」。実際、ニュースでもTHCHを摂取した方が救急搬送される事案が相次ぎ、急遽「指定薬物」として規制されることになりました。

今回の「大麻グミ」のHHCHはこのTHCHよりも若干、精神への作用が「強い」とされています。つまり、十分HHCHも精神作用による事案が発生することは容易に予測しうることです。

それでもなお、指定薬物に認定できていない現状は、麻薬に似た成分が「グレーゾーン」であることを如実に表しています。

➂ HHCHの安全性

このようなことからもわかる通り、「ヘキサヒドロカンナビヘキソール(HHCH)の安全性については、特定の情報が少ないため、一般的な安全性に関する結論を出すのは難しい」としています。

また、今後多くの合成カンナビノイドが生成されるかもしれませんが、すべて未知の健康リスクはつきもの。HHCHによる被害が多数報告されている状況から考えると、「安全性が保障されている」とは到底言えるものではありません。

(参照:Recent trends in the identification of psychoactive substances. Issue 40. April 2023. (in Russian)

「大麻グミ」は合法か?違法か?

こうした現状をうけて、厚生労働省ではHHCHを「指定薬物」にする方針にしており、12月には指定薬物とする予定となっています。

そうなるとHHCHが入ってる「大麻グミ」は所持や使用、流通が禁止されますので、これらの行為は「違法」といえますね。

ただ、「HHCH」が世に出回ったのも類似した「THCH」が指定薬物に認定されたからともいわれています。そのため、「HHCH」が指定薬物に認定されたとしても、別の「合成カンナビノイド」が世に出回る可能性も十分考えられます。

もちろん、今後出回る「合成カンナビノイド」も安全であるという保証はどこにもありません。「違法ではないから安全」とは必ずしも言えないのです。

前述の通り、医療用大麻のように疾患や病気に有効である可能性があります。どんな成分も使い方次第という側面もあるでしょう。

しかし、規制されているからには必ず「理由」があります。

もし大麻に似た成分を使用したい場合には、少なくとも「臨床試験で安全性が保障されている成分を選ぶ」「臨床試験で安全性が証明された使い方で行う」「信頼できる場所で購入する」ことが最低限必須です。(十分とはいえません)

今後、さまざまな成分が世に出回る可能性がありますが、根拠が明確でないものは手を出さないように気をつけましょう

【この記事を書いた人】 
一之江駅前ひまわり医院院長の伊藤大介と申します。プロフィールはこちらを参照してください。

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